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第1章
1-4.新たな仲間
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翌朝、目を覚ましたシリウスは目を丸くしていた。
隣にはウィズが座っているのだが、それに驚いているのではない。
薪を挟んだ向こう側に見知らぬ青年が大口を開けて寝入っていたからだ。
ウィズに問いかけるような眼差しを向け、事の説明を求める。
「昨晩接触してきました。昨日の真っ先に私から逃げ果せた者です。名前はリード・マキナーと名乗っていました」
「あぁ、昨日の……それにしては随分と無防備だね」
「いえ、そこまで無防備でもなさそうです。傭兵と言っておりましたから。恐らく、油断をさせるためにわざとあのような……」
「いや、どう見たって爆睡だよ」
涎を垂らしながら寝ている姿は、とても傭兵には見えない。昨日の一件があるにしても、見た目的にそこまで強そうには見えなかった。
だからなのか、シリウスは物珍しそうにリードへと見つめている。
「シリウス様、いかがされますか?」
「うーん……真意はどうであれ、どっちでもいいかな。そこまで嫌な感じはしないし、一緒に付いて来るなら放っておいて問題ないと思うよ」
「畏まりました」
シリウスの一言で、ウィズは警戒の色を薄めた。
そこを見計らったように、リードは目を覚ました。目を擦り、大きく背伸びをした彼をシリウスたちはじっと見つめている。
「おう、おはようさん」
「おはようございます」
「……おはようございます」
気軽に挨拶をかけられ、シリウスは咄嗟に挨拶を返した。後から遅れてウィズも挨拶を返す。
「シリウス様、私は朝食の準備をしてきますが、よろしいですか?」
「うん、大丈夫だよ。あ、彼の分も用意してね」
「……畏まりました」
シリウスの言葉に、ウィズは引っかかることがあるものの、間を開けて頷いた。決して付かず離れずの距離で朝食準備へと取り掛かる。
その間、シリウスはリード・マキナーという青年を観察した。
「なぁ、坊主」
「僕はシリウスだよ」
「そうか、悪かったな。俺はリード・マキナーってんだ」
「うん、ウィズから聞いた。昨日、僕らを様子を見てた一人だよね」
「気付いてたのか?」
「まぁね。これでも人の気配には敏感なんだ」
「なんか自信なくすな」
シリウスの言葉を受け、リードは頭をガシガシと掻いた。
その様子を見ながら、シリウスは相手の情報収集へと余念がない。そのことに気づきながらも、リードは意外にも素直に答えていった。
「傭兵をやってるんだってね。もしかして雇われたくて付いてきたの?」
「いんや。お前さんたちがそれなりに持ってるのは分かってるが、違うよ。子供二人で旅なんてあぶねーからな。気になって付いてきたんだ」
「子供って……ウィズはリードと同じくらいの年齢だよ。子供じゃない」
「俺から見れば二人とも子供だよ。見た目の話じゃねぇ。お前らの気配が子供だって言ってんだ」
リードの言葉に、シリウスはムッとした表情をした。しかし、その表情をすぐ様直し、再度リードという人物の観察へと戻る。
そのことに、リードはヒュゥと口笛を吹いた。
「なるほど。見た目ほど幼くはない、か」
「理解してもらえて嬉しいよ」
「そうか。それじゃ本題に行こうか。俺は傭兵でもあり冒険者なんだ」
「そっか。結構上位のランクなの?」
「なんだ、冒険者のこと知ってるのか?」
「本に載ってるぐらいの知識なら。あれだけ気配を抑えられるならAランクぐらい?」
「いや、俺はまだBランクだよ」
「そうなんだ。それで、Bランクの冒険者兼傭兵が僕たちをつけて来るのはどうして?」
「子供だから心配だった、てのは通じなさそうだな」
「嘘ではないけど、それだけじゃないんでしょう?」
シリウスにそう言われ、リードは大口を開けて笑った。シリウスが見た目ほど幼くないことは理解したが、それと同時に彼の背景を思いやると真剣な目を向ける。
「そこまで出来るなら、一つ仕事をしないか?」
「仕事?」
「あぁ。俺はこの先にあるケーヤクの山に行くんだ。そこにフェンリルが棲みついたと専らの噂でな。ギルドに討伐依頼がきたってわけだ」
「もしかして僕たちに討伐を手伝えって言うの?」
「ご明察!」
言い当てたシリウスを煽てるように、リードは手を叩いた。戸惑っているシリウスを他所に、ウィズはリードへと視線を向ける。
「あなたはシリウス様の魔法が目当て、というわけですか」
「別に坊主のをって訳でもねーが……お前は使えないのか?」
「私は魔法使いではありませんから」
「それじゃ、坊主は魔法使いか?」
「そうだよ」
「れなら丁度いいな。フェンリルに打撃を与えるには魔法で誘導するほうが戦いやすいからな。そして、何より奴は火を吹く魔物。ドラゴンほど厄介ではないが、油断すればあっという間にあの世逝きだ」
「お断りします」
「へ?」
悠々と話すリードに、シリウスは間髪入れずに断った。その事に面食らったリードはシリウスに目をやる。
「何故だ?」
「むしろ僕たちがリードを手伝って何の得があるの?」
「へ? 俺たちもう仲間だろ?」
「いつからそうなったの?」
「俺もお前たちも自己紹介が済んだ。旅は道連れ世は情けってな。袖振り合うにも多生の縁ってやつだよ」
「……」
ガハハとリードは笑う。
その様子に、シリウスは言葉を失った。彼にとって、ウィズ以外の人間など興味はなかった。
村では魔力の高さとどのような魔法も知識として知れば難なく使いこなせてしまう天性の技術。そして禁忌の魔法すら使ったシリウスは、村にとって忌避すべき対象でしかなかった。
魔法使いとは基本的に知識欲に塗れた存在であるが、対人関係に置いてはあまり関心を向けないのである。
どれほど力を持っていようと、どれほど天才であろうと、村の魔法使いたちにとっては世界を滅ぼかねない存在としてシリウスを見ていた。
だからそ、シリウスは村人たちを頼ろうとはしなかったし、友達など出来るはずもなかった。心を許したのは両親とウィズだけなのである。
それを、目の前にいるリード・マキナーという青年はそんな垣根を一切持っていない。容易く自分の領域へと侵入してきたのである。
人と関係を築くのは決して容易いことではないのだと、シリウスは考えていた。友達になるにしても、恋人を作るにしても、どんな関係にも最初は信頼と疑心が寄り添い合うものだ。
今までシリウスの見てきた周囲がそうであったように。
だからこそ、その垣根を越えてきたリード自身に多少の不快感と好奇心が疼く。
「シリウス様、お嫌であれば退けます」
「ううん、大丈夫だよ」
シリウスの心情を読み取ったのか、ウィズは戦闘態勢へと入ろうとした。しかし、そのシリウスから止められ、ウィズは態勢を戻す。
先程感じた不快感と好奇心を胸に、シリウスは決断を下す。
「いいよ、リード。君を手伝ってあげる」
「お、そいつぁ良かったぜ! 良いところあるじゃねーか、シリウス」
「仲間になったかどうかは置いといて、ちょっと興味が湧いたからね」
「魔法使い特有の知的好奇心ってやつか?」
「そんなところだよ。さて、ウィズ。待たせてごめんね。朝ごはん、もらうよ」
「いいえ。こちらこそお待たせしてしまい、申し訳ありません」
「おぉ、美味そうだな! ありがとな、ウィズ」
話が終わったところで、シリウスは朝ごはんの皿を受け取った。
簡単な野菜を煮込んだスープとパン、そして一口大に切って焼いた肉の簡素な物だった。
しかし、よく煮込まれたスープは熱く、お腹の中に染み渡っていく。パンは少し固いが、スープに浸すことで柔らかくなった。焼かれた肉を噛むとジュワッと肉汁が口内に広がった。
「ほう、旅でこんな温かい飯が食えるとはな」
「ウィズの料理は美味しいでしょう?」
「あぁ、これぞ五臓六腑に染み渡る味だな」
「お褒め頂き光栄です、シリウス様」
「おーい、俺も褒めたぞー」
ペコリとお辞儀するウィズに、リードは突っ込んだ。しかし、相手をすることもなく、ウィズは同じく朝食の皿を突く。
ウィズには食事も睡眠も必要ない。しかし、リードという第三者の存在があるため、普通の人間のように振る舞うのだった。
それがシリウス望みだと気付いているからだ。
彼はウィズに、自分に友人であり絶対的な味方になることを望んだ。そして、それが他の人間たちに本来であれば向けている感情だった。
シリウス本人はそのことを意図していないけれど、ウィズは彼の望むままに動くのだった。
隣にはウィズが座っているのだが、それに驚いているのではない。
薪を挟んだ向こう側に見知らぬ青年が大口を開けて寝入っていたからだ。
ウィズに問いかけるような眼差しを向け、事の説明を求める。
「昨晩接触してきました。昨日の真っ先に私から逃げ果せた者です。名前はリード・マキナーと名乗っていました」
「あぁ、昨日の……それにしては随分と無防備だね」
「いえ、そこまで無防備でもなさそうです。傭兵と言っておりましたから。恐らく、油断をさせるためにわざとあのような……」
「いや、どう見たって爆睡だよ」
涎を垂らしながら寝ている姿は、とても傭兵には見えない。昨日の一件があるにしても、見た目的にそこまで強そうには見えなかった。
だからなのか、シリウスは物珍しそうにリードへと見つめている。
「シリウス様、いかがされますか?」
「うーん……真意はどうであれ、どっちでもいいかな。そこまで嫌な感じはしないし、一緒に付いて来るなら放っておいて問題ないと思うよ」
「畏まりました」
シリウスの一言で、ウィズは警戒の色を薄めた。
そこを見計らったように、リードは目を覚ました。目を擦り、大きく背伸びをした彼をシリウスたちはじっと見つめている。
「おう、おはようさん」
「おはようございます」
「……おはようございます」
気軽に挨拶をかけられ、シリウスは咄嗟に挨拶を返した。後から遅れてウィズも挨拶を返す。
「シリウス様、私は朝食の準備をしてきますが、よろしいですか?」
「うん、大丈夫だよ。あ、彼の分も用意してね」
「……畏まりました」
シリウスの言葉に、ウィズは引っかかることがあるものの、間を開けて頷いた。決して付かず離れずの距離で朝食準備へと取り掛かる。
その間、シリウスはリード・マキナーという青年を観察した。
「なぁ、坊主」
「僕はシリウスだよ」
「そうか、悪かったな。俺はリード・マキナーってんだ」
「うん、ウィズから聞いた。昨日、僕らを様子を見てた一人だよね」
「気付いてたのか?」
「まぁね。これでも人の気配には敏感なんだ」
「なんか自信なくすな」
シリウスの言葉を受け、リードは頭をガシガシと掻いた。
その様子を見ながら、シリウスは相手の情報収集へと余念がない。そのことに気づきながらも、リードは意外にも素直に答えていった。
「傭兵をやってるんだってね。もしかして雇われたくて付いてきたの?」
「いんや。お前さんたちがそれなりに持ってるのは分かってるが、違うよ。子供二人で旅なんてあぶねーからな。気になって付いてきたんだ」
「子供って……ウィズはリードと同じくらいの年齢だよ。子供じゃない」
「俺から見れば二人とも子供だよ。見た目の話じゃねぇ。お前らの気配が子供だって言ってんだ」
リードの言葉に、シリウスはムッとした表情をした。しかし、その表情をすぐ様直し、再度リードという人物の観察へと戻る。
そのことに、リードはヒュゥと口笛を吹いた。
「なるほど。見た目ほど幼くはない、か」
「理解してもらえて嬉しいよ」
「そうか。それじゃ本題に行こうか。俺は傭兵でもあり冒険者なんだ」
「そっか。結構上位のランクなの?」
「なんだ、冒険者のこと知ってるのか?」
「本に載ってるぐらいの知識なら。あれだけ気配を抑えられるならAランクぐらい?」
「いや、俺はまだBランクだよ」
「そうなんだ。それで、Bランクの冒険者兼傭兵が僕たちをつけて来るのはどうして?」
「子供だから心配だった、てのは通じなさそうだな」
「嘘ではないけど、それだけじゃないんでしょう?」
シリウスにそう言われ、リードは大口を開けて笑った。シリウスが見た目ほど幼くないことは理解したが、それと同時に彼の背景を思いやると真剣な目を向ける。
「そこまで出来るなら、一つ仕事をしないか?」
「仕事?」
「あぁ。俺はこの先にあるケーヤクの山に行くんだ。そこにフェンリルが棲みついたと専らの噂でな。ギルドに討伐依頼がきたってわけだ」
「もしかして僕たちに討伐を手伝えって言うの?」
「ご明察!」
言い当てたシリウスを煽てるように、リードは手を叩いた。戸惑っているシリウスを他所に、ウィズはリードへと視線を向ける。
「あなたはシリウス様の魔法が目当て、というわけですか」
「別に坊主のをって訳でもねーが……お前は使えないのか?」
「私は魔法使いではありませんから」
「それじゃ、坊主は魔法使いか?」
「そうだよ」
「れなら丁度いいな。フェンリルに打撃を与えるには魔法で誘導するほうが戦いやすいからな。そして、何より奴は火を吹く魔物。ドラゴンほど厄介ではないが、油断すればあっという間にあの世逝きだ」
「お断りします」
「へ?」
悠々と話すリードに、シリウスは間髪入れずに断った。その事に面食らったリードはシリウスに目をやる。
「何故だ?」
「むしろ僕たちがリードを手伝って何の得があるの?」
「へ? 俺たちもう仲間だろ?」
「いつからそうなったの?」
「俺もお前たちも自己紹介が済んだ。旅は道連れ世は情けってな。袖振り合うにも多生の縁ってやつだよ」
「……」
ガハハとリードは笑う。
その様子に、シリウスは言葉を失った。彼にとって、ウィズ以外の人間など興味はなかった。
村では魔力の高さとどのような魔法も知識として知れば難なく使いこなせてしまう天性の技術。そして禁忌の魔法すら使ったシリウスは、村にとって忌避すべき対象でしかなかった。
魔法使いとは基本的に知識欲に塗れた存在であるが、対人関係に置いてはあまり関心を向けないのである。
どれほど力を持っていようと、どれほど天才であろうと、村の魔法使いたちにとっては世界を滅ぼかねない存在としてシリウスを見ていた。
だからそ、シリウスは村人たちを頼ろうとはしなかったし、友達など出来るはずもなかった。心を許したのは両親とウィズだけなのである。
それを、目の前にいるリード・マキナーという青年はそんな垣根を一切持っていない。容易く自分の領域へと侵入してきたのである。
人と関係を築くのは決して容易いことではないのだと、シリウスは考えていた。友達になるにしても、恋人を作るにしても、どんな関係にも最初は信頼と疑心が寄り添い合うものだ。
今までシリウスの見てきた周囲がそうであったように。
だからこそ、その垣根を越えてきたリード自身に多少の不快感と好奇心が疼く。
「シリウス様、お嫌であれば退けます」
「ううん、大丈夫だよ」
シリウスの心情を読み取ったのか、ウィズは戦闘態勢へと入ろうとした。しかし、そのシリウスから止められ、ウィズは態勢を戻す。
先程感じた不快感と好奇心を胸に、シリウスは決断を下す。
「いいよ、リード。君を手伝ってあげる」
「お、そいつぁ良かったぜ! 良いところあるじゃねーか、シリウス」
「仲間になったかどうかは置いといて、ちょっと興味が湧いたからね」
「魔法使い特有の知的好奇心ってやつか?」
「そんなところだよ。さて、ウィズ。待たせてごめんね。朝ごはん、もらうよ」
「いいえ。こちらこそお待たせしてしまい、申し訳ありません」
「おぉ、美味そうだな! ありがとな、ウィズ」
話が終わったところで、シリウスは朝ごはんの皿を受け取った。
簡単な野菜を煮込んだスープとパン、そして一口大に切って焼いた肉の簡素な物だった。
しかし、よく煮込まれたスープは熱く、お腹の中に染み渡っていく。パンは少し固いが、スープに浸すことで柔らかくなった。焼かれた肉を噛むとジュワッと肉汁が口内に広がった。
「ほう、旅でこんな温かい飯が食えるとはな」
「ウィズの料理は美味しいでしょう?」
「あぁ、これぞ五臓六腑に染み渡る味だな」
「お褒め頂き光栄です、シリウス様」
「おーい、俺も褒めたぞー」
ペコリとお辞儀するウィズに、リードは突っ込んだ。しかし、相手をすることもなく、ウィズは同じく朝食の皿を突く。
ウィズには食事も睡眠も必要ない。しかし、リードという第三者の存在があるため、普通の人間のように振る舞うのだった。
それがシリウス望みだと気付いているからだ。
彼はウィズに、自分に友人であり絶対的な味方になることを望んだ。そして、それが他の人間たちに本来であれば向けている感情だった。
シリウス本人はそのことを意図していないけれど、ウィズは彼の望むままに動くのだった。
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