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プリジュドルート
続々々々々・メムロの章:方針編
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ハァハァハァ・・・
記憶は残るけど、能力までは残らないか。
移動速度が遅くて疲れる。
続々々々々・メムロの章:方針編
幸い、ナトリの街まで強敵に出会う事はなくて済んだ。
今の状態でリクド級の敵が出たら逃げ切れない。
いつも通り、向うは先はギルド。
「おー、いつもひょっこりメムロちゃん、おかえりやでー」
サーカさんは相変わらずのようだ。
他のみんなは表情が暗い。
ボルカシの件だろうな・・・不本意とはいえ自分が加担した事だけど。
・・・
沈黙が流れる。
どう切り出そう。
「えっと・・・」
僕が口火を切ろうとすると、ルーナさんが遮った。
「ボルカシくんは珍しい本を探しにセキダイコに行ったのよ」
当然、嘘である。
僕に真実を知らせないための配慮だろう。
「いえ、ギノツの森にあった木なんですけど・・・」
「あのごっつい木やなぁ。ほんで、なんや強そうなヤツらおったなぁ」
オオカさんがドンリンさんの方を向きながらそういった。
「あの木なんですけど、倒れました」
「えーーっ!」
みんな示し合わせたかのように同じ反応をした。
そりゃそうか。
あの木が倒れるなんか思いもしない。
実際、僕も倒れてくるとは思ってなかった。
それに大きな木だったけど、ここからは見えない。
「そうか、山がまた噴火したと思ったがその後の地響きは倒木の音だったか」
ロキさんが納得したような感じでそういった。
「メムロくんは倒れる所を見たの?」
ルーナさんが聞いてきた。
「はい、ギノツの近くにいたので」
「よく無事でいたねぇ」
その木に潰されたので、決して無事ではないのだが。
「ほんで、あの森はどうなった?」
オオカさんが聞いてきた。
「わかりません、僕1人で森に行くには危険なので引き返してきました」
「ま、賢明な判断やな」
オオカさんが頷きながらそういった。
「でもさ、あの木って森よりも大きかったよ、どうやったら倒れるのさ」
ルーナさんが聞いてきた。
「そこまではわかりません」
もちろん原因は知っているが答えると色々と問いただされる。
「おおかた、森でおうた強そうなやつらがやりあった影響ちゃうんかな」
さすがオオカさん鋭い。
「で、オオカ、どっちが勝ったと思う?」
ロキさんが聞いた。
「さぁ?チラッとしかおうてへんし、見た感じでは同レベルやな。でも、プリジュドの方がレベル上がってるから、そっちのが優勢かも」
概ね正解。
あの一瞬とプリジュドのレベルアップで判断したのか。
・・・プリジュドがレベルアップした理由を聞くのはやめておこう。
「ふむ・・・そうなると、敵はプリジュドか」
「んや、意外とあいつら手を組むかもよ」
『お互いプライド高そうだから、それはないだろう』
「ドンちゃんが、それはないゆーてるで。オオカもまだまだやなぁ」
サーカさんがここぞとばかりに揚げ足を取ってくる。
「そうなると、現状でやっかいなのは、やっぱりプリジュドか」
ロキさんがそう言って、みんなが頷いた。
「あのー、プリジュドの魔法を封じる事はできないんですか?」
僕は何気なく聞いてみたら、みんなの顔が強張った。
「そ、その方法を探りにボルカシはセキダイコに向った」
ロキさんがそれっぽい事を言っている。
もちろん嘘なのは知っているが、あわせるしかない。
「そうですか・・・」
・・・
再び、沈黙の時間がギルド内を流れた。
僕は今の自分に何ができるかを考えてみたが何も思いつかない。
プリジュドとプリダルエの戦いはどうなったのだろう。
気になる所だが単独行動はできない。
森の様子を見に行く事を提案するか?
いや、提案したところで何も解決しない。
「うーんうーんと唸って、どないしたんやメムロちゃん。ポンポンでも痛いんでちゅかー?」
考え事をしている間に唸っていたのか、サーカさんが僕のお腹をさすりながら言ってきた。
「お、お腹は大丈夫です!」
そういってサーカさんの手を払った。
「そないに怒らんでもえぇやん、冗談やがな、冗談、冗談」
「まったく、サーカは無神経なんだから」
呆れたようにルーナさんがサーカさんに向って言った。
「あのー、ロキさん、今はどういう状況なのですか?」
だいたいの事は把握しているが一応聞いてみた。
「ふむ、そうだな。説明ついでにそれぞれが知っている事を全員で共有しておくか」
ロキさんは僕の質問の意図を理解してくれた。
・・・
みんなで地図を囲んで状況を確認しあった。
「と、いう感じだな」
ボルカシがもう居ない事だけは僕には伏せたままだったが下手に聞けない。
「ほんで、こっからどないするんや?ボルカシちゃん戻ってくんの待っとったら日が暮れるで」
じっとはしていられないのだろう、サーカさんがソワソワしながらそう言った。
「そうだな、ギノツの森の様子も気になるな・・・サーカ、行ってくるか?」
ロキさんはやれやれといった感じでサーカさんに向って言った。
「さっすがロキはん、よぉわかっとるやん。もっちろんいくでー!当然メムロちゃんとルーナちゃんも一緒にな!」
何が当然なのかはわからないが、この組み合わせはサーカさんの中では確定事項のようだ。
ルーナさんも仕方ないという表情をしている。
「ほんなら、オレはボルカシの様子見ついでにセキダイコにでも行ってくるわ」
オオカさんはセキダイコが気になっているようだ。
「わかった。オオカ、頼んだぞ」
ボルカシの件は嘘だがセキダイコの調査はオオカさんが行く事になった。
「セイドとドンリンはワニナの方の様子を見に行ってくれ」
2人とも頷いた。
「各自、無理をせずにな」
ロキさんがそう言うと、全員頷いてギルドを出て行った。
続々々々々・メムロの章つづく
記憶は残るけど、能力までは残らないか。
移動速度が遅くて疲れる。
続々々々々・メムロの章:方針編
幸い、ナトリの街まで強敵に出会う事はなくて済んだ。
今の状態でリクド級の敵が出たら逃げ切れない。
いつも通り、向うは先はギルド。
「おー、いつもひょっこりメムロちゃん、おかえりやでー」
サーカさんは相変わらずのようだ。
他のみんなは表情が暗い。
ボルカシの件だろうな・・・不本意とはいえ自分が加担した事だけど。
・・・
沈黙が流れる。
どう切り出そう。
「えっと・・・」
僕が口火を切ろうとすると、ルーナさんが遮った。
「ボルカシくんは珍しい本を探しにセキダイコに行ったのよ」
当然、嘘である。
僕に真実を知らせないための配慮だろう。
「いえ、ギノツの森にあった木なんですけど・・・」
「あのごっつい木やなぁ。ほんで、なんや強そうなヤツらおったなぁ」
オオカさんがドンリンさんの方を向きながらそういった。
「あの木なんですけど、倒れました」
「えーーっ!」
みんな示し合わせたかのように同じ反応をした。
そりゃそうか。
あの木が倒れるなんか思いもしない。
実際、僕も倒れてくるとは思ってなかった。
それに大きな木だったけど、ここからは見えない。
「そうか、山がまた噴火したと思ったがその後の地響きは倒木の音だったか」
ロキさんが納得したような感じでそういった。
「メムロくんは倒れる所を見たの?」
ルーナさんが聞いてきた。
「はい、ギノツの近くにいたので」
「よく無事でいたねぇ」
その木に潰されたので、決して無事ではないのだが。
「ほんで、あの森はどうなった?」
オオカさんが聞いてきた。
「わかりません、僕1人で森に行くには危険なので引き返してきました」
「ま、賢明な判断やな」
オオカさんが頷きながらそういった。
「でもさ、あの木って森よりも大きかったよ、どうやったら倒れるのさ」
ルーナさんが聞いてきた。
「そこまではわかりません」
もちろん原因は知っているが答えると色々と問いただされる。
「おおかた、森でおうた強そうなやつらがやりあった影響ちゃうんかな」
さすがオオカさん鋭い。
「で、オオカ、どっちが勝ったと思う?」
ロキさんが聞いた。
「さぁ?チラッとしかおうてへんし、見た感じでは同レベルやな。でも、プリジュドの方がレベル上がってるから、そっちのが優勢かも」
概ね正解。
あの一瞬とプリジュドのレベルアップで判断したのか。
・・・プリジュドがレベルアップした理由を聞くのはやめておこう。
「ふむ・・・そうなると、敵はプリジュドか」
「んや、意外とあいつら手を組むかもよ」
『お互いプライド高そうだから、それはないだろう』
「ドンちゃんが、それはないゆーてるで。オオカもまだまだやなぁ」
サーカさんがここぞとばかりに揚げ足を取ってくる。
「そうなると、現状でやっかいなのは、やっぱりプリジュドか」
ロキさんがそう言って、みんなが頷いた。
「あのー、プリジュドの魔法を封じる事はできないんですか?」
僕は何気なく聞いてみたら、みんなの顔が強張った。
「そ、その方法を探りにボルカシはセキダイコに向った」
ロキさんがそれっぽい事を言っている。
もちろん嘘なのは知っているが、あわせるしかない。
「そうですか・・・」
・・・
再び、沈黙の時間がギルド内を流れた。
僕は今の自分に何ができるかを考えてみたが何も思いつかない。
プリジュドとプリダルエの戦いはどうなったのだろう。
気になる所だが単独行動はできない。
森の様子を見に行く事を提案するか?
いや、提案したところで何も解決しない。
「うーんうーんと唸って、どないしたんやメムロちゃん。ポンポンでも痛いんでちゅかー?」
考え事をしている間に唸っていたのか、サーカさんが僕のお腹をさすりながら言ってきた。
「お、お腹は大丈夫です!」
そういってサーカさんの手を払った。
「そないに怒らんでもえぇやん、冗談やがな、冗談、冗談」
「まったく、サーカは無神経なんだから」
呆れたようにルーナさんがサーカさんに向って言った。
「あのー、ロキさん、今はどういう状況なのですか?」
だいたいの事は把握しているが一応聞いてみた。
「ふむ、そうだな。説明ついでにそれぞれが知っている事を全員で共有しておくか」
ロキさんは僕の質問の意図を理解してくれた。
・・・
みんなで地図を囲んで状況を確認しあった。
「と、いう感じだな」
ボルカシがもう居ない事だけは僕には伏せたままだったが下手に聞けない。
「ほんで、こっからどないするんや?ボルカシちゃん戻ってくんの待っとったら日が暮れるで」
じっとはしていられないのだろう、サーカさんがソワソワしながらそう言った。
「そうだな、ギノツの森の様子も気になるな・・・サーカ、行ってくるか?」
ロキさんはやれやれといった感じでサーカさんに向って言った。
「さっすがロキはん、よぉわかっとるやん。もっちろんいくでー!当然メムロちゃんとルーナちゃんも一緒にな!」
何が当然なのかはわからないが、この組み合わせはサーカさんの中では確定事項のようだ。
ルーナさんも仕方ないという表情をしている。
「ほんなら、オレはボルカシの様子見ついでにセキダイコにでも行ってくるわ」
オオカさんはセキダイコが気になっているようだ。
「わかった。オオカ、頼んだぞ」
ボルカシの件は嘘だがセキダイコの調査はオオカさんが行く事になった。
「セイドとドンリンはワニナの方の様子を見に行ってくれ」
2人とも頷いた。
「各自、無理をせずにな」
ロキさんがそう言うと、全員頷いてギルドを出て行った。
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