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白兎編
6-3.白兎は夢を見る
しおりを挟む…何処だろう。ここ。
知らない壁と、知らない天井だ。ぐるりと見回すと、ただ広い空間が広がっている。何も無い部屋。私の部屋より随分広い。
きっちり敷き詰められた畳は少しの引っかかりも無く、私はその上に座布団も敷かず座っている。
床の間には美しい水墨画。花は…なんだ、知らない。
火が揺れている。光が入って来ない。夜だろうか。
壁を背に、私は座っている。
きちんと正座をして、背筋を伸ばして座っている。
膝の上で揃えた手を見つめながら、誰かを待っているのだ。
ふいに目の前の襖が開いて、人が入ってきた。
俯いた私の目には裸足と着物の裾しか見えない。
「---、--。--…」
その人は何かを言って、私を布団の上に押し倒した。
私は壁を背に、畳の上に座っていた筈なのだけれど、いつの間にか柔らかい布団の上で裸になっていた。
その人の唇が首筋を伝う。冷たい感触が徐々に下へと下がってゆく。
--だれ…この人…、嫌だ、何…。
頭の中ではそう思いながら、既に私の胸の突起は固くなっていて、下腹部も弾けてしまいそうで堪らない。
顔の見えないその人の手に抵抗はしない。
熱い吐息が唇から漏れるのを、私は躊躇いもせずに吐き出す。
--はぁ、は、ぁ、あ…。
ねっとりとした舌が胸元を這い回る。
冷たい指先が内股を撫で上げ、すんでのところで中心を避けて脇腹を通る。
私は確固たる快感が欲しくて、恥じらいもせずに腰を振る。
--違う、違う、それは駄目だ。嫌だ、止めてくれ、誰か…。
入り口に何かが押し当てられる感じがして、そこで私は抗い始めた。
私を見下ろそうとするその人の顔を、私は無我夢中で押し退けようとする。
部屋に灯された火が暑い。あつい。
『嫌だ、止めて!止めてください…!』
叫び声に驚いて目を開いた私が見たのは、酷く焦燥した椿の顔だった。
周りからも、身体の中からも、火が消えている…ああ、涼しい。
「うさぎ!大丈夫か!?顔が赤いぞ、一体いつから此処にいたんだ!」
「え、わかんな…此処、何…椿…?」
「とにかく外に出すからな、汚れるのは我慢しろ」
「はは…必死だな、椿…。椿が私を助けてくれた…」
「あ?おい、しっかりしろよ!」
「うん…ありがとう…」
外の風と逞しい腕が心地良い。
えも言われぬ安心感に浸って、私は気を失うように目を閉じた。
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