普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎

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人気者になりたかったけどなりたくなくなりました

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※虫BL、擬人化。苦手な方はご注意ください。
※蝶×蛾




俺が何したっていうんだ。

例えば、犬や猫はうるさいし噛むしひっかくよな。
しかも食費や生活費だって馬鹿にならないし、最近では電車乗るときに切符が必要だったりするじゃねぇか。
病気にかかるわ怪我もするわ。あ、犬の場合散歩ってやつもめんどいよな。
金だって手間だってたくさんかかる生き物だ。
それなのに人間はやつらばっかり可愛がってる。Mか。

それに比べて、俺が何かしたか?
噛むこともなければひっかくこともない。人間を襲うこともないしご飯をかっぱらったりもしない。
それなのに、だ。
なぜ俺の、いや、俺たちの支持率はこんなにも低いんだ。


「やぁ、蛾くん。今日も相変わらず可愛いね。」

「げ。蝶……。」


そんなことをいつものようにつらつら考えていると、いけ好かない奴に声をかけられた。

こいつに至っては俺とそっくりじゃねぇか。
フォルムだってほぼ同じだし、色だって、まあ俺はちょっと控えめな色だけど、綺麗な発色の仲間がたくさんいる。
でも人間たちは、蝶なら殺さず、蛾なら殺すか激しく追い立てるかの二択だ。
最近は一部の蛾たちが可愛いともてはやされているが、例えば絵でも小説でも、出てくるのは蝶。蛾が案内人になったりモチーフになるような話は滅多にない。つまりまだまだ人間界における蛾の社会的立場は低いってわけだ。


「どっか行けよ。どんなにお前が人気者だろうが、俺はお前のこと嫌いなんだよ。」

「蛾くん、それはいわゆるヤキモチというやつかい?」


無駄に整った顔で爽やかな笑顔を振りまく蝶。
はあ、今日も艶やかなグラデーションが眩しいことで。


「ん?なんだい?僕の顔になんかついてる?それともようやく僕に惚れ、」
「それはねぇ。」


見れば見るほどわかんねぇ。
俺にだって似たような形の羽あるし、脚だって6本だし。
なんだ?なにが俺とこいつとの差を広げてるんだ?
ストロー(口吻)か!?それがあればモテるのか!?


「おい。」

「なんだい?」

「…俺とお前、何が違うと思う?」


本当はこいつには絶対聞きたくなかった。だってこいつは人間からも他の虫達からも人気だし。
花をバック(物理)にいつもキラキラ飛び回っている。
それに比べて、ただでさえ俺は気持ち悪がられてる存在だ。そんな俺がこんなことを聞くなんて、惨め以外の何物でもない。


しかし!俺はもう、人間や他の虫から訳もなく悲鳴を上げられたり気持ち悪がられたりはしたくないんだ!
そしてできるなら、小さい女の子に「ちょーちょ、きれーだね、ちょーちょ、」とか言われてぇ!蝶の野郎のあほんだらぁぁぁ!


「僕と蛾くんの違い、ね。」

「あ、あぁ…。」


俺が脳内で八つ当たりをしていると、蝶はそう呟きながらゆっくりと俺のいる方向に向かってきた。
なんか知らないけど緊張してくんな。


「そんなのいっぱいあるよ。何から話そうかな。」


そう言いながらどんどん近づいてくる蝶。


というかさ、思ったんだけどさ、近くない?
え、なんで腰に手まわしてんの?
なんで俺の後頭部掴んでんの?



なんで、



「んんんー!?」



口塞がれてんのー!?



バタバタと脚を動かしたり蝶の身体を押し返したりするも、蝶はびくともしない。
ろくな抵抗もできないまま、蝶に身体をまさぐられる。



「やっぱさ、ボリュームがあるとこがいいよね。抱き心地抜群。」

「っひ、やめ、触んなっ」

「あと、皆は不快って言うけどその個性的な模様なんかも可愛いしさ、」

「ゃ、やだ、離せ、ぇ、」

「他の奴らに嫌われてるの気にしてるとこも可愛い、はぁ、鱗粉舐めまわしたい。」

「ちょ、蝶、まじで冗談はそのくらいに、ひぃぃっ!」



蝶の脚が俺の身体に巻きつき、そのままがっちりホールドされる。
やばい、やばいぞ、こいつ目がまじだ!
しかも舌?ストロー?なめずりまでしてる!


蝶の変態的言動に気を取られていると、どこから取り出したのか、いつの間にか蜘蛛の糸で脚を縛られ近くの草に結びつけられていた。
なんで持ってるとかどうやって持ち運んでるとか、疑問は浮かぶけどこの際どうでもいい!
蝶に尻を突き出す形で結びつけられてる俺のこの状況の方がやばいからだ!!!



「はぁ、蛾くん、このむっちりなお尻も僕のものだよ、はぁ、はぁ、」

「やだ、蝶、やだ、ぁ、」

「泣いちゃう?蛾くん泣いちゃうの?はぁ、蛾くんの涙ぺろぺろしたいよ、はぁ、はぁ、蛾くん、蛾くん、僕の、蛾くん、お尻べろべろ舐めまわして、はぁ、はむはむして、ぐちゅぐちゅかき回して、奥の奥までハメハメびゅーびゅーしたいよ、はぁ、」


蝶が俺の尻をはぁはぁ言いながらいやらしく撫で回す。
振り返ると、蝶の交尾するための部分、いわゆる人間で言うところのちんぽに当たる部分がシャキーンと現れていて。



あ、こいつまじなんだ。
まじで交尾する気満々なんだ。



「いっぱい乱れていいからね、蛾くんの唾液も汗も涙も鼻水も全部全部僕が、はぁ、僕が舐めとってあげるからね、ね?」

「うぅ……。」



口吻を顔やら羽やらに這わせて息を荒げる蝶に涙が出てくる。



今わかった。
こいつ、いや、蝶はきっとみんな変態なんだ。
すなわち、蝶と蛾の違いは変態かどうかだ。
そうだ、きっとそうに違いねぇ。
そう思わないとこんな変態に負けている俺たち種族が惨めすぎる。


「はぁ、はぁ、蛾くんの体液、はぁ、蛾くんの体液が僕の喉を通るなんて、はぁ、はぁ、」



変態になるくらいなら、蝶になんてなれなくていい。


これから起こるであろう絶望的な現実に気が遠くなりながら、心の中でそう強く思った。
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