突然ヒロインとなったマリアンナの恋愛事情〜女装の王子様に囲い込まれました

牧場のばら

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番外編

エリィに首ったけ 〜Crazy about Elly 3

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 それから5年、22歳になったエルリーヌは、ジェイムス・ロックフィールド公爵の愛妻であり、二児の母である。
 結婚出産を経てますます美しさに磨きがかかっている。

 今日も執務を終えて帰宅したジェイムスは、玄関ホールまで出迎えた子ども達に抱きつかれた。 

「ただいま、アルバート、シェレル」
 子ども達を片手に1人ずつ抱えると、愛しい妻のエルリーヌの頬にただいまのキスをした。
 ジェイムス達の子どもは3歳になる息子アルバートと、1歳の娘シェレルの2人だ。

「お帰りなさい、ジェイ。明日にはいよいよマリアンナ達がやってくるわ。お義父様のお誕生日祝いが賑やかになるわね」」

 エルリーヌは待ちきれないように話し出した。
 そんな妻を、ジェイムスは愛おしそうに見つめる。
 エルリーヌのお腹の中には3人目の子どもがいる。いつ生まれてもおかしくないほど、膨らんでいた。
 こんな幸せを想像できただろうか。

 結婚を契機に、ジェイムスは少しずつ変わる事ができた。それはエルリーヌによる教育の成果と言っても良く、妻へも子ども達へも、さりげなくキスできるほど成長した。

(本当にエルリーヌには敵わない)
 ジェイムスは自分を変えた妻を愛情に満ちた目で見つめた。

 翌日、弟のデヴィッド夫妻とその子どもたちがが公爵家へやってきた。
 今は別邸で暮らしている彼らの父、サイラスの誕生パーティに参加するため、毎年この時期にデヴィッド夫妻はエインズワース領から王都に出でくるのである。
 そもそも父の誕生パーティも、エルリーヌが始めた事だった。
 一年に一度、みんなで集まるのって楽しそうじゃない?」言い出したら必ず実行する妻は、さっそく義妹のマリアンナに連絡をとって、日程の調整とパーティの段取りを考るのが本当に楽しそうだった。


 翌日、到着したマリアンナは、挨拶もそこそこに義姉で親友のエルリーヌをそっと抱きしめた。
「エリィ、いよいよね。お腹は苦しくない?」
「ああ、マリィ。もう破裂しそうなほど大きいでしょう?今はまだ大丈夫よ。それより、アンジェラもオーウェンも大きくなったわね」

 4人の子ども達は、大きい子が小さい子の手を引いて子どもの為のプレイルームへ向かっている。その光景に大人たちは目を細めた。



 次の日、前公爵サイラスの誕生パーティを身内だけで行うため、屋敷の使用人達は朝から準備に追われていた。

 ジェイムスとエルリーヌがまだ婚約者時代から、2人で仲良く散歩した庭の芝生にガーデンパーティの準備をして、さらには子ども達が安心して遊べるようコーナーも作った。
 公爵は孫との交流をとても楽しみにしており、庭のあちこちに仕掛けを施していた。小さなプレゼントを隠しておいたのだ。宝探しをさせよう、という楽しい企みだ。

 そして身重のエルリーヌとマリアンナがゆったりと語り合えるように、その日一日は、息子達に子ども達の世話をするよう命じた。もちろん祖父である自分も全力で孫たちと向き合うつもりでいる。

 庭のプレゼントも父親達の企みも、エルリーヌたちには全て内緒だ。
 


 お昼前から始まった、「サイラスおじいちゃまのお誕生会」は大層な盛り上がりだった。  

 サイラスと、エルリーヌの両親であるソーンダイク侯爵夫妻は、孫達の健やかな成長が嬉しくてたまらない様子。 
 ソーンダイク夫妻はマリアンナの事も気に入っているので、どの子もうちの孫だと、4人を分け隔てなく可愛がってくれた。
 
「さあ、孫達よ。じいじと父さま達と一緒に宝探しに出発するぞ!」
 サイラスの掛け声で、海賊に扮したジェイムス達が現れて、子どもたちは最高潮に喜んだ。

「お父様なの?カッコいい!」
 長男のアルバートがジェイムスに抱き付いたら、娘のシェレルも「おとうさま、かっこいい、抱っこして」とせがんだ。
 この愛らしい宝物を与えてくれてのは君だよ、とばかりにジェイムスはエルリーヌを振り返った。
「王子と王女は攫ったぞ。さあ、宝探しだ!」

 デヴィッドもまた、片目に眼帯をした海賊姿で現れたらアンジェラが泣いた。「お父様の目が無くなった……」
 いや、これは変装だよ、と焦るデヴィッドに、マリアンナは笑った。

 子ども達による宝探しは、変装した使用人達も巻き込んで賑やかに進んだ。
 謎の老婆や魔法使いなどに扮した使用人たちが、こっちだよと子ども達を導く。
 それぞれの父親と祖父のサイラスとソーンダイク侯爵に手を引かれた子ども達は、怪しい案内人の後をつけていった。

「わあ!うさちゃんのぬいぐるみ!」
「キラキラした剣があったー!」
「たくさんお菓子があるよ」
「本物の犬がいる!」

 犬を欲しがっていたのはアルバートだ。大喜びの息子に、ジェイムスは目を細めた。
 子どもたちはみな、いろんな場所で宝物を発見してはしゃいでいた。
 抱えきれないほどの宝を、使用人達が恭しく掲げて子ども達が戻ってくるころには、すっかり夕方になっていた。

「マリィ、わたくしね、本当に幸せなの。小さい頃から好きだった人と結ばれて、子どもに恵まれて、貴女とも義姉妹になれたわ。もう幸せすぎてこのまま死んでも後悔はないわ!」

「エリィったら何をバカみたいなこと言ってるのよ。死んだらダメよ。」
 笑いながら、マリアンナがエルリーヌの頬をちょんと突いた瞬間である。

 痛ーい、あいたたた、とエルリーヌがしゃがみ込んだ。

 ええっ?と驚くマリアンナと、あらまあ、とソーンダイク夫人、何が起こった?と駆けつけるジェイムスとデヴィッド、呆然とする子ども達、焦る前公爵と侯爵。
 全ての景色がゆっくりと流れる中で、エルリーヌは叫んだ。

「産まれる!!!」
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