闇落ちフラグ乱立注意報、僕はただの弟です!

白霧雪。

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第三部屋

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 ジェーペス先輩は自由って言ってたけど、ほかの子は知らないが、新入生で話したことがあるのはメル君だけだ。あぁ、もう、変に大人ぶってしまったけど、僕もメル君とがよかったなぁ! 今さらだけどね!

「自由に、と言いたいところだけど、まだ入学入寮したばかりで右も左もわからなければ挨拶も交わせていないだろうからね。こちらで組み合わせを決めさせてもらうよ」

 さすがお兄様。ちら、と目配せをされて、人付き合いというかコミュニケーションをすることが苦手な僕のことを考えてくださったのですね、ありがとうございます……!

「うちの寮の一年生は二十九人、そのうち男の子が十六人だね。基本六人部屋なんだけど、六人五人五人にしてみたよ」

 第一部屋、第二部屋と名前が呼ばれていくが、僕はまだだ。第三部屋かな。このまま名前が呼ばれない、なんてことないよね。

「第三部屋、アーロン・リード。クリスティアン・オールブライト。エリオット・ダニエルソン。フェリクス・バルト。ルーファス・シートンの五人だね。荷物はそれぞれの部屋に届いているから、十八時までは自由時間になるよ。交流を深めるなり、荷物を片づけるなり。ただし寮からでないこと。時間になったら上級生が迎えにいくからね」

 はい、解散。ぱちん、と手をうったお兄様。癖なのかな。家じゃあやってるとこ見なかったけど。でもちょっと斜めにしてぱちんと手を打つ姿、素敵です。
 どうしよう、みたいな空気だったけど、第一部屋の子たちが動き出したのを皮切りにそれぞれの部屋へと行き始めた。お兄様に一言でも、と思ったけど第三部屋の子たちも動き出しててどうしよう。情けない顔をしてた自信はある。お兄様が駆け寄ってきて、頭を撫でてくれた。

「またあとで時間があるからね。今は行きなさい」

 不覚にも泣きそうになりました。僕のお兄様がこんなにも優しくてかっこいい。はい、と頷けば、いい子いい子、なんて頭を撫でてくれる。お母様とかにされたらきっと子供扱いしないで、とか言ってしまうんだろうけど、なんでかな、ヴィンスお兄様相手だと甘んじて受け入れてしまう。もっと撫でてほしいって思ってしまう。

「また、あとで」

 夕飯は隣で食べようね、と約束をして第三部屋の皆を追いかけた。
 談話室の奥にある扉の向こうに廊下を挟んで部屋が四つ。扉には数字の書かれた札がかかってるから、それが部屋割りなのかな。三の掛札がかかった部屋の扉をノックしてから、おそるおそる中へ入った。

「お、やっときた! んじゃ、全員揃ったこったし、自己紹介でもするか?」
「それがいいんじゃない? 名前も分からない奴と一緒に生活とかしたくないし」

 部屋の中には四人の美少年。揃いも揃って美少年。これ、ほんと入学要項とかに「美形でなければいけません」とかあっても可笑しくないレベルだよね。
 声をかけてきた活発そうなのがアーロン、リード? だっけ? 入寮式でいの一番に呼ばれた子だよね。多分。知的なウンディーネ寮より、サラマンダー寮が似合いそうな子だなぁ。

「おーい、聞いてるか?」
「え?」
「やっぱり、聞いてなかったんだな」

 ぷんすこ、と頬を膨らませたリード君は可愛かった。つい、頬が緩んでしまう。

「なぁに?」
「だ、だから、一番遅かったお前から自己紹介だっつってんの!」
「あ、そうなんだ。うん、わかった」

 かぁ、っと頬を赤く染めたリード君。僕が話を聞いてなかったからかな。怒りっぽい子なら気をつけないと。うん、と頷いた僕と、変に唸ってるリード君を見てほかの三人が溜め息を吐いていたことに僕はこのとき気づいてなかった。

「……自己紹介って言っても、何を言えばいいのかな?」
「名前、好きな物」
「あとは、属性とか」
「好きなタイ、」
「はいはいリードは黙ろうねぇ」

 好きな鯛? リード君は魚が好きなのかもしれない。好きな物、というか者で真っ先に浮かんだのがヴィンスお兄様という僕は末期だ。属性はまさか闇とかいうわけにもいかないし、無難に水でいいかな。まぁ、こんな感じでいいだろ。

「クリスティアン・オールブライト……です。好きな人はお兄様。属性は水だよ」
「おにいさま?」
「ほら、さっきも説明していたでしょ?」
「あ! 寮長! おんなじファミリーネーム!」
「しかもオールブライトと言えばそれなりの名家じゃないか……」

 まぁ社交界じゃ結構有名だものねぇ。僕はそういう社交場に出た回数は片手で数えるくらいだけど、お兄様お姉様はパーティー好きのお母様によく拉致られ、ごほんっ、連れられていっているものね。
 青みのある黒髪をした顰め面の美少年、名前はなんだろ、えーっと確かエリオット、フェリクス、ルーファスだっけ。エリオットっぽいからエリオット君でいっか、彼もたぶん社交界とかに出てるおうちの子なんだろうね。じゃなきゃオールブライト、って聞いただけでそう反応しないだろうし。

「つまり、オールブライト君ってブラコンなんだね!」

 キラキラキラ、とまるで天使みたいな美少女? 美少年? ……性別曖昧な人多すぎ! 眩い金髪に海の青色をした瞳の美少女染みた美少年はルーファス・シートンと名乗った。

「好きな物はあまぁいお菓子。属性は水と風、あとちょっとだけ火属性だよ!」
「三属性か、珍しいね。じゃ、次はわたしかな。エリオット・ダニエルソン。属性は水だ。好きなものは特に無いかな。嫌いなものもそんなに思いつかないけど」

 やったね、名前ドンピシャ。さすが僕。
 それにしてもダニエルソンと言えばお母様のパーティーによくお招きしてるとこじゃないか。もしかして会ったこともあるかもしれない。金色の瞳はつるりとした月を映したようで、不思議な色合いをしている。なんとなく、神経質そうな雰囲気だ。

「ほら、次はキミだよ」
「……ふぇりくす」

 ぽつり、と一言だけ呟いた。淡い金茶髪に、ぼうっと遠くを見つめる薄緑の瞳はガラス玉みたいだ。

「フェリクスはファーストネーム? ファミリーネームは?」
「……ばると。ふぇりくす、ばると、です」

 おっとりした子、なのかな。目を離すと蝶々でも追いかけて行ってしまいそうな子だなぁ。

「すきな、物? はお人形さんで、ぞくせーは風、です」

 喋っている間もずうっと上の空で、とても不安に、心配になる。この子やっていけるのかな。自分のことで手一杯だってのに、余計なおせっかいをしてしまいそうだ。
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