43 / 166
距離感
距離感4
しおりを挟む
メモを片手にサクサクと買い物を済ませる。
時計を見るとバスの時間まで、まだ時間があった。
バス停の近くには雑貨屋と喫茶店が見える。
「皆、ここで時間をつぶしているんだぁ。
ちょっとだけ見ていこうかなぁ」
新人ゆえ覚えることも多く、休日もあまり外に出ることがなかった瀾にとっては、小さな安らぎのひとときだった。
雑貨屋に入ると、そこは少し落ち着いた店内でオルゴールのBGMが流れている。
「わぁ…、素敵な場所♪」
お洒落な手帳やクッション。
手頃な植物の栽培キッドにアクセサリーに食器。
ピアスホルダー、ちょっとしたインテリアまで、様々な物が並んでいる。
見ているだけでも、楽しくて時間を忘れてしまいそうだ。
「素敵…」
ふと、外を見るとバスがもう来ていた。
「あ!いつの間に!急がなきゃ!!」
あわてて店を出るとバスにギリギリで駆け込んだ。
「ふぅ…危なかった…」
ホッと胸を撫で下ろすとヘナヘナと席についた。
外をボーッと眺めながらポツリとつぶやく。
「買い出し係かぁ…何だか病み付きになりそう♪」
降りるバス停に着きバスを降りて、少しばかり歩けば屋敷の正門だ。
こんな風に町を歩いたのは、いつ頃だっただろうか。
あの屋敷に奉公してから、まだ数ヶ月程度。
新しい就職先、沢山の新しく覚えなければいけないこと。
そして…。
めまぐるしく廻る毎日に、たったの短い間だというのに自分の中では何年も経っている気がする。
まるで散歩でもするように、ゆっくりと屋敷へ向かい歩いていく。
「それでさぁ…」
「ウッソー?信じらんない~♪」
ふとすれ違う女の子達を横目で追っていく。
少し前まで自分もあの女の子達と同じ位置に居た。
今はメイドとして、あの屋敷にいる…。
少し見上げると小高い広い土地に大きな屋敷見える。
あの頃、遠くからだだ見つめるだけの憧れていた、あのお屋敷が今の自分の家だ…。
フッとため息にも似た呼吸を付くと立ち止まる。
あそこには沢山のものがある。
楽しい事も嬉しい事も、そして…辛い事も…。
そんな風に浸っていると一台の黒塗りの車が真横に停まった。
車の中から怪しげな黒服の男達、2・3人が降りてくる。
一人が静かに口を開いた。
「野中 瀾さんですね?」
「!!!」
ただならぬ雰囲気に身の危険を感じ、後退る。
一人が合図をすると、黒服の男達は一斉に瀾を押さえ付ける。
ガサ…ドスン!!
手に持っていた荷物が地面に落ち、買い物の中身が散乱している。
「いや!!離して!!だ、誰か!!!」
「叫んでも無駄ですよ」
「!!」
ニヤリと薄気味悪く笑うと車に引きずり込もうとする。
抵抗しながらも周りを見渡すと、誰も通りがかる様子もない。
先程すれ違った女の子達は、いつのまにか遠くの方で楽しそうに話ながら、こちらには気が付く気配すらなかった。
「いやぁ!!きゃあぁ!!!」
「少し静かにして頂きましょうか」
黒服の男は胸ポケットから小さなシルバーのケースを開け、瀾は不意に口元にハンカチが押しあてられる。
「んんっ!!」
ツンと頭痛を誘う激臭に意識が段々と薄れる中、小さく助けを求めるように精一杯、言葉を口にする。
「…乙…さ・・ま…」
完全に意識がなくなると黒服の男は瀾を車に押し込め、携帯を発信した。
「完了致しました」
「……」
「かしこまりました。
直ちにそちらに運びます」
車は静かに発進し屋敷から遠ざかっていく。
時計を見るとバスの時間まで、まだ時間があった。
バス停の近くには雑貨屋と喫茶店が見える。
「皆、ここで時間をつぶしているんだぁ。
ちょっとだけ見ていこうかなぁ」
新人ゆえ覚えることも多く、休日もあまり外に出ることがなかった瀾にとっては、小さな安らぎのひとときだった。
雑貨屋に入ると、そこは少し落ち着いた店内でオルゴールのBGMが流れている。
「わぁ…、素敵な場所♪」
お洒落な手帳やクッション。
手頃な植物の栽培キッドにアクセサリーに食器。
ピアスホルダー、ちょっとしたインテリアまで、様々な物が並んでいる。
見ているだけでも、楽しくて時間を忘れてしまいそうだ。
「素敵…」
ふと、外を見るとバスがもう来ていた。
「あ!いつの間に!急がなきゃ!!」
あわてて店を出るとバスにギリギリで駆け込んだ。
「ふぅ…危なかった…」
ホッと胸を撫で下ろすとヘナヘナと席についた。
外をボーッと眺めながらポツリとつぶやく。
「買い出し係かぁ…何だか病み付きになりそう♪」
降りるバス停に着きバスを降りて、少しばかり歩けば屋敷の正門だ。
こんな風に町を歩いたのは、いつ頃だっただろうか。
あの屋敷に奉公してから、まだ数ヶ月程度。
新しい就職先、沢山の新しく覚えなければいけないこと。
そして…。
めまぐるしく廻る毎日に、たったの短い間だというのに自分の中では何年も経っている気がする。
まるで散歩でもするように、ゆっくりと屋敷へ向かい歩いていく。
「それでさぁ…」
「ウッソー?信じらんない~♪」
ふとすれ違う女の子達を横目で追っていく。
少し前まで自分もあの女の子達と同じ位置に居た。
今はメイドとして、あの屋敷にいる…。
少し見上げると小高い広い土地に大きな屋敷見える。
あの頃、遠くからだだ見つめるだけの憧れていた、あのお屋敷が今の自分の家だ…。
フッとため息にも似た呼吸を付くと立ち止まる。
あそこには沢山のものがある。
楽しい事も嬉しい事も、そして…辛い事も…。
そんな風に浸っていると一台の黒塗りの車が真横に停まった。
車の中から怪しげな黒服の男達、2・3人が降りてくる。
一人が静かに口を開いた。
「野中 瀾さんですね?」
「!!!」
ただならぬ雰囲気に身の危険を感じ、後退る。
一人が合図をすると、黒服の男達は一斉に瀾を押さえ付ける。
ガサ…ドスン!!
手に持っていた荷物が地面に落ち、買い物の中身が散乱している。
「いや!!離して!!だ、誰か!!!」
「叫んでも無駄ですよ」
「!!」
ニヤリと薄気味悪く笑うと車に引きずり込もうとする。
抵抗しながらも周りを見渡すと、誰も通りがかる様子もない。
先程すれ違った女の子達は、いつのまにか遠くの方で楽しそうに話ながら、こちらには気が付く気配すらなかった。
「いやぁ!!きゃあぁ!!!」
「少し静かにして頂きましょうか」
黒服の男は胸ポケットから小さなシルバーのケースを開け、瀾は不意に口元にハンカチが押しあてられる。
「んんっ!!」
ツンと頭痛を誘う激臭に意識が段々と薄れる中、小さく助けを求めるように精一杯、言葉を口にする。
「…乙…さ・・ま…」
完全に意識がなくなると黒服の男は瀾を車に押し込め、携帯を発信した。
「完了致しました」
「……」
「かしこまりました。
直ちにそちらに運びます」
車は静かに発進し屋敷から遠ざかっていく。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる