龍討伐から帰還したら、三年前に将来を約束した彼女が人妻になっていたので

イセヤ レキ

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6 気持ち悪くない *

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僕は無知だった。
でも本当に、知らなかったんだ。
男同士でも、愛し合う方法があるってことを。

僕とアリスターがお試しの恋人になった夜、宿で寝る前に「キスしていい?」と聞かれて僕は頷いた。
キスだけなら、リアナとしたことがある。

ぎし、とアリスターが僕のベッドに移動してきて、横に座った。
僕たちは瞳を閉じて、唇を重ねる。
アリスターが僕の頭の後ろに手を添えたと思ったら、角度を変えて、何度も啄むようにキスをされた。

「気持ち悪い?」

少し不安げに尋ねるアリスターに、首を振る。
スキンシップの延長だと思えば、アリスターが相手でも問題なかった。

「じゃあ、もう少し」

今度はアリスターが、唇をつけたままなかなか離してくれなかった。
こんなに長いキスをしたことがなくて、息苦しくなり薄く口を開けた途端、アリスターの舌が侵入してきて僕は驚きに目を見開く。

「アリ……っ、ん、ふぅ……っっ」

僕は今、何をしているのだろうか。

キスのはずだけどこんなキスをしたことはなくて、胸がどくどくと強く打ち付けた。

すぅとアリスターが薄く瞳を開けて、目が合った。
かぁ、と頬や下半身に熱が集まって、僕は慌てる。
距離を取ろうとしても、アリスターの身体はびくとも動かず、くちゅくちゅと唾液の絡まる音を耳が拾って羞恥心が込み上げた。

「……良かった、きちんと感じてるな」
「アリスター、今のって……あっ」

アリスターがやっと口を離してくれたので、その隙に濡れた口元を拭いながら今のはなんなのか聞こうとした。
その時、元気になりかけた下半身を指で撫でられて、全身がびくりと震える。

「キスだけで感じてくれるなんて、嬉しすぎ」
「ちょっと、アリスター……あうっ」

アリスターの手が僕の下穿きをずるりと引き下ろして、元気になった下半身を露出させられる。
そのまま僕のペニスをアリスターが優しく握り、親指で先端に滲む先走りを塗り広げられながら「気持ちいい? 気持ち悪い?」と尋ねられる。

「……き、気持ち、いい……」
「続けてもいいか?」
「……っっ」

僕は半分パニックになりながら、それでもこくこくと頷く。
アリスターは安心したように笑って、再び僕に口付けた。

激しく舌を絡まれながら、僕のペニスをアリスターの手が扱く。
ほとんど自慰をしない僕には刺激が強すぎて、あっという間に射精感が込み上げてきてしまった。

「ぁ、アリスター、も、むり、出ちゃう……っ」
「いいよ、このまま出して」

このまま出したら、アリスターの手が汚れてしまう。
僕は涙目になりながら、ふるふると首を横に振った。

それなのに、アリスターは僕の耳元に口を寄せて、息を吹き掛けながら懇願するように囁く。

「ルーマン、俺の手に出せ」

そのまま舌を耳に捻じ込まれ、ぞくぞくとした感覚が腰から脳天まで突き抜けた。

「は、ぁあ……っっ」

我慢できなくなった僕のペニスの先端から、どぷ、と白い液体が放たれる。

座っているのがしんどくてぐらりと傾いだ僕の身体を、アリスターがもう片方の腕で支えてくれて、ベッドにそっと横たわらせてくれた。

「ごめ……」
「俺の手でイってくれるなんて、最高。ルーマン、可愛い」

謝ろうとする僕の言葉を遮って、アリスターは微笑んだ。
どうやら本当に、気にしていないらしい。
同性婚が当たり前の国の出身だからだろうか。

アリスターは僕の頬や額、唇に首と、キスの雨を降らせていく。
それを受け止めているうちに息が整ってきた僕に、アリスターは「もう少し続けてもいいか? ルーマンは何もしなくていいから」と再び尋ねてくる。

この先って、なんだろう?
疑問に思いながらも、僕は頷く。

男同士の性行為は、こうして相手の性器に触れて射精を促すことだとわかったから、今度は僕がアリスターにしてあげる番なんじゃないだろうか。
なのに、僕は何もしなくていいって、どうしてだろう。

嬉しそうに僕の寝間着を脱がせるアリスターの、僕よりもずっと大きく硬くなった性器に手を伸ばす。
アリスターも興奮したらしく、下穿きが先走りで濡れている。

「積極的なのも嬉しいけど、ルーマンは無理しなくていい」

緊張で僕の手が震えていることに気づいているのだろうアリスターは、その手をそっと外したと思ったらその手の甲に口付けられた。

たったそれだけの仕草に、まるで僕が本当にアリスターの大事な相手であるかのように感じて、じわ、と胸の中に喜びが広がっていく。
これは、僕の経験値が低すぎて、ちょろいだけなのだろうか。

僕が彼女にこのようなことをたくさんしていたなら、違った結果があっただろうかとぼんやり考えてしまう。
ベッドに誘ってくれた彼女の身体ではなく、心を大切にしていたならば。

「……何を考えてる?」

アリスターに問われて、どきっと鼓動が跳ねる。
後ろめたい気持ちで、つい誤魔化してしまった。

「ええと、手慣れているなと思って」
「そりゃ、お前よりはな。でも、俺から誘ったのはお前が初めてだ。実はめちゃくちゃ緊張してるし」
「ええ?」

信じられなくて目を瞬いた僕の手を掴んで、アリスターは自分の胸に当てさせた。

「ほら」
「……本当だ」

どくどくどくどくと、アリスターの胸は大きく速く打ち付けている。
それは僕と同じで、少し安心した。
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