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さくら散る
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「さくらー!!」
俺は走った。
「なんで無駄にでかい家なんだよ!」
おれは、長い廊下の片っ端からドアを開けた。
幾つかドアを開けると……
居た……
ベッドに反対を向いて横たわって居た。
「さくら……」
俺が部屋に入ると……
「来ないで!お願いだから来ないで!」
さくらは泣いていた。
「良かった、まだ生きてた」
俺は少しホッとした。
「お願いだから、もう帰って」
「なんでだよ」
「こんな、醜い姿見られたくない……」
そう言ってさくらは、顔を覆った。
俺は注射器が2本ベッドの枕元にある事に気付いた。
俺は、それを取ると「これか!これを射てば、さくらと一緒に成れるんだな!」
「駄目ー!!」
さくらは、立ち上がり、注射器を奪い返そうとした。
「ジョーさん!それだけは、絶対駄目!」
そう言って、注射器を2本とも、床に叩きつけた。
注射器は、割れて中から液体が流れ出た。
そこには、老婆が立っていた。
……
「兄さん……お父さんは?」
「さっき、亡くなったよ。」
「そう……じゃこれが最後のくすりね。」
「じゃぁ、もう助からないのか!」
「うん……でも良かったのよ。」
「じゃぁもう……」
頬に涙がつたった。
「泣いてくれるのね、こんなお婆ちゃんの為に……私ね、毎年あの場所から桜を見て、憧れてたの。美しく咲き誇り、散っていく花が羨ましかった。散りもしないのに、さくらなんて皮肉な名前と思っていた。嵐の日、桜が気になって、初めて近くに行ったの。そうしたら、あなたが居た……あなたは、私の昔の恋人にそっくりなの。心臓が止まるかと思った。楽しかった、お花見。70年ぶりに楽しかった。70年間、ただ何の意味もなく生き永らえて……本当に生ける屍だった。お父さんが人を殺しても、何とも思わなく成ってた。でも、あなたに会って、お花見して、初めて生きてるって感じたの。だからね、死人のまま生きるより、人間として死のうと思った。本当はあの夜、ジョーさんとエッチしようとおもってたのよ。でもね、もう薬射って無かったから、もしかして途中でお婆ちゃんに成っちゃうかもって思ったら、怖くなっちゃった。絶対嫌われちゃうって……」
「やっぱり、しとけば良かったな……」
さくらは、目を閉じた。
「さくらー!」
さくらは、目を開けなかった。
「なんだよ!そうだ、今からエッチしよう。大丈夫、俺、さくらならお婆ちゃんだって平気だから……」
俺はさくらを抱きしめた。
急に軽く成った。
さくらは、灰に成っていた。
さくらが散るように……
俺は走った。
「なんで無駄にでかい家なんだよ!」
おれは、長い廊下の片っ端からドアを開けた。
幾つかドアを開けると……
居た……
ベッドに反対を向いて横たわって居た。
「さくら……」
俺が部屋に入ると……
「来ないで!お願いだから来ないで!」
さくらは泣いていた。
「良かった、まだ生きてた」
俺は少しホッとした。
「お願いだから、もう帰って」
「なんでだよ」
「こんな、醜い姿見られたくない……」
そう言ってさくらは、顔を覆った。
俺は注射器が2本ベッドの枕元にある事に気付いた。
俺は、それを取ると「これか!これを射てば、さくらと一緒に成れるんだな!」
「駄目ー!!」
さくらは、立ち上がり、注射器を奪い返そうとした。
「ジョーさん!それだけは、絶対駄目!」
そう言って、注射器を2本とも、床に叩きつけた。
注射器は、割れて中から液体が流れ出た。
そこには、老婆が立っていた。
……
「兄さん……お父さんは?」
「さっき、亡くなったよ。」
「そう……じゃこれが最後のくすりね。」
「じゃぁ、もう助からないのか!」
「うん……でも良かったのよ。」
「じゃぁもう……」
頬に涙がつたった。
「泣いてくれるのね、こんなお婆ちゃんの為に……私ね、毎年あの場所から桜を見て、憧れてたの。美しく咲き誇り、散っていく花が羨ましかった。散りもしないのに、さくらなんて皮肉な名前と思っていた。嵐の日、桜が気になって、初めて近くに行ったの。そうしたら、あなたが居た……あなたは、私の昔の恋人にそっくりなの。心臓が止まるかと思った。楽しかった、お花見。70年ぶりに楽しかった。70年間、ただ何の意味もなく生き永らえて……本当に生ける屍だった。お父さんが人を殺しても、何とも思わなく成ってた。でも、あなたに会って、お花見して、初めて生きてるって感じたの。だからね、死人のまま生きるより、人間として死のうと思った。本当はあの夜、ジョーさんとエッチしようとおもってたのよ。でもね、もう薬射って無かったから、もしかして途中でお婆ちゃんに成っちゃうかもって思ったら、怖くなっちゃった。絶対嫌われちゃうって……」
「やっぱり、しとけば良かったな……」
さくらは、目を閉じた。
「さくらー!」
さくらは、目を開けなかった。
「なんだよ!そうだ、今からエッチしよう。大丈夫、俺、さくらならお婆ちゃんだって平気だから……」
俺はさくらを抱きしめた。
急に軽く成った。
さくらは、灰に成っていた。
さくらが散るように……
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