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先に寝てていいよと伝えてから風呂に入り、
ゆっくりと浸かってから上がると、如月は何故か座椅子の上で正座をしたまま待機していた。
「先に寝てていいって言ったのに」
「……眠れません」
「そう?枕が変わると寝れないタイプかー」
俺は笑いながら部屋の電気を消し、非常灯が点いている間に布団の中に滑り込む。
入れよ、という意味で布団を持ち上げたままでいると、如月は「失礼します」と小さな声で呟きながら、俺の横に入って来た。
「それにしても、如月は見事に化けたな。大学時代も今の感じだったら、きっとモテたぞ」
仰向けのまま瞳を閉じて、眠気に襲われるまではと思い如月に話し掛ける。
「うーん、どうでもいい人たちにモテても、意味がないので」
「そっか」
なんとなく、もしかしたら如月は、高校時代は今の感じで女の子たちからきゃあきゃあ騒がれ、それが面倒で大学では今の俺と同じく陰キャにイメチェンしたのかもしれないな、と感じた。
「でも、南出先輩の隣にいるにはこっちの姿のほうが便利かなと思って」
「ああ、あの頃は悪かったな。俺の友達がお前に色々言い掛かりをつけたって聞いた」
あんなダサいやつとなんで一緒にいるのかとか、オタクとつるんだっていいことないだろとか、俺も当時は結構言われた。
誰と付き合おうが俺の問題なんだから赤の他人にとやかく言われる覚えはないと思ってガン無視したけど、それで友人たちが如月にちょっかいを出すようになったのは失敗だった。
「いいえ、僕と南出先輩の問題なので、あんな人たちがなんと言おうとどうでもいいのですが……あ、南出先輩の友人に対して失礼な言い方をしました、すみません」
如月の感性は俺と似ているようなと思いながら、小さく首を振った。
見てないだろうけど、気配で伝わるだろう。
「いや、いいよ。もう縁切ったし」
「はは。そう言っていただけると、安心します。とにかく、こっちの姿のほうが便利かなと思ったのですが……就職活動が落ち着いて先輩に連絡を取ろうとしたら、連絡が取れなくなっていたので、そっちのほうがよっぽどショックでしたよ」
「あー、それは悪かった」
如月のほうにごろりと身体ごと向けると、如月は顔だけこちらを見ていて、近距離でばっちりと目があった。
近い。
思わず顔を後ろに引くと、後頭部が壁に当たってなかなか良い音がした。
痛い。
「ちょ、大丈夫ですか、南出先輩」
如月が慌てたように俺のほうを向き、ぶつけた後頭部に片手を置いて、ぐっと優しく手前に引っ張った。
ゆっくりと浸かってから上がると、如月は何故か座椅子の上で正座をしたまま待機していた。
「先に寝てていいって言ったのに」
「……眠れません」
「そう?枕が変わると寝れないタイプかー」
俺は笑いながら部屋の電気を消し、非常灯が点いている間に布団の中に滑り込む。
入れよ、という意味で布団を持ち上げたままでいると、如月は「失礼します」と小さな声で呟きながら、俺の横に入って来た。
「それにしても、如月は見事に化けたな。大学時代も今の感じだったら、きっとモテたぞ」
仰向けのまま瞳を閉じて、眠気に襲われるまではと思い如月に話し掛ける。
「うーん、どうでもいい人たちにモテても、意味がないので」
「そっか」
なんとなく、もしかしたら如月は、高校時代は今の感じで女の子たちからきゃあきゃあ騒がれ、それが面倒で大学では今の俺と同じく陰キャにイメチェンしたのかもしれないな、と感じた。
「でも、南出先輩の隣にいるにはこっちの姿のほうが便利かなと思って」
「ああ、あの頃は悪かったな。俺の友達がお前に色々言い掛かりをつけたって聞いた」
あんなダサいやつとなんで一緒にいるのかとか、オタクとつるんだっていいことないだろとか、俺も当時は結構言われた。
誰と付き合おうが俺の問題なんだから赤の他人にとやかく言われる覚えはないと思ってガン無視したけど、それで友人たちが如月にちょっかいを出すようになったのは失敗だった。
「いいえ、僕と南出先輩の問題なので、あんな人たちがなんと言おうとどうでもいいのですが……あ、南出先輩の友人に対して失礼な言い方をしました、すみません」
如月の感性は俺と似ているようなと思いながら、小さく首を振った。
見てないだろうけど、気配で伝わるだろう。
「いや、いいよ。もう縁切ったし」
「はは。そう言っていただけると、安心します。とにかく、こっちの姿のほうが便利かなと思ったのですが……就職活動が落ち着いて先輩に連絡を取ろうとしたら、連絡が取れなくなっていたので、そっちのほうがよっぽどショックでしたよ」
「あー、それは悪かった」
如月のほうにごろりと身体ごと向けると、如月は顔だけこちらを見ていて、近距離でばっちりと目があった。
近い。
思わず顔を後ろに引くと、後頭部が壁に当たってなかなか良い音がした。
痛い。
「ちょ、大丈夫ですか、南出先輩」
如月が慌てたように俺のほうを向き、ぶつけた後頭部に片手を置いて、ぐっと優しく手前に引っ張った。
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