夢を叶えるオネェさん~私の為に、泣いて喚いて嫌ってくれない?~

イセヤ レキ

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溺愛END・夢を叶えるオネェさん~私の為に、泣いて喚いて嫌ってくれない?~

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「あ、う………あぁっっ!!」
「あー、久しぶりのこの感じ、サイッコー」

叶さんは、私の服を力任せに剥ぎ取り、下着姿にした途端にパンツの真ん中をずらして、全く潤っていないソコ・・に自分の猛りを捩じ込んだ。
痛みと圧迫感に、息が止まりそうになる。

気を、失えたら良かったのに━━━過去も、今も。

「てか、すげーキツキツ……もしかして、夢ちゃん、あれ・・以来してない?」

その通りだ。初めての経験レイプ以来、私は誰かに身体を許した事はない。二回目の経験まで、レイプこんなとは思ってもいなかったが。
叶さんと会話するのも嫌で、私はプイと顔を背ける。

「うわ、何その可愛らしい抵抗」

頭のネジが何本かブッ飛んでいるらしい叶さんは、ますます膣に押し込んでいるモノを一回り程大きくさせた。
私は心底嫌がっている。可愛らしく照れた反応をした訳ではないのにそんな事を言われ、叶さんを少しでも喜ばせてしまった事に、嫌悪した。


泣いて欲しければ、鼻で笑ってやる。
喚いて欲しければ、無言で通してやる。
嫌がって欲しければ……喜んでやる。


その位の意気込みでいかないと、相手を喜ばせる一方だ、と思った。同時にふと頭に思い付いたそのアイデアは、もしかすると効果があるかもしれない、と思った。

叶さんはきっと、「レイプしている自分」に興奮しているのだ。DVDを見て潜在的な願望を疑似体験した気になり、以来普通のセックスでは満足出来なくなったのではないか……?
ならば、レイプとは程遠い雰囲気を醸し出したらどうするのか。


私は、恋人同士がする様に、叶さんの首に両腕を回した。痛くてたまらない下半身に集中して、それでも快感を拾おうとする。

「……何のつもり?」

案の定、叶さんは困惑し、不機嫌になった。思惑通りの反応に、ほくそ笑む。叶さんは無言で私の両腕を剥ぎ取ると、優しくベッドに縫い付けた。

パンッ  パンッ  パンッ

腰を打ち付ける音が絶え間なく響き、次第にそこには湿り気のある音も混じっていく。私の身体が反応しているのだ。

「━━んっ、は……ぁ、っっ」
「……声なんてあげちゃって。無理矢理されているのに、気持ち良いのか?」

我慢出来なくて声をあげれば、そんな事を言ってきた。叶さんが望んでいるのは、きっと私の涙や睨み付け。ならば、する事はひとつだ。


ニコリ、と叶さんに微笑む。
すると叶さんの両目が驚愕に開かれ、一瞬、間が空いた。


「━━くそっ」


ぐずぐずに溶け出した私の泥濘ぬかるみに、叶さんはより一層激しく腰を打ち付ける。ぬっちゃぬっちゃと淫らな水音を私の耳が拾い、痺れが脳から腰へと、腰から足の指先へと広がっていく。息は荒くなり、さっきまで下半身から意識的に気持ち良さを掬い上げていた感覚は、今や何も考えなくても全身を駆け巡っていた。

「レイプされている女」は、もうここにはいない。瞑っていた瞼を持ち上げ、叶さんの表情を窺えば……そこには熱を持ち、愛しい恋人を見るかの様に瞳を潤ませ微笑む綺麗なヒトがいた。

「……っっ」

勝手に膣がうねり、叶さんのペニスを絞り上げる。胸は、ドクンドクンとその鼓動を早めた。先程の私が叶さんに「してやった」事を、そのまま返されたのだ。

「夢……夢……きだ………わいい……き、だよ……夢、夢………!!」
気付けば叶さんは、私の存在を確認するかの様に名前を何度も囁き。
「……ぁ、………っく、イク………っっ!!」
「……!!中は、だめぇっっ!!」
「も、おそ、い……!!」

ズン!!と叶さんの肉棒が私の最奥まで突き、そのままの状態で二秒ほど。永遠かと思うその瞬間をくぐり抜け、熱い大量の液体が膣奥に吐き出されたのを感じた………




☆☆☆




「叶さん……離して……」
これでもう、私への興味は失っただろうかと、失わなかったらどうしようかと一抹の不安を抱えながら叶さんにお願いする。

「だぁーめ。今夢ちゃん離したら、絶対アフターピル貰いに行くでしょう?」
「……」
当たり前だ。図星だった為、思わず黙る。けど口調がオネェに戻っていて、それは心底安心した。
俺、と言っている叶さんは、私の知らない人みたいだったから。


「私ね、間違ってた」
「……え?」
「夢ちゃんが、自分の夢を勘違いしていた様に……私も、私の夢を勘違いしていたわ」
「……と、いうと?」
「私が欲しいのは、泣いて喚いて嫌がるだけの夢ちゃんじゃないみたい。さっき、行為中に笑ってくれて、気付いたの。私が欲しいのは、夢ちゃんだったんだわ」
「……」
「私、他の誰も見えなくなる位……セックスの対象にならない位、夢ちゃんに溺れたんだわ。夢ちゃんなら、何でも良いの。どんな感情でも、私に向けてくれるなら……それが憎悪でも喜ぶし、それが愛情ならもっと喜ぶ」
「憎悪でも喜ぶって……マゾですか」
「そーねぇ、夢ちゃん限定だけどねぇ」

叶さんが、先程白濁液を解き放ち、力を失ったペニスをずるりと私の中から抜いた。


「……っ………叶さんなんて、嫌いです」
「まぁ、そりゃそーよねぇ。強姦したものねぇ」
「……けど、自分はもっと嫌いです。叶さんを憎めないから」
「……え?」
「やっぱり、叶さんは良い人に違いないって確信している自分が何処かにいるんです」
「……」
「だから、叶さん。私を離して下さい」

ペニスは抜いても、叶さんは私の肩に顔を埋めたまま、私の上に覆い被さっていた。

「……そんな事言われたら、余計離せないわ」
「叶さん」
「夢ちゃん。一緒にいて欲しいの。夢ちゃんじゃなきゃ駄目なの」
「こんな事しといて、私がハイと言うと思いますか?」
「言わせてみせるわ。約束は守るもの、私。夢ちゃんの夢を叶えてあげる。夢ちゃんはいつか、自分の過去に怯えないで、頭の中にあるのは私だけって日が来るわ」
「……その自信は一体何処から……」
つい呆れ口調になる。


「愛してるもの、私」


言われて、つい叶さんの顔を見てしまった。
見なければ良かった。私を犯したその直後に、一切の嘘も迷いも濁りもなく真っ直ぐに愛を告白する人の瞳なんて。

再びプイと叶さんから目をそらす。

「だから何、その可愛らしい抵抗」

また言われて、頬にキスを落とされた。

……どうしよう。私はつい先日まで、梶谷さんが好きだったのに。
叶さんに優しくキスされるのは嫌ではないし……むしろ嬉しい、気がする。
叶さんをオネェではなく男と認識した時から、ドキドキとして仕方ないのだ。自分の胸が。

やめておいた方が良いのはわかっている。叶さんにレイプ願望があった訳じゃない事はわかったけど、こんな事で他人を手に入れようとした事自体、人としてどうかしてる。


「やっぱり、叶さんなんて、嫌いです」


ゴソゴソと叶さんの下でひっくり返って、うつぶせになる。
顔が赤くなるのが止まらないから、隠すしかないのだ。

「私は、好きよ。大好き」

うなじ、首、肩、背中、とリップ音を響かせて唇でタッチしていく。そのまま背筋に沿って下から上へとなぞられた。

「ぁんっ………」

ぞく、とくすぐったさと快感が全身を駆け巡り、思わず背を反らして声を漏らす。

「あ、夢ちゃん。今の声だけでっちゃったわ」

叶さんは、クスクス笑いながら私の臀部に、固くなり、主張を始めた肉棒をなすりつける。

「叶さん、やめて下さい。もう、おしまいです。帰ります」
「え?今日は金曜日よ?まぁ、もうすぐ土曜日になるけど。私が帰す訳ないじゃない」

叶さんは腰をスライドしながら、きっちり閉じた私の太腿の間に剛直をミチミチと差し込んできた。

「あら、このままだと、お尻に入っちゃいそうね?」
「!?!?」

慌てて腰をあげれば、ズン!!と再び叶さんの精液で満たされたままの膣に易々と付き入れられる。

「ああっっ………!!!」
「夢ちゃん、こんなに簡単に引っ掛かるなんて……本当に可愛いわ~」

キッと叶さんを睨み付け様としたが、上手くいかなかった。先に、叶さんに動かれてしまったから。獣の様に、後ろから揺さぶられて、突かれて。手も足もガクガクで支えきれないのを、無理矢理叶さんにお尻だけ高く掲げられて、お尻の孔まで散々見られて、触られて。発狂したかの様によがり狂って、気持ち良くて。何度も何度もナカに出されて、気を失って。目を醒ましても、まだ繋がっていて、喉が枯れて。お互いの唾液と愛液精液を交換しながら水分補給して。悦楽にまかせて涙を溢せば、可愛い可愛いって更に愛されて。


土曜日をそんな風にして過ごせば、日曜日には絆されていて。





「夢ちゃん、大好き。結婚しよ?」
「……叶、さ…………も、休ませて、下さい……」

右足だけを肩の上にのせて、ぱちゅん、ぱちゅん、とテンポ良く浅めと深めを交互に突いてくる。私の気持ち良いポイントが一番よく突ける体位だとかで、私はこれを探られてから何度もナカイキさせられていた。

「だぁーめ。お返事が先」
ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん
「あ、も、そこ………だめっだめぇ━━━━━っっっ!!!」
頭の中に白い星が光り始める。またイかされる。

ピタリ

「……ぁ…………、は、ふぅ………」

まただ。

「ほら、夢ちゃん。お返事は?」
「……まだ、だめぇ……お付き合い、から…………」

私はこれでも譲歩している。なんせ、自分の身体を犯したヒトと付き合うというのだから。
でも、それは叶さんの思っていたお返事ではないらしく。

「なんで?だって俺、絶対キミと結婚するんだよ?いつまで付き合ったって、これは変わらないんだから、さっさと俺のものになってよ」
そして再び始まる律動。

ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん
「~~~~っっ!!ぁはぁ、ん、あ、イ……」

ピタリ

「………ぅ、んん……………」
「夢ちゃん、腰が動いてる♪クリちゃんもビンビンに立ち上がってぷっくりじゃないのー、ちゃんと可愛がってあげないとね」

私をイきそうになっては引き止め、イきそうになっては引き止め、を繰り返していた叶さんが、おもむろに充血しきった秘豆に手を伸ばす。指先で軽く触れたと思ったら、小刻みに素早く陰核を弾いてきた。


「ひゃああああ━━━━━━━っっっ!!!」

ピタリ

「ゴメン、刺激が強すぎたね」
「ん…………はぁ、はぁ、はぁ…………」

今度こそイける、と思ったが、それも阻止された。溜まりに溜まった疼きが解き放たれず、マグマの様に噴火する瞬間を待ち構えている。ゆるゆるとクリトリスをなぞる指を、つい恨めしそうに眺めてしまう。もっと、強い刺激が欲しい。さっきみたいな。

膣壁が勝手に蠢いて、叶さんのペニスに催促する。

イくまで突いて。イかせて。


「叶、さん………も、お願い………辛い、です………」
「夢ちゃんのお返事待ち♪」

ぎゅ、と唇を噛むと、叶さんな優しく微笑んでキスをしてきた。くちゅりくちゅりと舌を絡ませ、流れてくる唾液を飲み込む。気持ち良くて、それだけで蜜口がきゅ、とすぼまる。


「叶………さぁん………」
「はぁ、夢ちゃん………俺もだいぶ辛いんだよ?」

苦笑しながら髪をかきあげる叶さんが、色っぽくて。格好良くて。

「夢ちゃん、大好き」
「……私、も」
「え?」

ぐん、と叶さんの肉竿が硬度を増す。

「嫌いじゃ、ないです」
「………なぁんだー。でも、少しだけランクアップしたね。……うん、ご褒美アゲル」

ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん、ぱちゅん

「━━━━━━あぁ━━━━━━━っっっ!!そこ、凄い、です………っっっ!!」

私は、ずっと欲しかったモノを与えられて、浅ましくも喜び涙を流す。

「知ってる。ここでしょ?ホラ、イきな?」

━━━━━━━━ズン!!

頭が真っ白になり………その快楽を受け止めたまま、ぷしゃあ、と盛大に潮を吹きながら私は気を失った。





☆☆☆





「いやぁ~、まさかオネェの叶さんが山形さん狙いだったなんてなぁ~」
「うふふ、一年間通い詰めたけど、一向に脈ないからねぇ~。アタックする事にしたのよ♪」
「アタシ達は叶ちゃんの味方だからね!!」
「あら、ありがとぉ~!!じゃあ、私がここに来られない間は夢ちゃんに変な虫が付かないように、見張っててね?」
「任せて!」「任せなさい!」「ドンとこい!」


マスターと叶さんと仲良し3人組の常連様が勝手に盛り上がるのを無視して、私は黙々と海藤さんのモーニングの準備をしていた。
ああいうのは、口を挟んだら最後だ。気付けばペロリと丸め込まれてしまうに違いない。


「おはようございます、梶谷さん」
「おはよう。……何だか今日も賑やかだねー」

ニコニコとしながら定位置に座る梶谷さんを見ても、胸が痛くはならなかった。


叶さんの予言通り、私の頭の中は叶さんの事でいっぱいだ。


「あ、今日は朝から緊急会議があるからもう行かなきゃいけないんだったわ~!!」

叶さんの台詞を聞いて、慌ててタンブラーにブレンドを注ぎ込む。そっか、今日は8時までいないんだな、なんて少し寂しく感じる私は重症だ。


「1100円になります」
私が何でもないフリをしながら会計をすれば、叶さんは私の耳に囁いた。

「今週の金曜日も、夜からデートしよ?何処か行きたいところある?」
「……ないです」
「じゃあ、私が決めて……」
「あえて言うなら」



叶さんの、おうち。



物凄く小さな声で言った筈だが、聞き取れたらしい。
叶さんは、「それは勿論よ、夢ちゃん」と破顔した。


その後、夢を叶えたのは、私か、叶さんか。



「夢ちゃん。私と結婚したら、苗字が変わって最高の名前になるわよ?」私のオネェさんは、そう言って笑った。
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