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第18章 異世界東方見聞録
第349話 馬車の旅は退屈? それとも……
しおりを挟む「はー……さすがに時間かかるねえ、これは」
「いや、時間かかるねえ、って……まだ出発してから2時間くらいしか経ってないでしょうが」
通達から数日。
僕らは短い滞在期間を終え、『サカイ』の町を出て、一路、この国の首都であるらしい『キョウ』の都とやらへ向かっていた。
馬車の中でボヤいたところを、エルクにツッコまれているわけだが……
「いや、時間ってより、速さ的な意味でさ? ほら……もう2時間揺られてるのに、まだぜんぜん距離が進んでないっていうのを認識してちょっと」
言いながら僕は、馬車の窓の外から景色を見るんだが……そこには、2時間前に見た景色とさして変わらないそれが広がっている。
地形、山や川の位置、ここから見える大きさ……そういったものにほとんど変化がなく、いかにこの馬車がゆっくり走ってるのかを現していると言えた。
「……それは仕方ないでしょ。もともと馬車が走る速さなんてのは、こんなもんなんだから。最近私達、ありえない手段で移動することが多すぎて、この辺の感覚がマヒしてるのよ」
「あー、わかるわかる! ぶっちゃけ私も『もうちょっと早く走れないのかな』って思ったもん。この馬車ならこの3倍くらい早くしても全然いけるのに」
「けど、普通の馬車なんて、いくら重心を低めに設定していたとしても、速度を出しすぎれば揺れがひどくなりますし、横転もしやすくなりますからね……ええ、普通は」
「何よりそんな速さで走ってたりしたら警戒されますしねー。何事だーって」
エルク、シェリー、ナナ、ミュウと、口々にそう言ってくるわけだが……ああ、今更ながら、僕達は今、隊列を組んで馬車で、陸路で『キョウ』に向かっている。
そして、馬車とは言いつつも、僕らが今乗っているのは、例によって僕が作ったマジックアイテムである。
大きさも見た目も一見普通のそれだが、毎度おなじみ『空間歪曲』によって、本来のそれよりもはるかに仲が広くなっている。軽ワゴン車くらいの大きさの箱の中身は、ホテルのスイートルームもかくやって感じの広々空間だ。普通に住める。
後ろにある入り口を開いて中を見ると、それも一見すると普通の馬車の内装だが、実はそれはカモフラージュに作ってあるだけの場所。いわば『玄関』。
その向こうにある扉が、御者台ではなく本当の『中』につながっている。
今僕らが話してる場所も、広々としたリビングって感じの空間だもんね。今僕、ソファに座って思いっきり足伸ばしてくつろいでるもんね。さらには、トイレとかシャワールームまでついてる。
そして、コレを引っ張っている馬は、僕が作った『CPUM』……人工モンスターだ。
普通の馬に見せかけているなんてことはなく、見た目で異形とわかる。
何せ、いかにもメカメカしい機械の馬だ。こんなのが野生にいたら、そっちの方が異常である。
かつて、趣味とノリと勢いで作った『十二支』シリーズの1体……『午』。名前は『エクウス』。
本来のサイズは、他の『十二支』シリーズ同様巨大なんだが、今はちょっと設定弄って小さくしている。普通の馬より少し大きいくらいだが、これでも戦闘能力は十分なくらいにあるし、疲れ知らずで魔力さえ供給すれば、24時間でもぶっ続けで走り続けられる。
今は、この馬車に搭載している魔力炉から常に魔力を供給しているので、心配なしだ。
なお、この馬車に乗っているのは、『邪香猫』関係者全員だが、オリビアちゃんとザリーは別な馬車に今は出かけている。ドナルドと色々打ち合わせするんだそうだ。
そのドナルドが乗る馬車や、その他の兵士さんたちが乗る馬車とかも、僕のマジックアイテム馬車である。今僕らが乗ってるコレよりは数段性能は劣るものの、同様に『空間歪曲』を使っているのでかなり広い。足伸ばしたり、横になって休むくらいは余裕でできる親切設計だ。
この馬車も含めて、もっと広く作ることもできたんだけど、ここまででとどめてるのは、何かあった時に即座に外に出られるギリギリの大きさを見極めてのことだ。広すぎたり、内部が複雑すぎたりすると、そういう時に困るし。僕ら然り兵士たち然り、本分は要人警護なんだから。
ま、くつろぐには不足ない大きさなわけだし、揺れも最小限に抑えてある。馬車じゃなくて屯所とか派出所にいるような感覚でいてください、って、兵士さん達には言ってある。
皆さん、かなり困惑していたものの、あきらめていっそ楽しむことにしたようだった。
船旅の最中、たびたび僕らが発明品を使って海に潜ったり釣りをしたり、それで取れた獲物(魚)をおすそ分けしたのが聞いてるのかも。
前評判も合わせて、『あいつは普通じゃないことをする』+『けど害にはならない』ってことだけ理解されてれば、それでOKだ。
引いてる馬も僕らの提供だが、こちらは生身の馬である。ただし魔物。CPUMではない。
あらかじめ『契約』してミュウが召喚できるようにしておいた、6脚の馬『スレイプニル』である。アルマンド大陸では、実際に貴人の馬車を引く馬として使われることもある魔物だ。
……さて、話がずれたけども……僕らは今、こうして何台かの馬車で、陸路で『キョウ』を目指している。そして、案内兼監視としている、『サカイ』の領主さん達が手配した馬車や、偶然一緒に行くことになったロクスケさん達の乗ってる馬車も一緒なので、結構な大所帯である。
そして、その監視役やロクスケさんたちの馬車ば、普通の馬車であり、彼らを置いてけぼりにするわけにはいかないので(そもそも道案内してもらわないといけないし)、彼らに速さを合わせている。
ゆえに、普通の馬車くらいの速度しか出せない。ゆっくり進むしかない。
時速にして10㎞弱ってとこだろうか。道もあんまり整備されてないこともあって、そこまで速度は出せないようだ。しかも、馬を休ませるためにたびたび休憩を取る必要がある。
それを考えながら、僕は収納空間から1枚の紙を取り出し、広げて眺める。
それは、ドナルドが交渉の際に見せられたという、この国の地図……の、写しだ。
正確さはそこまでないだろう。かなり大雑把なものだけど……大体の地理はわかる。
この国『ヤマト皇国』は、日本と同じような形をしているとも、していないとも言える。
ぱっと見はまるで違う形だ。何て言えばいいんだろう……三日月というか、『C』の字というか……『上側が開いている、視力検査のマーク』ってとこだろうか。
とにかくそういう。細くはないが長い陸地が弧を描いているような形なのだ。
その周囲に大小の小島があちこちにある、って感じ。
しかしよく見るとコレ、やや強引ではあるが……日本の本州を、日本海側にぐぐーっとエビぞりに折り曲げたらこうなるんじゃないか、っていうような形にも見えるんだよな。
しかも不思議なことに、そうすると色々、地名とか地形とかがそのまま当てはまる感じなんだ。
僕らが上陸した『サカイ』……大阪の湾岸都市だったと思うが、今の『折り曲げ本州』論を当てはめると、大体そのくらいの位置に来るみたいだし……この地図にその他に書いてある地名も、日本のそれと大体同じになる。折り曲げた日本地図を頭で想像するのがいちいち大変だけど。
『キョウ』の都は、日本の京都府のあたりに。
『エド』は、東京のあたり。
『ハカタ』は、福岡。九州地方だからか、端っこの方だな。
『マツヤマ』……四国かここ?
『トーノ』は、東北地方……岩手県あたりか。
そのさらに先の方に『エゾ』ってあるな……北海道、組み込まれてるのか?
ただ、どれも日本のそれに忠実ってわけじゃなく、微妙にずれてはいるようだ。地形の有無とかも含めて。
で、この地図の大体の縮尺と、両都市の位置から推察するに……『サカイ』から『キョウ』までは、そんなに離れていない。
日本のそれよりは離れていそうだが、それでも直線で100㎞あるかないかってところだろう。
ただ、途中にあるいくつかの厄介な地形や、妖怪の縄張りを避けて進むことになるため、実際は蛇行した道路でその何倍もの距離を進まなければならないらしい。それも、時間帯を選んで。
おまけに、運が悪いと転向にまで左右されるため、それなりに時間がかかる道のりだ。
聞いてた話だと、馬車、それも複数で隊列をなして進むなら、順調に行けば3~4日。長引けば1週間から10日に、もっと長くなることもあるそうだ。
今のところ順調に進んではいるし、まあ、全然待てる時間ではある。
そもそも、船でだって数週間単位で、景色も水平線まで何もない洋上をずっと進んできたんだし……今更数日程度の、しかも景色も変化がある旅路に文句なんか言わない。
ただ単に、こんなスローペースで陸路を進むのが久しぶりだから、ちょっと何かこう……じれったく思ってしまったっていうだけのことだ。もっと早く動けるのに、って。
(『オルトヘイム号』なら……いや、この馬車と馬でだって、本気出せば今の3倍は早く走れる。何なら走ってだって……なんて考えちゃうのは、ぜいたくと言うか短絡的なものの考え方なんだろうな……いや、わかってはいるんだけど……)
「ま、いいか。無駄に騒ぎを起こさないようにするってのも、重要なことだし……護衛としてはそっちの方が都合はいいのは確かだしね。たまにはこういうのんびりな旅路もいいか」
「海でも思ったけど、私達って最近、移動にかける時間ってものがほぼほぼ消失気味だもんね」
「『邪香猫』としての移動は基本『オルトヘイム号』ですし、それ以外に……ネスティアとか他国の要人を護送する時は、方法の指定がない限り『ナイトライナー』とかを使いますもんね」
「最後にこういうアナログな移動手段使ったの、いつだったかしら? 『オルトヘイム号』を浮遊戦艦に改造したのが、クローナさんのところで……その前、王都への行き来は、ギルドマスターのドラゴンに乗っけてもらったんだっけ。だから……下手したら、『チャウラ』の時?」
「あー、ひょっとして、私とシェーンちゃんと皆さんが初めて会った時です?」
「そうね。馬車での遠出・遠征はあれが最後だったかも」
「いや、その後も護衛依頼とかで何度かキャラバンに同行してるじゃん。ほら、リアロストピアの時とか」
「ああ、そういやそうね。……でもほら、あの時はその後の一件のインパクトが強すぎて……」
「まあ、印象薄いってのはわかるけども」
本格的にほぼゼロになったのは、『キャッツコロニー』に拠点を構えてからかな。
どこへ行くにも時間かけずに行き来できるように、ってのをコンセプトに作ったからな、あそこの乗り物は、どれもこれも。
ま、久々ののんびり旅ってことで、いっそ楽しもうか……せいぜい窓の外に、見てて楽しい景色が広がってくれることを祈ろう。
☆☆☆
えー、全面的に前言を撤回します。
全然退屈しない、この馬車旅。
楽しい……って言ったら不謹慎なのかな? 仮にも護衛として僕らはここにいるわけだし……その観点から見れば、今のこの状況って、あまり好ましいものじゃないだろうし。
「おいぼさっとすんな弟子! そっち行ったぞ絶対に逃がすな!」
「わかってます師匠! せいやッ!」
返事しながら僕は、こっちに走ってきたイノシシみたいな魔物……否、『妖怪』の首を強打し、首の骨を中身の脊髄ごと砕いて仕留める。
直後に振り返り、空から襲い掛かってきた、鱗の生えた鷹みたいな妖怪を手裏剣で仕留める。
そして、その両方をすぐさま『収納』する。
『収納』できたってことは、きちんと死んで無生物になってる証拠だ。
只今、がっつり戦闘中である。
進路の途中、山道……とは言わないまでも、道の片側に雑木林とか竹林が見え始めたところで、どうにもその林の中が騒がしいな、って思って……そのわずか数分後にこの事態だ。
「くっ、なぜだ……なぜよりによって今!?」
「泣き言を言っている暇はない! 使者の方々をお守りするのだ!」
どうやら普段はこんなことは起こらないらしい。イレギュラーな事態のようだ。
旅程通りに旅路が進むとは限らない、という認識を持っていてなお慌てるレベルの。
僕らを『キョウ』まで案内しつつ監視する役目の人たちは今、手に手に武器を……刀や槍を持って、あるいは『陰陽術』の触媒にするらしい数珠やお札、扇子なんかを持って(正直見てるの楽しいなコレ)、襲い来る妖怪たちに対抗している。
彼らは、僕らへの監視と同時に、僕らを護衛する役割も担っていたようで、要人警護みたいに、真面目というか必死というか、ここ数週間で会ったばかりの異邦人を守るためとは思えないような気迫で立ち向かっている。
まあ、国家元首たる『帝』直々にお呼びがかかった客人、ってことになるわけだから、当然なのかもしれないけども……。
それ自体は頼もしいし、勇ましいと思うけど……残念ながら、ここで空気を読めないバカが3人。
「ミナト、11時方向と2時方向に新手だよ! また見たこともない奴だ……あれ、ネズミかな? にしちゃでかいが……向こうのは熊かな?」
「確認した。どっちも大陸にはいねえ種だ……弟子! お前はネズミだ! わかってんな、なるべく損傷少なく仕留めろ!」
「了解! 研究素材にするなら状態がよくないとダメですもんね!」
「解剖して標本にするから、傷も少なくだからな! 俺は熊をやる!」
「ああ、複数いたらなるべく多く死体回収してくれ。アンデッドにもしてみて観察したいからね。馬車隊の守りはは僕が引き受けるから、存分に頼むよ」
「うん、よろしくミシェル兄さん! ああそうだ、メラ先生へのお土産にも、なるべく状態のいいのを確保して持ち帰りたいな……」
とまあ、僕、師匠、ミシェル兄さんのマッド3人がね。自重も遠慮もしないで暴れています。
何せ、『妖怪』。初めて見る魔物のオンパレード。しかも、普通に迎撃して殺しても問題なさそうな連中ばかりと来た。
しかも、見たことのない術式の魔法――あるいは『陰陽術』か、また別の何か――を使ってくるやつも結構いた。これは知識欲が刺激されるというものだ。
明らかに、普通の生物としての生態から、『術』を使う際の魔力経路まで、『アルマンド大陸』の魔物とは……まったくとは言わないまでも、かなり違う。これは調べたい。
えーと、解剖用、保存用、アンデッド化実験用に、メラ先生へのお土産……1種族あたり、できれば3~4匹くらいほしいか。多少は細胞培養で増やすけど。
魔物素材保存用の収納アイテム、大量に持ってきておいてよかったよ。特殊な培養液で収納空間を満たしてある奴だから、冷凍するよりも状態よく保管できるからね。
単純に冷凍しただけだと、血管内の血液の膨張とか細胞壁の損壊で死体が結構壊れるんだよね。そのせいで、解凍するとかなり早く腐敗が進む。
そして、そのアイテムによりよい状態で魔物のサンプルを保管するために……さっきから僕ら3人が率先して動き、襲ってくる魔物を仕留めているのだ。
刀や槍なんかで攻撃されちゃ、毛皮や筋肉組織がズタボロになる。
スピーディーに、傷は少なく。それがベストなのだ。ゆえに、出しゃばる出しゃばる。
普段はやる気なさげな師匠もこうして自ら積極的に動いてるくらいだしね。珍しい。
けど、気持ちはよくわかる。
ミシェル兄さんの召喚するアンデッドに守りを任せ、僕と師匠はそれぞれ魔物を、傷をなるべく少ない状態で仕留めて、じゃんじゃん『収納』し、回収しているわけだ。
僕はいつも通り素手で、師匠は……あれ、エストックかな? 短めの、刺突特化の剣。
なるほど、あれなら急所を突けば一撃で仕留められて、傷も小さいし……必要ならそこに魔法か何か上乗せすれば、殺傷力も高まるからな。
一応、監視役の人たちからすれば、僕らも護衛対象である。いくら戦えるとしても、あまり前に出たりとか、無茶な真似はしてほしくないだろう。
けど、そんなことで自重する師匠じゃないので、制止する彼らに『うるせー黙ってろ邪魔すんな!』って一括してそのまま戦いに出ちゃって。
まあ、いっか、ってことで僕も参加した。
その結果、最初は戸惑ってた彼らも『何か心配する必要なさそう』『むしろ邪魔する方がまずそう』って悟ってくれたようで……一応、奇襲とかを警戒して周囲を見張るくらいにとどめてくれている。
理解してくれたのか、はたまた諦めたのか……ま、どっちでもいいか。
どの道、僕らはドナルド達の護衛でもあるんだ。馬車に全く被害が及ばないように配慮した結果としての行動である、ってことでひとつ。
彼らにけが人や死者が出なかったこと自体は、普通に喜ばしいことだと思うしね。
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