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6 無用の長物
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「お尻が痛いので、休みたいです」
「後一時間程で森を抜ける。拓けた場所の方が安全だから、もう少し我慢出来るか?」
森を抜けられては身を隠す場所もなく、逃亡しにくくなってしまう。切り通しに辿り着くまでずっと森だと思っていた私は慌てて叫んだ。
「嫌です。今すぐに休みたいです」
「わかった。よし皆、止まれ。ここで休憩だ」
私の我儘をあっさり聞き入れたロイアルバに、部下達は一切の不平不満を言うことなくその場で各々休憩に入る。
無駄に統率力が高くて感心した。
部下達はロイアルバに全幅の信頼を寄せているらしかったが、それが仇になるとは思いもしないだろう。
「エフィナ公女、こちらへ」
ロイアルバは先にさっと馬から降りて、私の腰を掴むとひょいと降ろす。
城から持ってきたらしいフカフカのクッションが地面に敷かれ、私はそこに座らされた。
逃げるからには、それなりに準備を整えておかなければならない。
ロイアルバの動きをじっと観察し、水筒の位置を確認する。ロイアルバは手にしたその水筒に口をつけず、一番に私に渡した。
「……乾物を下さい」
「珍しいな。ちょっと待っててくれ」
珍しいと言われ、私は勝手にドキドキする。
公国の民の様子を知ってから、私の身体は食事に拒否反応が出てしまった。
ここに連れて来られるまでの道中、何か物を食べても吐き戻してしまい、それもまた許されない気がして私は食事自体を一時受け入れられなくなったのだ。
心配したらしいロイアルバに、魔石というものを使われ、私は強制的に休息させられた。
魔石。そう、我が公国にはない便利なもので、あるのとないのでは全く異なる、らしい。
私達グシャナト公国は百年前とそこまで変わらない生活を営んでいたのだが、リンダンロフは魔石を活用して公国よりずっと進んだ文化を営んでいるらしいのだ。
無知であることは恥ずかしくて……私の常識は、リンダンロフでは非常識であることを知った。
魔石は世界的に見ても決して豊かな資源とはいえず、リンダンロフで発見されて以来、その場所以外から発掘された例はないらしい。
発見された当初はそれなりに出回ったものの、最近では特に採掘量が減ってその価値はうなぎ登りであるとのことだ。
そんな便利な魔石らしいが、私には無用の長物だ。
使い方もわからないので、使いこなせない。
しかし、魔石を他国で売れば金になることはわかったし、何よりも魔石がなくなれば少しはロイアルバを困らせることが出来るだろう。
「後一時間程で森を抜ける。拓けた場所の方が安全だから、もう少し我慢出来るか?」
森を抜けられては身を隠す場所もなく、逃亡しにくくなってしまう。切り通しに辿り着くまでずっと森だと思っていた私は慌てて叫んだ。
「嫌です。今すぐに休みたいです」
「わかった。よし皆、止まれ。ここで休憩だ」
私の我儘をあっさり聞き入れたロイアルバに、部下達は一切の不平不満を言うことなくその場で各々休憩に入る。
無駄に統率力が高くて感心した。
部下達はロイアルバに全幅の信頼を寄せているらしかったが、それが仇になるとは思いもしないだろう。
「エフィナ公女、こちらへ」
ロイアルバは先にさっと馬から降りて、私の腰を掴むとひょいと降ろす。
城から持ってきたらしいフカフカのクッションが地面に敷かれ、私はそこに座らされた。
逃げるからには、それなりに準備を整えておかなければならない。
ロイアルバの動きをじっと観察し、水筒の位置を確認する。ロイアルバは手にしたその水筒に口をつけず、一番に私に渡した。
「……乾物を下さい」
「珍しいな。ちょっと待っててくれ」
珍しいと言われ、私は勝手にドキドキする。
公国の民の様子を知ってから、私の身体は食事に拒否反応が出てしまった。
ここに連れて来られるまでの道中、何か物を食べても吐き戻してしまい、それもまた許されない気がして私は食事自体を一時受け入れられなくなったのだ。
心配したらしいロイアルバに、魔石というものを使われ、私は強制的に休息させられた。
魔石。そう、我が公国にはない便利なもので、あるのとないのでは全く異なる、らしい。
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そんな便利な魔石らしいが、私には無用の長物だ。
使い方もわからないので、使いこなせない。
しかし、魔石を他国で売れば金になることはわかったし、何よりも魔石がなくなれば少しはロイアルバを困らせることが出来るだろう。
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