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団長と呼ばれた男
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イカロスという国はもはや、国と言える場所ではなかった。ゴミは溢れ異臭がし、人々はそこかしこで怪しげな取引をしている。行き倒れている人、恐喝をする人、薬をする人、見える範囲だけでも犯罪の数は数え切れなかった。
ただクリスの馬車を見ると、道端でけんかしていた人たちは道を譲る。薬をやっていた人は数少ない理性を取り戻して体を引きずりながら道を開ける。
「これは私の力じゃないよ。うちチームの状態異常の強さの証さ。うちはね、ていうかうちの団長か。団長は人類が敗北する寸前まで戦っていた魔法騎士団の団長なのさ。団長がここを、力で支配しているといっても過言じゃないの。私たちはこの周辺で、状態異常『支配』を受けているのさ、ただこれは自由にしている分には何もないのさ。問題があるとすれば……」
その時だった。一人の錯乱した男が馬車によじ登ってきた。年は40くらいの男だろうか。よだれをまき散らし、歯をむき出しにして俺の顔の目の前で吠え始めた。
「ウォォォォォ!!!!!!!!!!」
俺はその迫力、熱量というか、絶対に話が通じない相手が俺の目の前、キスできるほどの距離で、大声で叫んでいることを受け入れることができなかった。
俺は状態異常のせいで『魅了』のせいで体が動かない。体をそらすことができないのだ。すごくつらかった。まばたきを忘れるほどに。
目を閉じることを思い出したのは、半狂乱した男がおれに殴りかかってきたからだ。それはあまりにも一瞬で唐突で、意識しているよりも早く、殴りかかってきた。
怖くて目を閉じた。しかし痛みはない。
異変が起きたのはその時だ。なぜかその男が急に体を反転させ、馬車を降り、元居た場所へ戻っていった。
魅了されて体が動かなくても、涙は出るようだ。俺は目の横から流れるしずくが落ちるのを感じると、何とか、心が平穏になるように祈った。
「あれが状態異常『支配』の力さ。団長の物に危害を加えようとするとああなってしまう、見てみなよ」
そういわれて首がわずかに回るようになった。さっきの男が横で正座をしていた。頭を地面にめり込むほど下げている。周りの人間はそれを気にも留めない。むしろ道をふさいでいることで怪訝そうな顔をする人のほうが多かった。どうやらこれは、この国の人にでは良く見る光景なのだろう。
「状態異常『支配』は抗うことはできないからな。特にこの場所では絶対に無理だ。それこそ団長を倒すことができるくらいの力がないと。ただ無理だろうね。団長は人類最強だから。あ、見えてきたよ!!」
そういって指をさし、その先にあるものは大きな家だった。このあたりには珍しくしっかりとした屋敷である。広い庭は手入れがされていて、入り口までの一本道がある。綺麗にされ、ここだけはどこか住みやすそうな気がした。
しかしこの国の人々は家のほうへ何があっても近づこうとはしなかった。喧嘩で殴られ、家のほうへ吹き飛ばされても、体を使って、何としてでも家には触れないという意思があった。それも状態異常『支配』のせいだろうか。そこまで効力が強い状態異常はどうやったら解除できるのだろうか。
「綺麗な家だろ。私みたいな奴隷商から、奴隷を買い上げて、身の回りの世話をさせているのさ。昔はいい奴だったんだけど、今はな……。まぁいいや。とりあえず団長に奴隷を換金してもらおう」
そうして馬車は家の敷地内へ入っていった。石畳に馬車の車輪と馬の蹄がぶつかって軽快な音を立てる。入り口から20メートルほど進んだところで馬車を止めた。
そのまましばらくすると屋敷のドアが開いた。体格がいいことはシルエットを見るだけで分かった。ドアをくぐるときは屈んでいたために、正確な身長の高さは分からなかったが、巨躯であるということはすぐに分かった。
兜はつけていなかった。黒い鎧が異様な雰囲気を醸し出す。この男はいきなり目の前にいる馬二頭の首を跳ね飛ばしてもおかしくないほどの鬼の形相で馬を見ていた。刀を担いでいる姿を見ているだけで俺は逃げてしまいたかった。
「約束の奴隷を連れてきたわ、早く私の家族を返してくれないかしら」
「……」
団長と呼ばれた男は無言で馬の体をなでている。その手が心地いいのか、馬は大きく嘶いた。
「早く!!言われた通り奴隷を新たに私だけで連れてきたわ。これで約束は守ったはずよ。家族に合わせて頂戴。」
「……」
クリスが団長と呼ばれている男に何かを言うたびに、迫力のせいで錯乱した男も正気に戻ってしまうほどの闘気を放つ。
「その話だがな、なしだな。報酬は払わない」
「はぁ?! また? どういうことよ!! あなたに言われた通り、女の戦士職だった人を五人連れてきたというのに!!」
どうやら報酬が払われないようだ。それに怒っているのだろう。それは「さすがにないんじゃないか?」と言いたかったが、状態異常『魅了』にかかっているのだ。ここは静かにしておこう。決してこの男にビビっているわけではないのだ。
「クリス。お前に言った条件は何だったか言ってみろ」
「状態異常『支配』が効かない人間でしょ。そんな人はいないと思うけど、とりあえずレベルの高い戦士職の女を五人も連れてきたわ」
「それがなぁ。最近現れたのさ」
「誰が?」
「おれの状態異常『支配』が効かない男だ」
「は?そんな奴いるわけないじゃない。それこそ魔王レベルの……、」
「そうだ。だがそいつはいきなり現れてな……、ん? こいつは?」
団長と呼ばれた男はにらみを利かす。眉間にしわが入る。俺はもう怖いをしたくはなかった。もう目をつむりたかったが、状態異常『魅了』がそれを許さない。
「拾ったのよ、簡単に私の魅了が効いたわ。魔法防御がまだまだね。金になると思ったから連れてきたのよ」
「……似てるな」
「え?」
団長と呼ばれる男は俺に影を作る。その大きな右手で俺の顔を下から上へなでる。俺はおしっこが漏れそうだった。彼のごつごつとした大きな手は確実に俺の頭蓋骨をつぶすことができる。それを考慮すれば体の震えが止まらなかった。
「俺が逃がした男に似ている」
「『支配』が効かない男?」
「あぁ、何というか、顔の雰囲気が似ている」
「出身地が一緒なのかしら?」
「確か奇妙な剣を背負って白い鎧を身に纏っていた。白いマントはまだ新しいようにも見えた。そして名を名乗っていたな……、たしか名前は、あきらだったかな」
俺はその名前を聞いて目を見開いた。なぜだ?なんで寄りにもよってあいつがここへ?こんな異世界亜種のような世界観の場所にどうしているんだ。もっとまともで異世界でウハウハできるような世界へ行ったのだと思ったが、彼は頭がおかしいらしい。
「こいつが、何か知っているみたいよ」
忘れていた。『魅了』中は、考えていることが筒抜けである。団長と呼ばれる男の恐怖でパニックになっていた。きっと今もステータスを覗けば三つ四つと状態異常の項目が追加されているはずだ。
「ほう、ならば問いただせ」
「ねぇその男のこと、教えてくれる?」
あきらに申し訳ないと思ったが、きっと彼はこんなことで反きっと怒らない。
「はい、私の元居た世界の家の下に住む男です。死んだはずでしたがこの世界に転移してきたようです。私もこの世界に来たばかりで、彼がどこにいるのか分かりませんし、どんな能力を持っているのかもわかりません。ただ私は……」
「使えないな、この男」
団長と呼ばれた男は俺が言いかけたのにも関わらず、差し止めた。
「でも!!この男を手元においておけば、そのあきらって男が来るかもしれないじゃない」
「そんなわけ……」
ただクリスの馬車を見ると、道端でけんかしていた人たちは道を譲る。薬をやっていた人は数少ない理性を取り戻して体を引きずりながら道を開ける。
「これは私の力じゃないよ。うちチームの状態異常の強さの証さ。うちはね、ていうかうちの団長か。団長は人類が敗北する寸前まで戦っていた魔法騎士団の団長なのさ。団長がここを、力で支配しているといっても過言じゃないの。私たちはこの周辺で、状態異常『支配』を受けているのさ、ただこれは自由にしている分には何もないのさ。問題があるとすれば……」
その時だった。一人の錯乱した男が馬車によじ登ってきた。年は40くらいの男だろうか。よだれをまき散らし、歯をむき出しにして俺の顔の目の前で吠え始めた。
「ウォォォォォ!!!!!!!!!!」
俺はその迫力、熱量というか、絶対に話が通じない相手が俺の目の前、キスできるほどの距離で、大声で叫んでいることを受け入れることができなかった。
俺は状態異常のせいで『魅了』のせいで体が動かない。体をそらすことができないのだ。すごくつらかった。まばたきを忘れるほどに。
目を閉じることを思い出したのは、半狂乱した男がおれに殴りかかってきたからだ。それはあまりにも一瞬で唐突で、意識しているよりも早く、殴りかかってきた。
怖くて目を閉じた。しかし痛みはない。
異変が起きたのはその時だ。なぜかその男が急に体を反転させ、馬車を降り、元居た場所へ戻っていった。
魅了されて体が動かなくても、涙は出るようだ。俺は目の横から流れるしずくが落ちるのを感じると、何とか、心が平穏になるように祈った。
「あれが状態異常『支配』の力さ。団長の物に危害を加えようとするとああなってしまう、見てみなよ」
そういわれて首がわずかに回るようになった。さっきの男が横で正座をしていた。頭を地面にめり込むほど下げている。周りの人間はそれを気にも留めない。むしろ道をふさいでいることで怪訝そうな顔をする人のほうが多かった。どうやらこれは、この国の人にでは良く見る光景なのだろう。
「状態異常『支配』は抗うことはできないからな。特にこの場所では絶対に無理だ。それこそ団長を倒すことができるくらいの力がないと。ただ無理だろうね。団長は人類最強だから。あ、見えてきたよ!!」
そういって指をさし、その先にあるものは大きな家だった。このあたりには珍しくしっかりとした屋敷である。広い庭は手入れがされていて、入り口までの一本道がある。綺麗にされ、ここだけはどこか住みやすそうな気がした。
しかしこの国の人々は家のほうへ何があっても近づこうとはしなかった。喧嘩で殴られ、家のほうへ吹き飛ばされても、体を使って、何としてでも家には触れないという意思があった。それも状態異常『支配』のせいだろうか。そこまで効力が強い状態異常はどうやったら解除できるのだろうか。
「綺麗な家だろ。私みたいな奴隷商から、奴隷を買い上げて、身の回りの世話をさせているのさ。昔はいい奴だったんだけど、今はな……。まぁいいや。とりあえず団長に奴隷を換金してもらおう」
そうして馬車は家の敷地内へ入っていった。石畳に馬車の車輪と馬の蹄がぶつかって軽快な音を立てる。入り口から20メートルほど進んだところで馬車を止めた。
そのまましばらくすると屋敷のドアが開いた。体格がいいことはシルエットを見るだけで分かった。ドアをくぐるときは屈んでいたために、正確な身長の高さは分からなかったが、巨躯であるということはすぐに分かった。
兜はつけていなかった。黒い鎧が異様な雰囲気を醸し出す。この男はいきなり目の前にいる馬二頭の首を跳ね飛ばしてもおかしくないほどの鬼の形相で馬を見ていた。刀を担いでいる姿を見ているだけで俺は逃げてしまいたかった。
「約束の奴隷を連れてきたわ、早く私の家族を返してくれないかしら」
「……」
団長と呼ばれた男は無言で馬の体をなでている。その手が心地いいのか、馬は大きく嘶いた。
「早く!!言われた通り奴隷を新たに私だけで連れてきたわ。これで約束は守ったはずよ。家族に合わせて頂戴。」
「……」
クリスが団長と呼ばれている男に何かを言うたびに、迫力のせいで錯乱した男も正気に戻ってしまうほどの闘気を放つ。
「その話だがな、なしだな。報酬は払わない」
「はぁ?! また? どういうことよ!! あなたに言われた通り、女の戦士職だった人を五人連れてきたというのに!!」
どうやら報酬が払われないようだ。それに怒っているのだろう。それは「さすがにないんじゃないか?」と言いたかったが、状態異常『魅了』にかかっているのだ。ここは静かにしておこう。決してこの男にビビっているわけではないのだ。
「クリス。お前に言った条件は何だったか言ってみろ」
「状態異常『支配』が効かない人間でしょ。そんな人はいないと思うけど、とりあえずレベルの高い戦士職の女を五人も連れてきたわ」
「それがなぁ。最近現れたのさ」
「誰が?」
「おれの状態異常『支配』が効かない男だ」
「は?そんな奴いるわけないじゃない。それこそ魔王レベルの……、」
「そうだ。だがそいつはいきなり現れてな……、ん? こいつは?」
団長と呼ばれた男はにらみを利かす。眉間にしわが入る。俺はもう怖いをしたくはなかった。もう目をつむりたかったが、状態異常『魅了』がそれを許さない。
「拾ったのよ、簡単に私の魅了が効いたわ。魔法防御がまだまだね。金になると思ったから連れてきたのよ」
「……似てるな」
「え?」
団長と呼ばれる男は俺に影を作る。その大きな右手で俺の顔を下から上へなでる。俺はおしっこが漏れそうだった。彼のごつごつとした大きな手は確実に俺の頭蓋骨をつぶすことができる。それを考慮すれば体の震えが止まらなかった。
「俺が逃がした男に似ている」
「『支配』が効かない男?」
「あぁ、何というか、顔の雰囲気が似ている」
「出身地が一緒なのかしら?」
「確か奇妙な剣を背負って白い鎧を身に纏っていた。白いマントはまだ新しいようにも見えた。そして名を名乗っていたな……、たしか名前は、あきらだったかな」
俺はその名前を聞いて目を見開いた。なぜだ?なんで寄りにもよってあいつがここへ?こんな異世界亜種のような世界観の場所にどうしているんだ。もっとまともで異世界でウハウハできるような世界へ行ったのだと思ったが、彼は頭がおかしいらしい。
「こいつが、何か知っているみたいよ」
忘れていた。『魅了』中は、考えていることが筒抜けである。団長と呼ばれる男の恐怖でパニックになっていた。きっと今もステータスを覗けば三つ四つと状態異常の項目が追加されているはずだ。
「ほう、ならば問いただせ」
「ねぇその男のこと、教えてくれる?」
あきらに申し訳ないと思ったが、きっと彼はこんなことで反きっと怒らない。
「はい、私の元居た世界の家の下に住む男です。死んだはずでしたがこの世界に転移してきたようです。私もこの世界に来たばかりで、彼がどこにいるのか分かりませんし、どんな能力を持っているのかもわかりません。ただ私は……」
「使えないな、この男」
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