『ヒーローが過去に本気で愛した人』役から逃げたつもりが溺愛ルートに入ってしまった

イセヤ レキ

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7  お城で再会しました

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「アイル、久しぶりだな」
「……お初にお目にかかります、ヒューバート様」

何故こんなことに。
一般市民にはハードルが高すぎると、私は緊張でガタガタ震えながら、この国のお辞儀をした。

目の前には人狼姿のロロ、ではなくヒューバートが王座に座っている。


「ははは、お初だなんて、おかしいな。あと、そんなにかしこまらないでくれ。アイルの世話はそこの女に任せているから、何か不都合があればすぐに言うように」
「お任せください、ヒューバート様」

私に向かってペコリとお辞儀をした女性を見て、私は目を見開いた。

ヒロインちゃんである。因みにその横には、執着系ヒーローの護衛騎士がちゃっかり立っている。


明らかに場違いな気がするが、挙動不審な私をロロ、いや真っ白な耳と尻尾のついた美男子がエスコートをし、何故か夕飯まで招待されてしまった。


私がロロやポポと一緒に分け合って食べた食事はとても貧相にみえたものだろうと思いながら、私は緊張で味のしない豪華な料理を無理矢理口に入れ続けた。

私の横ではポポが今までで一番の食欲を見せてガッツガッツとご飯を食べ、私の正面ではロロがニコニコしたままこちらを見つめていた。


「アイルの置いていってくれた手紙のお陰で、奇襲を受けても対応出来た。礼をしたいのだが、妃の座と薬師の仕事と王城に住むのと、どれがいいか?」

何故その三択!?


妃の座は、ヒロインのものでは。
ヒロインの邪魔をしたら、今度はあの執着幼馴染ヒーローに命を狙われそうで、堪らない。

「薬師の仕事でお願いします」
「ははは、やはりそう言うと思った」

ヒューバートはカラカラと笑って、ワインを一口飲んだ。


「城の薬師の一人が、歳でそろそろ隠居するらしい。住居は提供するから、そこで働いてくれないか?」
「私には些か、荷が重いお話のようですが」
「いや、一年近くアイルの仕事ぶりを見ていたが、なんの問題もない。是非アイルに頼みたい」

王様にここまで言われて、断れる平民はいるのだろうか。
「……畏まりました」

食事が終わると、ヒューバートから「部屋まで私が案内しよう」と言われて戸惑う。

今度こそ丁寧に辞退しようとしたが、ヒューバートの白耳がへにょ、と垂れた瞬間に「喜んで!」と返事をしてしまった。

犬耳の強制力、オソロシイ。


「少し散歩をしないか?」
尻尾をフリフリしながら言われれば、やはり断れない。

「あの、ヒューバート様」
「ロロでいい。それと、今まで通り普通に話してくれ」

少し悩んだが、今までのロロの温厚な性格を一年間近で見てきた私としては、いきなり不敬罪だと斬られることもないだろうと判断して言葉に甘えることにした。
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