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四 思い出めくり
side:夜一 -偏愛痛・深-
しおりを挟む「で、なんで夜中に出てきたの」
「だってですよ、物音が凄くて何かあったと思って」
何かあったけどな。それはいいから早よ寝ろ。
「真昼のお兄さんの足音じゃない?」
冗談めかして夕空を家に押し込めて帰路に着く。
歪んだ愛。向けられる方も向ける方も気持ち悪い。
(でも、狂おしくてイイな。激しく突き合って、昇り詰めて、果てる)
やっぱつまんねぇ。セックスの方がよっぽどドラマチックで気持ちイイ。
「はぁ、……はぁ、痛ぇ」
これはただのファントムペインだ。
手っ取り早く鎮めたい、どうしようもない、だらしない性格。手が早い俺は気をつけていたはずなのに。
あの日、告白して受け入れられて許された気になって、理性が一瞬で飛んだ。あろうことか気絶したひまの緩い服のネックラインを下げて吸い付いてしまった。
(ダメ、だ。何やってんだ、俺は)
猛省したけど、熱が収まらない。
疲れ切って眠り込んでしまった彼を抱き上げて二階に運んだ。
言うことの聞かないセックスを求める体は、俺をベッドの上に乗り上げさせた。額にキスを落とすだけでやり込めて寝室を離れた。
(初デートになっちゃった)
ただ水族館に誘おうと思って持ってただけなのに。
適当なメモ帳から割いて破り取り、ペンを走らせた。
ホントにどうしようもない奴だから、トイレを拝借して我慢できず一発抜いた。
「ひま……」
こぼれた恋人の名前に驚いて口を押さえた。
早く欲しくて堪らない。ホント、俺はどうしようもないぐらい堕ちた人間。
(とことん堕ちてやるつもりだったのに)
闇の中で見つけた、同じように暗闇に惑う薄光の少年。温かな陽射しに包まれて、背丈より少し低いひまわりに表情を緩めて魅入っている。
その愛らしさに撃ち抜かれた。穏やかで安らいだ、そんな表情を浮かべられるんだ。
美しくて、キレイだった。仄暗さを残しながらも、ふっと明かりを灯すその表情。彼はきっと底から這い上がって行けるだろう。
(そっか。だから夕空は)
うらやましくて、イライラするんだ。
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