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冒険者登録編
3-7 誘拐窃盗団、一網打尽(後編)
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一階の買い取り口でギルドカードの更新をし、素材の買い取りをお願いした。
今回態と剥ぎ取りをしないで持ち込んでいる。300頭近い剥ぎ取りをやっている時間が理論上合わなくなってくるからだ。移動に関しては【テレポート】持ちということで片は付く。本当ならこれも隠すべきなのだろうが、そのために時間の制限が発生するのはいただけない。時間調整の為に町の近くで野営して時間の帳尻合わせをするぐらいなら早々にばらして、【テレポート】の旨味に寄ってくる雑魚冒険者を蹴散らした方がずっといい。
だが剥ぎ取りに関しては冒険者には絶対必要な科目なのだ。それがオリジナル魔法で一瞬だとばれてしまうと大騒ぎになるだろう。冒険者たちがこぞって情報を得ようとすり寄ってくるはずだ。それどころかギルドから公開しろと圧力がかかるかも知れない。それ程剥ぎ取りの手間と時間は掛かるのだから注意するに越した事は無いのだ。
「まだ剥ぎ取りとか終えていないので、ギルドの方でお願いとかできるのでしょうか?」
「手数料が要るが、自信がないなら、いい皮が採れる素材とかはギルドに任せた方がいいぞ。剥ぎ取った素材にもランクがあるからな。下手な奴が剥いだ物だと買い取れない場合もある。ギルドに任せた場合は特に大きな外傷が無ければ最低でも買い取り等級3級以上で買い取ってもらえる。手数料で済むならそっちのほうがずっといいからな」
親切に解りやすく説明してくれた。
「そうですか、俺は剥ぎ取りは得意なので自分でやれるのですけど、今回は量が多くてやる気も起きませんでした」
「どれくらいあるんだ?」
「コロニー2つで300頭程です。それとその集落で見つけた宝石などですね。どうやら盗賊が根城にしていた洞窟を襲って奪ったようでいろいろ出てきたんですよ」
「300頭のの集落? デカすぎないか?」
「2か所でですが、1つはキングとクイーンが2匹居たのでこれから爆発的に増えるとこでした」
「キンク? ちょっとカード見せてみろ!……オイオイ、本当にキングとクイーンじゃないか! 何故直ぐに報告しなかった!」
「偵察だけのつもりが、匂いかな? 近付き過ぎたようで、敵に見つかっちゃいまして。気付いた時には囲まれていました。妹と必死になって倒したんですよ。流石に死ぬかと思いました」
「アタタッ……見つかっちゃったのか~、あいつら鼻がいいからな……よく生きて帰って来れたな。お前らだろ? 神殿からメールが来てた美形兄妹は?」
「美形兄妹?」
「ああ、昨日冒険者になったんだろう? 職員の中じゃもう有名人だな。2日目にしてキング討伐とかもう笑うしかないけど、お前たち更に有名になるぞ」
「え~~、絡まれたりしますかね?」
「絡む奴も出るかもしれないが、2人でキングの巣を狩れるんだ。お前たち戦闘に自信があるんだろ? 少しは手加減してやれよ。雑魚い奴でもギルドにとっては貴重な戦力だ。やり過ぎて壊さないでくれな」
「なんかあなたの方がギルドマスターっぽいですね。ハルさんより気が合いそうです」
「あはは、ギルマスは堅物で面白味がないからな。ところでどこに保管してるんだ?」
「俺もフェイも暗黒属性の適性がありまして、亜空間倉庫にかなりの量が入ります。全部今持ってきてますのでお願いできますか?」
「300頭も入るのか? そりゃー凄いな! じゃあ、ここでその数は無理なので、悪いが奥の解体作業部屋に行って出してもらえるか?」
俺はインベントリから全部出して順番に並べていった。
全部出した時には解体作業の職員たちから『おおー!』と言う声が上がったが、キングとクイーンが無い事を告げると落胆していた。神殿の巫女に送る為に先に解体してしまったと告げると、それなら仕方がないと笑顔で納得してくれる。水神殿のおひざ元だけあって、職員たちも信仰心が高いようだ。
「リョウマ君! この宝石箱もその洞窟にあった物か?」
「そうです、盗賊団が宝物庫にしていた部屋から出てきました」
「そうか、この箱のここにある紋章はドーレスト家の紋章でな。この町の警備隊長をしているガイアス隊長の家の物なのだよ。持ち主が判明した場合、その家族が半値で買い取る権利が発生するが、どうか彼に譲ってやってほしい。半年ほど前にハーレンに向かった両親と急に連絡が取れなくなって探していたようなのだが、やはり盗賊に襲われていたのか……残念だ」
フレンド登録の機能で、生死の確認は容易にとれるが、死亡原因までは分からないしね。
両親の遺体というより、この宝箱の中身がドーレスト家にとって重要なのだそうだ。
「ガイアス隊長とは今朝方少し話をしました。そうですか、あの人の両親ですか」
ガイアス隊長が盗賊に対して迅速に対処してくれたのもそういう理由があったのかもしれない。
買い取り査定はオークと魔石関係は3日ほどで終えるが、盗賊たちの武器や防具は10日ほどかかるから後でメールで連絡をくれるらしい。
「こんなのもあるのですが? どうでしょうか?」
「売ってくれるのか! 有難い! ほほ肉や耳や鼻は珍味として高値で売れるんだよ」
ミミガー? キングとクイーンとジェネラルの頭部を出してみたのだ。自分では食べる気になれなかったのだが捨てるのも勿体ないと思い聞いてみたのだが、思いのほか喜ばれた。サクラなら調理できたかもと、後になって少し後悔したが、今更引っ込めるのも気が咎めて売ることにした。
ギルドを出た俺たちは昼食も食べてなかったのでとても腹が減っていた。
広場でこの町で最初に買った屋台のおじさんが居たのでまた買わせてもらう。
「おじさん! また買いに来たよ。この子と3本ずつ頂戴、それとレモン水もね」
「毎度~兄ちゃんまた来てくれたか。よし、1本ずつサービスで付けてやるよ」
「ホント? ありがとうおじさん! フェイがここの串焼き気に入ったって言うから時々買わせてもらうよ」
「ありがとうな嬢ちゃん。可愛いからいつでも歓迎だ!」
「はい、ここのお肉、柔らかくて美味しいです! このレモンのジュースも冷たくてさっぱりしてて好きです」
「おじさん、この辺でこの子が着れるような可愛い服売ってる店ないかな?」
「いろいろあるが、予算はどれぐらいだ?」
「特に決めてないけど、中古じゃなく新品を扱ってる店がいい」
「それだと凄く高いぞ? 新人冒険者にゃちょと手が出せない金額だ」
「大丈夫だよ、昨日かなり稼いできたからね。フェイも大活躍だったからそのご褒美にね」
「嬢ちゃんに似合いそうな服なら貴族街の入口付近にある若者向きの店があるんだが、ちょっと高いんだよな……行ってみれば解かる。そこで手が出なかったら雑貨屋の隣にある店がお手頃だ。中古も扱ってるし、そこも見てみるといい」
「ありがとう、それと風呂がある良い宿ないかな?」
「風呂付とかになったら、貴族が泊まるような高級宿しかないぞ? 風呂付で比較的良い宿なら1泊2食付で確か1人1万2千ジェニーぐらいだったかな。この道を真っ直ぐ進んでいったら宿屋の看板が見えるから直ぐ分かるはずだ。貴族街の服屋は更に進んだところにある。お高いところはメイン通りにあるから迷う事は無いだろう」
宿屋と服屋は直ぐに見つかった。
先に服屋に行き、フェイに似合いそうなのをあれこれ見て沢山買おうとしたのだが……。
『……マスター、買うのは3着までにしてください。フェイとマスターの服は私が注文どおりに作ります。フェイに変な服着せないでくださいね』
ナビーの奴が難しい注文をしてきた……変な服ってどんなだ?
「フェイ、好きなのを3着どれでも買っていい。上下セットで3着だからな。後、下着も5枚ほど買っておこう」
自分の服は上衣のTシャツを2枚と下着のトランクスを5枚買った。フェイは白いワンピースとキュロットタイプのスカートにTシャツ2枚ハーフパンツと下着が5枚を購入した。フェイの好みは中々可愛いチョイスだった。
宿屋に泊まって3日目の昼に、ギルドから呼び出しメールが届いた。
いつ来れるかというものだったので、今から行くと返信し、フェイと連れだってギルドに向かった。
受付カウンターに行くと、順番を待たないで2階に案内された。
ギルドマスターの部屋に行くのかと思ったら、12畳程の広さの談話室らしき部屋に通された。部屋の中にはギルマスとガイアス隊長が既に待機していて、俺たちが来るのを待っていたようだ。
「お待たせしました。メールで呼ばれたのですが、何かありましたでしょうか?」
「ああすまない。まずはこの前の礼を言わせてくれ。誘拐窃盗団の捕縛協力感謝する。本当に助かった。領主様も大変喜ばれていて、別途で報酬まで出してくれた。前回言った通り、君にその後を報告しておく。君が捕らえた冒険者3人、門番の西門4名、東門3名、受付嬢1名は犯罪奴隷落ちになった。それと窃盗団6名のうち2名に2つの町から懸賞金が懸っていた。その2名とギルドの男性職員は公開処刑になる。残り4名は犯罪奴隷落ちだ。本来なら衛兵が捕えた受付嬢と門番を奴隷として売却した分は町の収益になるのだが、領主様が君に権利を譲ってくれたので、その分の収益も君の取り分になる」
「そうですか、公開処刑とか……俺は死刑の方が苦しみから解放されていい気もしますがどうなんでしょうね?」
「実際そうだと私も思うが、懸賞首が懸るのは家族を殺された家人がお金を出し合っているからなのだ。それに町の有権者や商人領主が追い金を出してくれて懸賞金になる。恨みを持った人たちは、実際に死んでもらわない事には気が収まらないのだろう。私も同じ気持ちだから解るのだがな」
話を聞いていると、今回の刑期の裁定や取調べも異常にに早く終えたそうだ。本来なら3週間以上かかるそうなのだが、決め手はやはりナビーが用意した動画だった。
こんな物知らないと皆が口を揃えて言うが、実際その動画は撮影日とともにフォルダに残されていたのだ。言い逃れできない。
刑期はこうなったそうだ。
門番:犯罪奴隷落ち(刑期10年)
ギルド受付嬢:犯罪奴隷落ち(刑期3年)
冒険者:犯罪奴隷落ち(刑期5年)
誘拐窃盗団Aリーダー:ハーレンの街にて公開処刑
誘拐窃盗団B:ハーレンの街にて公開処刑
誘拐窃盗団CDEF:犯罪奴隷落ち(終身刑)
ギルド職員:バナムの町にて公開処刑
「今回一番きついのは受付嬢の娘だろうな。オークションに懸けられるのだが、あの美貌だ……娼館が既に買うと宣告しているそうだ。受付嬢で有名だったからな。これまで見ているだけで、憧れていた冒険者がこぞって話のネタに彼女を買いにいくだろう。手に届かない高嶺の花だった娘を抱けるんだ……少々高くても金を出すだろう。親が金持ちならなんとしても買って阻止するだろうが、一般家庭じゃ娼館相手に敵うはずもない」
可哀想だとは思うが、自分のやった事と同じ目に遭うだけなのだからその身で味わって反省してもらおう。
「奴隷商に売られた女の子はどうなったのでしょう?」
「奴隷商に捕まっていた2名は売られる前に保護できたのだが、捕らえられた際にかなり酷い犯され方をしたようで、心的にダメージを負っているようだ。他にもこの2年の間に17名が売られていたようで、現在売られたであろう町や都に連絡を入れてる所だ。捜索依頼は出したが厳しい状況だ。おそらくこの中の数名見つかればいい方だろう」
「なんとか見つかればいいですね」
「ああそうだな……それから窃盗団と奴隷商のアジトだが、ハーレンに潜伏していた奴も含め全員捕縛できた。どっちのアジトもかなり貯め込んでいてな、盗賊団の方が4千万、奴隷商が8千万ほどあったようだ。この分は領主様の取り分になるのだが、予想以上にあったため臨時のボーナスが今回参加した警備兵に支給される事になった。お前のおかげで衛兵たちはかなり喜んでいるよ。リョウマ君にも200万ほど出るという話だ。犯罪奴隷で売れた分も入れたらかなりの額になるだろう」
「かなりの収入ですね……良いのかな」
ギルドマスターがここで話に参加してきた。
「衛兵側とのやり取りはもういいみたいだね?」
「ああ、奴隷をオークションに懸けて金額が確定したら私がメールで知らせる」
「俺はよく分からないのでその辺はガイアス隊長にお任せします」
「じゃあ、次はギルド側の話をしようか。これなんだけど、実はガイアス隊長の家章が入っててね。隊長が買い戻したいらしいんだよ。リョウマ君が今回買取査定に出した分の中では一番高値で買い取れる品だったんだけど、規定で家人に売ってあげないといけないがいいかい?」
「はい、いいですよ」
「基本はギルド査定の半値なんだが双方それでいいですか?」
お互いに了承する。
「問題は一緒に入ってたこの指輪です。これ自体の価値は20万程なのですが、これは王家から貴族の証とされる証印です。これがないと当主として認められず、その家は断絶になってしまうほどの大事な物です。なのでこれまでの事例として、残された遺族との間でかなりの金額で取引されていますが、まずは双方の金額提示をしてください」
「その宝石と別に500万を用意してきた、当家で準備できる全財産だ。どうかこれで譲ってほしい」
ガイアス隊長は祈るように深々と頭を下げてきた。おそらく本来もっと高額で取引されているのだろう。買い戻せなければその家は王家から預かった家章を無くしてしまったという不敬罪にあたり取り潰されるのだ。
「ガイアス隊長頭を上げてください。お互いに不幸中の幸いではないですけど、ある意味ラッキーですよね。ここに来た時ならフェイの装備を買って10万ジェニーもなかったんですよ。今はキング討伐時の報酬と素材やらの売り上げと盗賊団壊滅時の報奨金やら懸賞金が入ってくるので、かなり余裕がありますからね。鼻持ちならない貴族なら吹っかけますが、この町に来たばかりの新人冒険者のいう事を信じてくれて即座に動いてくれた人に無茶は言えません。でもなり立てでも一応冒険者なので命がけの戦利品をタダという訳にはいきませんので、宝石はそのまま俺が頂いてギルドに売りに出します。思い入れがあるものがあるならギルドの査定額で買い戻してください。指輪は俺にとってはただの指輪なので、指輪の査定価格の20万で買い取ってください」
「いいのか、リョウマ君?」
「フェイを見てくださいよ……宝石もタダで返してあげればいいのに! みたいな顔をしてるでしょ? ですが冒険者の矜持じゃないですけど、稼いでなんぼですのでここは譲れないのでこれでお願いします」
「宝石自体はもうとっくにあきらめていた物だ。実質20万で家の断絶が免れるんだ安い物だ! 本当にありがとう!」
「双方で同意が得たようなので、これに記入して同意書を作ります。それでこの件は終了とします。それとリョウマ君、他の物も鑑定は終えているが他に家人が買い取りに来るかもしれませんのであと7日の待機期間があります。一応査定金額は285万6840ジェニーとなっています。魔石や素材分はまだ未計算ですので、もう少し待ってくださいね。キングとクイーンの魔石はオークションに懸けるので時間がかかるのです」
ギルドを出た俺はちょっとビビってた。聞いた金額だけでも1000万は超えそうなのだ。
小市民な俺は大金が手に入りそうだというだけでドキドキするのだった……まだ手に入れてもないのにね。
今回態と剥ぎ取りをしないで持ち込んでいる。300頭近い剥ぎ取りをやっている時間が理論上合わなくなってくるからだ。移動に関しては【テレポート】持ちということで片は付く。本当ならこれも隠すべきなのだろうが、そのために時間の制限が発生するのはいただけない。時間調整の為に町の近くで野営して時間の帳尻合わせをするぐらいなら早々にばらして、【テレポート】の旨味に寄ってくる雑魚冒険者を蹴散らした方がずっといい。
だが剥ぎ取りに関しては冒険者には絶対必要な科目なのだ。それがオリジナル魔法で一瞬だとばれてしまうと大騒ぎになるだろう。冒険者たちがこぞって情報を得ようとすり寄ってくるはずだ。それどころかギルドから公開しろと圧力がかかるかも知れない。それ程剥ぎ取りの手間と時間は掛かるのだから注意するに越した事は無いのだ。
「まだ剥ぎ取りとか終えていないので、ギルドの方でお願いとかできるのでしょうか?」
「手数料が要るが、自信がないなら、いい皮が採れる素材とかはギルドに任せた方がいいぞ。剥ぎ取った素材にもランクがあるからな。下手な奴が剥いだ物だと買い取れない場合もある。ギルドに任せた場合は特に大きな外傷が無ければ最低でも買い取り等級3級以上で買い取ってもらえる。手数料で済むならそっちのほうがずっといいからな」
親切に解りやすく説明してくれた。
「そうですか、俺は剥ぎ取りは得意なので自分でやれるのですけど、今回は量が多くてやる気も起きませんでした」
「どれくらいあるんだ?」
「コロニー2つで300頭程です。それとその集落で見つけた宝石などですね。どうやら盗賊が根城にしていた洞窟を襲って奪ったようでいろいろ出てきたんですよ」
「300頭のの集落? デカすぎないか?」
「2か所でですが、1つはキングとクイーンが2匹居たのでこれから爆発的に増えるとこでした」
「キンク? ちょっとカード見せてみろ!……オイオイ、本当にキングとクイーンじゃないか! 何故直ぐに報告しなかった!」
「偵察だけのつもりが、匂いかな? 近付き過ぎたようで、敵に見つかっちゃいまして。気付いた時には囲まれていました。妹と必死になって倒したんですよ。流石に死ぬかと思いました」
「アタタッ……見つかっちゃったのか~、あいつら鼻がいいからな……よく生きて帰って来れたな。お前らだろ? 神殿からメールが来てた美形兄妹は?」
「美形兄妹?」
「ああ、昨日冒険者になったんだろう? 職員の中じゃもう有名人だな。2日目にしてキング討伐とかもう笑うしかないけど、お前たち更に有名になるぞ」
「え~~、絡まれたりしますかね?」
「絡む奴も出るかもしれないが、2人でキングの巣を狩れるんだ。お前たち戦闘に自信があるんだろ? 少しは手加減してやれよ。雑魚い奴でもギルドにとっては貴重な戦力だ。やり過ぎて壊さないでくれな」
「なんかあなたの方がギルドマスターっぽいですね。ハルさんより気が合いそうです」
「あはは、ギルマスは堅物で面白味がないからな。ところでどこに保管してるんだ?」
「俺もフェイも暗黒属性の適性がありまして、亜空間倉庫にかなりの量が入ります。全部今持ってきてますのでお願いできますか?」
「300頭も入るのか? そりゃー凄いな! じゃあ、ここでその数は無理なので、悪いが奥の解体作業部屋に行って出してもらえるか?」
俺はインベントリから全部出して順番に並べていった。
全部出した時には解体作業の職員たちから『おおー!』と言う声が上がったが、キングとクイーンが無い事を告げると落胆していた。神殿の巫女に送る為に先に解体してしまったと告げると、それなら仕方がないと笑顔で納得してくれる。水神殿のおひざ元だけあって、職員たちも信仰心が高いようだ。
「リョウマ君! この宝石箱もその洞窟にあった物か?」
「そうです、盗賊団が宝物庫にしていた部屋から出てきました」
「そうか、この箱のここにある紋章はドーレスト家の紋章でな。この町の警備隊長をしているガイアス隊長の家の物なのだよ。持ち主が判明した場合、その家族が半値で買い取る権利が発生するが、どうか彼に譲ってやってほしい。半年ほど前にハーレンに向かった両親と急に連絡が取れなくなって探していたようなのだが、やはり盗賊に襲われていたのか……残念だ」
フレンド登録の機能で、生死の確認は容易にとれるが、死亡原因までは分からないしね。
両親の遺体というより、この宝箱の中身がドーレスト家にとって重要なのだそうだ。
「ガイアス隊長とは今朝方少し話をしました。そうですか、あの人の両親ですか」
ガイアス隊長が盗賊に対して迅速に対処してくれたのもそういう理由があったのかもしれない。
買い取り査定はオークと魔石関係は3日ほどで終えるが、盗賊たちの武器や防具は10日ほどかかるから後でメールで連絡をくれるらしい。
「こんなのもあるのですが? どうでしょうか?」
「売ってくれるのか! 有難い! ほほ肉や耳や鼻は珍味として高値で売れるんだよ」
ミミガー? キングとクイーンとジェネラルの頭部を出してみたのだ。自分では食べる気になれなかったのだが捨てるのも勿体ないと思い聞いてみたのだが、思いのほか喜ばれた。サクラなら調理できたかもと、後になって少し後悔したが、今更引っ込めるのも気が咎めて売ることにした。
ギルドを出た俺たちは昼食も食べてなかったのでとても腹が減っていた。
広場でこの町で最初に買った屋台のおじさんが居たのでまた買わせてもらう。
「おじさん! また買いに来たよ。この子と3本ずつ頂戴、それとレモン水もね」
「毎度~兄ちゃんまた来てくれたか。よし、1本ずつサービスで付けてやるよ」
「ホント? ありがとうおじさん! フェイがここの串焼き気に入ったって言うから時々買わせてもらうよ」
「ありがとうな嬢ちゃん。可愛いからいつでも歓迎だ!」
「はい、ここのお肉、柔らかくて美味しいです! このレモンのジュースも冷たくてさっぱりしてて好きです」
「おじさん、この辺でこの子が着れるような可愛い服売ってる店ないかな?」
「いろいろあるが、予算はどれぐらいだ?」
「特に決めてないけど、中古じゃなく新品を扱ってる店がいい」
「それだと凄く高いぞ? 新人冒険者にゃちょと手が出せない金額だ」
「大丈夫だよ、昨日かなり稼いできたからね。フェイも大活躍だったからそのご褒美にね」
「嬢ちゃんに似合いそうな服なら貴族街の入口付近にある若者向きの店があるんだが、ちょっと高いんだよな……行ってみれば解かる。そこで手が出なかったら雑貨屋の隣にある店がお手頃だ。中古も扱ってるし、そこも見てみるといい」
「ありがとう、それと風呂がある良い宿ないかな?」
「風呂付とかになったら、貴族が泊まるような高級宿しかないぞ? 風呂付で比較的良い宿なら1泊2食付で確か1人1万2千ジェニーぐらいだったかな。この道を真っ直ぐ進んでいったら宿屋の看板が見えるから直ぐ分かるはずだ。貴族街の服屋は更に進んだところにある。お高いところはメイン通りにあるから迷う事は無いだろう」
宿屋と服屋は直ぐに見つかった。
先に服屋に行き、フェイに似合いそうなのをあれこれ見て沢山買おうとしたのだが……。
『……マスター、買うのは3着までにしてください。フェイとマスターの服は私が注文どおりに作ります。フェイに変な服着せないでくださいね』
ナビーの奴が難しい注文をしてきた……変な服ってどんなだ?
「フェイ、好きなのを3着どれでも買っていい。上下セットで3着だからな。後、下着も5枚ほど買っておこう」
自分の服は上衣のTシャツを2枚と下着のトランクスを5枚買った。フェイは白いワンピースとキュロットタイプのスカートにTシャツ2枚ハーフパンツと下着が5枚を購入した。フェイの好みは中々可愛いチョイスだった。
宿屋に泊まって3日目の昼に、ギルドから呼び出しメールが届いた。
いつ来れるかというものだったので、今から行くと返信し、フェイと連れだってギルドに向かった。
受付カウンターに行くと、順番を待たないで2階に案内された。
ギルドマスターの部屋に行くのかと思ったら、12畳程の広さの談話室らしき部屋に通された。部屋の中にはギルマスとガイアス隊長が既に待機していて、俺たちが来るのを待っていたようだ。
「お待たせしました。メールで呼ばれたのですが、何かありましたでしょうか?」
「ああすまない。まずはこの前の礼を言わせてくれ。誘拐窃盗団の捕縛協力感謝する。本当に助かった。領主様も大変喜ばれていて、別途で報酬まで出してくれた。前回言った通り、君にその後を報告しておく。君が捕らえた冒険者3人、門番の西門4名、東門3名、受付嬢1名は犯罪奴隷落ちになった。それと窃盗団6名のうち2名に2つの町から懸賞金が懸っていた。その2名とギルドの男性職員は公開処刑になる。残り4名は犯罪奴隷落ちだ。本来なら衛兵が捕えた受付嬢と門番を奴隷として売却した分は町の収益になるのだが、領主様が君に権利を譲ってくれたので、その分の収益も君の取り分になる」
「そうですか、公開処刑とか……俺は死刑の方が苦しみから解放されていい気もしますがどうなんでしょうね?」
「実際そうだと私も思うが、懸賞首が懸るのは家族を殺された家人がお金を出し合っているからなのだ。それに町の有権者や商人領主が追い金を出してくれて懸賞金になる。恨みを持った人たちは、実際に死んでもらわない事には気が収まらないのだろう。私も同じ気持ちだから解るのだがな」
話を聞いていると、今回の刑期の裁定や取調べも異常にに早く終えたそうだ。本来なら3週間以上かかるそうなのだが、決め手はやはりナビーが用意した動画だった。
こんな物知らないと皆が口を揃えて言うが、実際その動画は撮影日とともにフォルダに残されていたのだ。言い逃れできない。
刑期はこうなったそうだ。
門番:犯罪奴隷落ち(刑期10年)
ギルド受付嬢:犯罪奴隷落ち(刑期3年)
冒険者:犯罪奴隷落ち(刑期5年)
誘拐窃盗団Aリーダー:ハーレンの街にて公開処刑
誘拐窃盗団B:ハーレンの街にて公開処刑
誘拐窃盗団CDEF:犯罪奴隷落ち(終身刑)
ギルド職員:バナムの町にて公開処刑
「今回一番きついのは受付嬢の娘だろうな。オークションに懸けられるのだが、あの美貌だ……娼館が既に買うと宣告しているそうだ。受付嬢で有名だったからな。これまで見ているだけで、憧れていた冒険者がこぞって話のネタに彼女を買いにいくだろう。手に届かない高嶺の花だった娘を抱けるんだ……少々高くても金を出すだろう。親が金持ちならなんとしても買って阻止するだろうが、一般家庭じゃ娼館相手に敵うはずもない」
可哀想だとは思うが、自分のやった事と同じ目に遭うだけなのだからその身で味わって反省してもらおう。
「奴隷商に売られた女の子はどうなったのでしょう?」
「奴隷商に捕まっていた2名は売られる前に保護できたのだが、捕らえられた際にかなり酷い犯され方をしたようで、心的にダメージを負っているようだ。他にもこの2年の間に17名が売られていたようで、現在売られたであろう町や都に連絡を入れてる所だ。捜索依頼は出したが厳しい状況だ。おそらくこの中の数名見つかればいい方だろう」
「なんとか見つかればいいですね」
「ああそうだな……それから窃盗団と奴隷商のアジトだが、ハーレンに潜伏していた奴も含め全員捕縛できた。どっちのアジトもかなり貯め込んでいてな、盗賊団の方が4千万、奴隷商が8千万ほどあったようだ。この分は領主様の取り分になるのだが、予想以上にあったため臨時のボーナスが今回参加した警備兵に支給される事になった。お前のおかげで衛兵たちはかなり喜んでいるよ。リョウマ君にも200万ほど出るという話だ。犯罪奴隷で売れた分も入れたらかなりの額になるだろう」
「かなりの収入ですね……良いのかな」
ギルドマスターがここで話に参加してきた。
「衛兵側とのやり取りはもういいみたいだね?」
「ああ、奴隷をオークションに懸けて金額が確定したら私がメールで知らせる」
「俺はよく分からないのでその辺はガイアス隊長にお任せします」
「じゃあ、次はギルド側の話をしようか。これなんだけど、実はガイアス隊長の家章が入っててね。隊長が買い戻したいらしいんだよ。リョウマ君が今回買取査定に出した分の中では一番高値で買い取れる品だったんだけど、規定で家人に売ってあげないといけないがいいかい?」
「はい、いいですよ」
「基本はギルド査定の半値なんだが双方それでいいですか?」
お互いに了承する。
「問題は一緒に入ってたこの指輪です。これ自体の価値は20万程なのですが、これは王家から貴族の証とされる証印です。これがないと当主として認められず、その家は断絶になってしまうほどの大事な物です。なのでこれまでの事例として、残された遺族との間でかなりの金額で取引されていますが、まずは双方の金額提示をしてください」
「その宝石と別に500万を用意してきた、当家で準備できる全財産だ。どうかこれで譲ってほしい」
ガイアス隊長は祈るように深々と頭を下げてきた。おそらく本来もっと高額で取引されているのだろう。買い戻せなければその家は王家から預かった家章を無くしてしまったという不敬罪にあたり取り潰されるのだ。
「ガイアス隊長頭を上げてください。お互いに不幸中の幸いではないですけど、ある意味ラッキーですよね。ここに来た時ならフェイの装備を買って10万ジェニーもなかったんですよ。今はキング討伐時の報酬と素材やらの売り上げと盗賊団壊滅時の報奨金やら懸賞金が入ってくるので、かなり余裕がありますからね。鼻持ちならない貴族なら吹っかけますが、この町に来たばかりの新人冒険者のいう事を信じてくれて即座に動いてくれた人に無茶は言えません。でもなり立てでも一応冒険者なので命がけの戦利品をタダという訳にはいきませんので、宝石はそのまま俺が頂いてギルドに売りに出します。思い入れがあるものがあるならギルドの査定額で買い戻してください。指輪は俺にとってはただの指輪なので、指輪の査定価格の20万で買い取ってください」
「いいのか、リョウマ君?」
「フェイを見てくださいよ……宝石もタダで返してあげればいいのに! みたいな顔をしてるでしょ? ですが冒険者の矜持じゃないですけど、稼いでなんぼですのでここは譲れないのでこれでお願いします」
「宝石自体はもうとっくにあきらめていた物だ。実質20万で家の断絶が免れるんだ安い物だ! 本当にありがとう!」
「双方で同意が得たようなので、これに記入して同意書を作ります。それでこの件は終了とします。それとリョウマ君、他の物も鑑定は終えているが他に家人が買い取りに来るかもしれませんのであと7日の待機期間があります。一応査定金額は285万6840ジェニーとなっています。魔石や素材分はまだ未計算ですので、もう少し待ってくださいね。キングとクイーンの魔石はオークションに懸けるので時間がかかるのです」
ギルドを出た俺はちょっとビビってた。聞いた金額だけでも1000万は超えそうなのだ。
小市民な俺は大金が手に入りそうだというだけでドキドキするのだった……まだ手に入れてもないのにね。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺が死んでから始まる物語
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パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
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余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
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残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
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貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
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これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
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