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第二章 ゾロ目企画『令和二年二月二十二日』
第九回 もう一つの『りかのじかん』……転の編。
しおりを挟む――駆け出し、この場を飛び出した梨花!
「梨花!」「梨花ちゃん!」と、僕とお母さんの声が、夜の帳を虚しくこだまを引く。
……玄関に落としたままの梨花のリュック。そして舞い散った梨花の涙の雫。
そして沈黙が、僅かながらの時間を埋める。僕の中にあったはずの『お母さんと喧嘩をした理由』は……お母さんの「千佳!」という僕の名を呼ぶ声と、その瞳にあるもの。
善一さんの表情によって忘却の彼方へ……というよりかは、
『ただ今は梨花のことが!』
その思いの前にその感情が、僕を走らせた。
梨花を探す、道行く人を掻き分けながらも。似た後ろ姿もあったが人違いで。
「梨花! 梨花!」と自分でも、自分とは思えないような声のトーン。泣きべそを掻くまで必死に探す自分……そんな中、ドラッグストアーの付近で、スマホが鳴った。
それは、僕と同年代の女の子。
しかもクラスメートで、僕にだってできた、大切なお友達。
――可奈!
『ちょ、ちょっと千佳、電話出るなりいきなり泣かないでよ』
「だって、だって……」
『梨花なら来たよ』
「えっ?」
『さっきまでここにいてね、落ち着いたみたいなので帰したよ。……でも、今日はそっとしといてあげてね。リュックは明日、わたしと一緒に持ってってあげようね』
「……そうか、明日は学校休みだったね。可奈は大丈夫なの?」
『うん、もう大丈夫。梨花のおかげかな? バッチリ水疱瘡も治ったからね』
可奈はインフルではなくて、水疱瘡だったのだ。……そして、次回に続く。
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