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神竜誕生編
2-5 ガスト村へ(前篇)
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朝、指に違和感を感じて目覚めた。
見たらフェイが俺の指をガジガジと甘噛みしているのだ。そういえば【痛覚無効】をONにしていたのを思い出しOFFにした。ふむ、痛くは無いのだがガジガジしないでほしい。いくら甘噛みでも目が覚める程度の感覚はあるようだ。
「おはようナビー。フェイ、寝ている俺の指をかじるのはよせ。痛くはないが寝ているのを起こされるのはやはり不快だ。生き物は睡眠が十分とれると勝手に目覚めるようになっているが、逆にまだ目覚めないという事は体が睡眠を欲しているという事なんだぞ。睡眠は疲れを取るための大事なプロセスなのだから邪魔しちゃダメだ。HP・MP回復も睡眠中がメインだからね」
ちょっとシュンとなったが、これは譲れない事だから最初にしっかり教えておかないとね。
『……おはようございます、マスター』
『おはよう、ナビー』
「さあ朝御飯にしようか、フェイお腹の調子はどうだ? なんともないか?」
「ピィー!」
どうやらなんともないようだな……よし、パン・目玉焼き・ウインナー・サラダの朝食鉄板メニューでいいかな、飲み物は今日はミルクセーキにしよう。
「フェイ、これが朝の鉄板メニューAコースだ。Bコースはご飯・味噌汁・卵焼き・サラダ・焼き魚の和食セット。俺の気分次第でメニューは変わってくるけど、基本こんな感じだ。どうだ、美味しいか?」
「ピィー!」
どうやら満足しているようだが、小さいくせに俺と同じ量を平らげた。残すだろうと予想していたのに見事にきれいに食べている。一体あの小さな体のどこに入っているのやら……不思議だ。
『ナビー、とりあえず今日は昨日見つけたゴブリンの集落を壊滅させる。その後の進路はどうしたらいいと思う?』
『……そうですね、集落を落とした後は少し時間的に早いですが前回野営したところで一泊ですかね』
『先に進むのはまずいのか?』
『……現在まだ朝の6時です。集落のあったとこまで移動して狩り終えるのが9時頃ですかね。同じ順路で戻るのであれば昨日ほぼ狩りつくしていますので、サクサク進めるはずです。神竜の森入り口付近に夕方の3時か4時頃には着けると思います。本来ならまだ時間的に明るい時間ですが、進むのはお勧めしません。何故かは少し自分で考えてみてください』
『あー忘れていた。レベルアップがおそらく必ず入るから、順調に事が進めば夕方の5時までに野営しなくちゃいけないんだね?』
『……正解ですマスター』
『了解した。今後の指針なんだけど、俺は冒険者登録したいと思っている。本来冒険者登録していたら、ゴブリンとか倒したら少ないけど報酬が出るってアラン隊長が言っていた』
『……そうですね。継続的に討伐報酬が出ている害獣は結構います。ゴブリンやスライムなんかはその代表格です。冒険者登録してからレベル上げをするのが良いでしょう』
『それなりの町で登録して、そこを拠点にしたいのだけど、近くだとどこがお勧めだ?』
『……今日は森の入口で一泊します。その後マスターがどっちに進むかですね。南に下って行けば獣国に入って行きますが、一番近くの村まで6日ほどかかります。それに辺境は魔獣が強いのでまだ行っちゃいけません。なのでまず西に進路をとり、1日進んだあたりで西と北に行く分かれ道にたどり着きます。西に進めば半日ほどで100人程が暮らしている小さな村に辿り着きます。北に行くなら3日程で70人ほどの村に行けますが、街を目指すなら西ですね。ガストという村が一番近くです。そこから更に西に3日ほど進むとバナムという町があります。そこで冒険者登録してその後どうするか決めればいいかと思います』
『最短でも近くの町まで6日かかるってことだね。冒険者登録してからランク上げに必要な素材や採取依頼なんかがあれば少し遠回りになってもいいから知らせてくれるか? あと回復剤や毒消し剤などの薬草類も採取しておきたい。特にレア物はどんなものでも見逃せないから近くにあるなら教えてくれ』
『……流石ですマスター。びっくりするほどあざといというか何と言いましょうか……』
『言いたい事は解る。ナビーにあんまり関与してくるなって言っておいて、都合のいい時だけ使っちゃってるもんな』
『……ナビーはチートだろうがなんだろうが役立ててくれると嬉しいです。使ってもらえない事が一番悲しいですから、何でもお聞きください』
「ああよろしくな。フェイそろそろ行こうか。フェイはレベル1だから今日は戦闘参加はなしだぞ。俺の後ろで見てて敵が来たら安全な所にすぐ逃げるんだ」
「ピィー」
うん? 納得してないような鳴き声してるな。だが無理は許さん。最初は慎重すぎるくらいでいいのだ。
敵に合う事も無く昨日マーキングしてた地点に到着した。オーク4・ゴブリン28か、まずはオークをやらないとだな。ゴブリンは知能が低く何体倒されても逃げる事も無く全滅するまで襲ってくる。だがオークが混じると、オークが逃げろと指示を出したら蜘蛛の子を散らしたように逃げるのだ。オークもそれ程賢こくはないのだが、集落を形成して集団で狩りをしたり女を襲って産床にするくらいの知恵はあるのだ。ゴブリンに逃げろと指示を出す前にオークを先に仕留めないと、ソロだと何体か逃げられる可能性がある。
ここの集落は小さな崖が奥に5mほどえぐられたようになっており、天然の屋根のようになっている。その崖が横に10mほどある為、そこを木や草で囲って簡易な住居にしているようだ。子供のゴブリンもいるが情けは無用だ。こいつらは大きくなったら人を襲う。
「フェイおいで【マジックシールド】【プロテス】【シェル】。念のために防御魔法を掛けたけど、戦闘には参加しちゃダメだぞ」
今回も魔法でさっさと終えることにしよう【ホーミング】多重詠唱で首を狙ってウインドカッターをオークめがけて発動した。ザシュザシュと数回音がしたと思ったらオークは4体とも死んでいた。
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『オークの死体を自動拾得しました。×4』
『錆びた鉄剣を拾得しました×2』
さて、残りは雑魚ばかりだ。
ゴブリンはプギャープギャー言って棍棒を地面にたたきつけ、こっちを威嚇しながら騒いでる。
【ウインド・カッター】×28発動
『レベルが上がりました』×2
『フェイのレベルが上がりました』×6
『ゴブリンの死体を自動拾得しました』×28
『錆びた鉄剣を拾得しました』×1
俺のレベルは2しか上がらなかったか……だんだん上がりにくくなってきたな。
フェイのレベルが11も上がってる。これで初級魔法は使えるかな?
『ナビー、さっき狩ったオークは解体して肉は熟成室に入れといてくれ、ゴブリンは魔石以外は処理場行きだ。錆びた鉄剣は売っても価値はあまりないから、溶かして鉄のインゴットにしてくれ』
『……了承しました。つまらないぐらいあっけなかったですが、とりあえずレベルアップと集落壊滅おめでとうございます。フェイもレベルアップおめでとう』
『ぴぃー!』
お! フェイの奴、なんか嬉しそうだ。
『フェイのステータスの確認もしたいけど、ここじゃなんだから、お昼の休憩地点まで行くとするか』
移動途中にクモ型の魔獣が射程内に入った。瞬殺しようと思ったがフェイの実力でも見てみようかと聞いてみた。
「フェイ、近くにクモの魔獣がいるのだけど狩ってみるか?」
「ピィー!」
やってみたいようだな。
「じゃあ、やってみろ。でも、お尻から出る糸が高く売れるそうだから木端微塵とかはダメだぞ。俺たちの生活もあるのだから、売る時の事も考えて、できるだけ綺麗に狩ることを配慮するんだ。フェイは俺とリンクしてるからMAPを見れば敵がどこにいるか解るな? じゃあ気を付けて頑張ってこい」
「ピィー!」
スゲー速度で飛んで行った!
『ストリングスパイダーの死体を自動拾得しました』
え? もう狩っちゃったの? 全く見てないんだけど?
『ナビー、フェイがどう狩ったのか教えてくれる?』
『……ユグちゃん経由で動画を送ります。その方が分かると思います』
俺が声を掛けてから300m離れた場所に5秒で到達。無詠唱でサンダーボールを3発撃って終わりだった。
念のためにインベントリから死体を出して確認してみたのだが、頭部に焦げ跡が少しあるぐらいで綺麗に倒している。
素晴らしい!
ホーミング魔法は覚えてないのに正確に当てている。
今回フェイが倒して解ったことがいくつかある。
・フェイが倒してもちゃんと経験値はドーピングした分のレベル量が各自に入る事
・フェイが倒しても自動拾得できる事
・フェイが倒しても俺に対して【殺生強奪】が有効な事
・フェイが倒しても俺のインベントリに遺体が入る事
(フェイもインベントリ持ちだから、どっちに入れるかは先にフェイ自身で選択できるようだ)
・フェイとの距離があっても上記の事が可能だった事
どこまでの距離が有効なのか検証が要りそうだ。
ナビー予想だと【周辺探索】の範囲エリアだろうとの事。
俺もそんな気がするが今は近くから離して検証する気はないので、まだ先の事だな。
フェイが誇らしげに帰ってきたのでとりあえず褒めておこう。
「フェイ、初狩りおめでとう。瞬殺だったな。死体も確認したけどとてもきれいに狩れているぞ」
「ピィー!」
褒められたことが嬉しかったのか、短いしっぽがぴこぴこ左右に振れている。
犬のようにぶんぶん振られているのではないが、これはこれでとても可愛く見える。
「今回、文句なしの狩りだったけど一応今後の為に忠告な。ここは森の中だから、基本火魔法は禁止ね。あと少しだが雷系も威力が高いと時期によっては発火して森林火災になるから注意しろよ。秋や冬は枯草や乾燥した倒木なんかは電気のスパークでも火が付くからね」
フェイはコクコクと首を頷かせて聞いていた……ちゃんと理解しているようだな。
『……マスター、フェイは神竜たちの頂点ですよ。見た目が小さく可愛いから誤解されているようですが、神竜同様にとても知能は高いですし、めちゃくちゃ強いです。ペット扱いはどうかと思われます』
『うっ、そうだった。こいつこんなでも神竜なんだよな……ネレイスと違い過ぎてペット枠にしか感じられないんだよ。ご飯ってより餌あげてる気しかしないから余計なんだよな』
「ピィー!」
「あはは、悪かったって。そんなに雀みたいにふくれるな、可愛いだろこんちくしょう」
私怒ってますと言いたいのか、雀の様にふわたくれているのだが可愛さしかない。
ついついもふもふしてしまう。
神竜の森の入口を目指してひたすら走っていたのだが、フェイが途中でへばってしまった。どうやらフェイが飛ぶのに魔力を使うようで、生まれたばかりのフェイはまだ効率よく飛べないようなのだ。俺の肩に乗っかっていいぞと肩を貸してあげたら、どうやらその場所が気に入ったようだ。乗った方の視界が悪くなるのが難点だが、重さはほとんど無く、許せる範囲だったのでそこが暫くフェイの定位置になりそうだ。頭の上は何となく嫌だしな。
途中昼食にしたのだが、ナビーが昼食の場所に選んだ地点から1km程の距離の所に、とても良い薬草が群生している場所があるので採取していきましょうと言ってきた。なんでも中級回復剤の4級ぐらいまでの素材になるらしい。大量に群生しているらしいからこの機会を逃しては勿体ないと進言してくれた。迷いの森とまで言われ、濃霧で誰も近寄らないから良い素材が結構残っているのだそうだ。
フェイのステータス確認もしたかったが、レベルアップ痛のタイムアップがあるので確認は後にする事にして、いろんな素材を採取しながら先を急いだ。
途中寄った薬草の群生地帯だが、予想以上のいい採取場所だった。
冒険者ギルドの最初の昇級対象になっているのがこの薬草の10束採取の依頼らしいので、かなり多めに採取することにした。
薬草5本で1束なのだが、葉の部分より根の部分の方が薬効があるので、根を傷つけないように採取しないと品質を低く評価されて買い取り価格が下がるのだそうだ。500束程採取したのだがまだまだ大量に生えている。ナビー曰くこんな場所は滅多にないそうだから、地点登録しておくことにした。
いろいろ採取しながらだったので、野営予定地点に着いたのは4時半過ぎで結構ギリギリだった。
今回も【痛覚無効】を使ってやり過ごすことにした。
フェイがレベル11も上がったので、何もしないと我慢できないだろうという理由もある。
今日は風呂もなしで夕飯を残り物で済ませたらすぐ寝ることとしよう。
【クリーン】で体だけ清め、一応安否確認のメールは今すぐ寝るからコールは無しと一言添えて、さっさとフェイを抱えて布団に入った。
レベルアップ時はやたらとだるく、睡眠が必要になるからね。
かわりに起きた時は凄くスッキリしてちょいテンション上がり気味になってしまう。
さっさと寝てやり過ごすのが一番だ。
「フェイ、ナビーおやすみ。今日は早いが寝るから、お風呂は明日の朝入ろうな」
「ピィー!」
『……おやすみなさい、マスター』
うん……今日も充実した良い一日だった。
疲れていたのだろう……フェイをモフモフしていたら知らない間に寝ていた。
見たらフェイが俺の指をガジガジと甘噛みしているのだ。そういえば【痛覚無効】をONにしていたのを思い出しOFFにした。ふむ、痛くは無いのだがガジガジしないでほしい。いくら甘噛みでも目が覚める程度の感覚はあるようだ。
「おはようナビー。フェイ、寝ている俺の指をかじるのはよせ。痛くはないが寝ているのを起こされるのはやはり不快だ。生き物は睡眠が十分とれると勝手に目覚めるようになっているが、逆にまだ目覚めないという事は体が睡眠を欲しているという事なんだぞ。睡眠は疲れを取るための大事なプロセスなのだから邪魔しちゃダメだ。HP・MP回復も睡眠中がメインだからね」
ちょっとシュンとなったが、これは譲れない事だから最初にしっかり教えておかないとね。
『……おはようございます、マスター』
『おはよう、ナビー』
「さあ朝御飯にしようか、フェイお腹の調子はどうだ? なんともないか?」
「ピィー!」
どうやらなんともないようだな……よし、パン・目玉焼き・ウインナー・サラダの朝食鉄板メニューでいいかな、飲み物は今日はミルクセーキにしよう。
「フェイ、これが朝の鉄板メニューAコースだ。Bコースはご飯・味噌汁・卵焼き・サラダ・焼き魚の和食セット。俺の気分次第でメニューは変わってくるけど、基本こんな感じだ。どうだ、美味しいか?」
「ピィー!」
どうやら満足しているようだが、小さいくせに俺と同じ量を平らげた。残すだろうと予想していたのに見事にきれいに食べている。一体あの小さな体のどこに入っているのやら……不思議だ。
『ナビー、とりあえず今日は昨日見つけたゴブリンの集落を壊滅させる。その後の進路はどうしたらいいと思う?』
『……そうですね、集落を落とした後は少し時間的に早いですが前回野営したところで一泊ですかね』
『先に進むのはまずいのか?』
『……現在まだ朝の6時です。集落のあったとこまで移動して狩り終えるのが9時頃ですかね。同じ順路で戻るのであれば昨日ほぼ狩りつくしていますので、サクサク進めるはずです。神竜の森入り口付近に夕方の3時か4時頃には着けると思います。本来ならまだ時間的に明るい時間ですが、進むのはお勧めしません。何故かは少し自分で考えてみてください』
『あー忘れていた。レベルアップがおそらく必ず入るから、順調に事が進めば夕方の5時までに野営しなくちゃいけないんだね?』
『……正解ですマスター』
『了解した。今後の指針なんだけど、俺は冒険者登録したいと思っている。本来冒険者登録していたら、ゴブリンとか倒したら少ないけど報酬が出るってアラン隊長が言っていた』
『……そうですね。継続的に討伐報酬が出ている害獣は結構います。ゴブリンやスライムなんかはその代表格です。冒険者登録してからレベル上げをするのが良いでしょう』
『それなりの町で登録して、そこを拠点にしたいのだけど、近くだとどこがお勧めだ?』
『……今日は森の入口で一泊します。その後マスターがどっちに進むかですね。南に下って行けば獣国に入って行きますが、一番近くの村まで6日ほどかかります。それに辺境は魔獣が強いのでまだ行っちゃいけません。なのでまず西に進路をとり、1日進んだあたりで西と北に行く分かれ道にたどり着きます。西に進めば半日ほどで100人程が暮らしている小さな村に辿り着きます。北に行くなら3日程で70人ほどの村に行けますが、街を目指すなら西ですね。ガストという村が一番近くです。そこから更に西に3日ほど進むとバナムという町があります。そこで冒険者登録してその後どうするか決めればいいかと思います』
『最短でも近くの町まで6日かかるってことだね。冒険者登録してからランク上げに必要な素材や採取依頼なんかがあれば少し遠回りになってもいいから知らせてくれるか? あと回復剤や毒消し剤などの薬草類も採取しておきたい。特にレア物はどんなものでも見逃せないから近くにあるなら教えてくれ』
『……流石ですマスター。びっくりするほどあざといというか何と言いましょうか……』
『言いたい事は解る。ナビーにあんまり関与してくるなって言っておいて、都合のいい時だけ使っちゃってるもんな』
『……ナビーはチートだろうがなんだろうが役立ててくれると嬉しいです。使ってもらえない事が一番悲しいですから、何でもお聞きください』
「ああよろしくな。フェイそろそろ行こうか。フェイはレベル1だから今日は戦闘参加はなしだぞ。俺の後ろで見てて敵が来たら安全な所にすぐ逃げるんだ」
「ピィー」
うん? 納得してないような鳴き声してるな。だが無理は許さん。最初は慎重すぎるくらいでいいのだ。
敵に合う事も無く昨日マーキングしてた地点に到着した。オーク4・ゴブリン28か、まずはオークをやらないとだな。ゴブリンは知能が低く何体倒されても逃げる事も無く全滅するまで襲ってくる。だがオークが混じると、オークが逃げろと指示を出したら蜘蛛の子を散らしたように逃げるのだ。オークもそれ程賢こくはないのだが、集落を形成して集団で狩りをしたり女を襲って産床にするくらいの知恵はあるのだ。ゴブリンに逃げろと指示を出す前にオークを先に仕留めないと、ソロだと何体か逃げられる可能性がある。
ここの集落は小さな崖が奥に5mほどえぐられたようになっており、天然の屋根のようになっている。その崖が横に10mほどある為、そこを木や草で囲って簡易な住居にしているようだ。子供のゴブリンもいるが情けは無用だ。こいつらは大きくなったら人を襲う。
「フェイおいで【マジックシールド】【プロテス】【シェル】。念のために防御魔法を掛けたけど、戦闘には参加しちゃダメだぞ」
今回も魔法でさっさと終えることにしよう【ホーミング】多重詠唱で首を狙ってウインドカッターをオークめがけて発動した。ザシュザシュと数回音がしたと思ったらオークは4体とも死んでいた。
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『フェイのレベルが上がりました』
『オークの死体を自動拾得しました。×4』
『錆びた鉄剣を拾得しました×2』
さて、残りは雑魚ばかりだ。
ゴブリンはプギャープギャー言って棍棒を地面にたたきつけ、こっちを威嚇しながら騒いでる。
【ウインド・カッター】×28発動
『レベルが上がりました』×2
『フェイのレベルが上がりました』×6
『ゴブリンの死体を自動拾得しました』×28
『錆びた鉄剣を拾得しました』×1
俺のレベルは2しか上がらなかったか……だんだん上がりにくくなってきたな。
フェイのレベルが11も上がってる。これで初級魔法は使えるかな?
『ナビー、さっき狩ったオークは解体して肉は熟成室に入れといてくれ、ゴブリンは魔石以外は処理場行きだ。錆びた鉄剣は売っても価値はあまりないから、溶かして鉄のインゴットにしてくれ』
『……了承しました。つまらないぐらいあっけなかったですが、とりあえずレベルアップと集落壊滅おめでとうございます。フェイもレベルアップおめでとう』
『ぴぃー!』
お! フェイの奴、なんか嬉しそうだ。
『フェイのステータスの確認もしたいけど、ここじゃなんだから、お昼の休憩地点まで行くとするか』
移動途中にクモ型の魔獣が射程内に入った。瞬殺しようと思ったがフェイの実力でも見てみようかと聞いてみた。
「フェイ、近くにクモの魔獣がいるのだけど狩ってみるか?」
「ピィー!」
やってみたいようだな。
「じゃあ、やってみろ。でも、お尻から出る糸が高く売れるそうだから木端微塵とかはダメだぞ。俺たちの生活もあるのだから、売る時の事も考えて、できるだけ綺麗に狩ることを配慮するんだ。フェイは俺とリンクしてるからMAPを見れば敵がどこにいるか解るな? じゃあ気を付けて頑張ってこい」
「ピィー!」
スゲー速度で飛んで行った!
『ストリングスパイダーの死体を自動拾得しました』
え? もう狩っちゃったの? 全く見てないんだけど?
『ナビー、フェイがどう狩ったのか教えてくれる?』
『……ユグちゃん経由で動画を送ります。その方が分かると思います』
俺が声を掛けてから300m離れた場所に5秒で到達。無詠唱でサンダーボールを3発撃って終わりだった。
念のためにインベントリから死体を出して確認してみたのだが、頭部に焦げ跡が少しあるぐらいで綺麗に倒している。
素晴らしい!
ホーミング魔法は覚えてないのに正確に当てている。
今回フェイが倒して解ったことがいくつかある。
・フェイが倒してもちゃんと経験値はドーピングした分のレベル量が各自に入る事
・フェイが倒しても自動拾得できる事
・フェイが倒しても俺に対して【殺生強奪】が有効な事
・フェイが倒しても俺のインベントリに遺体が入る事
(フェイもインベントリ持ちだから、どっちに入れるかは先にフェイ自身で選択できるようだ)
・フェイとの距離があっても上記の事が可能だった事
どこまでの距離が有効なのか検証が要りそうだ。
ナビー予想だと【周辺探索】の範囲エリアだろうとの事。
俺もそんな気がするが今は近くから離して検証する気はないので、まだ先の事だな。
フェイが誇らしげに帰ってきたのでとりあえず褒めておこう。
「フェイ、初狩りおめでとう。瞬殺だったな。死体も確認したけどとてもきれいに狩れているぞ」
「ピィー!」
褒められたことが嬉しかったのか、短いしっぽがぴこぴこ左右に振れている。
犬のようにぶんぶん振られているのではないが、これはこれでとても可愛く見える。
「今回、文句なしの狩りだったけど一応今後の為に忠告な。ここは森の中だから、基本火魔法は禁止ね。あと少しだが雷系も威力が高いと時期によっては発火して森林火災になるから注意しろよ。秋や冬は枯草や乾燥した倒木なんかは電気のスパークでも火が付くからね」
フェイはコクコクと首を頷かせて聞いていた……ちゃんと理解しているようだな。
『……マスター、フェイは神竜たちの頂点ですよ。見た目が小さく可愛いから誤解されているようですが、神竜同様にとても知能は高いですし、めちゃくちゃ強いです。ペット扱いはどうかと思われます』
『うっ、そうだった。こいつこんなでも神竜なんだよな……ネレイスと違い過ぎてペット枠にしか感じられないんだよ。ご飯ってより餌あげてる気しかしないから余計なんだよな』
「ピィー!」
「あはは、悪かったって。そんなに雀みたいにふくれるな、可愛いだろこんちくしょう」
私怒ってますと言いたいのか、雀の様にふわたくれているのだが可愛さしかない。
ついついもふもふしてしまう。
神竜の森の入口を目指してひたすら走っていたのだが、フェイが途中でへばってしまった。どうやらフェイが飛ぶのに魔力を使うようで、生まれたばかりのフェイはまだ効率よく飛べないようなのだ。俺の肩に乗っかっていいぞと肩を貸してあげたら、どうやらその場所が気に入ったようだ。乗った方の視界が悪くなるのが難点だが、重さはほとんど無く、許せる範囲だったのでそこが暫くフェイの定位置になりそうだ。頭の上は何となく嫌だしな。
途中昼食にしたのだが、ナビーが昼食の場所に選んだ地点から1km程の距離の所に、とても良い薬草が群生している場所があるので採取していきましょうと言ってきた。なんでも中級回復剤の4級ぐらいまでの素材になるらしい。大量に群生しているらしいからこの機会を逃しては勿体ないと進言してくれた。迷いの森とまで言われ、濃霧で誰も近寄らないから良い素材が結構残っているのだそうだ。
フェイのステータス確認もしたかったが、レベルアップ痛のタイムアップがあるので確認は後にする事にして、いろんな素材を採取しながら先を急いだ。
途中寄った薬草の群生地帯だが、予想以上のいい採取場所だった。
冒険者ギルドの最初の昇級対象になっているのがこの薬草の10束採取の依頼らしいので、かなり多めに採取することにした。
薬草5本で1束なのだが、葉の部分より根の部分の方が薬効があるので、根を傷つけないように採取しないと品質を低く評価されて買い取り価格が下がるのだそうだ。500束程採取したのだがまだまだ大量に生えている。ナビー曰くこんな場所は滅多にないそうだから、地点登録しておくことにした。
いろいろ採取しながらだったので、野営予定地点に着いたのは4時半過ぎで結構ギリギリだった。
今回も【痛覚無効】を使ってやり過ごすことにした。
フェイがレベル11も上がったので、何もしないと我慢できないだろうという理由もある。
今日は風呂もなしで夕飯を残り物で済ませたらすぐ寝ることとしよう。
【クリーン】で体だけ清め、一応安否確認のメールは今すぐ寝るからコールは無しと一言添えて、さっさとフェイを抱えて布団に入った。
レベルアップ時はやたらとだるく、睡眠が必要になるからね。
かわりに起きた時は凄くスッキリしてちょいテンション上がり気味になってしまう。
さっさと寝てやり過ごすのが一番だ。
「フェイ、ナビーおやすみ。今日は早いが寝るから、お風呂は明日の朝入ろうな」
「ピィー!」
『……おやすみなさい、マスター』
うん……今日も充実した良い一日だった。
疲れていたのだろう……フェイをモフモフしていたら知らない間に寝ていた。
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クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
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