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寝取り令嬢と呼ばれた私に元恋人が愛を囁く
3 私のお見合い相手
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いやいや、私のお見合いなんてどうでもいいから、問題はお姉様のお見合い相手よ!!
「ああ……女神かしら?天使かしら?私の妹は本当になんて綺麗なのかしら」
うっとりとした顔で言うお姉様は、自身を着飾ることはせずにいつも質素な服を着ている。
お姉様はいつもそうだ。
妹の私が一番、男爵家が二番、仕事が三番目で、自分は五番目とか六番目くらいじゃないだろうか?
しかし、鏡に映る私は確かに綺麗だった。
悪くない。
これなら、マルンナータの駄目男も釣られることだろう。
「ありがとう、お姉様。今からお見合いが楽しみですわ」
私はにっこりと笑った。
***
「すみません、このお話はなかったことに」
私はチビハゲデブだったクルト様を前に、端的にそれだけを伝えた。
相手は姿を現した途端にそう言い切った私に、キョトンと目を丸くする。
なんだかちょっと……狸みたいで可愛らしい。
「……ええと、理由を伺っても?」
「姉には内緒にしておりましたが、結婚したい相手がいるのです」
「……そうでしたか」
「折角お時間頂いたのにすみません。姉は知らなかったのです」
いかにお姉様に商才があろうと、ザイック商団を敵に回せば厄介だろう。
お姉様は知らないというところを猛アピールしたところ、狸さんは気にしないというように頷いた。
「いえいえ、そういうことなら大丈夫ですよ。わざわざ断りに来て下さり時間を無駄にせずにすみました」
何だか良い人そうだ。私は調子に乗って、もうひとつお願いをしてみる。
「その……、姉には、私はここに来なかったことにして頂けませんか?」
狸さんは再びキョトンとした。
「ええと……?なんでまた?」
その方が、これからの私の行動に有利だからだ。
私が困り顔で言葉を濁すと、狸さんは快諾してくれる。
やっぱり良い人だ。
「まぁ、これも何かの縁でしょうから。それが貴女の助けになるなら、そういうことにしましょうか」
私がペコリと頭を下げると、狸さんは汗を拭き拭き、ニコニコと笑って手を振った。
ふと、こういう相手ならお姉様を幸せに出来るかもしれない、という思いがよぎる。
ともかく、姉の幸せの為にはまずはマルンナータ伯爵家をどうにかするのが先だ。
私は狸さんと直ぐに別れ、決戦の場に向かった。
「ああ……女神かしら?天使かしら?私の妹は本当になんて綺麗なのかしら」
うっとりとした顔で言うお姉様は、自身を着飾ることはせずにいつも質素な服を着ている。
お姉様はいつもそうだ。
妹の私が一番、男爵家が二番、仕事が三番目で、自分は五番目とか六番目くらいじゃないだろうか?
しかし、鏡に映る私は確かに綺麗だった。
悪くない。
これなら、マルンナータの駄目男も釣られることだろう。
「ありがとう、お姉様。今からお見合いが楽しみですわ」
私はにっこりと笑った。
***
「すみません、このお話はなかったことに」
私はチビハゲデブだったクルト様を前に、端的にそれだけを伝えた。
相手は姿を現した途端にそう言い切った私に、キョトンと目を丸くする。
なんだかちょっと……狸みたいで可愛らしい。
「……ええと、理由を伺っても?」
「姉には内緒にしておりましたが、結婚したい相手がいるのです」
「……そうでしたか」
「折角お時間頂いたのにすみません。姉は知らなかったのです」
いかにお姉様に商才があろうと、ザイック商団を敵に回せば厄介だろう。
お姉様は知らないというところを猛アピールしたところ、狸さんは気にしないというように頷いた。
「いえいえ、そういうことなら大丈夫ですよ。わざわざ断りに来て下さり時間を無駄にせずにすみました」
何だか良い人そうだ。私は調子に乗って、もうひとつお願いをしてみる。
「その……、姉には、私はここに来なかったことにして頂けませんか?」
狸さんは再びキョトンとした。
「ええと……?なんでまた?」
その方が、これからの私の行動に有利だからだ。
私が困り顔で言葉を濁すと、狸さんは快諾してくれる。
やっぱり良い人だ。
「まぁ、これも何かの縁でしょうから。それが貴女の助けになるなら、そういうことにしましょうか」
私がペコリと頭を下げると、狸さんは汗を拭き拭き、ニコニコと笑って手を振った。
ふと、こういう相手ならお姉様を幸せに出来るかもしれない、という思いがよぎる。
ともかく、姉の幸せの為にはまずはマルンナータ伯爵家をどうにかするのが先だ。
私は狸さんと直ぐに別れ、決戦の場に向かった。
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