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タリス湿原
6-6 兄妹無双
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翌朝、皆より早く起きて朝食の準備を行う。
「皆さんおはようございます」
「あ、リョウマ君おはよう、随分早いのね。もう起きてたんだ」
「ん、リョウマおはよう」
「兄様、おはようございます」
『灼熱の戦姫』のお姉さま方もよく眠れたようで、良い笑顔を見せて挨拶してくれた。
「皆の朝御飯を作るのに、少しだけ早く起きただけですよ。今日は目覚めもスッキリですしね」
「兄様いつもよりスッキリした顔をなさっています……フェイがいない方がやっぱりいいのですね」
「1人の方がぐっすり寝られるからな。人の気配はない方が安眠できる」
昨晩はお風呂でのムフフタイムを思い出しながら、1人ですっきりしたってのもあるけどね!
人恋しいフェイは1人は嫌なので、ちょっとしょんぼりしてしまった。
『冬になったら竜化状態でなら抱っこして寝てやるから、朝からしょぼくれるな』
『ホントですね兄様! 約束ですよ!』
フェイは念話で少しかまってやるような事を言ってやると、すぐ破顔して良い笑顔を見せている。
単純で扱いやすい、可愛い奴だ。
「朝御飯の為に早起きさせちゃったのね。ごめんなさい、本当なら女の役割なのに」
「そうなのですか?」
「本来野営の時は、普通は女より男の方が力が強いから、男は薪集めやテント張り等の肉体労働。女はスープなどの簡単な料理を作ったりするように役割分担しているクランが多いわね。クランによって違うけど、大抵がそうしているわ。うちも前衛職が肉体労働、後衛職が食事や雑務担当よ。サーシャとサリエはどっちも器用にこなすから忙しい方に回ってくれるわ」
適材適所か……。
「なるほど、理に適ってますね」
「で……リョウマ、今日の朝御飯は何作ってくれたの?」
「皆さん肉好きなので、ワニのから揚げを一品作っていたのです。から揚げならおやつにもできるかなって思い、大量に作りました。さっき味見したけど、結構美味しかったよ。今日は間に合わないけど、このワニのから揚げ、タルタルソースも合いそうだね」
「ん、ワニの串焼き美味しかった。から揚げも楽しみ」
「と、言う訳でいつもの朝の鉄板メニューに、ワニのから揚げです」
本日の朝食
・クロワッサン
・目玉焼き
・ウインナー
・生野菜のサラダ
・コンソメスープ
・ワニのから揚げ
・各種飲み物(ミルクセーキ・ミックスジュース・バナナオレ)
「ワニのから揚げ美味しい!」
朝からから揚げだったが大好評だ。
冒険者は基礎体力が桁違いなので、カロリー消費が多いからか、朝からでもよく食べる。肉だろうが油物だろうが、朝からもりもり食べる。
美味しそうに、皆、笑顔で食べてくれるから作り甲斐もある。
「なんて言うのかな、このワニの肉って独特の食感してるよね。鳥のもも肉8:白身魚のフライ2って感じ? ちゃんと肉の歯ごたえはあるのに、白身フライのように柔らかくほぐれる食感。そもそもリョウマ君の料理で知ったんだけど、油で揚げる料理ってあまりないのよね」
サーシャさんの言うとおり、8:2って言うのは納得できる。この食感は俺からすれば異世界ならではの新しい発見で嬉しくなってくる。他にもどんな変わった珍味があるか楽しみでしょうがない。
「さて、今日の狩りなのですが、俺とフェイの2人で全部狩ります。ちょっと驚くかもしれませんが、頑張ってついて来てください」
「兄様、驚くのちょっとではないと思うのですが……本当に全部公開しちゃうのですか? 良いのですか?」
「ちょっと、フェイちゃん? 今更私たちに隠し事するの? ちょっと悲しいわ!」
「違うんです! ちょっと、えっと本当に全力で狩っていいのか心配で、その……」
「フェイ、お前の心配は解るけど、皆の事は契約で縛ってるし、ギルドには狩った獲物は小出しで価格暴落しない程度に調整するから心配するな」
「兄様が良いなら、フェイはどっちかって言うと嬉しいのですけどね」
まぁ、こいつは狩り自体が好きだからな。狩り=肉と思ってるやつだし。貴族の狩り=娯楽とはまったく違う。
スポーツハンティングではなく、狩猟なのだ……。
「装備は全部外してください。【亜空間倉庫】に収納して、身軽になって、とにかく俺たちについてくることだけに集中してください。一番心配なのはソシアなんだけど、遅れたら置いてっちゃうからね」
「装備外せって……ここは危険なタリス湿原の真っただ中なのよ? リョウマ君、無茶言わないでよ!」
「マジックシールドと物理・魔法の耐性強化のパッシブを掛けておきますから問題ないです。まぁ、俺たちの射程に入った時点で即殺ですので、皆に攻撃がいく事はまず無いです。10分も一緒に来れば俺の言ってる意味は理解できますからいう通りにしてみてください」
「はぁ、解ったけどちゃんと守ってね。正直ちょっと装備無しは不安だわ」
マチルダさん以外の面々もウンウンと頷いている。気持ちは分かるけど、装備持って俺たちについてこれると思えないのだから仕方ないでしょ。
「フェイ、右と左どっちがいい?」
「右側が良いです! 自動拾得ONにしていいのですよね?」
「そうしないと、装備外させた意味ないだろ」
「そうですよね。じゃあ、ONにしておきますね」
「フェイの狩ったやつはそっちで保管するようにな。新しく今回用に保管フォルダを作っておくと、後で整理しやすいぞ」
「解りました……『タリスのお肉』ってフォルダを作りました!」
お前はとことん食い意地が張っててブレないね。
『フェイ、勿体無いけど【殺生強奪】は切っっておくな。流石にあれはレベルが上がり過ぎるから、彼女たちによくない。経験値増加も、いつもの1/3程にしておくな』
先日経験値5倍程度入ると言っちゃったけど、熟練度と種族レベルが釣り合っていないのはあまり良くないので、今回は極力通常値にさせてもらう。
『そうですね、サリエさんたちはともかく、経験の浅いソシアさんには良くないですね』
『そういう事だ、じゃあ、肉集めるぞ』
『ハイ、兄様』
「では、最初はゆっくり行きますので付いて来てください」
最初は様子見という感じで100mを20秒ってぐらいのスピードで進んでいる……駆け足程度だ。
俺とフェイの体の周りには10個の中級魔法の【ウインダラカッター】が常に衛星のように舞っている。周辺探索で索敵した魔獣が射程に入った時点で自動に飛んで行って首を落とすのだ。一発で首が落ちなかったものは2発目が即時に追撃する。それが絶命するまで続くのだ。
カエルを2匹倒した時点で、皆がちょっと待て!って言っていろいろ質問してきた。
オリジナルスキルの【自動拾得】があるので、魔法の射程内で倒したものは勝手に【亜空間倉庫】に入るとだけ簡単に説明し、無理やり納得させた。15分程このペースで進んだが、皆、余裕でついて来ている。
「少しペースを上げますね! 【レビテラ】を皆に掛けますので、小さな水溜りや池なんかは迂回せずに直進して飛び越えながら進みます。【レビテト】より重力制御がしやすくなるので上手く扱って慣れてください」
今現在100mを14秒程のスピードに上げている。中学生の100m走の平均ぐらいだろうか? これも皆、余裕のようだ。流石ゴールドランク、基礎ステータスが違うのだ。
このスピードでは大きめの池は飛び越えられないので、さらにスピードを上げる。今は100mを10秒程だ、これはもう全国レベルの陸上選手並みだ。日本人はまだ10秒を切る選手がいないと言えばこのスピードの速さが大体理解できるだろう。
時速で言えば36km、ナビー案内で居場所は分かってるから1時間以内に水牛にあえるだろう。
「兄様! 牛さんいました! 美味しそうです!」
「美味しそうには見えないだろ? お前の目に、あの凶暴そうな牛がどう見えてるのか不思議で理解ができないぞ」
10頭程の小さな群れだ。ナビーがいうには、最近ワニに何度か襲われて減ってしまったのだとか。と、いう事は近くにワニが居る……そいつもこの後当然狩って行く。俺の牛さん食いやがって、ユルサンゾ!
牛は仲間がやられたら基本どちらかが全滅するまで追い回すそうだ。
だが、ワニは自分が腹一杯になったら水中に帰るそうで、数を減らし10頭生き残っているようだ。
その牛も俺に瞬殺で狩られてしまったのだが、500mほど離れたところにいたワニが問題だった。
昨日狩ったワニと違ってデカいのだ。中級の魔法は硬くて厚い鱗に弾かれてしまった。つまり今のフェイでは竜化でもしない限り倒せないという事だ。
「ちょっと皆さんは下がっていてくださいね。こいつ予想以上に硬いので上級魔法で倒します。余波に巻き込まれないように、フェイの後ろにいてください」
【レビテガ】で上空に上がり、【ウインダガカッター】10連弾を放ったのだがそれでも首は落ちなかった。深手は与えたのでほっといても死にそうだなと見ていたら、いきなりジャンプしてパックンしてきて超焦った。追撃の10連弾で首を落とし勝利したのだが、まだ心臓がバクバクいっている。こいつ王狼より強くね?と思ってしまったほどだ。
「兄様、油断し過ぎです! あと2m程でパックンチョされてましたよ!」
「正直、超焦った! まだドキドキしている……まさかワニがジャンプするとは思っていなかった」
「見てたこっちもドキドキよ! あんまり無茶はしないでよね!」
「ん! キューってなった! 心配させるのはダメ!」
「リョウマ君、ワニは上からは硬いのよ。下側の鱗の薄いお腹や首を狙うの。上からは悪手よ」
成程……王種の王狼の方が断然強いらしい。俺の戦い方が悪かったようだ。態々硬い部分に一生懸命無駄な魔力を出して攻撃していたようだ。この辺でベテラン組との差が出るんだよな。
ナビーから、またひやひやとした冷たい視線を感じる。
最近は俺が不甲斐無い戦闘をしたら、『ハァ~』とか聞こえるように溜息つきやがる。
ワニ退治から少し進んだところに、直径が5㎞程もある湖があった。
「ん、これがタリス湖。タリス湿原の名前の元になった所」
「やたらと水が澄んでて綺麗ですね」
「湖全体の至る所から湧水が出ていて、この溢れた水が粘土質の地層の上に溜まって広大な湿原が出来たそうよ」
「でもこの湖の周辺は超危険地帯なんですよ。ワニやナマズや大蛇なんかもいますし、カエルも一杯なので毒にも注意ですね」
「地図で言えば湖の北北東にワニの主みたいなのが居ますね。あまり大きいのはどんなものもそうですが、食用に向かないので放置しますね。王種だったら狩りますが、ただ大きいだけのようですので、魔石は欲しいですが、今回は手出ししません。湖の南南西にナマズ3匹とワニ2匹いますのでそれを狩って、帰りに目星をつけている16頭の群れの牛を狩ってから戻ろうと思います。帰りもルートを少し変えて、狩りながら帰りますので結構稼げるはずです。既に1人頭300万は余裕で超えていますけどね」
「300万って、冗談でしょ!?」
「ここまでの道中の魔獣を全狩りしたんですよ。それぐらいは狩っています。肉メインなので意図して昆虫系は避けてきましたが、素材が売れるカマキリやトンボや糸蜘蛛は狩ってきましたからね」
「兄様? トンボってどの部位が売れるのですか? 食用です?」
「お前は食べることになったら、虫でも食うんだな……俺はちょっと虫は苦手だ」
「ん、トンボの羽が明かり窓になる。そこそこの値で売れる」
「サリエさん、流石ですね。いろいろ知識があると狩り漏れが減って、良い素材だけ狙えますから、知識は大事ですよね」
「ん、太陽の光を通すと虹色に輝く! トンボ羽の窓は、ガラス窓より人気がある」
俺が褒めた事で気を良くしたのか、更なる豆知識を披露してくれた。サリエさんの言う窓ガラスとは、俺たちの言うところの擦りガラスのようなものだ。俺が神殿の宿舎に付けたような透過率の高い透明なガラスはまだこの世界では開発されていないのだ。不純物を綺麗に取り除く事ができないと、透明にはならないからだ。
ナマズのいる狩場に到着した。
「リョウマ君? 湖の底にいるナマズをどうやって狩るのかな? まさか水を沼でやった時みたいに吸い上げるとかじゃないでしょ?」
「流石に無理ですよ、しかも絶えず湧き水が出ているんですから」
「だよね? じゃあ、どうするの?」
「こんなのを作って見ました!」
「槍? 投槍かな?」
「そうです、ミスリル鉱石10%入りの投槍です。2m程長さがあって、先は反しが付いていて一度刺さるとそうそう抜けないようになっています。槍の後ろには50m程鎖が付いています。俺が【レビテト】で湖の上からこれをナマズにぶっ刺しますので、引き上げるのを手伝ってください」
「リョウマ、ムリ! 私たち、湖に引きずり込まれちゃうよ!」
「大丈夫ですよ。何のためにロープじゃなくて鎖なのか考えてみてください」
「ん、雷で感電? でもナマズも雷属性……それに私たちまで感電する?」
「エッ!? 雷属性? そうなんですか?」
「リョウマ! 逆に私たちの方が感電死しちゃうところだったじゃない!」
「まさかデンキナマズと思ってなかった……どうしようかな」
「とりあえず1回やってみる?」
【レビテガ】を掛け【アクアガシールド】と念のため【ウインダガシールド】を掛けた。全部上級魔法にしたのは、さっきのワニのせいだ。ちょっとビビりになっているんだが、MPにまだ余裕が有るのだから、慎重な方がいいだろう。
MAPを見ながら、ゆっくりナマズの背後になるように水中に潜って行った。
水が透明なので入水したらすぐに発見できた。
5m程の距離まで近づいたら気付かれてしまったのだが、全く逃げる気配がない。それどころか大口を開けて襲ってきたので、頭部を狙って思いっきり槍を突き刺した! 一瞬電気を発生させたが、耐性の高い俺にはビリッと来た程度でダメージは全くなかった。
お返しに【サンダガボール】を鎖に落としたらそのまま逝ったようだ。この発想は青森のマグロ漁のドキュメントで電気ショッカーとか言って放映されてたものがヒントなのだが、正直ゴム手袋が欲しいと思った。
なにせナマズの電気より、自分の魔法のダメージの方がでかいのだ。
発想はいいのだが改善の余地ありだ。
潜ったままナマズとワニも狩り終えて皆の待っている所に戻った。
「遅いわよ! ナマズに食われちゃったんじゃないかって心配したんだからね!」
「ごめん、水が澄んでたから潜ったまま移動して全部狩ってきた。そういう事だからもう帰ろうか」
「狩ってきたって? まさかナマズ3、ワニ2って事?」
「そうだよ。頭に差してビリッてやたら一発だね……予想通りだった。神殿への寄付分と、俺たちが食べる分はワニもナマズも1匹あれば十分だからもう帰るよ」
「リョウマといると、私の価値観と言うか世界観がいろいろおかしくなっちゃったわ」
「う~ん、Sランク冒険者もこんな感じじゃないんですか?」
「噂じゃ、そんな感じね。いろいろぶっ飛んでる辺りはリョウマと一緒よ。Sランクの人たちもどっかもう人間辞めてるような人たちだって聞くし、それでもなんとなくリョウマの方が凄いと思うけど……」
「そのうち会ってみたいですね」
「あんたなら、そのうち会えるんじゃない? 類は友を呼ぶじゃないけど、そんな気がするわ」
途中で牛さん16頭をサクッと回収して、お昼の時間になったので、朝仕込んだものを取り出した。
「さぁ、皆さん鰻丼を食べましょう! 甘辛いタレを塗って、土佐備長炭で炭焼きにします!」
「とさびんちょうたんってなんです? 初めて聞く言葉だわ?」
「ほら、この炭の事ですけど、製法が特殊で、軽いかさかさに仕上がるのではなく、重くずっしりして炭同士をぶつけるとキンキンと金属音がするほど硬く濃密な炭です」
「ホントだ、キンキンって音するね! 不思議」
「この炭で焼くと、とっても美味しいんですよ。本当は昨日のバーベキューもこっちの方が美味しいのですが、炭を作るのに手間がかかりますから、特別な物を焼くとき限定にしています。今日は鰻なのでこの炭を使います。次は焼肉かな。楽しみですね」
炭がおこったら、朝開いて串に刺していた鰻を焼いていく。8人の視線が鰻に釘づけだ。だが本当の見せ場はここからなのだ。ある程度焼けたら朝仕込んだタレに浸けさらに焼く! 醤油ダレの甘芳ばしい独特な匂いが辺りに漂う。
ウヒョー、もう涎が垂れそうだ! 周りからもゴクンと生唾を飲む音が聞こえる。
「ん! なんかヤバい! これは危険! 今ここで食べれなかったら、一生夢に出そう……」
「この匂いは危険ね! リョウマ君まだなの!?」
「もう少しです。1回だとまだ味が馴染んでいません。慌てると駄目です。更にタレに浸けて……3回程は繰り返した方が旨いです。やりすぎても身が硬くなって焦がしちゃいますので見極めが大事です。さぁ、出来た! これを食べやすい大きさに切って、アツアツのご飯に乗せて、さらにタレを少し掛けて完成! この肝のお吸い物と一緒にどうぞ!」
「ん! 美味しい! リョウマ……おかわりしてイイ?」
「ありますよ。どんどん食べてください」
「おかわり良いのです? これは3杯はいけそうです!」
「兄様! おかわり!」
「って、フェイ! もっと味わって食えよ! ほれ、どんぶり寄こせ……飲み物じゃないんだから、ちゃんと噛むんだぞ」
鰻丼は大好評で食べ終えた。
湖は地点登録したので、鰻用に竹筒でも作って、テレポで漁に来てもいいかな……と、思うほど旨かった。
マチルダさんに渡し船を3時に依頼してもらい、狩りながら帰路についたのだった。
「皆さんおはようございます」
「あ、リョウマ君おはよう、随分早いのね。もう起きてたんだ」
「ん、リョウマおはよう」
「兄様、おはようございます」
『灼熱の戦姫』のお姉さま方もよく眠れたようで、良い笑顔を見せて挨拶してくれた。
「皆の朝御飯を作るのに、少しだけ早く起きただけですよ。今日は目覚めもスッキリですしね」
「兄様いつもよりスッキリした顔をなさっています……フェイがいない方がやっぱりいいのですね」
「1人の方がぐっすり寝られるからな。人の気配はない方が安眠できる」
昨晩はお風呂でのムフフタイムを思い出しながら、1人ですっきりしたってのもあるけどね!
人恋しいフェイは1人は嫌なので、ちょっとしょんぼりしてしまった。
『冬になったら竜化状態でなら抱っこして寝てやるから、朝からしょぼくれるな』
『ホントですね兄様! 約束ですよ!』
フェイは念話で少しかまってやるような事を言ってやると、すぐ破顔して良い笑顔を見せている。
単純で扱いやすい、可愛い奴だ。
「朝御飯の為に早起きさせちゃったのね。ごめんなさい、本当なら女の役割なのに」
「そうなのですか?」
「本来野営の時は、普通は女より男の方が力が強いから、男は薪集めやテント張り等の肉体労働。女はスープなどの簡単な料理を作ったりするように役割分担しているクランが多いわね。クランによって違うけど、大抵がそうしているわ。うちも前衛職が肉体労働、後衛職が食事や雑務担当よ。サーシャとサリエはどっちも器用にこなすから忙しい方に回ってくれるわ」
適材適所か……。
「なるほど、理に適ってますね」
「で……リョウマ、今日の朝御飯は何作ってくれたの?」
「皆さん肉好きなので、ワニのから揚げを一品作っていたのです。から揚げならおやつにもできるかなって思い、大量に作りました。さっき味見したけど、結構美味しかったよ。今日は間に合わないけど、このワニのから揚げ、タルタルソースも合いそうだね」
「ん、ワニの串焼き美味しかった。から揚げも楽しみ」
「と、言う訳でいつもの朝の鉄板メニューに、ワニのから揚げです」
本日の朝食
・クロワッサン
・目玉焼き
・ウインナー
・生野菜のサラダ
・コンソメスープ
・ワニのから揚げ
・各種飲み物(ミルクセーキ・ミックスジュース・バナナオレ)
「ワニのから揚げ美味しい!」
朝からから揚げだったが大好評だ。
冒険者は基礎体力が桁違いなので、カロリー消費が多いからか、朝からでもよく食べる。肉だろうが油物だろうが、朝からもりもり食べる。
美味しそうに、皆、笑顔で食べてくれるから作り甲斐もある。
「なんて言うのかな、このワニの肉って独特の食感してるよね。鳥のもも肉8:白身魚のフライ2って感じ? ちゃんと肉の歯ごたえはあるのに、白身フライのように柔らかくほぐれる食感。そもそもリョウマ君の料理で知ったんだけど、油で揚げる料理ってあまりないのよね」
サーシャさんの言うとおり、8:2って言うのは納得できる。この食感は俺からすれば異世界ならではの新しい発見で嬉しくなってくる。他にもどんな変わった珍味があるか楽しみでしょうがない。
「さて、今日の狩りなのですが、俺とフェイの2人で全部狩ります。ちょっと驚くかもしれませんが、頑張ってついて来てください」
「兄様、驚くのちょっとではないと思うのですが……本当に全部公開しちゃうのですか? 良いのですか?」
「ちょっと、フェイちゃん? 今更私たちに隠し事するの? ちょっと悲しいわ!」
「違うんです! ちょっと、えっと本当に全力で狩っていいのか心配で、その……」
「フェイ、お前の心配は解るけど、皆の事は契約で縛ってるし、ギルドには狩った獲物は小出しで価格暴落しない程度に調整するから心配するな」
「兄様が良いなら、フェイはどっちかって言うと嬉しいのですけどね」
まぁ、こいつは狩り自体が好きだからな。狩り=肉と思ってるやつだし。貴族の狩り=娯楽とはまったく違う。
スポーツハンティングではなく、狩猟なのだ……。
「装備は全部外してください。【亜空間倉庫】に収納して、身軽になって、とにかく俺たちについてくることだけに集中してください。一番心配なのはソシアなんだけど、遅れたら置いてっちゃうからね」
「装備外せって……ここは危険なタリス湿原の真っただ中なのよ? リョウマ君、無茶言わないでよ!」
「マジックシールドと物理・魔法の耐性強化のパッシブを掛けておきますから問題ないです。まぁ、俺たちの射程に入った時点で即殺ですので、皆に攻撃がいく事はまず無いです。10分も一緒に来れば俺の言ってる意味は理解できますからいう通りにしてみてください」
「はぁ、解ったけどちゃんと守ってね。正直ちょっと装備無しは不安だわ」
マチルダさん以外の面々もウンウンと頷いている。気持ちは分かるけど、装備持って俺たちについてこれると思えないのだから仕方ないでしょ。
「フェイ、右と左どっちがいい?」
「右側が良いです! 自動拾得ONにしていいのですよね?」
「そうしないと、装備外させた意味ないだろ」
「そうですよね。じゃあ、ONにしておきますね」
「フェイの狩ったやつはそっちで保管するようにな。新しく今回用に保管フォルダを作っておくと、後で整理しやすいぞ」
「解りました……『タリスのお肉』ってフォルダを作りました!」
お前はとことん食い意地が張っててブレないね。
『フェイ、勿体無いけど【殺生強奪】は切っっておくな。流石にあれはレベルが上がり過ぎるから、彼女たちによくない。経験値増加も、いつもの1/3程にしておくな』
先日経験値5倍程度入ると言っちゃったけど、熟練度と種族レベルが釣り合っていないのはあまり良くないので、今回は極力通常値にさせてもらう。
『そうですね、サリエさんたちはともかく、経験の浅いソシアさんには良くないですね』
『そういう事だ、じゃあ、肉集めるぞ』
『ハイ、兄様』
「では、最初はゆっくり行きますので付いて来てください」
最初は様子見という感じで100mを20秒ってぐらいのスピードで進んでいる……駆け足程度だ。
俺とフェイの体の周りには10個の中級魔法の【ウインダラカッター】が常に衛星のように舞っている。周辺探索で索敵した魔獣が射程に入った時点で自動に飛んで行って首を落とすのだ。一発で首が落ちなかったものは2発目が即時に追撃する。それが絶命するまで続くのだ。
カエルを2匹倒した時点で、皆がちょっと待て!って言っていろいろ質問してきた。
オリジナルスキルの【自動拾得】があるので、魔法の射程内で倒したものは勝手に【亜空間倉庫】に入るとだけ簡単に説明し、無理やり納得させた。15分程このペースで進んだが、皆、余裕でついて来ている。
「少しペースを上げますね! 【レビテラ】を皆に掛けますので、小さな水溜りや池なんかは迂回せずに直進して飛び越えながら進みます。【レビテト】より重力制御がしやすくなるので上手く扱って慣れてください」
今現在100mを14秒程のスピードに上げている。中学生の100m走の平均ぐらいだろうか? これも皆、余裕のようだ。流石ゴールドランク、基礎ステータスが違うのだ。
このスピードでは大きめの池は飛び越えられないので、さらにスピードを上げる。今は100mを10秒程だ、これはもう全国レベルの陸上選手並みだ。日本人はまだ10秒を切る選手がいないと言えばこのスピードの速さが大体理解できるだろう。
時速で言えば36km、ナビー案内で居場所は分かってるから1時間以内に水牛にあえるだろう。
「兄様! 牛さんいました! 美味しそうです!」
「美味しそうには見えないだろ? お前の目に、あの凶暴そうな牛がどう見えてるのか不思議で理解ができないぞ」
10頭程の小さな群れだ。ナビーがいうには、最近ワニに何度か襲われて減ってしまったのだとか。と、いう事は近くにワニが居る……そいつもこの後当然狩って行く。俺の牛さん食いやがって、ユルサンゾ!
牛は仲間がやられたら基本どちらかが全滅するまで追い回すそうだ。
だが、ワニは自分が腹一杯になったら水中に帰るそうで、数を減らし10頭生き残っているようだ。
その牛も俺に瞬殺で狩られてしまったのだが、500mほど離れたところにいたワニが問題だった。
昨日狩ったワニと違ってデカいのだ。中級の魔法は硬くて厚い鱗に弾かれてしまった。つまり今のフェイでは竜化でもしない限り倒せないという事だ。
「ちょっと皆さんは下がっていてくださいね。こいつ予想以上に硬いので上級魔法で倒します。余波に巻き込まれないように、フェイの後ろにいてください」
【レビテガ】で上空に上がり、【ウインダガカッター】10連弾を放ったのだがそれでも首は落ちなかった。深手は与えたのでほっといても死にそうだなと見ていたら、いきなりジャンプしてパックンしてきて超焦った。追撃の10連弾で首を落とし勝利したのだが、まだ心臓がバクバクいっている。こいつ王狼より強くね?と思ってしまったほどだ。
「兄様、油断し過ぎです! あと2m程でパックンチョされてましたよ!」
「正直、超焦った! まだドキドキしている……まさかワニがジャンプするとは思っていなかった」
「見てたこっちもドキドキよ! あんまり無茶はしないでよね!」
「ん! キューってなった! 心配させるのはダメ!」
「リョウマ君、ワニは上からは硬いのよ。下側の鱗の薄いお腹や首を狙うの。上からは悪手よ」
成程……王種の王狼の方が断然強いらしい。俺の戦い方が悪かったようだ。態々硬い部分に一生懸命無駄な魔力を出して攻撃していたようだ。この辺でベテラン組との差が出るんだよな。
ナビーから、またひやひやとした冷たい視線を感じる。
最近は俺が不甲斐無い戦闘をしたら、『ハァ~』とか聞こえるように溜息つきやがる。
ワニ退治から少し進んだところに、直径が5㎞程もある湖があった。
「ん、これがタリス湖。タリス湿原の名前の元になった所」
「やたらと水が澄んでて綺麗ですね」
「湖全体の至る所から湧水が出ていて、この溢れた水が粘土質の地層の上に溜まって広大な湿原が出来たそうよ」
「でもこの湖の周辺は超危険地帯なんですよ。ワニやナマズや大蛇なんかもいますし、カエルも一杯なので毒にも注意ですね」
「地図で言えば湖の北北東にワニの主みたいなのが居ますね。あまり大きいのはどんなものもそうですが、食用に向かないので放置しますね。王種だったら狩りますが、ただ大きいだけのようですので、魔石は欲しいですが、今回は手出ししません。湖の南南西にナマズ3匹とワニ2匹いますのでそれを狩って、帰りに目星をつけている16頭の群れの牛を狩ってから戻ろうと思います。帰りもルートを少し変えて、狩りながら帰りますので結構稼げるはずです。既に1人頭300万は余裕で超えていますけどね」
「300万って、冗談でしょ!?」
「ここまでの道中の魔獣を全狩りしたんですよ。それぐらいは狩っています。肉メインなので意図して昆虫系は避けてきましたが、素材が売れるカマキリやトンボや糸蜘蛛は狩ってきましたからね」
「兄様? トンボってどの部位が売れるのですか? 食用です?」
「お前は食べることになったら、虫でも食うんだな……俺はちょっと虫は苦手だ」
「ん、トンボの羽が明かり窓になる。そこそこの値で売れる」
「サリエさん、流石ですね。いろいろ知識があると狩り漏れが減って、良い素材だけ狙えますから、知識は大事ですよね」
「ん、太陽の光を通すと虹色に輝く! トンボ羽の窓は、ガラス窓より人気がある」
俺が褒めた事で気を良くしたのか、更なる豆知識を披露してくれた。サリエさんの言う窓ガラスとは、俺たちの言うところの擦りガラスのようなものだ。俺が神殿の宿舎に付けたような透過率の高い透明なガラスはまだこの世界では開発されていないのだ。不純物を綺麗に取り除く事ができないと、透明にはならないからだ。
ナマズのいる狩場に到着した。
「リョウマ君? 湖の底にいるナマズをどうやって狩るのかな? まさか水を沼でやった時みたいに吸い上げるとかじゃないでしょ?」
「流石に無理ですよ、しかも絶えず湧き水が出ているんですから」
「だよね? じゃあ、どうするの?」
「こんなのを作って見ました!」
「槍? 投槍かな?」
「そうです、ミスリル鉱石10%入りの投槍です。2m程長さがあって、先は反しが付いていて一度刺さるとそうそう抜けないようになっています。槍の後ろには50m程鎖が付いています。俺が【レビテト】で湖の上からこれをナマズにぶっ刺しますので、引き上げるのを手伝ってください」
「リョウマ、ムリ! 私たち、湖に引きずり込まれちゃうよ!」
「大丈夫ですよ。何のためにロープじゃなくて鎖なのか考えてみてください」
「ん、雷で感電? でもナマズも雷属性……それに私たちまで感電する?」
「エッ!? 雷属性? そうなんですか?」
「リョウマ! 逆に私たちの方が感電死しちゃうところだったじゃない!」
「まさかデンキナマズと思ってなかった……どうしようかな」
「とりあえず1回やってみる?」
【レビテガ】を掛け【アクアガシールド】と念のため【ウインダガシールド】を掛けた。全部上級魔法にしたのは、さっきのワニのせいだ。ちょっとビビりになっているんだが、MPにまだ余裕が有るのだから、慎重な方がいいだろう。
MAPを見ながら、ゆっくりナマズの背後になるように水中に潜って行った。
水が透明なので入水したらすぐに発見できた。
5m程の距離まで近づいたら気付かれてしまったのだが、全く逃げる気配がない。それどころか大口を開けて襲ってきたので、頭部を狙って思いっきり槍を突き刺した! 一瞬電気を発生させたが、耐性の高い俺にはビリッと来た程度でダメージは全くなかった。
お返しに【サンダガボール】を鎖に落としたらそのまま逝ったようだ。この発想は青森のマグロ漁のドキュメントで電気ショッカーとか言って放映されてたものがヒントなのだが、正直ゴム手袋が欲しいと思った。
なにせナマズの電気より、自分の魔法のダメージの方がでかいのだ。
発想はいいのだが改善の余地ありだ。
潜ったままナマズとワニも狩り終えて皆の待っている所に戻った。
「遅いわよ! ナマズに食われちゃったんじゃないかって心配したんだからね!」
「ごめん、水が澄んでたから潜ったまま移動して全部狩ってきた。そういう事だからもう帰ろうか」
「狩ってきたって? まさかナマズ3、ワニ2って事?」
「そうだよ。頭に差してビリッてやたら一発だね……予想通りだった。神殿への寄付分と、俺たちが食べる分はワニもナマズも1匹あれば十分だからもう帰るよ」
「リョウマといると、私の価値観と言うか世界観がいろいろおかしくなっちゃったわ」
「う~ん、Sランク冒険者もこんな感じじゃないんですか?」
「噂じゃ、そんな感じね。いろいろぶっ飛んでる辺りはリョウマと一緒よ。Sランクの人たちもどっかもう人間辞めてるような人たちだって聞くし、それでもなんとなくリョウマの方が凄いと思うけど……」
「そのうち会ってみたいですね」
「あんたなら、そのうち会えるんじゃない? 類は友を呼ぶじゃないけど、そんな気がするわ」
途中で牛さん16頭をサクッと回収して、お昼の時間になったので、朝仕込んだものを取り出した。
「さぁ、皆さん鰻丼を食べましょう! 甘辛いタレを塗って、土佐備長炭で炭焼きにします!」
「とさびんちょうたんってなんです? 初めて聞く言葉だわ?」
「ほら、この炭の事ですけど、製法が特殊で、軽いかさかさに仕上がるのではなく、重くずっしりして炭同士をぶつけるとキンキンと金属音がするほど硬く濃密な炭です」
「ホントだ、キンキンって音するね! 不思議」
「この炭で焼くと、とっても美味しいんですよ。本当は昨日のバーベキューもこっちの方が美味しいのですが、炭を作るのに手間がかかりますから、特別な物を焼くとき限定にしています。今日は鰻なのでこの炭を使います。次は焼肉かな。楽しみですね」
炭がおこったら、朝開いて串に刺していた鰻を焼いていく。8人の視線が鰻に釘づけだ。だが本当の見せ場はここからなのだ。ある程度焼けたら朝仕込んだタレに浸けさらに焼く! 醤油ダレの甘芳ばしい独特な匂いが辺りに漂う。
ウヒョー、もう涎が垂れそうだ! 周りからもゴクンと生唾を飲む音が聞こえる。
「ん! なんかヤバい! これは危険! 今ここで食べれなかったら、一生夢に出そう……」
「この匂いは危険ね! リョウマ君まだなの!?」
「もう少しです。1回だとまだ味が馴染んでいません。慌てると駄目です。更にタレに浸けて……3回程は繰り返した方が旨いです。やりすぎても身が硬くなって焦がしちゃいますので見極めが大事です。さぁ、出来た! これを食べやすい大きさに切って、アツアツのご飯に乗せて、さらにタレを少し掛けて完成! この肝のお吸い物と一緒にどうぞ!」
「ん! 美味しい! リョウマ……おかわりしてイイ?」
「ありますよ。どんどん食べてください」
「おかわり良いのです? これは3杯はいけそうです!」
「兄様! おかわり!」
「って、フェイ! もっと味わって食えよ! ほれ、どんぶり寄こせ……飲み物じゃないんだから、ちゃんと噛むんだぞ」
鰻丼は大好評で食べ終えた。
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