[R-18] 奴隷のレッスン:騎士団所属の末っ子王子は、イケメン奴隷に身も心も奪われる

山葉らわん

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第一章 夜を往く帆舟(ふね)

4 一隻の帆舟 ※【地雷:男女絡み】

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 エシフと女の性技が、ゆるやかにはじまった。
 エシフは女の腰をしっかりと両手で支えている。女はエシフの肩から手をはなして、両脚をエシフの腰にまわし、妖しげに両腕を動かし、腋窩の影を見せつけながら、のけ反るようにして後ろに倒れた。エシフの性毛と女の性毛がひと続きになっている。いつからか、ふたりは繋がっていたのだった。
 女の肩が海の面に浸されると、エシフは繋げた腰を大きく揺らせた。女は両腕を頭の上にあげて手首を交叉させ、その裸身を浜辺に打ちあげられた人魚のようにうごめかせた。燭台の灯りが、絡みあうふたりを艶めかしく照らしている。
 女の豊かな乳房のいただきには、水面に滴を落とした瞬間のように乳暈にゅううんのぼかしが広がり、その滴の跳ね返りが表面に飛び上がろうとしていた。
 エシフはゆっくりと腰を下ろし、両膝立ちになった。女の腰を片腕で支えながら、腰を緩やかに揺らし、もう片方の手を女の乳房へと差しのべていった。乳暈のまわりで指を巧みに動かす。すると泛びあがれずにいた水滴は、次第に面にせりあがり、やがてエシフの指先にあやつられて、丸い真珠へと姿をかえた。
 エシフの指づかいによって、もう片方の乳房からも真珠が誕生した。騎士たちの溜め息が、そこかしこから、洩れる。エシフが上体を屈めて左右の真珠を交互に口に含むと、女の唇から官能的な歌が流れはじめた。
 エシフが上体を起こす。白い布を手繰りよせ、両手でさっと扇いで、はためかせた。うえからすっぽりと被るようにして、女に重なる。海嘯のしたで、漁師と人魚が睦みあいをはじめた。それは穏やかな動きではなかった。逆流する波から逃れようとする激しい動きだった。エシフは、女のうえでき、海鳴りのような呻き声をあげた。その声は天井と壁に共鳴し、荘厳な倍音を轟かせた。
 ゼーゲンが詠唱をとめた。
 女の声がそれを引きついで、エシフの声と美しいハーモニーを紡ぎはじめた。
 エシフの腰の動きに、海嘯は、勢いを失いつつあった。重なりあうエシフと女の腰の一部を覆い隠すだけになった。エシフは女の上にすっぽりと覆いかぶさり、緩やかに腰を数度揺らすと、すばやく身を翻して女を自分の上に乗せあげた。
「おおっ!」
 騎士たちの嘆声が女の媚態に向けられた。
 女は、エシフの腰に跨るようにして、上体を艶めかしく揺らした。長い髪を悩まし気に搔きあげ、丸みのある双肩を、あるいは豊かな乳房を手で撫でさすり、腰をくねらせた。官能的に蠢く女のしたで、エシフは、っと彼女を支えつづけた。
 ノモクは女の裸体ではなく、エシフの裸体のその隅々に目をはしらせていた。エシフの肉体の動きは、荒々しいときも穏やかなときも、そのしなやかさを失ってはいなかった。そしてエシフの声に耳を奪われた。ノモクにはまだそのような経験はないが、娼館帰りの先輩騎士たちが自慢気に語って聞かせる娼婦との行為――それは彼らの武勇伝から想像する男女の営みにすぎないが――で発せられる、快楽の、慾情の、堕落の声ではなかった。それよりもっと崇高な、生命の、精神の、清廉の声だった。
「もっとよく御覧になれるようにいたしましょう」
 ゼーゲンがノモクに囁いた。エシフの裸体に心を奪われていたノモクは、何も考えず頷いた。ゼーゲンは席を立つと、燭台を手に海原のなかへった。そして燭台を高く掲げた。三本の蝋燭の焔が、星になった。
 エシフと女は、いっそう帆舟ふねだった。女が風を受ける帆のように、たわみ、揺れ、煽られようとも、エシフはびくともしない。強靭な帆柱マストで女をしっかりと繋ぎとめ、あやしなだめるように帆舟ふね全体を揺らしていた。
 帆舟が、三つ星に導かれるようにして、ノモクの前にゆったりと近づいてくる。波を乗りこえ、大きく跳ねた。ノモクは裸かの甲板に目を落とした。胸の中央から帆柱の土台へと、筋肉の溝が真っ直ぐに伸びている。深く筋の刻まれた腹から先の暗がりで、もうせんのような性毛と綿毛のような性毛とが、複雑にもつれあっていた。
 ノモクはふと周囲を見まわした。暗黒の夜だった。目の前のすべてが海だった。帆舟をはさむように大きな船が泛んでいる。松明を灯して船乗りたちが、帆船を見ている。ひそやかな息遣い、荒々しい息遣いが、方々から聞こえる。船乗りたちの何人かが、船の陰で、しきりに手を動かしている。うめき声があがる。声のすぐ側の松明の灯りが消える。やがて左右の松明の灯りがすべて消えた。
「王子、お楽しみはこれからでございます」
 ゼーゲンが、ゆったりとした口調で云った。
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