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満月の夜には魚は釣れない
優柔不断
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『そうだ。その話。実は会えたから直接言えて嬉しいんだけど、近いうち結婚することになったよ』
『え?じゃあお見合いとかしちゃダメじゃん』
『ああ、結婚することになったと言ってもまだプロポーズしただけで、愛依ちゃんのご両親にも挨拶には行ってないんだ。つまり公にはまだ付き合ってるだけの状態なんだよ』
『ふーーん』
『なんだよ。そんな顔すんなよ。この話も端から断るつもりだったし、愛依ちゃんにも言ってあるよ』
『まあそれならいいけど、愛依ちゃん泣かさないでよね』
『そうだな』
ホテルのラウンジにはアルコールも頼むことができるが、やめた方が良いだろう。
変な疑いをかけられるのも嫌だし。
里奈はそう思ってアルコールには手を出さずウーロン茶だけにした。どうやら良平も同じ気持ちらしい。
『てゆうか、そっちはどうなんだよ』
『どうって? なにが?? 最近は波乗りしてないなあ』
『そういうことじゃなくて……』
『そういうことじゃない? じゃっどういうこと??』
『どおりで……のこのこ見合いなんかにやってくるわけだ……』
ため息交じりに良平が言ったので何が言いたかったのかようやく里奈には理解できた。
『ああ……そういうことか。いや、まあ付き合ってる人はいるよ』
『お! そうなのか』
『まあね――。でもちょっと悩んでいるんだ』
そう。
悩んでいるのだ。
靖男でいいかを……。でもこの先、里奈の前にいい男が現れる保証はない。
もちろんだからと言って妥協して靖男を選んだわけではない。誠実そうな人柄が好きなのだ。無口でも実は気遣いができるところが好きなのだ。何といっても何も考えていないように見えて里奈を大事に思ってくれていることは伝わってくる。そこがいいのだ。
でも悩んでいる。
彼は優柔不断なところがあるから。
まだ結婚なんて考えてもいないかもしれないから。
『いやね。彼……ちょっと優柔不断なとこがあってね』
『優柔不断?? 大丈夫か? そいつ?』
『うん。優柔不断だけどいい人だよ』
『苦労しないのか?』
『そこは大丈夫だと思う。ちゃんと聞けばなんでも答えてくれるから。ただ決断に時間がかかる人なんだよ』
『なるほどな――』
良平は少し考えこんでから言った。
『こういうことってたぶん、男の方がよく分かるんだけどさ』
『こういうこと?』
『そう。つまり結婚するとか付き合うとか節目節目で切り出さなきゃならないのって男なわけ』
『うん。ああ、そうだね』
『でもさ。それって誰が決めた?』
『う――ん。誰だろ?』
『要は決め事じゃないよな』
『そうだね』
『橘の方から切り出してみたらどうだ?』
『え? あたしから??』
確かにうすうすそんなことでもしないと話は先に進んで行かないかなとは思っていた。しかしそれを実行しなければいけないとは心の底では思っていなかったのだ。
『だって優柔不断なんだろ。男だって背中を押してもらいたいときはあるもんだよ』
なるほどな……と里奈は思った。確かに靖男の場合、周りに背中を押してくれるような人はいないかもしれない。
そうだとしたら自分が背中を押すのもいいかもしれない。
『え?じゃあお見合いとかしちゃダメじゃん』
『ああ、結婚することになったと言ってもまだプロポーズしただけで、愛依ちゃんのご両親にも挨拶には行ってないんだ。つまり公にはまだ付き合ってるだけの状態なんだよ』
『ふーーん』
『なんだよ。そんな顔すんなよ。この話も端から断るつもりだったし、愛依ちゃんにも言ってあるよ』
『まあそれならいいけど、愛依ちゃん泣かさないでよね』
『そうだな』
ホテルのラウンジにはアルコールも頼むことができるが、やめた方が良いだろう。
変な疑いをかけられるのも嫌だし。
里奈はそう思ってアルコールには手を出さずウーロン茶だけにした。どうやら良平も同じ気持ちらしい。
『てゆうか、そっちはどうなんだよ』
『どうって? なにが?? 最近は波乗りしてないなあ』
『そういうことじゃなくて……』
『そういうことじゃない? じゃっどういうこと??』
『どおりで……のこのこ見合いなんかにやってくるわけだ……』
ため息交じりに良平が言ったので何が言いたかったのかようやく里奈には理解できた。
『ああ……そういうことか。いや、まあ付き合ってる人はいるよ』
『お! そうなのか』
『まあね――。でもちょっと悩んでいるんだ』
そう。
悩んでいるのだ。
靖男でいいかを……。でもこの先、里奈の前にいい男が現れる保証はない。
もちろんだからと言って妥協して靖男を選んだわけではない。誠実そうな人柄が好きなのだ。無口でも実は気遣いができるところが好きなのだ。何といっても何も考えていないように見えて里奈を大事に思ってくれていることは伝わってくる。そこがいいのだ。
でも悩んでいる。
彼は優柔不断なところがあるから。
まだ結婚なんて考えてもいないかもしれないから。
『いやね。彼……ちょっと優柔不断なとこがあってね』
『優柔不断?? 大丈夫か? そいつ?』
『うん。優柔不断だけどいい人だよ』
『苦労しないのか?』
『そこは大丈夫だと思う。ちゃんと聞けばなんでも答えてくれるから。ただ決断に時間がかかる人なんだよ』
『なるほどな――』
良平は少し考えこんでから言った。
『こういうことってたぶん、男の方がよく分かるんだけどさ』
『こういうこと?』
『そう。つまり結婚するとか付き合うとか節目節目で切り出さなきゃならないのって男なわけ』
『うん。ああ、そうだね』
『でもさ。それって誰が決めた?』
『う――ん。誰だろ?』
『要は決め事じゃないよな』
『そうだね』
『橘の方から切り出してみたらどうだ?』
『え? あたしから??』
確かにうすうすそんなことでもしないと話は先に進んで行かないかなとは思っていた。しかしそれを実行しなければいけないとは心の底では思っていなかったのだ。
『だって優柔不断なんだろ。男だって背中を押してもらいたいときはあるもんだよ』
なるほどな……と里奈は思った。確かに靖男の場合、周りに背中を押してくれるような人はいないかもしれない。
そうだとしたら自分が背中を押すのもいいかもしれない。
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