黎明の邪龍建国記 ~魔法を使えない私と最強邪龍、なぜか結託しましたが、最後は殺そうと思います~

PolaritY

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フォルシア国編

第5話 作戦

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 ライルは事を急かすように、話を戻す。

「で、フォルシア軍はいつ来る? 策はあるのか? 『穏便な方法』はどうしろと?」

 ローゼスさんは少し考え込みながら話す。

「フォルシアの進軍速度を考えると──私が国外に出てから同じように出発したとして……この距離を魔法付きで……おおよそ5時間後、でしょうか」

 彼は空を見上げて続けた。

「今の月の位置からして……朝日が昇り始める頃には、軍は肉眼でも見えるはずです」

 言い切ってすぐ、ライルはまた急かす。

「作戦は?」

「それについては……少し考えさせてください。その間、お二方はお休みになってください。急にここまで来て、ほとんど寝ていないでしょう?」

 私は確かに、と思いながら大きくあくびをした。
 ローゼスさんは辺りを見回すが、当然瓦礫以外は何も見えない。

「……とは言っても、寝床がありませんか」


 そう困っていると、ライルが足元の瓦礫をガタガタと動かし始める。
 いくつかの瓦礫を浮かせながら、その間から壊れかけのベッドを引っ張り出した。

「これを使え、レイル。私は別にいい」

「え、わ、わかった……」

 その言葉に甘えてベッドに横たわると、ライルは私の耳元でささやいた。

「私は一つ理解したからな。快適に眠るための『ジュウ』を……」

 住。
 私がまず教えようとしていることの一つ。
 数時間前──フォルシアの施設で過ごしていた時に、寝る前に少しと思って、寝具のことを教えたのだ。

 それが功を成した……と言っていいのだろうか。


「ライルさんが起きてらっしゃるなら、こちらで作戦会議をしましょう」

 ローゼスさんはライルを連れて、少し離れた位置に座った。


 私は眠ろうとするが、心配すぎてそうはいかない。
 あの邪龍のことだ。また何か変なことを言ってないか……

 (というか、ライルのあの腕──全部見られてたよね……?)
 (でも、下手に話題に出したら逆に怪しまれるだろうし……)


 モヤモヤが止まらない私は、ついにベッドから跳ね起きた。


「やっぱり私も参加します!」

 その声に、待ってましたという顔で振り返るローゼスさん。

「おお、丁度良かった。レイルさんのことをどうするか考えていたんですが──」

「レイルは私が守るから問題ないと言っているだろう?」

「ライルさんはフォルシア軍のことを舐めすぎです! いくらあの攻撃を受け止めたライルさんとはいえ、フォルシアの部隊は強い魔法使い一人がどうにかできるものではありませんよ……」

 ライルはふと思い出したように返す。

「──そういえば、移動中のあの攻撃は一体なんだったのだ?」

 彼女はあの衝撃を思い返しながら、少しニヤつく。

「あれは──私も詳しくは知らないのですが、戦略兵器の試作品と呼ばれていたかと……」

「試作品……か。フッ……」

 ライルは口角をもう一段上げた。
 そんな彼女を口車に乗せるように、ローゼスさんが言う。

「それにしても、あの威力を凌いでみせるとは──どうやったのかぜひ教えてもらいたいところですね……」

「それについてはまた今度だな。もっとも、教えたところで私以外の奴ができるとは思わんがな」

「ははは、それはその通りですね」


 彼のこの様子に、ライルは口元こそ笑いつつも、目元は訝しんでいた。
 私は話を戻すように、作戦について彼に聞いてみる。

「結局、相手側の動きはどう想定しているんですか?」

「フォルシア軍の動きについては──まず小から中規模の、騎馬隊及び魔法戦術隊の混成で来ると想定しています」
「騎馬隊が移動支援をすることで、戦術隊の能力を最大限活用できるという基本戦術ですが……これは威力偵察にも運用されます」

「なるほど?」

「騎馬隊の戦力については──この瓦礫で馬は止まりますが、問題は魔法戦術隊の方です」

 彼は真剣な眼差しで続ける。

「……その威力は破壊ではなく、敵の魔法を封じることにあります。魔法さえ封じてしまえば、どれだけ脅威的な魔法使いであってもただの人ですからね」

「ほう?」

 ライルはその話に食い付く。


「はっきり言ってしまえば、戦術隊の個々が扱う魔法はさほど脅威ではありません。ですがだからこそ──強力な魔法使いがいない中で発達した戦術が、魔法封印なのです」

「面白いことをするな……」

「故に、どれだけライルさんが強かろうと、封じられれば一巻の終わりで──」


 それを遮るように、彼女はニヤリとして言い放った。

「では──こちらが先に相手を封印すればよい、ということだな?」
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