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番外編
エリィに首ったけ 〜Crazy about Elly 1
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エルリーヌ・ソーンダイク侯爵令嬢は令嬢中の令嬢として有名で、そのゴージャスな黄金色の髪と蒼い瞳に見つめられた者は、ここに女神がいる、と感激して跪かんとする者が続出すると噂が立つほどで。
ひとつ上の学年にいる公爵令嬢と対抗するように、一大派閥を形成しており、双方の派閥の陣営はすれ違い様など火花を飛び散らしていて、まさに一触即発といったところであった。
尤もエルリーヌ自身は派閥など作りあげる意図はなく、気がつけば自分の後ろにゾロゾロとついて歩く令嬢達が増えていた、そんな感じだった。
学院では、二大派閥による抗争が起きそうな起きなさそうな、微妙なバランスが保たれていたが、そんなところへバランスを崩す異分子が現れたのだった。
それは、子爵令嬢のマリアンナ・オディール嬢で、ちょっとした経緯があって、現在はロックフィールド公爵家で世話になっているという。
エルリーヌの婚約者はジェイムス・ロックフィールド公爵子息であったため、美しく気高い女神と銀髪の王子様の間に割り込もうとする羽虫、としてマリアンナへの虐めが始まったのだが、それはエルリーヌの知らないところで勝手に行われていた。
ある時、びしょ濡れのマリアンナと遭遇したエルリーヌは、自分の取り巻き達がマリアンナを虐めていることを知りキレた。盛大にキレた。
「貴女たち、なんて酷いことを!淑女にあるまじき行為よっ!」
「エルリーヌ様。わたくし達は、エルリーヌ様の為を思って。ロックフィールド様に近付く汚い羽虫を排除しようとしただけですわ。
それに試験の結果も色仕掛けで優遇されていると聞きますわよ。貧乏子爵風情が出しゃばるから悪いのですわ」
伯爵家の令嬢が代表して得意げに答えたが、それは火に油を注ぐ結果となった。
「……誰のためにですって?この方がジェイムス様に色目を使っているとでも?
誰がそれを見たの?見たと言うなら、貴女が目にした全てを言いなさい。そうそう、貴女の名前もお名乗りなさいね」
エルリーヌは一息つくと更に捲し立てた。
「入学時から学年で5番以内を維持している優秀なマリアンナ様が、成績のために色仕掛けなんてする必要がどこにあるというの?
貴女方の中でマリアンナ様より成績が上の人っているのかしら?いるわけないわよねぇ。勉強もせず、他人を虐めてるんですものね。それも大勢でひとりの女の子を虐めているんでしょう?
しかもよ!わたくしの為になんて理由をつけて。わたくしがいつそんな事を貴女達に頼んだのかしら。
虐めの大義名分にされるほど、腹立たしいことはないわ」
興奮したエルリーヌは、持っていた扇子をバキと折った。
さらに言い募ろうとした時、待った、とばかりに声が掛かった。
「エルリーヌ、怒っている君も綺麗だけど、ご令嬢方が怯えてしまうよ」
ジェイムスが笑いながらその場に現れたのだ。
「君たち。エルリーヌが怒るのももっともだ。君たちは勘違いしている。
マリアンナ嬢は父の友人のご息女で、それゆえ我が家で預かっているんだ。つまり、ロックフィールド公爵家の正式な客人という事だね。
君たちが彼女に何をしたか、実は全部わかっているんだよ。
大切なお嬢さんに何かあってはいけないからね……。
家に帰ったら君たちの父上に聞いてみるといいよ。ロックフィールド家の息の掛かった人間に手を出すとは、どういう意味なのかとね」
ジェイムスの美しい顔はこれ以上ないほど冷徹な表情になった。
「悪いけど、僕はエルリーヌが悲しむことは見逃せないんだ。
しかし、エルリーヌの態度もレディらしくなかったね」
「ロックフィールド様。わたくしどもこそ、エルリーヌ様の為という勝手な思い込みで、オディール子爵令嬢を傷つけてしまいました。エルリーヌ様にもオディール子爵令嬢にも謝罪をいたします。どうか公爵様にはこの事は……」
真っ青になりながら、先程の伯爵令嬢とその一味は頭を下げた。
公爵家の影がマリアンナについているのだとすると、今までの虐めがすべて筒抜けということになる。自分達の父親や家族がこの国の宰相に睨まれたらどういう事になるのか、とようやく事態を察したのだった。
「わたくしこそ淑女らしからぬ態度をとってしまってごめんなさい。皆さまが、わたくしを思ってくださるお気持は大変嬉しくてよ。
でも、派閥とかいうのは解散してくださらないかしら?わたくしは同級生の皆さんに友達は求めても、臣下はいらないわ。ですから皆さんとも、対等な立場のお友達でありたいわ」
にっこり笑ったエルリーヌは、先程の激昂も忘れてひたすら優雅に優しく語りかけた。そして、女神のような慈愛に満ちた微笑みで、
「わたくしは平和を愛しておりますの。皆さま方が、高貴で崇高なお心をお持ちになっている限り、わたくしは皆様の良き友人であり続けると誓いますわ」と語りかけた。
その言葉に感激した取り巻き達は、派閥など辞めます、わたくし達はエルリーヌ様の良き友人ですと言って感動に打ち震えていた。結果的に彼女達は、崇拝するエルリーヌの取り巻きのようになってしまうのだが。
取り巻き令嬢たちは、マリアンナに対して今までの虐めの謝罪をした。マリアンナもそれを受け入れて、一件落着となった。
ひとつ上の学年にいる公爵令嬢と対抗するように、一大派閥を形成しており、双方の派閥の陣営はすれ違い様など火花を飛び散らしていて、まさに一触即発といったところであった。
尤もエルリーヌ自身は派閥など作りあげる意図はなく、気がつけば自分の後ろにゾロゾロとついて歩く令嬢達が増えていた、そんな感じだった。
学院では、二大派閥による抗争が起きそうな起きなさそうな、微妙なバランスが保たれていたが、そんなところへバランスを崩す異分子が現れたのだった。
それは、子爵令嬢のマリアンナ・オディール嬢で、ちょっとした経緯があって、現在はロックフィールド公爵家で世話になっているという。
エルリーヌの婚約者はジェイムス・ロックフィールド公爵子息であったため、美しく気高い女神と銀髪の王子様の間に割り込もうとする羽虫、としてマリアンナへの虐めが始まったのだが、それはエルリーヌの知らないところで勝手に行われていた。
ある時、びしょ濡れのマリアンナと遭遇したエルリーヌは、自分の取り巻き達がマリアンナを虐めていることを知りキレた。盛大にキレた。
「貴女たち、なんて酷いことを!淑女にあるまじき行為よっ!」
「エルリーヌ様。わたくし達は、エルリーヌ様の為を思って。ロックフィールド様に近付く汚い羽虫を排除しようとしただけですわ。
それに試験の結果も色仕掛けで優遇されていると聞きますわよ。貧乏子爵風情が出しゃばるから悪いのですわ」
伯爵家の令嬢が代表して得意げに答えたが、それは火に油を注ぐ結果となった。
「……誰のためにですって?この方がジェイムス様に色目を使っているとでも?
誰がそれを見たの?見たと言うなら、貴女が目にした全てを言いなさい。そうそう、貴女の名前もお名乗りなさいね」
エルリーヌは一息つくと更に捲し立てた。
「入学時から学年で5番以内を維持している優秀なマリアンナ様が、成績のために色仕掛けなんてする必要がどこにあるというの?
貴女方の中でマリアンナ様より成績が上の人っているのかしら?いるわけないわよねぇ。勉強もせず、他人を虐めてるんですものね。それも大勢でひとりの女の子を虐めているんでしょう?
しかもよ!わたくしの為になんて理由をつけて。わたくしがいつそんな事を貴女達に頼んだのかしら。
虐めの大義名分にされるほど、腹立たしいことはないわ」
興奮したエルリーヌは、持っていた扇子をバキと折った。
さらに言い募ろうとした時、待った、とばかりに声が掛かった。
「エルリーヌ、怒っている君も綺麗だけど、ご令嬢方が怯えてしまうよ」
ジェイムスが笑いながらその場に現れたのだ。
「君たち。エルリーヌが怒るのももっともだ。君たちは勘違いしている。
マリアンナ嬢は父の友人のご息女で、それゆえ我が家で預かっているんだ。つまり、ロックフィールド公爵家の正式な客人という事だね。
君たちが彼女に何をしたか、実は全部わかっているんだよ。
大切なお嬢さんに何かあってはいけないからね……。
家に帰ったら君たちの父上に聞いてみるといいよ。ロックフィールド家の息の掛かった人間に手を出すとは、どういう意味なのかとね」
ジェイムスの美しい顔はこれ以上ないほど冷徹な表情になった。
「悪いけど、僕はエルリーヌが悲しむことは見逃せないんだ。
しかし、エルリーヌの態度もレディらしくなかったね」
「ロックフィールド様。わたくしどもこそ、エルリーヌ様の為という勝手な思い込みで、オディール子爵令嬢を傷つけてしまいました。エルリーヌ様にもオディール子爵令嬢にも謝罪をいたします。どうか公爵様にはこの事は……」
真っ青になりながら、先程の伯爵令嬢とその一味は頭を下げた。
公爵家の影がマリアンナについているのだとすると、今までの虐めがすべて筒抜けということになる。自分達の父親や家族がこの国の宰相に睨まれたらどういう事になるのか、とようやく事態を察したのだった。
「わたくしこそ淑女らしからぬ態度をとってしまってごめんなさい。皆さまが、わたくしを思ってくださるお気持は大変嬉しくてよ。
でも、派閥とかいうのは解散してくださらないかしら?わたくしは同級生の皆さんに友達は求めても、臣下はいらないわ。ですから皆さんとも、対等な立場のお友達でありたいわ」
にっこり笑ったエルリーヌは、先程の激昂も忘れてひたすら優雅に優しく語りかけた。そして、女神のような慈愛に満ちた微笑みで、
「わたくしは平和を愛しておりますの。皆さま方が、高貴で崇高なお心をお持ちになっている限り、わたくしは皆様の良き友人であり続けると誓いますわ」と語りかけた。
その言葉に感激した取り巻き達は、派閥など辞めます、わたくし達はエルリーヌ様の良き友人ですと言って感動に打ち震えていた。結果的に彼女達は、崇拝するエルリーヌの取り巻きのようになってしまうのだが。
取り巻き令嬢たちは、マリアンナに対して今までの虐めの謝罪をした。マリアンナもそれを受け入れて、一件落着となった。
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