元厨二病な俺、異世界に召喚される!

回復師

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商都ハーレン編

5-1 ハーレンの冒険者ギルド

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 その後の街道は山場を越えたとあってDランクの最下級魔獣しか出なかった。ブロンズPTがほぼ倒して少し稼いだようだが、剣がダメになったと前衛の一人が嘆いていた。俺の魔法で修理もできたのだが、ただのアイアンソードだったので、これも下位ランクの冒険者の試練だと思い、放置することにした。武器のメンテナンスも経費のうちだからね。


 5日目の夕刻にハーレンの街に到着。
 門の前にはガラさんの商会の丁稚が3人待っていて、ガラさんと少しやり取りをし、何かを受け取って走って行った。俺たちは入門手続をしながら、現在ガラさんの挨拶を聞いているところだ。

「皆、お疲れ様。おかげで無事到着できた、感謝する! 今回いろいろ双子の兄弟に驚かさせられたが、得る物も多かった。初めて同行したパーティーもあったが、人柄は申し分ないので、また機会があればよろしく頼む。先ほどうちの者にギルドに依頼達成の報告に向かわせた、そのままギルドに行けば達成報酬を受け取れるので各自で受け取ってくれ。『灼熱の戦姫』の者は折り返しの護衛もよろしく頼む。それとリョウマ君たちは明日一度うちの商会に来てほしい。事前にメールをくれればその時間に迎えを寄こす。質問が無ければこれで解散することになるが、何かあるかね?」

 特に質問は無いようだが、ガラさんに機会があればよろしくと言ってもらえたと、新人のブロンズパーティーが喜んでいた。大きな商会のガラさんに気に入ってもらえることは、冒険者にとってメリットが大きいようだ。

「無いようなのでこれで解散とする。皆、ご苦労さま」


 解散になったのに、シルバー組とブロンズ組が何やら話してて移動しない。何かあるのかと聞いてみたら。

「予定より早くついて、まだ閉門まで時間があるだろ? 狩った魔獣の剥ぎ取りをやってしまおうと話してたんだ。大体の下級魔獣は俺たちに狩らせてもらったけど、分配の話もあるのでこれから近くの林でやってしまおうかと言う話をしていたんだ」

 彼らにフェイの狩った奴の剥ぎ取り依頼をしようかとも考えたが、それだとまた戻ってきて受け取りをしないといけなくなる。

 インベントリの工房でナビーに任せるか、ギルドで依頼する方がいいと判断し、皆にお別れを言って『灼熱の戦姫』と一緒にギルドに向かう事にした。

 サクエラさんとの回復剤の売約は、できるだけお金をかき集めたいので、俺たちの出発前日にきてほしいと言われたのでとりあえずは保留になった。

「兄様、大きな町ですね」
「そうだな、人も多いな」

「リョウマ君たちは初めてだったね。人の多さに驚いたでしょう」

「ええ、あっ! 猫耳! フェイ猫耳が居るぞ!」
「リョウマ君! 失礼だよ!」

「あ、すみません。獣人を初めて見たので、興奮してしまいました。猫耳可愛いですね」

「どうやら、その感じだと……別に彼女を侮辱したわけではなさそうですね」
「何で侮辱するんですか? 猫耳可愛いじゃないですか」

「どうやら知らないようですね……その様子だと危険なので教えておきます。もっかこの国は獣国エバントス連邦国とは冷戦中です。国境付近では未だにちょっとした戦闘が起こっています。以前はこの辺りやバナムの町にも沢山の獣人が住んで居ましたが、戦争が起こってからは皆、国に戻ってしまったので、今いる者はこの国で生まれた者や、この国で結婚した者、商人や奴隷などしか残っていないのです。強い冒険者も少しは残っていますが、ぴりぴりした緊張感が漂っていますので、あまり近寄らない方がいいです。停戦中とはいえ戦争中なので十分気を付けてくださいね。何がきっかけで殺し合いになるか分かりません」

「ありがとうございます。もし知らないで気軽に話しかけてたら、警戒されてますね」
「あの、兄様……」

 フェイの視線を追うと、屋台があった。
 この食いしん坊、また肉をロックオンしている。確かに小腹が減ったし、喉も少し渇いている……良い匂いもしてるしな。

「なんだ、あれが食べたいのか?」
「はい、美味しそうな匂いがしています」

「じゃあ、皆の分の飲み物と串3本ずつ頼んでおいてくれ」

 フェイに金貨1枚握らせて、先に買いに行かせた。

「すみません。フェイの食い道楽がでたので、皆さんに奢りますからフェイに付き合ってあげてください」

「エッ? 奢ってくれるの? ありがとうリョウマ君」
「ソシア、ちょっとは遠慮しなさい」

「もう頼んでありますので、遠慮はしなくていいです。もしお腹が空いてないとかでいらないのであれば俺が引き受けます」

 夕刻の16時だし、皆、小腹が空く時間だ。勿論全員喜んで食べた。串はオーク肉じゃなく野兎だったが、下処理をしっかりしてあり、臭みもちゃんと取ってあった。1本100ジェニーだが満足のいく味だった。飲み物は冷たいミカン水のような甘い味だったが、これもなかなか美味しかった。これは1杯150ジェニー、高くもなく安くもなくといった感じかな。


 程無くギルドに到着、建物はバナムより大きく3階建てだ。中に入ると1階は受付と買取専用窓口がある。2階はシルバーランク以上の高レベル専用窓口だそうだ。待ち時間が少なく高額報酬の依頼が掲示板に出されているのだそうだ。

 俺たちは当然1階の受付に行き番号札を取った。マチルダさんたちは勿論2階だ。1階の奥には酒場があり軽食や酒も飲めるようになっている。昼間から飲んでる奴もいるようだが、関わらない方がいいだろう。マチルダさんたちが入って行くと、囃し立てるような卑猥な声を上げる者もいたが、『灼熱の戦姫』の者は慣れたもので完全に無視を決め込んでいる。

「フェイ見てみろ、彼女たち、さらっと無視して慣れたもんだな」
「そうですね、かっこいいです」

「暴れるなよ、分かってるな?」
「フードも被っているし大丈夫です」

 夕方という事もあって、結構な順番待ちになっていた。早くても10人待ちだ。
 朝受けた依頼を終え、帰って来た組の報告と重なってしまったためだ。
 仕方ない……気長に待つかと思っていたら、受付カウンターの奥から走ってやってきて、俺に手を振ってこっちに来いと指示をする人が居る。

 あ! あの人、おそらくイリスさんかな? ニリスさんの面影があるので直ぐ分かった。

「こんにちはイリスさん、ニリスさんにはお世話になってます」
「はい、リョウマ君とフェイちゃんですね。直ぐ分かりました。確認の為に、フェイちゃんちょっとフードをずらしてもらってもいいですか。あら、噂どおり可愛いわね」

 可愛いとか言っている……確認だけならギルドカードの提示で良いのだから、イリスさんはフェイの顔が見たかったんだろうな……。

「あの、順番待ちはいいのですか?」
「ええ、ニコラス商会の丁稚さんが少し前に来て、先に報告と討伐依頼を出していったので、内容を審議したうえで優先順位的に最優先事項と判断し、私が担当になりあなたが来るのを待っていました。商会とは話はついていますので、こちらは確認のみの形式的な物になります。ホワイトファングウルフとサーベルタイガーという事ですが、今、お持ちですか?」

「はい、【亜空間倉庫】に入ってます」

「明日商会の方で直接受け取るので、討伐確認だけしたら報酬は先に渡してほしいという事でした。リョウマ君、ギルドを通してくれてありがとうございます。書類だけの手続きだけで、ギルドに20万の手数料が入りました。でも、リョウマ君的に良かったのかな? 直で交渉すれば20万払わなくて済んだのですよ?」

「どっちも希少価値のある魔獣と聞いています。記録として残るので、ランクアップ時の査定に良いと聞いたもので、ギルド経由にしたのです」

「その通りです。査定時に好印象を持ってもらえます。なにせちゃんとギルドの台所事情の事も考えて頂ける人物なのですから、当然ですよね。それでは魔獣を確認しますが、内密にという依頼ですので、奥の部屋に移動しましょう」

 何故か5つある受付窓口の、受付嬢たちの笑顔がまぶし過ぎる。

「美人揃いですね。なんか笑顔がまぶし過ぎます」
「あはは、お世辞が上手ね。でも彼女たちの気持ちも少し解るわ」

「どういう事ですか?」

「リョウマ君、バナムの受付嬢たちにとっても美味しいデザートを配ったのでしょ? 情報収集の早いギルドの受付嬢よ、当然噂として私たちはいろいろ聞いてるのよ」

「ああ、それでひょっとしたらと期待しているのですね。でも物ねだりのような嫌な感じは一切しなかったですよ?」

「彼女たちもプロですからね、もらえたらいいな程度の感情で押さえているのよ。受付嬢がクレクレオーラ全開だとプロとして失格でしょ?」

 確かにそんな受付に行きたくない……。


「あーイリスさんこの部屋じゃダメですね。狭いです、馬より少し大きいと思ってください。重さは3t程あると思います」

「エッ! ウソ? そんなに大きいの? あ、素が出ちゃった」

「あはは、その口調で良いですよ。でも、このテーブルだと乗らないですね。毛皮に傷が付いちゃうと怒られちゃうので平地がいいです。それと15体ほど魔獣の解体と買取のお願いをしたいです」

「じゃあ、裏の解体倉庫に行きますか……着いてきてください」

「その前に、ご期待どおりこれどうぞ。女性のみですが渡してあげてください」
「噂のプリンですか!? いいのです?」

「ええ、先ほど素敵な笑顔を頂きましたので」
「ふふふ、ニリスのいう通り、女泣かせな男の子ね。器は返しますね。聞けば高額な物らしいので受け取れないわ」

「別にいいですよ。沢山あるのでプレゼントします」
「皆、喜ぶと思うわ。受付嬢は高額収入だけど、容姿が売りなので任期が短いのよね……」


 イリスさんに連れられて、奥の解体倉庫に向かうのだった。
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