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メインストーリー1
続々・メムロの章:セキダイコ調査編
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街に入ってからギルドに向う間中、ずっと茶化され続けた。
さすがに、しつこい。
続々・メムロの章:セキダイコ調査編
サーカさんは迷う事もなくギルドについた。
あれ?何故サーカさんはギルドの場所を知っているのだろう。
「サーカさん、ここに来たことがあるの?」
「もちろんやで。タスト村につくまで、あっちゃこっちゃ行ってたからなぁ」
それでこのクセのある話し方なのか。
「ロキはん、おひさやでー」
ギルドに入るなりサーカさんがそう言った。
サーカさんらしいといえばらしいが、この人は礼儀を知らないのかと不安にもなる。
ロキさんはため息混じりに
「やっぱり、オマエが来たか・・・」
どうやらロキさんはサーカさんの性格を理解しているようだ。
「で、後ろのちっこいのもギルドの支援者か?」
そういえば僕はロキさんを知っているが、メムロとして会うのは初めてだ。
「初めまして、メムロといいます」
ぺこりと頭を下げた。
「メムロちゃんはこうみえて、タスト村の将来有望な期待の新人なんやで」
いや、変なハードルあげないで。
「そういえばこの前ガイアちゃん、ここにけーへんかった?」
ロキさんの顔が強張った。
「来た・・・」
「おー、やっぱりきとったか。ほんで、ガイアちゃんはどこにおんの?」
「わからない・・・」
「知らんってどういうこっちゃ。ギルド員の管理もギルドマスターの仕事とちゃうのん」
珍しくサーカさんが正論をぶつけた。
「返す言葉も無い」
悪いのは僕の方で、ロキさんが悪いわけではないが責任を感じているのだろう。
「紹介状の内容も、どーせ【煮るなり焼くなり好きにしていい】とか書いてたんやろ?ほんまに煮たり焼いたりでもしたんかいな」
「相変わらず鼻が利くな」
あの紹介状にはそんな事が書かれていたのか。
というより、サーカさん鋭い。
「今回の依頼の件と併せて説明するからもう少し待て」
しばらくすると、ギルドに1人の髪の長い人物が入ってきた。
「おー、ここのギルドにはべっぴんちゃんがおるんかいな。華があってえぇなぁ」
「サーカさん、ルーナさんは男性ですよ」
思わず名前を言ってしまった。
「初対面なのになぜ私の名前を知っている!?」
そう言いながらルーナさんが詰め寄ってきた。
「え、えっと、その、そこに名前が並んでいて一番上にあったので、なんとなく」
苦し紛れの言い訳過ぎる・・・
「せやけど、なんで男っていいきったん?」
余計な事を言わないでサーカさん・・・
「村でギルドに入るのは男性だから、ここでも同じかなぁと・・・」
・・・
重苦しい雰囲気で沈黙が続く。
「ルーナ、それぐらいにしてやれ。これから行動を共にするのに疑いを持ってはいかん」
ロキさんがその場を治めてくれた。
「なんや、ロキはん。ここのギルドめっちゃおるはずやのに1人だけかいな」
「それが最近になって急にセキダインの方が物騒になってな。そっちに人を出しているので、セイドに依頼を出したのだ」
「セキダインねぇ。あっこの手前の森はやっかいやからしゃーないか」
「うむ」
ルーナさんも僕も会話についていけないまま話が進んでいく。
「ほんで、調査って何したらえぇのん?」
「先日、セキダイコ付近で巨大な爆発が起こった。現在の状況を見てくるだけでいい」
そしてサーカさんに釘を刺すように話を続けた。
「絶対にセキダイコには入るなよ」
「なんや、ロキはんにはお見通しかいな。ほんで、ガイアちゃんの件は?」
「道中でルーナから聞くといい」
ルーナさんが下唇を噛むのが見えた。
「改めてよろしく。私の名前はルーナ。武器は魔法だ」
「オレはサーカ。華麗な舞ををみせたるでー。ほんで、こっちのちっこいのが・・・」
「初めましてメムロです。よろしくお願いします」
初めましてではないが一応頭を下げた。
「せや、ルーナちゃん。メムロちゃんに魔法の使い方おせーたって。使えそうな雰囲気はあるんやけど、まだまだ修行が足りんのや」
「私の出来る範囲内のことであれば」
ルーナさんは快諾してくれた。
前の時は僕が面倒くさがってちゃんと話を聞かなかったが、今回はちゃんと聞く事にしよう。
「ほんじゃま、サーカ隊しゅっぱつするでー。ロキはん首尾はまかせときー」
「サーカ隊だと?私はオマエの部下になったつもりはないぞ」
「ルーナ、今回はサーカの言う通りにしろ」
ルーナさんをロキさんが制した。
「ほな、いくでー」
そういうとサーカさんは意気揚々とギルドを出て行った。
「メムロくん、あいつはいつもああなのか?」
「普段はおちゃらけてますけど、実力は凄いですよ」
「そうか・・・」
観念したのかルーナさんも出たので僕もあとを付いていった。
街を出るなりサーカさんが核心を付く質問をルーナさんにした。
「ほんで、ガイアちゃんはどないなったんや?」
「!」
ルーナさんの顔が悲しみで満ちてくる。
「・・・ガイアは、私を助けるために犠牲になった」
「ほうか・・・、ほんで墓はどこや?」
そういえば墓はあるのか?
カシジュマの時にセキダイコに行ったら死体は無かった。
「回収できてないから墓はない」
「なんやて!ギルドも回収に行かんかったんかいな、薄情やなぁ!」
サーカさんが声を荒げた。
「ギルドで死体の回収に行く段取りをしていたが、その矢先に大爆発が起きた。それ以後近寄っていない」
「で、まずは調査っちゅーわけか。ロキはんは石橋を叩くタイプやからなぁ」
「ま、ちゃちゃーっと調査して、はよガイアちゃん連れて帰ろ。1人で寂しがってるやろしな」
口調はおちゃらけて明るくふるまっているが、握っているこぶしから血が流れるのが見えた。
サーカさんも辛いんだろう。
「なんや、モンスターぜーんぜん、出てけーへんやん。どないなっとんねん」
言われてみればそうだ。
ガイアさんの時はドマシ達(と、思っていたが本当はジュマシ達)と戦ったが全く出てこない。
「モンスターが出んとメムロちゃんの魔法の練習もでけへんやん」
あ、そっちか。
てっきり出番が無くて退屈しているのかと思っていた。
「ルーナちゃん、頭でっかちのメムロちゃんに魔法の使い方の基本から教えたって」
「頭でっかち?メムロくんの頭の大きさは普通のサイズだと思うが」
「ちゃうがな、本ばーっかり読んで知識だけ詰め込んでるから頭でっかちやがな。ってそんなん説明さすな」
ルーナさんはきょとんとしている。
この独特なノリについていくには時間がかかるだろう。
「それで、メムロくんは魔法の書は読んだ?」
「はい。初級1を読みました」
本当はもっと先の本も読んでいるが。
「契約は?」
「本に書いてある通りに一応」
「なるほど、で精霊に会った事は?」
「精霊?なんですかそれ?」
「え・・・」
いや、本当に知らない。
「独学で覚えようとする人はみんなそこで行き詰るのよ。魔法を使うには契約が必要だけど、それは精霊との契約の事なの」
知らなかった・・・
「私は回復とかの補助系と氷系が得意だけど、精霊との相性もあるから同じレベルの魔法でも威力が全然違うよ」
「本にはその記載がなかったので、契約をすれば使えると思ってました」
「もちろん、素質も必要なんだけど、契約するのは精霊と。で、精霊の力を借りて魔法が使えるってわけ」
「じゃあ、ドマシ達がいろんな魔法を使えるのは何故?」
「うーん、その辺りは考えたことがないからわからないけど、個体差はあると思うよ」
「なんかそれってずるい」
「あはは、ずるいよね。でも、みんなが魔法使えるようになったら争いが絶えなくなるよ」
ドマシとジュマシのような状況になるわけか。
「それで、その精霊はどこに?」
続きが気になる所だったがサーカさんが急に大声を出した。
「なんやこれー!どないなっとんねん!」
何事?と思いルーナさんと一緒にサーカさんの所へ慌てて近寄った。
・・・
その光景に僕達は何も言葉が出なかった。
セキダイコまでの道の間にぽっかりと大きな穴が開いていた。
穴の底は暗くて見えないがかなり深い。
「なにをどうやったら、こんなんできんねん」
サーカさんの疑問はもっともだ。
とても人間が作り出せるような穴ではない。
穴が出来た理由はもちろん知っている。
知っているが言ったところで信用はしてもらえないだろう。
「ほんまはこっそりとセキダイコに入ろと思ったけど、これはあかん。報告に戻るで」
セキダイコに行くにしても穴を迂回する必要がある。
ドマシ側にはドゲルが、ジュマシ側にはスイダが居る。
この面子で迂回してセキダイコに行くのは危険と判断したんだろう。
実際はスイダは居ないし、ドマシもジュマシも大人しくなっているんだろうがサーカさんは知らない。
サーカさんは普段おちゃらけているが冷静な判断もできる。
「ガイアちゃんまた来るから、もうちょっとごめんやでー」
サーカさんはセキダイコに向ってそう言って街に戻った。
ギルドに戻るとサーカさんは見たまま内容をロキさんに伝えた。
「ほんまやて、オレは冗談はゆーけど、嘘は言わん。ルーナちゃんもメムロちゃんも見てるで」
ロキさんがこっちに目線を向ける。
僕もルーナさんも黙って頷いた。
「な、な。ほんまやろ?」
「わかった、わかったから、ちょっと落ち着け」
「オレはいつでも落ちついとる!」
思わず、どこが?といいそうになったがぐっと言葉を飲み込んだ。
「爆発の結果がその大穴ということか。しばらくはセキダイコには近寄れんな」
ロキさんはわざとニヤリとしながらサーカさんの方を見ながら言った。
サーカさんはそれに気付いているが知らん振りしている。
「サーカ、調査の依頼で来てもらったが、もうちょっと頼めるか」
「その言葉待ってたでー。ほな、セキダインの方にいこか」
「全部お見通しか」
ロキさんが苦笑いをした。
サーカさんは、この世界の事をどこまで知っているのだろう。
謎の多い人だ。
続々・メムロの章つづく
さすがに、しつこい。
続々・メムロの章:セキダイコ調査編
サーカさんは迷う事もなくギルドについた。
あれ?何故サーカさんはギルドの場所を知っているのだろう。
「サーカさん、ここに来たことがあるの?」
「もちろんやで。タスト村につくまで、あっちゃこっちゃ行ってたからなぁ」
それでこのクセのある話し方なのか。
「ロキはん、おひさやでー」
ギルドに入るなりサーカさんがそう言った。
サーカさんらしいといえばらしいが、この人は礼儀を知らないのかと不安にもなる。
ロキさんはため息混じりに
「やっぱり、オマエが来たか・・・」
どうやらロキさんはサーカさんの性格を理解しているようだ。
「で、後ろのちっこいのもギルドの支援者か?」
そういえば僕はロキさんを知っているが、メムロとして会うのは初めてだ。
「初めまして、メムロといいます」
ぺこりと頭を下げた。
「メムロちゃんはこうみえて、タスト村の将来有望な期待の新人なんやで」
いや、変なハードルあげないで。
「そういえばこの前ガイアちゃん、ここにけーへんかった?」
ロキさんの顔が強張った。
「来た・・・」
「おー、やっぱりきとったか。ほんで、ガイアちゃんはどこにおんの?」
「わからない・・・」
「知らんってどういうこっちゃ。ギルド員の管理もギルドマスターの仕事とちゃうのん」
珍しくサーカさんが正論をぶつけた。
「返す言葉も無い」
悪いのは僕の方で、ロキさんが悪いわけではないが責任を感じているのだろう。
「紹介状の内容も、どーせ【煮るなり焼くなり好きにしていい】とか書いてたんやろ?ほんまに煮たり焼いたりでもしたんかいな」
「相変わらず鼻が利くな」
あの紹介状にはそんな事が書かれていたのか。
というより、サーカさん鋭い。
「今回の依頼の件と併せて説明するからもう少し待て」
しばらくすると、ギルドに1人の髪の長い人物が入ってきた。
「おー、ここのギルドにはべっぴんちゃんがおるんかいな。華があってえぇなぁ」
「サーカさん、ルーナさんは男性ですよ」
思わず名前を言ってしまった。
「初対面なのになぜ私の名前を知っている!?」
そう言いながらルーナさんが詰め寄ってきた。
「え、えっと、その、そこに名前が並んでいて一番上にあったので、なんとなく」
苦し紛れの言い訳過ぎる・・・
「せやけど、なんで男っていいきったん?」
余計な事を言わないでサーカさん・・・
「村でギルドに入るのは男性だから、ここでも同じかなぁと・・・」
・・・
重苦しい雰囲気で沈黙が続く。
「ルーナ、それぐらいにしてやれ。これから行動を共にするのに疑いを持ってはいかん」
ロキさんがその場を治めてくれた。
「なんや、ロキはん。ここのギルドめっちゃおるはずやのに1人だけかいな」
「それが最近になって急にセキダインの方が物騒になってな。そっちに人を出しているので、セイドに依頼を出したのだ」
「セキダインねぇ。あっこの手前の森はやっかいやからしゃーないか」
「うむ」
ルーナさんも僕も会話についていけないまま話が進んでいく。
「ほんで、調査って何したらえぇのん?」
「先日、セキダイコ付近で巨大な爆発が起こった。現在の状況を見てくるだけでいい」
そしてサーカさんに釘を刺すように話を続けた。
「絶対にセキダイコには入るなよ」
「なんや、ロキはんにはお見通しかいな。ほんで、ガイアちゃんの件は?」
「道中でルーナから聞くといい」
ルーナさんが下唇を噛むのが見えた。
「改めてよろしく。私の名前はルーナ。武器は魔法だ」
「オレはサーカ。華麗な舞ををみせたるでー。ほんで、こっちのちっこいのが・・・」
「初めましてメムロです。よろしくお願いします」
初めましてではないが一応頭を下げた。
「せや、ルーナちゃん。メムロちゃんに魔法の使い方おせーたって。使えそうな雰囲気はあるんやけど、まだまだ修行が足りんのや」
「私の出来る範囲内のことであれば」
ルーナさんは快諾してくれた。
前の時は僕が面倒くさがってちゃんと話を聞かなかったが、今回はちゃんと聞く事にしよう。
「ほんじゃま、サーカ隊しゅっぱつするでー。ロキはん首尾はまかせときー」
「サーカ隊だと?私はオマエの部下になったつもりはないぞ」
「ルーナ、今回はサーカの言う通りにしろ」
ルーナさんをロキさんが制した。
「ほな、いくでー」
そういうとサーカさんは意気揚々とギルドを出て行った。
「メムロくん、あいつはいつもああなのか?」
「普段はおちゃらけてますけど、実力は凄いですよ」
「そうか・・・」
観念したのかルーナさんも出たので僕もあとを付いていった。
街を出るなりサーカさんが核心を付く質問をルーナさんにした。
「ほんで、ガイアちゃんはどないなったんや?」
「!」
ルーナさんの顔が悲しみで満ちてくる。
「・・・ガイアは、私を助けるために犠牲になった」
「ほうか・・・、ほんで墓はどこや?」
そういえば墓はあるのか?
カシジュマの時にセキダイコに行ったら死体は無かった。
「回収できてないから墓はない」
「なんやて!ギルドも回収に行かんかったんかいな、薄情やなぁ!」
サーカさんが声を荒げた。
「ギルドで死体の回収に行く段取りをしていたが、その矢先に大爆発が起きた。それ以後近寄っていない」
「で、まずは調査っちゅーわけか。ロキはんは石橋を叩くタイプやからなぁ」
「ま、ちゃちゃーっと調査して、はよガイアちゃん連れて帰ろ。1人で寂しがってるやろしな」
口調はおちゃらけて明るくふるまっているが、握っているこぶしから血が流れるのが見えた。
サーカさんも辛いんだろう。
「なんや、モンスターぜーんぜん、出てけーへんやん。どないなっとんねん」
言われてみればそうだ。
ガイアさんの時はドマシ達(と、思っていたが本当はジュマシ達)と戦ったが全く出てこない。
「モンスターが出んとメムロちゃんの魔法の練習もでけへんやん」
あ、そっちか。
てっきり出番が無くて退屈しているのかと思っていた。
「ルーナちゃん、頭でっかちのメムロちゃんに魔法の使い方の基本から教えたって」
「頭でっかち?メムロくんの頭の大きさは普通のサイズだと思うが」
「ちゃうがな、本ばーっかり読んで知識だけ詰め込んでるから頭でっかちやがな。ってそんなん説明さすな」
ルーナさんはきょとんとしている。
この独特なノリについていくには時間がかかるだろう。
「それで、メムロくんは魔法の書は読んだ?」
「はい。初級1を読みました」
本当はもっと先の本も読んでいるが。
「契約は?」
「本に書いてある通りに一応」
「なるほど、で精霊に会った事は?」
「精霊?なんですかそれ?」
「え・・・」
いや、本当に知らない。
「独学で覚えようとする人はみんなそこで行き詰るのよ。魔法を使うには契約が必要だけど、それは精霊との契約の事なの」
知らなかった・・・
「私は回復とかの補助系と氷系が得意だけど、精霊との相性もあるから同じレベルの魔法でも威力が全然違うよ」
「本にはその記載がなかったので、契約をすれば使えると思ってました」
「もちろん、素質も必要なんだけど、契約するのは精霊と。で、精霊の力を借りて魔法が使えるってわけ」
「じゃあ、ドマシ達がいろんな魔法を使えるのは何故?」
「うーん、その辺りは考えたことがないからわからないけど、個体差はあると思うよ」
「なんかそれってずるい」
「あはは、ずるいよね。でも、みんなが魔法使えるようになったら争いが絶えなくなるよ」
ドマシとジュマシのような状況になるわけか。
「それで、その精霊はどこに?」
続きが気になる所だったがサーカさんが急に大声を出した。
「なんやこれー!どないなっとんねん!」
何事?と思いルーナさんと一緒にサーカさんの所へ慌てて近寄った。
・・・
その光景に僕達は何も言葉が出なかった。
セキダイコまでの道の間にぽっかりと大きな穴が開いていた。
穴の底は暗くて見えないがかなり深い。
「なにをどうやったら、こんなんできんねん」
サーカさんの疑問はもっともだ。
とても人間が作り出せるような穴ではない。
穴が出来た理由はもちろん知っている。
知っているが言ったところで信用はしてもらえないだろう。
「ほんまはこっそりとセキダイコに入ろと思ったけど、これはあかん。報告に戻るで」
セキダイコに行くにしても穴を迂回する必要がある。
ドマシ側にはドゲルが、ジュマシ側にはスイダが居る。
この面子で迂回してセキダイコに行くのは危険と判断したんだろう。
実際はスイダは居ないし、ドマシもジュマシも大人しくなっているんだろうがサーカさんは知らない。
サーカさんは普段おちゃらけているが冷静な判断もできる。
「ガイアちゃんまた来るから、もうちょっとごめんやでー」
サーカさんはセキダイコに向ってそう言って街に戻った。
ギルドに戻るとサーカさんは見たまま内容をロキさんに伝えた。
「ほんまやて、オレは冗談はゆーけど、嘘は言わん。ルーナちゃんもメムロちゃんも見てるで」
ロキさんがこっちに目線を向ける。
僕もルーナさんも黙って頷いた。
「な、な。ほんまやろ?」
「わかった、わかったから、ちょっと落ち着け」
「オレはいつでも落ちついとる!」
思わず、どこが?といいそうになったがぐっと言葉を飲み込んだ。
「爆発の結果がその大穴ということか。しばらくはセキダイコには近寄れんな」
ロキさんはわざとニヤリとしながらサーカさんの方を見ながら言った。
サーカさんはそれに気付いているが知らん振りしている。
「サーカ、調査の依頼で来てもらったが、もうちょっと頼めるか」
「その言葉待ってたでー。ほな、セキダインの方にいこか」
「全部お見通しか」
ロキさんが苦笑いをした。
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