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水神殿編
1-9 ナナの魔法講座
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午前中考えていたチートスキルを創り、一安心できたのだが、予想外なのがユグドラシルだった。
アウラやベルルの感じから、神をサポートする高機能AI搭載の優秀なスパコンぐらいに考えていたのだ。
音声ナビぐらいはできるかな? できればいろいろ便利で、今後の幅が広がるかも? そう思っていたのだが、実際は普通に会話できるどころか、心の中まで筒抜けで、女神たちと大差ない存在だった。
むしろありとあらゆる情報を蓄え、その情報を応用できるほどの知能を持ち、それを並列処理で高速演算し最適解を提示してくれる。
残念女神たちより優秀なのだが、『トイレ』ジー、『風呂』ジィー、ジー、ジー……。
どこにいてもナビシステムの視線を感じるのだ……例の家政婦さんより見ているのだ!
何か対策しないと身が持たん!
唯一の救いは、今こういう思考をしていてもでしゃばってこない事かな。
いちいち人の思考に絡んできたら考え事もできなくなる。
そうこうしている内に昼食が運ばれてきた。俺の分は皆の食事が終わった後にサクラが別途一人分を作ってくれているそうだ。なので13時頃と、少し皆より遅めの食事になる。
今回もナナが付いてきていて、食べている俺を見ている。視線に慣れつつある俺は、ナナならまったく気にならない。むしろ一人だけの寂しい食事より会話しながら楽しく食べられて感謝している。
ナナに午後の予定を尋ねたら、特に無いというので、少し魔法が知りたいと言ったら『ナナが教えてあげるね』と、張り切っている。
無茶はまだできない体なので『どんなスキルがあるのか』ぐらいの気持ちで確認しておきたいと思ったのだ。
14時頃部屋にサクラとナナが尋ねてきた。
私も暇なのでと言っていたが、俺が無茶しそうでナナだけじゃ心配なのだろう。
まぁ、サクラなら俺としても大歓迎だ。
この辺は魔法の練習をするには狭いからと、ナナの案内で湖のほうへ3人で向かった。
普通なら結界石は神殿の中心にあるのだそうだが、ここの結界石は湖の底にある竜の社にあるそうだ。
ちょい安全対策が過剰だと思うのだが、俺の過去の設定の仕様なので黙っておこう。
徒歩で10分程で湖の少し開けた場所にやってきた。とても綺麗な場所で、ここはナナのお気に入りの場所なのだと教えてくれた。湖の水はとても澄んでいて小さな魚が泳いでいるのが見える。
花も沢山咲き乱れていてとても綺麗な所だ、俺も凄く気に入った。
この湖には10種類ほどの食魚がいるようで、食事にもでるとの事なので楽しみにしていよう。
実はこの世界にきてから、ずっと気になっている事がある。誰でも気になるだろうが、俺はアリアの態度のせいで尚更だ。そう、自分の顔が見たいのだ……神域での女神たちのはしゃぎっぷりがどうしても気になっていたのだ。水面に写らないかと考えたのだが、風で波立っていてよく見えない。
女子の部屋に行けば、鏡もあると思うのだが、文明レベルが低いから有っても銅鏡あたりかな?
水面を覗いている俺の様子をサクラが察したようで、「リョウマさん、こんな魔法がありますよ」と、水面に手を翳しなにやらつぶやいた。
水面が1m程鏡みたいになっていて、其処にサクラが映っていた。スゲー!
「【アクアミラー】という魔法です。生活魔法ですので、誰でも簡単に覚えられますよ」
「知らなかった、凄いね。どうやるのかな?」
「ダメ! ナナが教えるの!」
そうだった……俺はナナにお願いして、ここに魔法を教えてもらいにきていたんだった。
サクラにばかり意識がいっててちょっとナナがご機嫌ナナメだ……。
「ナナが教えてくれるんだね? ありがとう。ここも、とっても綺麗な場所だね」
みえみえのご機嫌取りなのだが、自分のお気に入りの場所を褒めてもらってナナは機嫌を直してくれたようだ。 ちょっぴりピンク色に頬を染めてとても嬉しそうだ。やっぱナナは可愛い! チョロいとか思ってないからね!
「えとねー、まずこの水の波紋を鎮めるイメージをして、次に範囲指定、最初は小さめがいいかも、そこに鏡に自分が映ってる姿をイメージして【アクアミラー】と唱えてスキル発動。ほらできた!」
「スゲー!」
「えへへ~。ナナすごい?」
マジ驚いた!
「ナナお前、本当に優秀なんだな……ごめん、正直子供だと思って舐めてた」
「リョウマさん、どういう事ですか? これまで特にナナの事を侮ってるようには見えませんでしたが?」
「いやそうじゃなくて、ナナに魔法教えてって言ったけど、俺的にさっきの場合こういうイメージだったんだ。『お水に手を翳して、グーッと力を入れて、エイッてしたら、パッて写るんだよ! リョーマ解った?』8歳の子供だから勝手に最悪こんなもんかもと考えていたんだ」
「リョーマ酷い! ナナの事、おバカさんと思ってたんだー!」
ほっぺた膨らませて可愛くこっちを睨んでる。超可愛い!
そのホッペを指で突いてボフッと空気を抜きながら俺は答えた。
「実際8歳って事考えたら人に教えるのは厳しいかと思ってたんだ。どんな魔法があるのかと、ちょっとしたコツとか解ればそれでいいかなと思ってた。ナナはほんと賢いな~」
ナナの頭を目一杯撫でて褒め称えた。褒められて嬉しいのか機嫌もすぐよくなった。
「でもリョウマさん、顔が見たいなら昨日教えたカメラ機能を使って自分を写せばちゃんと見れますよ。鏡より綺麗に見られるので私も利用しています」
「そうだった、気付けなかった。次からはそうするよ。でも今回は折角だからナナに教わった魔法を使ってみる」
折角教えてもらったんだし、それ以前にとても魔法に興味がある。
「じゃ、いくよ。【アクアミラー】できた!………………!」
「すごーい! リョーマ、1回でできた!」
「リョウマさん? どうしました? お体の方に負担でもあったのですか?」
心配そうにサクラが尋ねてくれたが、俺は水鏡に映った自分の姿を見て固まっていた。
「いやー。俺、数年ぶりに鏡を見たのでちょっと変わってた自分に驚いたんだ。体はなんともないから大丈夫だよ。ナナのおかげで1回でできた、ありがとうな」
なんとか冷静にごまかせたが、内心では……女神どもどうしてくれよう!と怒りがふつふつ湧き上がってきていた。確かにベースは俺だと分かる。元と比べれば皆もなるほどと思うだろう。
だが目の前に映っているのは俺的にアウトだ! これは俺じゃない! 俺の子供っていえば納得するだろうか? 面影はあるが別人だ。95%俺とか言ってたが……前にTVの整形番組で目をちょっとパッチリしただけで随分印象が変わるのをやっていたのを思い出した。5%いじるとこうなるのか! クソッ!
髪の色・髪質・中性的な女顔。水鏡に映っていたのは髪は青みがかったシルバー、目はパッチリ若干潤目、雰囲気は優しげで……なんとなく分かっただろ?
あいつら、自分の遺伝子混ぜ込んで、自分好みにアレンジしやがった! 300年掛けて弄りやがった!
そう、水鏡の中には、弄りまくられた、三人の女神遺伝子を持つ超絶美少年がそこに居た。
流石魅力1000だ! 日本でも忌諱されている遺伝子操作だ!
女神遺伝子を持つ禁制ボディーだ……敢えて言おう、謹製ではなく禁制だ!
俺的にやっちゃいけない遺伝子操作という禁止制限を無視しやがった!
髪はアリアとアウラの中間ぐらい、目の色はアウラだが小顔なまとまった目元と鼻はベルル、全体の中性的な優しげな雰囲気はアリアだ! 男の娘って言ってもいいような女顔だ!
俺は結構自分の元の顔は気に入っていたのだ。学生時代はそれなりに持てていた。告白やラブレターとかも何回かもらえている。田舎の県立高校じゃ快挙な方だった。強いて言えば、歯並びが悪いのと赤面症なのが嫌だったぐらいだ。
以前の俺と並んで歩けば「おおーあんたの息子か? そっくりじゃないか」こう言われそうな程変わっているのは受け入れがたい。
どうしてくれようビッチ女神ども! 俺の作製者のベルルはお仕置き決定! 尻尾ちょん切って頭に縫い付け、ちょんまげにしてやる!
『ヒッ! 違うのです、あるじさまー。アリアが―――
『ダマレ! 駄犬! しかもまた、俺を監視してたな!』
サクラが心配そうにしてる、深呼吸をして落ち着いて本題に戻るとしよう。
「ナナ、水魔法の初級魔法ってどんなのがあるんだい?」
「【アクアボール】【アクアウォール】【アクアスピア】の基本3つだよ。これに、【アクアカッター】と【アクアレイン】の複合スキルの2つ。攻撃魔法は全部で5つかな。それと【アクアヒール】の回復と【アクアキュアー】の解毒魔法があるけど、初級は範囲回復はまだ使えないんだよ。初級魔法は生活魔法と違って、ちゃんと呪文を正確に言えないと発動しないから見ててね」
そう言って、なにやら詠唱を始めた。
「清らかなる水の精霊たちよ、集まりて敵を撃ち倒せ【アクアボール】」
見れば手を肩まで上げ、手の平を前に突き出した先にバレーボールぐらいの大きさの水の塊が浮いていた。
本来打ち出して敵に当てる爆裂魔法なのだが、解り易いように打ち出さず見せてくれたようだ。
「えいっ!」と言って最後に湖に撃ち出した水弾は着水と同時に弾けて水飛沫を3m程も跳ね上げた。
「ナナ凄いじゃないか! これで初級の魔法なのか? 結構威力あるぞ。魔法凄いな」
ナナは、自慢げに無い胸をそらしてこっちを見ていた。
種類としては、単体爆裂型・単体貫通型・単体斬撃型・特殊範囲型・防御型・回復型の6つか。
ナナが知らないだけでもっとあるような気もするんだけどな。
速度強化や防御力アップのようなサポート型とかあるはずなんだけど、まぁ無いなら創ればいいか。
「よし、俺もやってみる」
ナナが唱えてた呪文を同じように唱えてみる。
「清らかなる水の精霊たちよ、集まりて敵を撃ち倒せ【アクアボール】」
不発だった……理由は分かっている。それでもやってみたかったんだ。
失敗の原因はレベル不足。生活魔法はレベル1でも発動するが、初級魔法はレベル10前後からなのだ。
日常生活しているだけでも、レベルは上がる。
10歳までは年間1レベルぐらいは皆上がるのだから、俺の年齢だとレベル10以上にはなっているはずなのだ。
ナナもサクラも、初級魔法の不発がまさかレベル不足だとは思っていないようで……。
「リョーマ残念~。ちゃんと言えてたのにな~? もう1回やってみよ?」
「リョウマさんならなんとなく1回で成功しそう、と思ってたので意外でした」
何度練習してもレベルが足りてないので発動しない。怪しまれないように終えることにした。
「ふぅー、ちょっと疲れた。もうちょっと練習したいけど無理したらまた怒られるから今日は終えとくね。ナナ、サクラ教えてくれてありがとう。明日までは安静日だから、それ以降にまた頼めるかな?」
「うん。ナナがいっぱい教えてあげる」
「私も一緒に練習したいです。あっ、もうこんな時間。ナナ、今日の夕飯は一緒に食事当番でしたね。リョウマさんも夕食から普通食です。ナナと美味しいものを作りますので楽しみにして待っていてください」
「サクラ姉ー、早くいこ。リョーマに美味しいもの作ってあげよう~」
サクラの手を引いて駆け出すナナは可愛かった。
その日の夕食はサクラとナナが腕によりを掛けて作ってくれた。
とても美味しい物だったのだが、周囲の雰囲気が悪く残念な食事になってしまった。
この雰囲気が悪いのは俺のせいなのだが、半分は例の姫騎士様のせいでもある。
早急に何とかしないと皆も嫌な気分で食事をしないといけない。
サクラとナナの二人に、久しぶりに美味しいものが食べられた。と、礼を言ったら凄く喜んでくれた。
米が好きだと言ったから焼き飯のようなものを作ってくれていた。醤油がないらしいのにしっかりと味付けされていて美味しかった。塩味の野菜のスープと生野菜の盛り合わせ、野菜に掛かってたドレッシングは酢があるのだろうか? 柑橘系の酸味なのかもしれない爽やかなすっぱさのあるものだった。
魔法で冷やしたのか、野菜がシャキシャキしててこれもとても美味しかった。
メインででたのが、豚肉のステーキだった。
塩コショウで味付けされたシンプルなものだが、とても柔らかく美味しかった。
実はこの肉、豚ではなくオークという魔獣の肉だそうだ。初魔獣の肉がラノベでも有名なオークになった。
下位魔獣の中じゃ一番美味しいとナナが教えてくれた……実はナナの好物らしい。
三日前に神殿に登る街道にオーク1・ゴブリン5の小さな群れが現れて、騎士が退治したものを差し入れてくれたのだそうだ。三~五日目の肉が丁度よく熟成され美味しくなるそうだ。
騎士たちも肉は好物なので、オーク1体だと神殿まで回ってこない事もあったのだが、ナナが好物だと知ってからは優先して必ず差し入れてくれるようになったとフィリアがナナに礼を言っていた。
ナナは可愛いからな……騎士もメロメロだ。
よく一緒に現れるゴブリンはとても臭くて食べられないんだと豆知識も得た。
逆にフィリアにそんな子供でも知ってる常識をなぜ知らないのだ?と、怪奇な目でみられタジタジになってしまった。
食堂から部屋に戻る際にフィリアから魔法の教本を手渡されて、ワクワクしながら部屋へ戻る。
時々ご機嫌取りに話しかけようとする女神たちが鬱陶しかったが、無視しつつ魔法書片手に今日ナナが言ってた事の違和感を検証して、今日も充実した一日を終えるのだった。
アウラやベルルの感じから、神をサポートする高機能AI搭載の優秀なスパコンぐらいに考えていたのだ。
音声ナビぐらいはできるかな? できればいろいろ便利で、今後の幅が広がるかも? そう思っていたのだが、実際は普通に会話できるどころか、心の中まで筒抜けで、女神たちと大差ない存在だった。
むしろありとあらゆる情報を蓄え、その情報を応用できるほどの知能を持ち、それを並列処理で高速演算し最適解を提示してくれる。
残念女神たちより優秀なのだが、『トイレ』ジー、『風呂』ジィー、ジー、ジー……。
どこにいてもナビシステムの視線を感じるのだ……例の家政婦さんより見ているのだ!
何か対策しないと身が持たん!
唯一の救いは、今こういう思考をしていてもでしゃばってこない事かな。
いちいち人の思考に絡んできたら考え事もできなくなる。
そうこうしている内に昼食が運ばれてきた。俺の分は皆の食事が終わった後にサクラが別途一人分を作ってくれているそうだ。なので13時頃と、少し皆より遅めの食事になる。
今回もナナが付いてきていて、食べている俺を見ている。視線に慣れつつある俺は、ナナならまったく気にならない。むしろ一人だけの寂しい食事より会話しながら楽しく食べられて感謝している。
ナナに午後の予定を尋ねたら、特に無いというので、少し魔法が知りたいと言ったら『ナナが教えてあげるね』と、張り切っている。
無茶はまだできない体なので『どんなスキルがあるのか』ぐらいの気持ちで確認しておきたいと思ったのだ。
14時頃部屋にサクラとナナが尋ねてきた。
私も暇なのでと言っていたが、俺が無茶しそうでナナだけじゃ心配なのだろう。
まぁ、サクラなら俺としても大歓迎だ。
この辺は魔法の練習をするには狭いからと、ナナの案内で湖のほうへ3人で向かった。
普通なら結界石は神殿の中心にあるのだそうだが、ここの結界石は湖の底にある竜の社にあるそうだ。
ちょい安全対策が過剰だと思うのだが、俺の過去の設定の仕様なので黙っておこう。
徒歩で10分程で湖の少し開けた場所にやってきた。とても綺麗な場所で、ここはナナのお気に入りの場所なのだと教えてくれた。湖の水はとても澄んでいて小さな魚が泳いでいるのが見える。
花も沢山咲き乱れていてとても綺麗な所だ、俺も凄く気に入った。
この湖には10種類ほどの食魚がいるようで、食事にもでるとの事なので楽しみにしていよう。
実はこの世界にきてから、ずっと気になっている事がある。誰でも気になるだろうが、俺はアリアの態度のせいで尚更だ。そう、自分の顔が見たいのだ……神域での女神たちのはしゃぎっぷりがどうしても気になっていたのだ。水面に写らないかと考えたのだが、風で波立っていてよく見えない。
女子の部屋に行けば、鏡もあると思うのだが、文明レベルが低いから有っても銅鏡あたりかな?
水面を覗いている俺の様子をサクラが察したようで、「リョウマさん、こんな魔法がありますよ」と、水面に手を翳しなにやらつぶやいた。
水面が1m程鏡みたいになっていて、其処にサクラが映っていた。スゲー!
「【アクアミラー】という魔法です。生活魔法ですので、誰でも簡単に覚えられますよ」
「知らなかった、凄いね。どうやるのかな?」
「ダメ! ナナが教えるの!」
そうだった……俺はナナにお願いして、ここに魔法を教えてもらいにきていたんだった。
サクラにばかり意識がいっててちょっとナナがご機嫌ナナメだ……。
「ナナが教えてくれるんだね? ありがとう。ここも、とっても綺麗な場所だね」
みえみえのご機嫌取りなのだが、自分のお気に入りの場所を褒めてもらってナナは機嫌を直してくれたようだ。 ちょっぴりピンク色に頬を染めてとても嬉しそうだ。やっぱナナは可愛い! チョロいとか思ってないからね!
「えとねー、まずこの水の波紋を鎮めるイメージをして、次に範囲指定、最初は小さめがいいかも、そこに鏡に自分が映ってる姿をイメージして【アクアミラー】と唱えてスキル発動。ほらできた!」
「スゲー!」
「えへへ~。ナナすごい?」
マジ驚いた!
「ナナお前、本当に優秀なんだな……ごめん、正直子供だと思って舐めてた」
「リョウマさん、どういう事ですか? これまで特にナナの事を侮ってるようには見えませんでしたが?」
「いやそうじゃなくて、ナナに魔法教えてって言ったけど、俺的にさっきの場合こういうイメージだったんだ。『お水に手を翳して、グーッと力を入れて、エイッてしたら、パッて写るんだよ! リョーマ解った?』8歳の子供だから勝手に最悪こんなもんかもと考えていたんだ」
「リョーマ酷い! ナナの事、おバカさんと思ってたんだー!」
ほっぺた膨らませて可愛くこっちを睨んでる。超可愛い!
そのホッペを指で突いてボフッと空気を抜きながら俺は答えた。
「実際8歳って事考えたら人に教えるのは厳しいかと思ってたんだ。どんな魔法があるのかと、ちょっとしたコツとか解ればそれでいいかなと思ってた。ナナはほんと賢いな~」
ナナの頭を目一杯撫でて褒め称えた。褒められて嬉しいのか機嫌もすぐよくなった。
「でもリョウマさん、顔が見たいなら昨日教えたカメラ機能を使って自分を写せばちゃんと見れますよ。鏡より綺麗に見られるので私も利用しています」
「そうだった、気付けなかった。次からはそうするよ。でも今回は折角だからナナに教わった魔法を使ってみる」
折角教えてもらったんだし、それ以前にとても魔法に興味がある。
「じゃ、いくよ。【アクアミラー】できた!………………!」
「すごーい! リョーマ、1回でできた!」
「リョウマさん? どうしました? お体の方に負担でもあったのですか?」
心配そうにサクラが尋ねてくれたが、俺は水鏡に映った自分の姿を見て固まっていた。
「いやー。俺、数年ぶりに鏡を見たのでちょっと変わってた自分に驚いたんだ。体はなんともないから大丈夫だよ。ナナのおかげで1回でできた、ありがとうな」
なんとか冷静にごまかせたが、内心では……女神どもどうしてくれよう!と怒りがふつふつ湧き上がってきていた。確かにベースは俺だと分かる。元と比べれば皆もなるほどと思うだろう。
だが目の前に映っているのは俺的にアウトだ! これは俺じゃない! 俺の子供っていえば納得するだろうか? 面影はあるが別人だ。95%俺とか言ってたが……前にTVの整形番組で目をちょっとパッチリしただけで随分印象が変わるのをやっていたのを思い出した。5%いじるとこうなるのか! クソッ!
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あいつら、自分の遺伝子混ぜ込んで、自分好みにアレンジしやがった! 300年掛けて弄りやがった!
そう、水鏡の中には、弄りまくられた、三人の女神遺伝子を持つ超絶美少年がそこに居た。
流石魅力1000だ! 日本でも忌諱されている遺伝子操作だ!
女神遺伝子を持つ禁制ボディーだ……敢えて言おう、謹製ではなく禁制だ!
俺的にやっちゃいけない遺伝子操作という禁止制限を無視しやがった!
髪はアリアとアウラの中間ぐらい、目の色はアウラだが小顔なまとまった目元と鼻はベルル、全体の中性的な優しげな雰囲気はアリアだ! 男の娘って言ってもいいような女顔だ!
俺は結構自分の元の顔は気に入っていたのだ。学生時代はそれなりに持てていた。告白やラブレターとかも何回かもらえている。田舎の県立高校じゃ快挙な方だった。強いて言えば、歯並びが悪いのと赤面症なのが嫌だったぐらいだ。
以前の俺と並んで歩けば「おおーあんたの息子か? そっくりじゃないか」こう言われそうな程変わっているのは受け入れがたい。
どうしてくれようビッチ女神ども! 俺の作製者のベルルはお仕置き決定! 尻尾ちょん切って頭に縫い付け、ちょんまげにしてやる!
『ヒッ! 違うのです、あるじさまー。アリアが―――
『ダマレ! 駄犬! しかもまた、俺を監視してたな!』
サクラが心配そうにしてる、深呼吸をして落ち着いて本題に戻るとしよう。
「ナナ、水魔法の初級魔法ってどんなのがあるんだい?」
「【アクアボール】【アクアウォール】【アクアスピア】の基本3つだよ。これに、【アクアカッター】と【アクアレイン】の複合スキルの2つ。攻撃魔法は全部で5つかな。それと【アクアヒール】の回復と【アクアキュアー】の解毒魔法があるけど、初級は範囲回復はまだ使えないんだよ。初級魔法は生活魔法と違って、ちゃんと呪文を正確に言えないと発動しないから見ててね」
そう言って、なにやら詠唱を始めた。
「清らかなる水の精霊たちよ、集まりて敵を撃ち倒せ【アクアボール】」
見れば手を肩まで上げ、手の平を前に突き出した先にバレーボールぐらいの大きさの水の塊が浮いていた。
本来打ち出して敵に当てる爆裂魔法なのだが、解り易いように打ち出さず見せてくれたようだ。
「えいっ!」と言って最後に湖に撃ち出した水弾は着水と同時に弾けて水飛沫を3m程も跳ね上げた。
「ナナ凄いじゃないか! これで初級の魔法なのか? 結構威力あるぞ。魔法凄いな」
ナナは、自慢げに無い胸をそらしてこっちを見ていた。
種類としては、単体爆裂型・単体貫通型・単体斬撃型・特殊範囲型・防御型・回復型の6つか。
ナナが知らないだけでもっとあるような気もするんだけどな。
速度強化や防御力アップのようなサポート型とかあるはずなんだけど、まぁ無いなら創ればいいか。
「よし、俺もやってみる」
ナナが唱えてた呪文を同じように唱えてみる。
「清らかなる水の精霊たちよ、集まりて敵を撃ち倒せ【アクアボール】」
不発だった……理由は分かっている。それでもやってみたかったんだ。
失敗の原因はレベル不足。生活魔法はレベル1でも発動するが、初級魔法はレベル10前後からなのだ。
日常生活しているだけでも、レベルは上がる。
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魔法で冷やしたのか、野菜がシャキシャキしててこれもとても美味しかった。
メインででたのが、豚肉のステーキだった。
塩コショウで味付けされたシンプルなものだが、とても柔らかく美味しかった。
実はこの肉、豚ではなくオークという魔獣の肉だそうだ。初魔獣の肉がラノベでも有名なオークになった。
下位魔獣の中じゃ一番美味しいとナナが教えてくれた……実はナナの好物らしい。
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逆にフィリアにそんな子供でも知ってる常識をなぜ知らないのだ?と、怪奇な目でみられタジタジになってしまった。
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パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。
ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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