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アリスのその先
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泣き叫ぶ女性の体を淡々と深く貫く、男性器を模したそれは、受け皿のようなものが付属してありました。溢れ出る“アリスの蜜”を一滴も零さずタンクに溜め込んでいるのがわかります。その機械が何かの数値を測っているようで、無機質な青白いひかりが数字を点滅させていました。
彼女の檻の前に備え付けられた機械は、他の機械に示された数値よりも高い数字を表示していました。
それは彼女がこの中で最も女王に近く、調教次第では女王になり得ると表しているのです。
その彼女の前後には、バラ鞭や鎖鞭を持った傭兵たちが囲んでいます。ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ、手のひらや床で鞭の感触を確かめていました。
怯える彼女は、可哀想なほど顔を土色にして、恐ろしい鞭から目を逸らしませんでした。…いや、逸らせないと言った方が正しいのかもしれません。
凛も同じでした。暗い部屋に鈍く光るラバーグリップは、随分使い古されていることを示すように所々剥げていて、手の形に馴染んでいるように思います。
バラ鞭の先は濡れていて、彼女の他にも誰かの大切な場所を叩いた形跡がありました。
傭兵たちが無言で合図を送り合いました。
──まさか。
凛が息を飲んだ瞬間。
バシィィンッ…!!
パンっ!
ガシャンッ…!!
「ぃひぎゃあああああああ!!!!」
耳を劈く鞭の音が、一斉にこの暗い空間を埋め尽くしました。
ぶしゃあああっと勢いよく噴射した蜜は、一旦受け皿に溜まってタンクの中へ吸収されていきました。
びくんびくんと痙攣する彼女を無視して、男性器を模した機械がごちゅごちゅと無感情にピストン運動を続けています。大量に噴射した蜜のお陰でぬめりが良くなったのか、ちゅぶちゅぶと粘着質な音が大きくなったようにも思いました。
耳を劈く鞭の余韻に耳鳴りさえしそうです。一斉に鞭打たれた彼女の意識が醒めるより早く、ピ、ピ、と無機質な電子音が控えめに響きました。
「なかなかじゃないか」
「いやまだ足りない。女王はもっと…」
「もっと質のいい“アリス”が見つかれば良いのだが」
鞭を手に持ったまま、傭兵たちがボソボソ言い合っています。白目を向いて涎を垂らす彼女には、誰も見向きもしませんでした。
傭兵たちのおぞましい会話を聞いてしまった凛は、それこそ震え上がりました。
確かに一瞬あまい匂いがしました。しかし凛本人でさえ分かるほど、圧倒的に凛の蜜の方が深い甘さを持っているのです。
凛はようやく自分の危機を知りました。
「凛」
鞭も叫び声も少し静まってしまったので、蓮は唇だけを動かしました。ドロドロに溶けてしまった凛の足の間からは、たらりたらりと濃い匂いを放つ蜜が垂れているのです。小さな通気口とてこの匂いが少しでも漏れてしまえば、バレてしまう可能性が高くなってきています。
震える足は、金属製の空間に音さえ立ててしまいそうでした。
ボソボソと言い合う傭兵たちが、再び鞭を構えました。
「一気に行くよ」
本当だったら震える凛を抱き寄せ、優しく慰めてやりたいところですが、優先するは脱出です。
凛にもそれは痛いほど分かりました。ごくりと喉を鳴らし、タイミングを見計らいました。
ヒュッ……
この後起こる惨事には、目を瞑ることに決めました。
「ぃああァァァアアあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
鼓膜がどうにかなってしまいそうな鞭の音。喉が引きちぎれんばかりに叫ぶ声。
ごめんなさい、助けてあげられなくてごめんなさい。
凛は祈るように目を瞑り、必死に手足を動かして進みました。
背後からは、無機質な機械音が響いていました。
彼女の檻の前に備え付けられた機械は、他の機械に示された数値よりも高い数字を表示していました。
それは彼女がこの中で最も女王に近く、調教次第では女王になり得ると表しているのです。
その彼女の前後には、バラ鞭や鎖鞭を持った傭兵たちが囲んでいます。ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ、手のひらや床で鞭の感触を確かめていました。
怯える彼女は、可哀想なほど顔を土色にして、恐ろしい鞭から目を逸らしませんでした。…いや、逸らせないと言った方が正しいのかもしれません。
凛も同じでした。暗い部屋に鈍く光るラバーグリップは、随分使い古されていることを示すように所々剥げていて、手の形に馴染んでいるように思います。
バラ鞭の先は濡れていて、彼女の他にも誰かの大切な場所を叩いた形跡がありました。
傭兵たちが無言で合図を送り合いました。
──まさか。
凛が息を飲んだ瞬間。
バシィィンッ…!!
パンっ!
ガシャンッ…!!
「ぃひぎゃあああああああ!!!!」
耳を劈く鞭の音が、一斉にこの暗い空間を埋め尽くしました。
ぶしゃあああっと勢いよく噴射した蜜は、一旦受け皿に溜まってタンクの中へ吸収されていきました。
びくんびくんと痙攣する彼女を無視して、男性器を模した機械がごちゅごちゅと無感情にピストン運動を続けています。大量に噴射した蜜のお陰でぬめりが良くなったのか、ちゅぶちゅぶと粘着質な音が大きくなったようにも思いました。
耳を劈く鞭の余韻に耳鳴りさえしそうです。一斉に鞭打たれた彼女の意識が醒めるより早く、ピ、ピ、と無機質な電子音が控えめに響きました。
「なかなかじゃないか」
「いやまだ足りない。女王はもっと…」
「もっと質のいい“アリス”が見つかれば良いのだが」
鞭を手に持ったまま、傭兵たちがボソボソ言い合っています。白目を向いて涎を垂らす彼女には、誰も見向きもしませんでした。
傭兵たちのおぞましい会話を聞いてしまった凛は、それこそ震え上がりました。
確かに一瞬あまい匂いがしました。しかし凛本人でさえ分かるほど、圧倒的に凛の蜜の方が深い甘さを持っているのです。
凛はようやく自分の危機を知りました。
「凛」
鞭も叫び声も少し静まってしまったので、蓮は唇だけを動かしました。ドロドロに溶けてしまった凛の足の間からは、たらりたらりと濃い匂いを放つ蜜が垂れているのです。小さな通気口とてこの匂いが少しでも漏れてしまえば、バレてしまう可能性が高くなってきています。
震える足は、金属製の空間に音さえ立ててしまいそうでした。
ボソボソと言い合う傭兵たちが、再び鞭を構えました。
「一気に行くよ」
本当だったら震える凛を抱き寄せ、優しく慰めてやりたいところですが、優先するは脱出です。
凛にもそれは痛いほど分かりました。ごくりと喉を鳴らし、タイミングを見計らいました。
ヒュッ……
この後起こる惨事には、目を瞑ることに決めました。
「ぃああァァァアアあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
鼓膜がどうにかなってしまいそうな鞭の音。喉が引きちぎれんばかりに叫ぶ声。
ごめんなさい、助けてあげられなくてごめんなさい。
凛は祈るように目を瞑り、必死に手足を動かして進みました。
背後からは、無機質な機械音が響いていました。
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