72 / 78
プリジュドルート
メクタウの章:再戦編
しおりを挟む
『ハッハッハー!』
身体はいつに間にか動くようになっていたが、僕はアイツが笑っている姿を見ている事しかできなかった。
メクタウの章:再戦編
『メクタウ、辛い役回りをさせてしまったな。すまない』
喜びに満足しきったのか、こっちに振り向いてアイツが謝ってきた。
謝って済む状況ではなくなっている気がするが、アイツは僕に対しては好意的な態度のようだ。
『すまないじゃわからない、説明してくれるか』
結果はどうであれ、とにかく現在の状況を把握しなくてはいけない。
『何が原因でオレがこの世界に出現したのかはわからない』
ボルドマシとカシジュマの相撃ちが原因か?
本当の理由は僕にも当然わからない。
『ただ、1つだけわかっていたことがある』
『前に言っていた【オレはオレを取り戻す】とかいうやつか?』
『まぁそんなところだ。なにか心の中がぽっかりと空いた状態だった』
『それで?』
『オレと同じようなヤツがこの世界にいる事もなんとなくだがわかった』
『それがボルカシということか』
『ヤツの名前は知らなかったが、ヤツと融合することでオレを取り戻せる気がした』
なるほど。
ボルドマシとカシジュマがセットだったように、プリジュドとボルカシはセットってことか。
『それで、1つになったオマエの姿は変わってしまったが、なんと呼べばいい?』
『プリジュドのままでいい。自分でつけた名だからな』
『わかった、そうさせてもらう』
変化したのは姿だけではない。
明らかに魔力もあがっている。
恐らく例の砦も破壊できるぐらいの力を持っただろう。
『それでプリジュド、オレをどうする?』
『どうもしない。だた、利用してしまった償いではないがプリダルエは始末してやる』
変なところで律儀な部分は残っているようだ。
ボルカシの性質も影響しているのかもしれない。
『いつ動く?』
『今すぐにでも。ついてきてくれると助かる』
『力にはなれんぞ?』
『最後のとどめはメクタウ、オマエがするがいい』
復讐できるという意味ではありがたいが、利用されてる感も否めない。
『不服ならオレがとどめをさしてもいいぞ』
こいつ心を読んだのか?
『プリダルエを倒した後はどうするつもりだ?』
『わからん。でも、オマエと一緒に居れば退屈はしないだろう』
のんきなヤツだ。
僕もいつまでもこの姿で居たくはないが、戻る手段が思いつかない。
『それより、プリジュド・・・またオレに乗っていくのか?』
『あぁ、楽だからな』
あぁ・・・じゃないよ、まったく。
パカッパカッパカッ!
程なくして、プリダルエのいる森に着いた。
スタッ!
プリジュドは僕から降りて森の中へ向っていった。
僕も後に続く。
『今度は木の方に行くのか?』
『あぁ、そっちから気配を感じる』
確かに禍々しい雰囲気は大きな木から感じる。
視線を感じる。
『見てるな』
『あぁメクタウ、オマエも見られてるぞ、よかったな』
いや、良くはない。
プリダルエは大きくそびえ立つ木にある広間の入り口で腕を組んで立ってこっちを見ている。
『性懲りも無くまた来たのか』
不思議とプリダルエの声はずしんと身体の中にまで響いてくる。
『あぁ、前は様子見にきただけだ』
『ククク、姿は少し変わったようだがプリジュドだったのか。戦う前から負け惜しみか』
『プリダルエ、そろそろ弓を構えたらどうだ。それとも構える余裕がないのか?』
やっぱり僕は今回も蚊帳の外のようだ。
ま、いいけど。
ザクッ!
『痛ってー!』
思わず叫んでしまった。
気がつけば矢が僕の足に刺さっていた。
『プリダルエ、オマエの相手はオレだろう。2人がかりで戦うとでも思ったのか?』
『いや、オマエは1人で戦う事はわかっている。だが、メクタウとやらは謎めいた力を持っているようだから念のためにな』
『何のことかはわからんが、心配しなくてもコイツは手を出さん』
その通り。
手を出すつもりは無いし、わかっていながら念のためにってだけで攻撃するなんてやってられん。
僕は少しだけ離れた位置に移動した。
『オマエの方こそ手下を呼んでもいいんだぞ、卑怯者扱いはせん』
『ククク、大切な仲間をオマエに殺されたら心が痛むから呼ぶわけ無い』
メルダールの時の僕を犠牲にしておいて、どの口が言ってるんだか。
『さぁ、始めるか』
そういうと、プリダルエは木から飛び降りた。
この2人が本気で戦ったらこの森はどうなるのだろうか。
僕の心配をよそに2人の戦いが始まった。
メクタウの章つづく
身体はいつに間にか動くようになっていたが、僕はアイツが笑っている姿を見ている事しかできなかった。
メクタウの章:再戦編
『メクタウ、辛い役回りをさせてしまったな。すまない』
喜びに満足しきったのか、こっちに振り向いてアイツが謝ってきた。
謝って済む状況ではなくなっている気がするが、アイツは僕に対しては好意的な態度のようだ。
『すまないじゃわからない、説明してくれるか』
結果はどうであれ、とにかく現在の状況を把握しなくてはいけない。
『何が原因でオレがこの世界に出現したのかはわからない』
ボルドマシとカシジュマの相撃ちが原因か?
本当の理由は僕にも当然わからない。
『ただ、1つだけわかっていたことがある』
『前に言っていた【オレはオレを取り戻す】とかいうやつか?』
『まぁそんなところだ。なにか心の中がぽっかりと空いた状態だった』
『それで?』
『オレと同じようなヤツがこの世界にいる事もなんとなくだがわかった』
『それがボルカシということか』
『ヤツの名前は知らなかったが、ヤツと融合することでオレを取り戻せる気がした』
なるほど。
ボルドマシとカシジュマがセットだったように、プリジュドとボルカシはセットってことか。
『それで、1つになったオマエの姿は変わってしまったが、なんと呼べばいい?』
『プリジュドのままでいい。自分でつけた名だからな』
『わかった、そうさせてもらう』
変化したのは姿だけではない。
明らかに魔力もあがっている。
恐らく例の砦も破壊できるぐらいの力を持っただろう。
『それでプリジュド、オレをどうする?』
『どうもしない。だた、利用してしまった償いではないがプリダルエは始末してやる』
変なところで律儀な部分は残っているようだ。
ボルカシの性質も影響しているのかもしれない。
『いつ動く?』
『今すぐにでも。ついてきてくれると助かる』
『力にはなれんぞ?』
『最後のとどめはメクタウ、オマエがするがいい』
復讐できるという意味ではありがたいが、利用されてる感も否めない。
『不服ならオレがとどめをさしてもいいぞ』
こいつ心を読んだのか?
『プリダルエを倒した後はどうするつもりだ?』
『わからん。でも、オマエと一緒に居れば退屈はしないだろう』
のんきなヤツだ。
僕もいつまでもこの姿で居たくはないが、戻る手段が思いつかない。
『それより、プリジュド・・・またオレに乗っていくのか?』
『あぁ、楽だからな』
あぁ・・・じゃないよ、まったく。
パカッパカッパカッ!
程なくして、プリダルエのいる森に着いた。
スタッ!
プリジュドは僕から降りて森の中へ向っていった。
僕も後に続く。
『今度は木の方に行くのか?』
『あぁ、そっちから気配を感じる』
確かに禍々しい雰囲気は大きな木から感じる。
視線を感じる。
『見てるな』
『あぁメクタウ、オマエも見られてるぞ、よかったな』
いや、良くはない。
プリダルエは大きくそびえ立つ木にある広間の入り口で腕を組んで立ってこっちを見ている。
『性懲りも無くまた来たのか』
不思議とプリダルエの声はずしんと身体の中にまで響いてくる。
『あぁ、前は様子見にきただけだ』
『ククク、姿は少し変わったようだがプリジュドだったのか。戦う前から負け惜しみか』
『プリダルエ、そろそろ弓を構えたらどうだ。それとも構える余裕がないのか?』
やっぱり僕は今回も蚊帳の外のようだ。
ま、いいけど。
ザクッ!
『痛ってー!』
思わず叫んでしまった。
気がつけば矢が僕の足に刺さっていた。
『プリダルエ、オマエの相手はオレだろう。2人がかりで戦うとでも思ったのか?』
『いや、オマエは1人で戦う事はわかっている。だが、メクタウとやらは謎めいた力を持っているようだから念のためにな』
『何のことかはわからんが、心配しなくてもコイツは手を出さん』
その通り。
手を出すつもりは無いし、わかっていながら念のためにってだけで攻撃するなんてやってられん。
僕は少しだけ離れた位置に移動した。
『オマエの方こそ手下を呼んでもいいんだぞ、卑怯者扱いはせん』
『ククク、大切な仲間をオマエに殺されたら心が痛むから呼ぶわけ無い』
メルダールの時の僕を犠牲にしておいて、どの口が言ってるんだか。
『さぁ、始めるか』
そういうと、プリダルエは木から飛び降りた。
この2人が本気で戦ったらこの森はどうなるのだろうか。
僕の心配をよそに2人の戦いが始まった。
メクタウの章つづく
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる