21 / 31
最後の一週間
冷たい雨と熱い涙
しおりを挟む
それから3時間後。
10時過ぎになってくると、テーブルを埋め尽くしていたお皿も、大半が空になっていた。
アボカドサラダ、チリポテト、チョリソ ケサディアス、イカの香味揚げ、ブリトーにエンチラーダ、タコス。
私の目の前には、4杯目のマルガリータ。1杯目はノーマル、2杯目はマンゴーベース、3杯目はラムベース、そしてこの4杯目はカシスベースのマルガリータ。
フルーツベースのものは飲み易いからつい飲み過ぎてしまうことがあるから、これくらいで止めておいたほうがいいかもしれない。
「すっごく満足した感じ」
私がそう言うと、アナマリーが大きな欠伸をして頷いた。
「喋りすぎて、顎が痛くなっちゃった」
アナマリーはそう言って、外に立って電話中のジョーを振り返る。こんな時間に仕事の電話がかかってきて、先ほど席を立って外に出たのだ。
オリビアとヴィクターは、しばらく前にカウンターバーのほうに飲み物を取りに行ったっきり、こちらには戻って来ていない。
「俺は、眠くなって来た」
クリスティアンも欠伸をしながら、チリワインのグラスを傾ける。
「眠いんなら、もう飲むの止めたら?」
「平気平気、ぶっ倒れたらリオが介抱してくれるだろ」
「またそんなこと言って」
しばらくまた三人でたわいない話をしていたが、やがてクリスティアンは飲み干したワイングラスをテーブルに置くと、私の腕を取って立ち上がる。
「リオ、場所を変えよう」
「え、場所って?」
驚いて聞き返しながらもすでに引っ張られて立ち上がる羽目になる。
クリスティアンは私のバッグを取り、1人、テーブルで目を丸くしているアナマリーにウインクすると、50ユーロ札を2枚、テーブルに置いた。
「アナマリー、悪い。先に出るから、また、今度な」
「え?あっ、ちょっとクリスティアン!」
アナマリーが中腰になって止めようとしたけれど、私はもう、アルコールで体の力があまり入らなくなっているせいで、彼に腕を引かれるままに歩き出す。
「クリスティアン!場所を変えるって、ちょっと、勝手にそんな」
ずっと座っていたせいで体が思うように動かず、少し足がもつれそうになりながら、腕を引かれて歩いていると、出口近くのカウンターバーに座っていたオリビアとヴィクターの近くを通りかかる。
私達に気がついた二人が振り返った。
「おい、クリスティアン、リオに無理させるなよ」
ヴィクターがクリスティアンの肩を掴んでそう言うと、クリスティアンがずる賢そうに笑い、掴んでいた私の腕を離すと今度は肩を抱いた。
「こうすれば、安心か?」
「こらっ」
私は調子に乗るクリスティアンの手を肩から外した。
「これからどこに行くつもりなのよ。もう、飲むつもりはないんだけど」
「俺は、口説く時は二人きりって決めてるから」
「は?」
驚いていると、クリスティアンは私の背中を押し、私はまるで連行される罪人のように歩き出す。
「待てよ、彼女を何処に連れて行くつもりなんだ?」
ハイチェアから降りて声をあげたヴィクターを振り返る。
明らかに不安気に目を曇らせたヴィクターに視線を向けたクリスティアンは、不敵な笑みを浮かべ、カウンターの二人に片手を挙げた。
「心配するな。そっちも、スペイン組同士、仲良くしとけよ?じゃぁな、ヴィクター、オリビア」
その言葉に、ヴィクターが大きく目を見開く。隣にいたオリビアが、彼の肩を片腕で抱いて、笑顔でこちらに手を振るのが見えた。
私は思わずパッと目を逸らし、すぐに出口のほうへ目を向けて歩き出す。
そのまま、二度と振り返る事も無くレストランの外へ出ると、外はひんやりと肌寒くなっていた。
「ほら、タクシー呼んどいた。送るから、乗って」
レストラン前に停車していたタクシーのドアを開けるクリスティアンに驚く。
彼はとても優しい目をして、純粋に楽しそうな微笑みを浮かべていた。
「……有り難う」
私は素直に頷いてタクシーに乗り込み、続いて乗り込んで来たクリスティアンが運転手に行き先を告げる。それは確かに、私のウイークリーのアパートの住所だった。
もしかすると、私の様子を見て、もう帰った方がいいと思ったから連れ出してくれたのかもしれない。そうだとすると、クリスティアンは本当にいいヤツだ。
タクシーの背もたれに両腕を伸ばしてふんぞりかえっているクリスティアンは、どこか憂いを帯びた微笑みを浮かべて前方を見ている。
ファッション雑誌の見開きページに載っているような、人並み外れた美男。
頬に掛かるダークブロンドの長髪に、明るいブラウンの目と、すらりと伸びる長い手足。
きっと、モテすぎることで、彼なりの苦労もあるだろうな、などと勝手に同情する。
何か、物思いをしているような表情のクリスティアンはしばらく何も言わなかったが、やがて私のアパートの近くに来ると、ようやく、大きな欠伸をひとつして、苦笑した。
「俺も実は、限界。昨日もバーで2時まで粘ってたから」
「えー、連夜だったの?週中の水曜日に、夜中2時までってすごいね」
「シングルに戻ると、やたら声がかかるようになるんだ。正直、有り難迷惑だけどね」
「ふうん、確かに、貴方はモテそうだから」
私がそう言うと、クリスティアンはくすっと小さく笑い、私にウインクした。
「リオ、相手が決まらなかったら、俺も選択肢に入れとけよ。これでも、本気で言ってるからさ」
私はぷっと吹き出し、頷いた。
なんだかよく分らないけれど、不思議と励まされたような気分になる。
「有り難う、クリスティアン。貴方って、やっぱり、いいヤツみたい」
「やっぱり、は必要ないだろ?」
「あ、そうだね」
ひとしきり二人で笑った後、タクシーはもう、アパートの前まで来ていた。
スピードを落としたタクシーの中で、クリスティアンが小さく溜め息をつく。
「もう、明日で終わりだな。明後日は早いんだろ?」
「そうだね。明日は、昔からの友達とランチして、出発準備するだけ」
「そうか」
クリスティアンは笑って、片手で私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「じゃぁまた、だな」
「うん」
頷くと、私はクリスティアンが差し出した手を握って、ぎゅっと握手をした。温かく、優しい感触の握手に、重かった心がふわりと浮く様な気がした。
タクシーで支払をしようとしたけれど、彼が断固拒否をしたので諦めて、素直にお礼を言ってタクシーを降りる。去って行くクリスティアンの乗ったタクシーが見えなくなるまで、私は手を振り続けた。
タクシーが夜の闇に消えた時、ポツポツと音がして、頬に水滴を感じたかと思うと、一気に雨音が強まり、駐車されている車のボンネットに叩き付けるような大雨になる。
ザーザーという激しい雨音に慌てて柵を開け、アパートの棟のほうへ駆け出す。
階段を駆け上がる私の頬は、冷たい雨と、溢れ出る熱い涙で濡れていた。
10時過ぎになってくると、テーブルを埋め尽くしていたお皿も、大半が空になっていた。
アボカドサラダ、チリポテト、チョリソ ケサディアス、イカの香味揚げ、ブリトーにエンチラーダ、タコス。
私の目の前には、4杯目のマルガリータ。1杯目はノーマル、2杯目はマンゴーベース、3杯目はラムベース、そしてこの4杯目はカシスベースのマルガリータ。
フルーツベースのものは飲み易いからつい飲み過ぎてしまうことがあるから、これくらいで止めておいたほうがいいかもしれない。
「すっごく満足した感じ」
私がそう言うと、アナマリーが大きな欠伸をして頷いた。
「喋りすぎて、顎が痛くなっちゃった」
アナマリーはそう言って、外に立って電話中のジョーを振り返る。こんな時間に仕事の電話がかかってきて、先ほど席を立って外に出たのだ。
オリビアとヴィクターは、しばらく前にカウンターバーのほうに飲み物を取りに行ったっきり、こちらには戻って来ていない。
「俺は、眠くなって来た」
クリスティアンも欠伸をしながら、チリワインのグラスを傾ける。
「眠いんなら、もう飲むの止めたら?」
「平気平気、ぶっ倒れたらリオが介抱してくれるだろ」
「またそんなこと言って」
しばらくまた三人でたわいない話をしていたが、やがてクリスティアンは飲み干したワイングラスをテーブルに置くと、私の腕を取って立ち上がる。
「リオ、場所を変えよう」
「え、場所って?」
驚いて聞き返しながらもすでに引っ張られて立ち上がる羽目になる。
クリスティアンは私のバッグを取り、1人、テーブルで目を丸くしているアナマリーにウインクすると、50ユーロ札を2枚、テーブルに置いた。
「アナマリー、悪い。先に出るから、また、今度な」
「え?あっ、ちょっとクリスティアン!」
アナマリーが中腰になって止めようとしたけれど、私はもう、アルコールで体の力があまり入らなくなっているせいで、彼に腕を引かれるままに歩き出す。
「クリスティアン!場所を変えるって、ちょっと、勝手にそんな」
ずっと座っていたせいで体が思うように動かず、少し足がもつれそうになりながら、腕を引かれて歩いていると、出口近くのカウンターバーに座っていたオリビアとヴィクターの近くを通りかかる。
私達に気がついた二人が振り返った。
「おい、クリスティアン、リオに無理させるなよ」
ヴィクターがクリスティアンの肩を掴んでそう言うと、クリスティアンがずる賢そうに笑い、掴んでいた私の腕を離すと今度は肩を抱いた。
「こうすれば、安心か?」
「こらっ」
私は調子に乗るクリスティアンの手を肩から外した。
「これからどこに行くつもりなのよ。もう、飲むつもりはないんだけど」
「俺は、口説く時は二人きりって決めてるから」
「は?」
驚いていると、クリスティアンは私の背中を押し、私はまるで連行される罪人のように歩き出す。
「待てよ、彼女を何処に連れて行くつもりなんだ?」
ハイチェアから降りて声をあげたヴィクターを振り返る。
明らかに不安気に目を曇らせたヴィクターに視線を向けたクリスティアンは、不敵な笑みを浮かべ、カウンターの二人に片手を挙げた。
「心配するな。そっちも、スペイン組同士、仲良くしとけよ?じゃぁな、ヴィクター、オリビア」
その言葉に、ヴィクターが大きく目を見開く。隣にいたオリビアが、彼の肩を片腕で抱いて、笑顔でこちらに手を振るのが見えた。
私は思わずパッと目を逸らし、すぐに出口のほうへ目を向けて歩き出す。
そのまま、二度と振り返る事も無くレストランの外へ出ると、外はひんやりと肌寒くなっていた。
「ほら、タクシー呼んどいた。送るから、乗って」
レストラン前に停車していたタクシーのドアを開けるクリスティアンに驚く。
彼はとても優しい目をして、純粋に楽しそうな微笑みを浮かべていた。
「……有り難う」
私は素直に頷いてタクシーに乗り込み、続いて乗り込んで来たクリスティアンが運転手に行き先を告げる。それは確かに、私のウイークリーのアパートの住所だった。
もしかすると、私の様子を見て、もう帰った方がいいと思ったから連れ出してくれたのかもしれない。そうだとすると、クリスティアンは本当にいいヤツだ。
タクシーの背もたれに両腕を伸ばしてふんぞりかえっているクリスティアンは、どこか憂いを帯びた微笑みを浮かべて前方を見ている。
ファッション雑誌の見開きページに載っているような、人並み外れた美男。
頬に掛かるダークブロンドの長髪に、明るいブラウンの目と、すらりと伸びる長い手足。
きっと、モテすぎることで、彼なりの苦労もあるだろうな、などと勝手に同情する。
何か、物思いをしているような表情のクリスティアンはしばらく何も言わなかったが、やがて私のアパートの近くに来ると、ようやく、大きな欠伸をひとつして、苦笑した。
「俺も実は、限界。昨日もバーで2時まで粘ってたから」
「えー、連夜だったの?週中の水曜日に、夜中2時までってすごいね」
「シングルに戻ると、やたら声がかかるようになるんだ。正直、有り難迷惑だけどね」
「ふうん、確かに、貴方はモテそうだから」
私がそう言うと、クリスティアンはくすっと小さく笑い、私にウインクした。
「リオ、相手が決まらなかったら、俺も選択肢に入れとけよ。これでも、本気で言ってるからさ」
私はぷっと吹き出し、頷いた。
なんだかよく分らないけれど、不思議と励まされたような気分になる。
「有り難う、クリスティアン。貴方って、やっぱり、いいヤツみたい」
「やっぱり、は必要ないだろ?」
「あ、そうだね」
ひとしきり二人で笑った後、タクシーはもう、アパートの前まで来ていた。
スピードを落としたタクシーの中で、クリスティアンが小さく溜め息をつく。
「もう、明日で終わりだな。明後日は早いんだろ?」
「そうだね。明日は、昔からの友達とランチして、出発準備するだけ」
「そうか」
クリスティアンは笑って、片手で私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「じゃぁまた、だな」
「うん」
頷くと、私はクリスティアンが差し出した手を握って、ぎゅっと握手をした。温かく、優しい感触の握手に、重かった心がふわりと浮く様な気がした。
タクシーで支払をしようとしたけれど、彼が断固拒否をしたので諦めて、素直にお礼を言ってタクシーを降りる。去って行くクリスティアンの乗ったタクシーが見えなくなるまで、私は手を振り続けた。
タクシーが夜の闇に消えた時、ポツポツと音がして、頬に水滴を感じたかと思うと、一気に雨音が強まり、駐車されている車のボンネットに叩き付けるような大雨になる。
ザーザーという激しい雨音に慌てて柵を開け、アパートの棟のほうへ駆け出す。
階段を駆け上がる私の頬は、冷たい雨と、溢れ出る熱い涙で濡れていた。
1
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
思い出のチョコレートエッグ
ライヒェル
恋愛
失恋傷心旅行に出た花音は、思い出の地、オランダでの出会いをきっかけに、ワーキングホリデー制度を利用し、ドイツの首都、ベルリンに1年限定で住むことを決意する。
慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。
秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。
主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。
* ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。
* 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。
* 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
契約結婚のススメ
文月 蓮
恋愛
研究一筋に生きてきた魔導士のレティシアは、研究を続けるために父に命じられた結婚をしかたなく承諾する。相手は社交界の独身女性憧れの的であるヴィラール侯爵アロイス。だが、アロイスもまた結婚を望んでいなかったことを知り、契約結婚を提案する。互いの思惑が一致して始まった愛のない結婚だったが、王の婚約者の護衛任務を受けることになったレティシアとアロイスの距離は徐々に縮まってきて……。シリアスと見せかけて、コメディです。「ムーンライトノベルズ」にも投稿しています。
お前に惚れた〜極道の一途すぎる愛
ラヴ KAZU
恋愛
我妻組若頭、我妻力也は、堅気の女性と結婚したいと常々思っていた。
そして婚活パーティーに参加した。
そこで巡り合ったのが、コンビニバイトの榊ひとみだった。
力也は極道の正体を隠して、表の顔である我妻コーポレーション社長として、
ひとみを食事に誘った。
車といい、運転手といい、なんかおかしい。
もしかして、極道の世界の人?
ひとみは早くこの場から離れなくてはと思い出した。
それに時間が経つにつれて、ひとみは時計を気にし始めた。
実は、ひとみはキャバクラで働くキャバ嬢だった。
しかも、我妻組管轄の店だ。
そうとは知らない力也はひとみにいきなりプロポーズをする。
過去の恋愛にトラウマがあるひとみは力也の言葉を信じられない。
(我妻さんが極道だったら、年齢詐称がバレる、堅気の人でも、私がキャバ嬢だなんて言えない)
ひとみはタクシーを呼んでもらった。
タクシーが発進する直前、力也はひとみにキスをした。
「俺は諦めない、ひとみと結婚する」
タクシーは暗闇の中、走り出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる