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二年生
噂
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「うわちゃんと近宮さんって付き合ってるの?」
「……は、はあ?」
「そ、そうよね。うわちゃんと近宮さんに限ってそんなことないよねぇ!」
文系と理系ではクラスは全く離れているが、男女の数を均等にするためなのか体育は合同で行う。だから優一にとって陽太と話せる体育の時間は貴重で、今も陽太がサッカーボールを蹴りそこなったところを見て微笑んでいたというのに。文系クラスにいる友人たちを連れ立ってそんなことを尋ねてきた有坂に、優一は素っ頓狂な声を出した。聞かれた内容が理解できなかったというのもあるが、自分と近宮の何を見てそう思ったのかが全く分からなかったのもある。優一の反応で優一が近宮と付き合ってなどいないことを察したのか、女子たちは一気に色めきだった。
「上沢君と近宮さんって合わないもん。近宮さん、性格きついし」
「うわちゃんって優しいから、向こうが勘違いしちゃったんだよ。話しかけられるの嫌なら正直に言いなね?」
女子たちの言葉を聞いて、優一の機嫌は一気に下がった。せっかくの陽太との時間を邪魔されたというのもあるが、近宮のことをこんな風に悪く言われたくはなかった。確かに付き合ってはいないけれど、優一と近宮は今や良き友人だ。友人を嘲笑されるのは面白くない。友人のことを悪く言われて黙っていられるほど、優一は人間ができてはいない。
「付き合ってはない。俺が彼女に釣り合わないからね」
「え?」
「俺が?」
「あれだけ何かに一生懸命になれるのはすごいことだよ。尊敬してる」
「……あ、あ~。なるほど。確かにうわちゃんそういうところあるよね」
「上沢君、小島とも仲良かったもんね。全然タイプ違うのに」
「分かる。小島って騒がしいもんね。うわちゃんとは正反対!」
近宮に加えて陽太の名前まで出されて、優一は笑顔の裏で奥歯を噛み締めた。何がタイプが違うだ。陽太のことを何も知らないくせに。俺にどれだけ陽太が必要なのか、全然知らないくせに。
「お話し中失礼するわね。有川さん、次あなたたちのチームの番よ」
「ち、近宮さん……」
「さっきの聞いてた……?」
「さあ。早く行けば? あら、どうしたの上沢君。そんなに怖い顔して」
近宮は白々しい口調でそう言ってのけた。そんな近宮の言葉を聞いて、有川たちはゆっくりと優一の顔を見て、己の顔を青くした。そして脱兎のごとく優一のそばから走り去る。優一はそれを見送り、大きなため息を吐いた。
「そんなひどい顔してた?」
「ええ。鏡でも持ってきましょうか?」
優一は己の頬にそっと手をやる。近宮はあんなことを言っていたが、俺はそんな怖い顔をしていたのだろうか。でも有川たちが怯えていたあたり、恐らく本当なのだろう。まいったな。面倒ごとに巻き込まれたくないから、彼女たちには当たり障りのない対応をずっと心がけていたのに。不満げに唇を尖らせた優一を見て近宮は至極楽しそうに口元に弧を描いた。
「まあ友人のことを悪く言われたらああいう顔にもなるわよ。……私の時には怒ってくれなかったのにね」
「怒ってたよ。そう見えなかった?」
「あなたは表情を取り繕うのが上手だからよく分からなかったわ」
近宮の言う通り、近宮のことを言われていた時は内心では怒っていてもなんとか上手く対応できたのだ。でも陽太のことを言われた瞬間、頭に血が上った。どうしても上手く笑えなくなった。別に近宮のことが大事じゃないわけではない。優一にとって陽太が何よりも一番大切なだけ存在なだけだ。
優一は母子家庭なこともあり、幼いころは周囲から距離を置かれていた。感情表現が豊かなわけでもないし、今のように愛想よく振舞えたわけでもない。だから優一はずっと一人で過ごしていた。そんな優一になぜか積極的に関わろうとしてきたのが陽太だった。陽太は人の機微に敏いから、本当は優一が寂しがっていることに気が付いていたのかもしれない。優一自身すら気づかなかった孤独に気づいたのかもしれない。あの時は何とも思っていなかったが、陽太と一緒にいると自分が案外寂しがりなのだと優一は気づいてしまった。
陽太は何にも興味を持てなかった優一に色々な世界を教えてくれた。感情とか共感とか愛想とかを覚えたのは陽太のおかげだ。陽太とやった悪戯であまり怒られないようにと大人に愛想よく笑う術を身につけたのはよかったのか悪かったのかは分からないけど、おかげで他人から好印象を持たれるようになった。陽太がいなければ上沢優一は人間として何かが欠落したままだったと思う。そんなことも知らないで、他人というのは勝手なものだ。
「……なんかごめんね。俺のせいで」
人から好印象を持たれてコミュニケーションをはかられるようになったのはよかったのか悪かったのか。変な噂のやり玉にあげられた今となってはよく分からない。優一はいたたまれない気分になって噂に巻き込まれている近宮に謝罪の言葉を口にした。近宮はなんてことのないように「何が?」と言って「ほら」とグラウンドを指さす。
「まあいいわ。機嫌直しなさい。小島君がシュートを打つわよ」
近宮の言葉に優一はぱっと顔を上げる。近宮の言う通り、陽太はおぼつかないドリブルでゴールの間近にまで迫っていた。
「がんばれ……」
優一は小さな声でエールを送る。こんな小さな声、ピッチにいる陽太に聞こえるはずがない。なのに陽太はなぜか優一の方を振り返り、そして。
「小島!?」
「なにしてんだお前!」
「ラッキー!」
なぜか陽太は盛大にシュートを空ぶった。敵味方から大きな声が飛び交うが、陽太はひっくり返ったまま動かない。次第に周囲もざわざわと不安げな声をあげ始めた。大丈夫だろうか。心配する優一たちをよそに陽太は突然「あー!」と大きな声を出した。
「やっぱ足使う競技は向いてねえわ! 優一! 交代頼む!」
「勝手にお前が決めんなよ……上沢、いける?」
「え、ああ。大丈夫だけど」
「いいところ見せてあげたら?」
「近宮さんに認めてもらえるように頑張ってくるよ」
「あなた、そういうところが……はあ」
歓声に迎えられて優一はピッチに向かう。ラインの方まで戻ってきた陽太は歩き方も普通で、それを見て優一はようやく安堵の息を吐いた。夏の大会に向けて大事な時期に怪我なんてしなくて本当によかった。体育なんて適当にこなせばいいのに。まあそれにも真剣に取り組むのが陽太のいいところでもあり、同時に優一が陽太を好ましく思っている部分でもある。
「後頼んだ!」
「了解。頑張ってくるね」
陽太があげた拳に優一は遠慮がちに己のそれをぶつけた。さて、近宮の言う通りにするというのもなんだが、陽太から任せられた以上は頑張らねば。とはいえこんなところでシュートを一本放ったくらいで陽太からの評価が上がるのかといえば謎ではあるが。
「誰かー! 後頼む!」
陽太がボールを失った後、かなり自陣の奥にまで攻め込まれてしまったらしい。ようやくボールを奪取した見方がやけくそ気味にパスを優一の方に回す。完全にオフサイドのようにも思えたが、どうやら素人しかいないのでそのへんはなあなあらしい。優一は胸でパスを受けるとくるりとゴールの方に向き直った。サッカー部員であるキーパーの他にはやる気がなくて突っ立ったままだったディフェンダーが一人いるだけ。これなら簡単に抜け出せる。敵チームの選手が戻ってくる前に急いでボールをゴール前まで運ぶ。優一の予想通り敵陣に残っていたディフェンダーは運動が得意ではないらしく、彼がもたついている間に優一は簡単にゴール前にたどり着いた。
「いけー!!」
陽太の声が優一の背中を押す。優一が勢いよく放ったシュートは見事ゴールの右上角を捉えた。
「やったー! 優一、さすが!」
「上沢、めちゃくちゃ運動できるじゃん……!」
「なんで美術部入ってんの。サッカー部入ってくれよ」
「たまたまだよ……で、あと何分だっけ?」
「今ロスタイム。で、もう終わり」
「あ、そうなの。なら勝ったんだね」
「そんなことにも気づいてねえやつにシュート入れられたのかよ、俺」
「しっかりしろよサッカー部!」
優一がわいわいと楽しそうな面々に囲まれていると、とことこと陽太が優一のもとに近づいてきた。普通に歩けているあたり、やはりけがはしていないらしい。頭も打たなかったのか。運のいいやつめ。
「けがしてなくてよかった。夏大会のメンバーってそろそろ決まるんだろ?」
「まあ……。なあ、優一ってさあ、近宮と付き合ってんの?」
「なんでみんな同じような事聞くんだろ」
今日はそういう日なのだろうか。陽太の質問に優一は呆れたようにため息を吐いた。それを見て、陽太はなぜか表情を明るくする。
「やっぱり違うんだ」
「当たり前だろ。近宮さん、俺なんかに構ってる暇ないよ」
優一がそう答えると、陽太はなぜかぴしりと固まった。一体どうしたのだろう。今の陽太の様子も変だが、陽太がそんなことを聞いてくるなんて今までなかったのに。陽太も恋愛とかそういうことが気になる年頃なのだろうか。
「そっか、そうだよなあ……。俺達ももう高二だもんなあ……」
「ちょ、ちょっと待って。さっきから何言って」
「二人とも。片付け始まってんだから動けー」
「あ、うん。ほら、行こう優一」
「え、あ……」
どうにも陽太は何かを勘違いしている気がする。もしかして俺が近宮に惚れていると思っているのだろうか。一刻も早く否定したかったが、こんなところで大声で否定したら近宮に変な迷惑がかかる。
優一はぐっとこらえて転がっていたボールを手に取った。そういえば陽太は俺のシュートをちゃんと見てくれていたのだろうか。どうして陽太は俺のシュートに一言も触れてはくれなかったのだろう。
「……は、はあ?」
「そ、そうよね。うわちゃんと近宮さんに限ってそんなことないよねぇ!」
文系と理系ではクラスは全く離れているが、男女の数を均等にするためなのか体育は合同で行う。だから優一にとって陽太と話せる体育の時間は貴重で、今も陽太がサッカーボールを蹴りそこなったところを見て微笑んでいたというのに。文系クラスにいる友人たちを連れ立ってそんなことを尋ねてきた有坂に、優一は素っ頓狂な声を出した。聞かれた内容が理解できなかったというのもあるが、自分と近宮の何を見てそう思ったのかが全く分からなかったのもある。優一の反応で優一が近宮と付き合ってなどいないことを察したのか、女子たちは一気に色めきだった。
「上沢君と近宮さんって合わないもん。近宮さん、性格きついし」
「うわちゃんって優しいから、向こうが勘違いしちゃったんだよ。話しかけられるの嫌なら正直に言いなね?」
女子たちの言葉を聞いて、優一の機嫌は一気に下がった。せっかくの陽太との時間を邪魔されたというのもあるが、近宮のことをこんな風に悪く言われたくはなかった。確かに付き合ってはいないけれど、優一と近宮は今や良き友人だ。友人を嘲笑されるのは面白くない。友人のことを悪く言われて黙っていられるほど、優一は人間ができてはいない。
「付き合ってはない。俺が彼女に釣り合わないからね」
「え?」
「俺が?」
「あれだけ何かに一生懸命になれるのはすごいことだよ。尊敬してる」
「……あ、あ~。なるほど。確かにうわちゃんそういうところあるよね」
「上沢君、小島とも仲良かったもんね。全然タイプ違うのに」
「分かる。小島って騒がしいもんね。うわちゃんとは正反対!」
近宮に加えて陽太の名前まで出されて、優一は笑顔の裏で奥歯を噛み締めた。何がタイプが違うだ。陽太のことを何も知らないくせに。俺にどれだけ陽太が必要なのか、全然知らないくせに。
「お話し中失礼するわね。有川さん、次あなたたちのチームの番よ」
「ち、近宮さん……」
「さっきの聞いてた……?」
「さあ。早く行けば? あら、どうしたの上沢君。そんなに怖い顔して」
近宮は白々しい口調でそう言ってのけた。そんな近宮の言葉を聞いて、有川たちはゆっくりと優一の顔を見て、己の顔を青くした。そして脱兎のごとく優一のそばから走り去る。優一はそれを見送り、大きなため息を吐いた。
「そんなひどい顔してた?」
「ええ。鏡でも持ってきましょうか?」
優一は己の頬にそっと手をやる。近宮はあんなことを言っていたが、俺はそんな怖い顔をしていたのだろうか。でも有川たちが怯えていたあたり、恐らく本当なのだろう。まいったな。面倒ごとに巻き込まれたくないから、彼女たちには当たり障りのない対応をずっと心がけていたのに。不満げに唇を尖らせた優一を見て近宮は至極楽しそうに口元に弧を描いた。
「まあ友人のことを悪く言われたらああいう顔にもなるわよ。……私の時には怒ってくれなかったのにね」
「怒ってたよ。そう見えなかった?」
「あなたは表情を取り繕うのが上手だからよく分からなかったわ」
近宮の言う通り、近宮のことを言われていた時は内心では怒っていてもなんとか上手く対応できたのだ。でも陽太のことを言われた瞬間、頭に血が上った。どうしても上手く笑えなくなった。別に近宮のことが大事じゃないわけではない。優一にとって陽太が何よりも一番大切なだけ存在なだけだ。
優一は母子家庭なこともあり、幼いころは周囲から距離を置かれていた。感情表現が豊かなわけでもないし、今のように愛想よく振舞えたわけでもない。だから優一はずっと一人で過ごしていた。そんな優一になぜか積極的に関わろうとしてきたのが陽太だった。陽太は人の機微に敏いから、本当は優一が寂しがっていることに気が付いていたのかもしれない。優一自身すら気づかなかった孤独に気づいたのかもしれない。あの時は何とも思っていなかったが、陽太と一緒にいると自分が案外寂しがりなのだと優一は気づいてしまった。
陽太は何にも興味を持てなかった優一に色々な世界を教えてくれた。感情とか共感とか愛想とかを覚えたのは陽太のおかげだ。陽太とやった悪戯であまり怒られないようにと大人に愛想よく笑う術を身につけたのはよかったのか悪かったのかは分からないけど、おかげで他人から好印象を持たれるようになった。陽太がいなければ上沢優一は人間として何かが欠落したままだったと思う。そんなことも知らないで、他人というのは勝手なものだ。
「……なんかごめんね。俺のせいで」
人から好印象を持たれてコミュニケーションをはかられるようになったのはよかったのか悪かったのか。変な噂のやり玉にあげられた今となってはよく分からない。優一はいたたまれない気分になって噂に巻き込まれている近宮に謝罪の言葉を口にした。近宮はなんてことのないように「何が?」と言って「ほら」とグラウンドを指さす。
「まあいいわ。機嫌直しなさい。小島君がシュートを打つわよ」
近宮の言葉に優一はぱっと顔を上げる。近宮の言う通り、陽太はおぼつかないドリブルでゴールの間近にまで迫っていた。
「がんばれ……」
優一は小さな声でエールを送る。こんな小さな声、ピッチにいる陽太に聞こえるはずがない。なのに陽太はなぜか優一の方を振り返り、そして。
「小島!?」
「なにしてんだお前!」
「ラッキー!」
なぜか陽太は盛大にシュートを空ぶった。敵味方から大きな声が飛び交うが、陽太はひっくり返ったまま動かない。次第に周囲もざわざわと不安げな声をあげ始めた。大丈夫だろうか。心配する優一たちをよそに陽太は突然「あー!」と大きな声を出した。
「やっぱ足使う競技は向いてねえわ! 優一! 交代頼む!」
「勝手にお前が決めんなよ……上沢、いける?」
「え、ああ。大丈夫だけど」
「いいところ見せてあげたら?」
「近宮さんに認めてもらえるように頑張ってくるよ」
「あなた、そういうところが……はあ」
歓声に迎えられて優一はピッチに向かう。ラインの方まで戻ってきた陽太は歩き方も普通で、それを見て優一はようやく安堵の息を吐いた。夏の大会に向けて大事な時期に怪我なんてしなくて本当によかった。体育なんて適当にこなせばいいのに。まあそれにも真剣に取り組むのが陽太のいいところでもあり、同時に優一が陽太を好ましく思っている部分でもある。
「後頼んだ!」
「了解。頑張ってくるね」
陽太があげた拳に優一は遠慮がちに己のそれをぶつけた。さて、近宮の言う通りにするというのもなんだが、陽太から任せられた以上は頑張らねば。とはいえこんなところでシュートを一本放ったくらいで陽太からの評価が上がるのかといえば謎ではあるが。
「誰かー! 後頼む!」
陽太がボールを失った後、かなり自陣の奥にまで攻め込まれてしまったらしい。ようやくボールを奪取した見方がやけくそ気味にパスを優一の方に回す。完全にオフサイドのようにも思えたが、どうやら素人しかいないのでそのへんはなあなあらしい。優一は胸でパスを受けるとくるりとゴールの方に向き直った。サッカー部員であるキーパーの他にはやる気がなくて突っ立ったままだったディフェンダーが一人いるだけ。これなら簡単に抜け出せる。敵チームの選手が戻ってくる前に急いでボールをゴール前まで運ぶ。優一の予想通り敵陣に残っていたディフェンダーは運動が得意ではないらしく、彼がもたついている間に優一は簡単にゴール前にたどり着いた。
「いけー!!」
陽太の声が優一の背中を押す。優一が勢いよく放ったシュートは見事ゴールの右上角を捉えた。
「やったー! 優一、さすが!」
「上沢、めちゃくちゃ運動できるじゃん……!」
「なんで美術部入ってんの。サッカー部入ってくれよ」
「たまたまだよ……で、あと何分だっけ?」
「今ロスタイム。で、もう終わり」
「あ、そうなの。なら勝ったんだね」
「そんなことにも気づいてねえやつにシュート入れられたのかよ、俺」
「しっかりしろよサッカー部!」
優一がわいわいと楽しそうな面々に囲まれていると、とことこと陽太が優一のもとに近づいてきた。普通に歩けているあたり、やはりけがはしていないらしい。頭も打たなかったのか。運のいいやつめ。
「けがしてなくてよかった。夏大会のメンバーってそろそろ決まるんだろ?」
「まあ……。なあ、優一ってさあ、近宮と付き合ってんの?」
「なんでみんな同じような事聞くんだろ」
今日はそういう日なのだろうか。陽太の質問に優一は呆れたようにため息を吐いた。それを見て、陽太はなぜか表情を明るくする。
「やっぱり違うんだ」
「当たり前だろ。近宮さん、俺なんかに構ってる暇ないよ」
優一がそう答えると、陽太はなぜかぴしりと固まった。一体どうしたのだろう。今の陽太の様子も変だが、陽太がそんなことを聞いてくるなんて今までなかったのに。陽太も恋愛とかそういうことが気になる年頃なのだろうか。
「そっか、そうだよなあ……。俺達ももう高二だもんなあ……」
「ちょ、ちょっと待って。さっきから何言って」
「二人とも。片付け始まってんだから動けー」
「あ、うん。ほら、行こう優一」
「え、あ……」
どうにも陽太は何かを勘違いしている気がする。もしかして俺が近宮に惚れていると思っているのだろうか。一刻も早く否定したかったが、こんなところで大声で否定したら近宮に変な迷惑がかかる。
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