元厨二病な俺、異世界に召喚される!

回復師

文字の大きさ
67 / 120
商都ハーレン編

5-2 受付嬢のイリスさん

しおりを挟む
 現在受付嬢のイリスさんに連れられて、ギルドの裏手にある解体作業部屋に来ている。

「それにしても大きいですね、バナムの倍近くないですか?」
「商都なので、依頼が集まってくるから、それなりの規模になるのよね」

「『商人ある所に依頼有り』ですね」
「まさにその通りね。リョウマ君、ニリスから毎日のようにコール通話でリョウマ君たちの事を聞いていたので妙に親近感がわいちゃってて、こんなフレンドリーに話しちゃってるけど嫌じゃない?」

「全然嫌じゃないですよ? どうしてです?」
「初対面で馴れ馴れしいと思われてないか、ちょっと心配になって聞いてみたの」

「ちなみに仕事モードのイリスさんの対応だとどんな感じなんですか?」
「ふふふ、気になる? リョウマ様、フェイ様、ここが当ギルドの解体用作業倉庫になっています。もう直ぐギルド長も到着致しますので、今暫くの間お待ちくださいませ。リョウマ様より当ギルドに魔獣を売っていただけるとの事でございますが、先にそちらの鑑定を済ませたいと思っておりますが、よろしいでしょうか? 鑑定は1級鑑定士の資格を取得している、わたくしイリスが担当させていただきます」

「「…………」」

「なんで2人して黙るのよ」

「いや~何と言うか、それはそれで良いと……」

「事務的だけど、悪い気はしないでしょ? マニュアル通りだから無難な対応だよね。当たり障りが無いというか、ちゃんと礼儀正しくしてればトラブルにはなりにくいので、一応ここの受付嬢はこのくらいの言語力は持ってるわよ」

「素晴らしいです。でもさっきの話だとギルド長とやらが来るんですか?」
「そんな嫌そうな顔しなくても、悪い人じゃないので大丈夫よ」

 イケメンエルフがちょっと残念な人だったのでね……。

「魔獣はここに出せばいいのですか?」
「ええ、お願い」

 フェイが狩った分の魔獣とシルバーウルフ4体、鹿と野兎をだした。

「シルバーウルフなのですが、ギルドの方に依頼が確か出ていたと思います。依頼を受けてから相手方との交渉で剥ぎ取り方が変わるので、これはまだ保留ですかね。オーク肉と鹿肉、野兎の肉は売らないので、剥ぎ取りだけお願いします。それ以外は全部魔石込みで売りたいと思いますのでよろしくお願いします」

「お肉以外のオークの魔石や毛皮とかの素材は売ってもらえるのかな?」
「ええ、構いません。欲しいのはお肉ですので」

「スタンプボアもあるじゃない、これは売ってくれるの? イノシシ系の魔獣でとても美味しいお肉なんだけど」

「あ、それも売らないようにお願いします」

「そんなにお肉どうするの? どっか専属で肉屋さんに卸してるとかなの?」
「違いますよ、売るならちゃんとギルドを通して売ります。お肉は水神殿に寄贈しますので結構な量がいるのです。なにせ騎士も入れたら食べ盛りの若者が40人近くなりますからね」

「ああ、そういう事。オークキングやオーククイーンも寄贈したって聞いたけど本当なの?」
「本当ですよ、お肉大好きな女の子がいまして。小さいお口で頬一杯にしてもきゅもきゅしてとても美味しいそうに食べてる姿を見てしまってますので、できるだけ送るようにしています」

「そういう理由なら仕方無いですね。魔石の大きさなどもあるので鑑定は剥ぎ取り後になるけどいいかな?」

「ええ、勿論いいですよ。シルバーウルフって1頭どれぐらいの金額なのですか?」
「そうね、今の相場は15~25万ジェニーぐらいかしら。毛皮の質と獲れる魔石の質で前後するけど……」

「バナムで出ている依頼でもこちらで受けられるのですか?」
「勿論受けられるし、報酬もどこのギルドからでも受け取れるので、私に言ってくれれば手続きをするわよ」

「では、シルバーウルフの依頼手続きと、バナムで査定の終えている分の報奨をこっちで受け取る手続きをしてもらえますか? それと、ガラさんの依頼のホワイトファングウルフとサーベルタイガーの依頼もですね」

「いいけどせっかちね、もっとゆっくりお話ししたいのに」
「あ、すみません。今回護衛依頼を一緒した『灼熱の戦姫』の方たちと討伐依頼に行こうという話になってまして。それの依頼を見る為に待ってもらっていますので、ゆっくりしている時間はありません」

「あらごめんなさい、人を待たせていたなんて知らなかったので許してね」
「ええ大丈夫ですよ。時間がかかるのは相手方も解ってくれていますので。では狼と虎はこの床の方に出しますね。っとその前に【クリーン】」

「随分慎重なのね。な! なにそれ? そんなに大きいの!」
「慎重にもなりますよ。なにせこの狼、最低でも3千万ジェニーになるそうですからね。汚れ1つでもつけたらガラさんに怒られてしまいます。虎の方も相当の額になるそうですよ」


「ホーこりゃ立派な狼だな!」

 うわっ声でけー、と思って振り返ったら、身長もでかかった。この人? 2m50cmはありそうだ。

「ギルド長、挨拶を忘れてますよ」
「おおこりゃ失礼、儂がハーレン支部のギルドマスターのザック・ギガウスじゃ。ザックでよいぞ」

「アイアンランク冒険者のリョウマと妹のフェイです」

「ふむ、この王狼は兄妹で倒したのか?」
「いえ、俺一人です。妹が倒したのはそっちの虎の方です」

「嬢ちゃんもなかなかやりおるの。この猫もかなりすばしこく、力も強いので何人もの冒険者が逆に狩られておる、大したもんじゃ」

 そう言いながら、忌々しそうな顔をして蹴りやがった。気持ちは解らないでもないが、許せん!

「ああ! 蹴っちゃダメですよ! 王子と姫様の誕生祝に贈る品ですよ! 傷がついてたら弁償してもらいますからね!」

「そうなのか? それはすまなんだ。それほど力は入れておらんので大丈夫だ!」

「何言ってんだ! そんなでっかい巨体で力は入れておらんとか言っても信じられるわけないでしょ!」
「そうよ! このバカ巨人! リョウマ君大丈夫? 傷んでない?」

 イリスさん……上司に向かってそれはちょっと……。

「どうやら大丈夫のようですね。他人の数百万もする毛皮を蹴るなんて、それでギルド長とかありえんわ。姫様への誕生祝になる品なのですよ? 不敬罪とかになりませんか?」

 俺はさっさと狼と虎をインベントリに仕舞った。また蹴られてはたまったものじゃないからな。

「そんなに怒らなくても良いではないか……最近の若いもんはすぐ切れるからいかん」

「ちなみに狼の方は3千万以上しますからね。ギルド長が何かやらかしたらうちのギルドは大損ですよ。巨人族は力加減が分からないから嫌なのよ。ドアは壊すし、椅子は壊すし、コップは割るし……」

「イリスさん、この人何しにここに来たんですか?」
「ぷっ! ニリスの言ってた通り、リョウマ君もなかなか毒舌ね。でも今回は仕方ないわね」

「悪かったって。もう勘弁しておくれ。キングを倒した少年たちが来るというので、楽しみにしていたのだよ。そうしたら今度は王狼を倒したと言うではないか。顔を拝みに来たのじゃが、嫌われてしまったようじゃの」

「命がけで狩った数百万もする獲物を足蹴にされたのですよ。怒らない方がおかしいと思いますが?」
「そうじゃな、儂の配慮が足らなんだ。どうか許してほしい」

 ギルド長は大きな巨体を小さく丸め、深く頭を下げ謝罪してきた。

「謝罪をお受けします。フェイもいいな?」

「兄様、別にフェイは怒ってないよ?」
「おい、そこはちゃんと怒るとこだぞ。まあいい」

「ギルド長が人に謝るのも珍しいですね……」
「何を言っておる、悪いと思ったらちゃんと謝るわい」

「じゃあいつもは悪いと思ってないのですね」
「まぁ、そうじゃな。儂も元冒険者だからな、自分の狩った獲物を足蹴にされたら当然怒っておる」

「へー、ギルド長は冒険者だったのですか?」
「リョウマ君は知らないのね。この巨人のおじいちゃん、元Sランク冒険者『双斧破壊のザック』って二つ名持ちよ」

「おじいちゃんは酷いな、巨人族では86歳は一般人の30歳ちょっとの年齢だぞ? 儂なんかまだまだじゃ」

「それに元とか言ってるけど、このおじいちゃんめちゃくちゃ現役よ。おそらくハーレンで一番強いわよ。あの筋肉、引退した老人の体に見える?」

 ハーレンで一番強いのか、ちょっとからかってみるかな。さっきの事もこれでお相子だ。

『フェイちょっと威圧を発動する。気構えをしておけ』
『分かりました、兄様』

 俺はいきなり【王の威圧】を発動した。フェイは事前に知らせておいたので余裕で耐えたが。イリスさんはきゃーと可愛く叫んでへたり込んでしまった。そして肝心の巨人のおじいちゃんなのだが。

「へー、余裕ですね」
「ほー、嬢ちゃんも余裕であれに耐えるか」

「すみません、無礼を承知でスキルを使いました。イリスさん大丈夫ですか? パンツ見えてますよ」
「もう! びっくりしたじゃない。なんなのあれ?」

「あれはスキルなのか? 気の開放に似ておるが違うのか?」

「秘密厳守でお願いします。守れますか?」
「言うなと言われた事は、誰にも言わぬ、安心せい」

「このスキルは、オークキングを倒した時に手に入ったもので【王の威圧】と言います。さっき放ったのはそれのレベル6のモノだったのですが、素人のイリスさんですら座り込んだ程度ならあまり使えないですね」

「何を言うか、イリスはハーレンの受付嬢の一番人気の娘じゃ、当然邪な考えを持った奴も来る。そいつらに良いようにされないように、精神汚染耐性、威圧耐性、魅了耐性、魔眼耐性などの各種耐性効果のあるアクセサリーを何個も装着させておる。もちろん自己でも耐性を上げる訓練をしているじゃろう。さっきのは一般人なら気を失うほどの威圧じゃったぞ」

「そうなのですか? 初めて使ったのでどれほどの効果があるのか知りませんので、あまり使えない物かと思ってしまいました」

「時々王種はスキルを得られると聞いていたが、本当じゃったのじゃな。わしも何体か王種は倒しておるのに何も得られなんだ。何か条件があるのかもしれんな」


「おっとすみません、人を待たせているのでぼちぼち切り上げたいのですが、いいですか」
「ああ! ごめんなさいそうだったわね。すっかり忘れてたわ」

「俺は、待つのも待たせるのも嫌な性質なので。今日は帰らせてもらいます」
「ふむ、時間を取らせてしまってすまなんだな。イリス後は頼んだぞ」

「はい。それじゃリョウマ君、書類はもう出来ているので、さっきの部屋に行きましょうか」


 ギルマスに捕まると長くなりそうだったので、『灼熱の戦姫』を待たせていると言って上手く逃げ出した。

しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...