120 / 120
水神殿への帰還
8-23 ゆで卵
しおりを挟む
俺はレース仕様車よりアメリカンタイプの方が好みだ。ただ一番大事なかっこいい重低音が無いのは残念だ。
実際音があればあったで問題なんだけどね。あれほどの重低音で街道を爆走したら魔獣がわんさかきて、トレイン状態になるのは間違いない。サイレント仕様の今の方が現実的に考えればベストなのだ。
試乗ドライブを終え、村の宿屋に帰ってきたのだが、フェイがこっちを時々チラ見する。
チラ見の視線を感じるのだが、何も言ってこない……言ってこないが俺には分かっている。卵だ。
「フェイ、お前ゆで卵が食いたいんだろ?」
「う~、だって凄く美味しいって村の人が言ってるんだもん!」
「村の者も滅多に食べないそうだぞ。売れば結構いい値になるそうだから、大抵は食べるのを我慢して売るって言ってた。村の風習として、子供が16の成人になる年に村長がプレゼントするってのが50年ほど前からあるらしいけど、それ以外では偶に沢山とれた年に食べる程度らしいぞ」
「兄様、3時のおやつにって言ってました! もうすぐ3時です!」
「はぁ? 俺は何も言ってないだろう! お前が勝手に俺の心内を読んだだけだろうが!? この食い意地の張った駄竜!」
「う~!」
少し涙目になっている。可愛い奴だ。
「まぁ、冗談だ。俺の工房内で今、作ってる。俺はちょっとだけ黄身が半熟っぽいのが好きだからナビーに任せたんだ。大きいから俺と半分こだぞ。デイルさんが今日の夕飯も張り切ってくれてるはずだから、お腹一杯で食べれないとか失礼だからな」
今作ってると聞いてフェイは大はしゃぎだ。
卵はダチョウの卵よりは少し小さめだが、結構な大きさがある。半分でも鶏の5つ分は有りそうだ。
皿を2つ出し、できたてのアツアツのゆで卵を半分に切る。とろ~と少量黄身が流れ出す。中心付近は半熟だが白身は綺麗に固まっていて完璧俺の好みだ!
「フェイは今回頑張って獲ってきたからな。味見としてメリルたちには内緒で先に食べさせてやる」
アツアツのゆで卵に少量の塩を振って齧りついた。
旨い! 鶏の卵とは比べようがないほど濃厚なまろやかなコクがある。とろっとろの黄身が旨いのだ。
「兄様! 美味しいです!」
「ただのゆで卵なのにマジ旨いな。1人1個でも良かったな。フェイ、でも我慢だぞ。夕飯はもっと美味しいのが出るからな」
正直もっと食べたいのを我慢したほどだ。残りは神殿で巫女たちと一緒に食べる事にする。
夕刻にナシル親子が帰ってきた。
薬草を沢山採ってきたようだ。
村の男たちは本来外部の人間には秘密の採取場所を、惜しみなくナシルさんに教えたようだ。
「どうですか? いろいろ勉強になりましたか?」
「はい、この辺の魔獣は強い魔獣はいないのですね?」
「水神殿があるこの霊峰の山の影響らしいね。神殿に近づくほど弱い魔獣しか居なくなるんだって。サンダーバードはここじゃ強い部類だね。ソシリアの森周辺に比べたら、ここは比較的安全だよ」
「メリルが神殿に上がったら、ここへの移住も良いと思っていますが、リョウマ君はどう思います?」
「ナシルさんが良いと思うのであれば良いんじゃないですか? ここの住人は神殿関係者には激甘ですからね。メリルが神殿巫女になったのなら、その母親のナシルさんは大歓迎されるはずですよ。村の男の中に良い男でも居ましたか?」
「そういう方は居ませんでしたが、悪い方は居ないようでした。それに今はまだ再婚は考えられません」
「そうですか。ちなみに今直ぐとかでなく、ガラさんみたいな感じの人はどうですか? それと門番のダラスさんみたいな人とかはどうです?」
「ガラさんですか? 彼は素敵な方だと思います。私のような子持ちの未亡人では釣り合わないですね。ああいう方は、貴族のご令嬢の三女あたりの美しい女性が嫁がれてくるのでしょうね」
「まぁ、本来はそうなんでしょうね。名ばかりの落ちぶれ貴族が、融資目当てで三女、四女あたりを押し付けるのが大商人の嫁に多いそうです。ガラさんはそれを嫌って未だに独身なんだそうです」
「そうなのですか? 大商人にもなると気苦労もあって大変なのですね」
「ですね。本来貴族の圧力で融資をさせた上で渋々結婚するのがパターンなのですが、ガラさんは王族や公爵家とも懇意にしていて、他の貴族も下手にチョッカイを掛けてこないんだそうです」
「それは凄いですね。王族と知り合いなんて本当に凄いです。でも、私はまだ直ぐに再婚とかは考えられないですね。まだ亡くなった主人の事を愛していますから……」
俺は亡くなった旦那さんと会った事なかったから、その辺をあまり気にしていなかったが、この質問はちょっと軽率だったかもしれないな。まだ亡くなってあまり経っていないのだ。こちらの世界の女性は、庇護を求めて甲斐性のある男性に直ぐ再婚すると聞いたけど、そういうのは人にもよるんだろうな。ナシルさんは、そう簡単に割り切れないタイプのようだ。
「メリルはガラさんは好きか?」
「う~ん、ガラさんならお母さんをあげてもいいかな」
「あはは、メリルの方がお母さんみたいな言い方するんだな。ちなみに門番の人はどうだ?」
「門番の人はダメ……冒険者の人はお父さんみたいに急に死んじゃいそうだから。もうお母さんに悲しい思いはさせたくない」
「あの人、マチルダさんと同じくらい強いんだぞ。そう簡単には死なないと思うけど……まぁ、冒険者だと不安だよな」
「そうなんだ。強いんだね。う~ん、でもやっぱりダメ。お父さんと違って、なんか酒癖悪そうだもん」
「ヒャハハ、ダラスさんはダメか~。じゃあ、俺はどうだ?」
「リョウマお兄ちゃんは絶対ダメ!」
「え~絶対ダメなのか? 確かに一回り以上年は離れてるけど。俺、結構稼ぎは良いだろ? 優良物件だと思うんだけど、メリルに拒否られると、ちょっとショックだ」
「違うの! お兄ちゃんはメリルと結婚すればいいの! メリルとなら4つしか歳も変わらないし、将来は神殿巫女様なのだからお兄ちゃんも自慢できるでしょ?」
「あらあら、この子ったら。うふふ、リョウマ君にお熱なのね」
メリルは可愛くなるだろうが、中身28歳の俺からすれば相手にできない。
この世界の15歳の少年から見れば、おそらくメリルは可愛いから恋愛対象として見れるのかもしれない。既に多少の胸の膨らみもある。この年齢の女子は日毎に女らしくなっていくことだろう。
「あ、そうだ。明日の予定を変更しようと思う。徒歩であと4日程なのだけど、転移魔法で行く事にする。いろいろ考えたんだけど。この後の魔獣が弱すぎて練習にも経験値にもならないんだよ。走ると肉体強化にはなるんだけど、そんなのどこでもできるしね」
「私たちはそれで構いません。では、明日には到着ですね」
「メリルどきどきしてきた!」
念の為にフィリアには報告しておいた。ちょっとだけ怒られちゃった。
『4日後と言うから、それに合わせて準備をいろいろするつもりだったのじゃ!』だそうだ。
メリルの大歓迎会をする予定が、小規模なものになると文句を言ってきたのだ。
ならやはり予定通りに行こうかと言ったら、『すぐくるのじゃ!』と否定する。
さて夕飯だ。
「今日もパメラさん、同席するんですね」
「当然じゃない。こんな美味しいもの、当分食べられないからね。なんかお父さんも張り切っていたし、凄く楽しみ」
「それを聞いたら、俺も早く食べたいですね」
今日の夕飯
・牛肉のカルパッチョ風
・ワニのバターソテー
・サンダーバードの岩塩蒸し
・生野菜のサラダ
・野菜の塩スープ
・ミルクセーキ
・プリン
「こりゃまた旨いですね! デイルさん、このカルパッチョのソースはどうやって作ったのですか?」
「カルパッチョ?」
「牛の生肉を薄くスライスしたものに、チーズやこういったソースをかけたものを、俺のいた村ではそう言ってたのです。このソース旨いですね」
「ルコルの実を絞って火にかけて塩コショウで味を調えただけだよ」
「へ~、岩塩蒸しも手が込んでますね。丁度いい塩加減です」
「兄様! ワニも美味しいです!」
「お前はバター好きだからな」
親子は今日も泣いている。
親子が泣きながら食べているのを見て、『泣くほど旨いのか!』と皆とても食べたそうだ。
今日も野郎どもは3倍増しだが静かに酒を飲みながらこちらをチラ見してくる程度だ。
おや、今入ってきた奴は以前俺に絡んできた夫婦だ。真っ直ぐ俺の方に向かってくる。
「リョウマ君、久しぶりだ。今日は礼を言いにきた。あんたのおかげで村の男たちに連れまわされて一人前と言えるぐらいの稼ぎができるようになったよ」
「何言ってやがる! 俺の半分も稼げてないだろうが! まだまだだ!」
「「そうだそうだ! ひゃはは!」」
周りの男たちからヤジが飛ぶが、皆が指導してくれているようで、結構馴染んでいるようだ。
「うっ! うるせぇ~! 兎の罠が難しいんだよ!」
「「「ぎゃははは!」」」
「リョウマ君、ほんとうありがとうね。こんな感じだけど、人並みに暮らせる程度の稼ぎはあるし、村の男たちもなんだかんだ気に掛けてくれてるから、助かっているよ」
「それは良かった。何事もコツコツですよ。欲張るとかえって痛い目を見ます。基礎が大事ですからね。だからナシルさんもここの村の人に預けて指導してもらったんです。そういえば、指導してもらった礼がまだでしたね。おかみさん、これで皆に振舞ってあげてください。ナシル親子の授業料です」
俺は金貨10枚をおかみさんに握らせた……村長からサンダーバード撃退でもらった金額と同額だ。
「皆、今日はリョウマ君の奢りだ! ジャンジャン飲んでいいよ!」
「「「ヒャホー! 兄ちゃんの奢りだ~!」」」
おかみさんの叫びと共に宴が始まった。
俺たちの食事自体は終えている。ワイワイと雑談に交じっているだけだが、それなりに楽しい。
ナシル親子も、今日世話になった男たちとなにやら楽しげに話している。こういう雰囲気は悪くない。
正直に言うと、バイクの出来が良かったので俺は上機嫌なのだ。
明日はいよいよ神殿に帰るのだが、ちょっと緊張もしている。
皆に黙って出て行ってしまったのだ。巫女たちだけではなく剣術を教わっていた騎士にも悪い事をした。
ちゃんと謝って許しを請おう。
実際音があればあったで問題なんだけどね。あれほどの重低音で街道を爆走したら魔獣がわんさかきて、トレイン状態になるのは間違いない。サイレント仕様の今の方が現実的に考えればベストなのだ。
試乗ドライブを終え、村の宿屋に帰ってきたのだが、フェイがこっちを時々チラ見する。
チラ見の視線を感じるのだが、何も言ってこない……言ってこないが俺には分かっている。卵だ。
「フェイ、お前ゆで卵が食いたいんだろ?」
「う~、だって凄く美味しいって村の人が言ってるんだもん!」
「村の者も滅多に食べないそうだぞ。売れば結構いい値になるそうだから、大抵は食べるのを我慢して売るって言ってた。村の風習として、子供が16の成人になる年に村長がプレゼントするってのが50年ほど前からあるらしいけど、それ以外では偶に沢山とれた年に食べる程度らしいぞ」
「兄様、3時のおやつにって言ってました! もうすぐ3時です!」
「はぁ? 俺は何も言ってないだろう! お前が勝手に俺の心内を読んだだけだろうが!? この食い意地の張った駄竜!」
「う~!」
少し涙目になっている。可愛い奴だ。
「まぁ、冗談だ。俺の工房内で今、作ってる。俺はちょっとだけ黄身が半熟っぽいのが好きだからナビーに任せたんだ。大きいから俺と半分こだぞ。デイルさんが今日の夕飯も張り切ってくれてるはずだから、お腹一杯で食べれないとか失礼だからな」
今作ってると聞いてフェイは大はしゃぎだ。
卵はダチョウの卵よりは少し小さめだが、結構な大きさがある。半分でも鶏の5つ分は有りそうだ。
皿を2つ出し、できたてのアツアツのゆで卵を半分に切る。とろ~と少量黄身が流れ出す。中心付近は半熟だが白身は綺麗に固まっていて完璧俺の好みだ!
「フェイは今回頑張って獲ってきたからな。味見としてメリルたちには内緒で先に食べさせてやる」
アツアツのゆで卵に少量の塩を振って齧りついた。
旨い! 鶏の卵とは比べようがないほど濃厚なまろやかなコクがある。とろっとろの黄身が旨いのだ。
「兄様! 美味しいです!」
「ただのゆで卵なのにマジ旨いな。1人1個でも良かったな。フェイ、でも我慢だぞ。夕飯はもっと美味しいのが出るからな」
正直もっと食べたいのを我慢したほどだ。残りは神殿で巫女たちと一緒に食べる事にする。
夕刻にナシル親子が帰ってきた。
薬草を沢山採ってきたようだ。
村の男たちは本来外部の人間には秘密の採取場所を、惜しみなくナシルさんに教えたようだ。
「どうですか? いろいろ勉強になりましたか?」
「はい、この辺の魔獣は強い魔獣はいないのですね?」
「水神殿があるこの霊峰の山の影響らしいね。神殿に近づくほど弱い魔獣しか居なくなるんだって。サンダーバードはここじゃ強い部類だね。ソシリアの森周辺に比べたら、ここは比較的安全だよ」
「メリルが神殿に上がったら、ここへの移住も良いと思っていますが、リョウマ君はどう思います?」
「ナシルさんが良いと思うのであれば良いんじゃないですか? ここの住人は神殿関係者には激甘ですからね。メリルが神殿巫女になったのなら、その母親のナシルさんは大歓迎されるはずですよ。村の男の中に良い男でも居ましたか?」
「そういう方は居ませんでしたが、悪い方は居ないようでした。それに今はまだ再婚は考えられません」
「そうですか。ちなみに今直ぐとかでなく、ガラさんみたいな感じの人はどうですか? それと門番のダラスさんみたいな人とかはどうです?」
「ガラさんですか? 彼は素敵な方だと思います。私のような子持ちの未亡人では釣り合わないですね。ああいう方は、貴族のご令嬢の三女あたりの美しい女性が嫁がれてくるのでしょうね」
「まぁ、本来はそうなんでしょうね。名ばかりの落ちぶれ貴族が、融資目当てで三女、四女あたりを押し付けるのが大商人の嫁に多いそうです。ガラさんはそれを嫌って未だに独身なんだそうです」
「そうなのですか? 大商人にもなると気苦労もあって大変なのですね」
「ですね。本来貴族の圧力で融資をさせた上で渋々結婚するのがパターンなのですが、ガラさんは王族や公爵家とも懇意にしていて、他の貴族も下手にチョッカイを掛けてこないんだそうです」
「それは凄いですね。王族と知り合いなんて本当に凄いです。でも、私はまだ直ぐに再婚とかは考えられないですね。まだ亡くなった主人の事を愛していますから……」
俺は亡くなった旦那さんと会った事なかったから、その辺をあまり気にしていなかったが、この質問はちょっと軽率だったかもしれないな。まだ亡くなってあまり経っていないのだ。こちらの世界の女性は、庇護を求めて甲斐性のある男性に直ぐ再婚すると聞いたけど、そういうのは人にもよるんだろうな。ナシルさんは、そう簡単に割り切れないタイプのようだ。
「メリルはガラさんは好きか?」
「う~ん、ガラさんならお母さんをあげてもいいかな」
「あはは、メリルの方がお母さんみたいな言い方するんだな。ちなみに門番の人はどうだ?」
「門番の人はダメ……冒険者の人はお父さんみたいに急に死んじゃいそうだから。もうお母さんに悲しい思いはさせたくない」
「あの人、マチルダさんと同じくらい強いんだぞ。そう簡単には死なないと思うけど……まぁ、冒険者だと不安だよな」
「そうなんだ。強いんだね。う~ん、でもやっぱりダメ。お父さんと違って、なんか酒癖悪そうだもん」
「ヒャハハ、ダラスさんはダメか~。じゃあ、俺はどうだ?」
「リョウマお兄ちゃんは絶対ダメ!」
「え~絶対ダメなのか? 確かに一回り以上年は離れてるけど。俺、結構稼ぎは良いだろ? 優良物件だと思うんだけど、メリルに拒否られると、ちょっとショックだ」
「違うの! お兄ちゃんはメリルと結婚すればいいの! メリルとなら4つしか歳も変わらないし、将来は神殿巫女様なのだからお兄ちゃんも自慢できるでしょ?」
「あらあら、この子ったら。うふふ、リョウマ君にお熱なのね」
メリルは可愛くなるだろうが、中身28歳の俺からすれば相手にできない。
この世界の15歳の少年から見れば、おそらくメリルは可愛いから恋愛対象として見れるのかもしれない。既に多少の胸の膨らみもある。この年齢の女子は日毎に女らしくなっていくことだろう。
「あ、そうだ。明日の予定を変更しようと思う。徒歩であと4日程なのだけど、転移魔法で行く事にする。いろいろ考えたんだけど。この後の魔獣が弱すぎて練習にも経験値にもならないんだよ。走ると肉体強化にはなるんだけど、そんなのどこでもできるしね」
「私たちはそれで構いません。では、明日には到着ですね」
「メリルどきどきしてきた!」
念の為にフィリアには報告しておいた。ちょっとだけ怒られちゃった。
『4日後と言うから、それに合わせて準備をいろいろするつもりだったのじゃ!』だそうだ。
メリルの大歓迎会をする予定が、小規模なものになると文句を言ってきたのだ。
ならやはり予定通りに行こうかと言ったら、『すぐくるのじゃ!』と否定する。
さて夕飯だ。
「今日もパメラさん、同席するんですね」
「当然じゃない。こんな美味しいもの、当分食べられないからね。なんかお父さんも張り切っていたし、凄く楽しみ」
「それを聞いたら、俺も早く食べたいですね」
今日の夕飯
・牛肉のカルパッチョ風
・ワニのバターソテー
・サンダーバードの岩塩蒸し
・生野菜のサラダ
・野菜の塩スープ
・ミルクセーキ
・プリン
「こりゃまた旨いですね! デイルさん、このカルパッチョのソースはどうやって作ったのですか?」
「カルパッチョ?」
「牛の生肉を薄くスライスしたものに、チーズやこういったソースをかけたものを、俺のいた村ではそう言ってたのです。このソース旨いですね」
「ルコルの実を絞って火にかけて塩コショウで味を調えただけだよ」
「へ~、岩塩蒸しも手が込んでますね。丁度いい塩加減です」
「兄様! ワニも美味しいです!」
「お前はバター好きだからな」
親子は今日も泣いている。
親子が泣きながら食べているのを見て、『泣くほど旨いのか!』と皆とても食べたそうだ。
今日も野郎どもは3倍増しだが静かに酒を飲みながらこちらをチラ見してくる程度だ。
おや、今入ってきた奴は以前俺に絡んできた夫婦だ。真っ直ぐ俺の方に向かってくる。
「リョウマ君、久しぶりだ。今日は礼を言いにきた。あんたのおかげで村の男たちに連れまわされて一人前と言えるぐらいの稼ぎができるようになったよ」
「何言ってやがる! 俺の半分も稼げてないだろうが! まだまだだ!」
「「そうだそうだ! ひゃはは!」」
周りの男たちからヤジが飛ぶが、皆が指導してくれているようで、結構馴染んでいるようだ。
「うっ! うるせぇ~! 兎の罠が難しいんだよ!」
「「「ぎゃははは!」」」
「リョウマ君、ほんとうありがとうね。こんな感じだけど、人並みに暮らせる程度の稼ぎはあるし、村の男たちもなんだかんだ気に掛けてくれてるから、助かっているよ」
「それは良かった。何事もコツコツですよ。欲張るとかえって痛い目を見ます。基礎が大事ですからね。だからナシルさんもここの村の人に預けて指導してもらったんです。そういえば、指導してもらった礼がまだでしたね。おかみさん、これで皆に振舞ってあげてください。ナシル親子の授業料です」
俺は金貨10枚をおかみさんに握らせた……村長からサンダーバード撃退でもらった金額と同額だ。
「皆、今日はリョウマ君の奢りだ! ジャンジャン飲んでいいよ!」
「「「ヒャホー! 兄ちゃんの奢りだ~!」」」
おかみさんの叫びと共に宴が始まった。
俺たちの食事自体は終えている。ワイワイと雑談に交じっているだけだが、それなりに楽しい。
ナシル親子も、今日世話になった男たちとなにやら楽しげに話している。こういう雰囲気は悪くない。
正直に言うと、バイクの出来が良かったので俺は上機嫌なのだ。
明日はいよいよ神殿に帰るのだが、ちょっと緊張もしている。
皆に黙って出て行ってしまったのだ。巫女たちだけではなく剣術を教わっていた騎士にも悪い事をした。
ちゃんと謝って許しを請おう。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(107件)
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
炭酸カルシウムが地球の自然界にないなんて言ってるけど、これって石灰岩や大理石だよ。
鍾乳洞に行けば周り全部が石灰岩。
珪砂も天然珪砂てのがある。ソーダ灰は人工だな。
ていうかソーダ灰って高度技術すぎない?塩で間に合わせときなよ。
送れましたが、あけましておめでとうございますm(__)m
・・・もう1年 (゚ーÅ) ホロリ
水神殿に帰ってからが、非常に気になる。
再編集してからの描き直しを含めれば、粗2年進展無し.°(ಗдಗ。)°.
……ごっそり書き換えるなら別登録で良いのですよ?(たぶん)
本当にごっそりいくとベツモノになっちゃうし……