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学院中等部 9学年生
ミリアディス様のご成婚式
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お義兄様とお義姉様の結婚式が終わったら、次はエドワード様とミリアディス様のご成婚式だ。
私は幸福の乙女としてのお役目があって、一足先に教会に向かう。教会に着くと着替えをしてミリアディス様の所に行く。
ミリアディス様のウェディングドレスは、白いドレスに白い糸で刺繍が入った物だ。少し前までは金糸銀糸で刺繍された贅沢な物が主流だった。色も白だけじゃなく赤や黒、青、緑。金糸や銀糸で刺繍された贅沢なドレスが、上流階級になればなるほど用いられた。
白いドレスが流行りだしたのはここ数年らしい。色にもいろんな意味が込められていて、赤は情熱や熱愛、青は忠誠や忠実、緑は生命や希望、黒色だけは少し意味が違っていて、喪の色でもあり贅沢さの象徴だったらしい。黒は1回じゃ染められないし、ムラが出やすいからという理由だと聞いた。
今の流行は白色だけれど、パッと見は清楚で質素だ。でもレースや長いトレーンを使っていて、質素ではない。刺繍も入っていたり華やかながらも清楚という2点を両立させるのが、デザイナーの腕の見せ所なんだって。
私のドレスはミリアディス様のドレスと似ているけれど、刺繍も無くて差し色が入っている。ミリアディス様はオフショルダーラップだけれど私のドレスの袖はビショップスリーブ。今は春だからロンググローブじゃなくてミディアムグローブ。そして必ず必要な背中の真ん中辺りまでの長さのケープ。ミリアディス様はベールを付けているから、そのお世話も私の仕事だ。ベールのシワがないように整えたり、ベールアップの時の介添えだったり。
幸福の乙女は子供がする事も多いけれど、その場合はベールアップの介添えは行わない。届かない事が多いからだそうだ。10歳以下の子供に幸福の乙女を頼むのだから、そうなるのは分かりきっていると思うんだけど。酷い例になると他国で3歳の女児に幸福の乙女をさせたら子供が言う事を聞いてくれなくて、お式がメチャクチャになって損害賠償しろと裁判沙汰になったとか。
そりゃあそうなると思う。だって3歳児だよ?幸福の乙女ってリングガールのように渡して終わりじゃないのよ?お世話される年齢の子に「可愛いから」ってお世話する立場を任せるってどうなの?
話がずれた。
成婚式前にこれらの事をこんこんと説明されて、というか愚痴られたというか。一応リハーサルとして動きの確認をして、光の演出のタイミングも確認した。後は、本番を迎えるだけ。
その前にミリアディス様の所に、ご挨拶に伺わないと。
「ミリアディス様、キャスリーンでございます」
「キャスリーン様?どうぞお入りになって」
応えに応じて入室すると、ウェディングドレスを身に纏って輝くような笑顔のミリアディス様が、迎えてくれた。
「ミリアディス様、素敵ですわ」
「ありがとう。キャスリーン様もよくお似合いですわよ」
「エドワード様は、もうお越しになられましたの?」
「もうそろそろでしょうかしら?あ、ほら」
タイミングよく扉がノックされて、第2王子殿下の声が聞こえた。第2王子殿下は、エドワード様の介添え役らしい。
今日は両陛下と王太子ご夫妻は列席されていないけれど、第2王子殿下はご出席されている。サフィア妃殿下は欠席されているけれど、これは仕方がないよね?
「ミリア、綺麗だ」
「エドワード様もいつも以上に素敵です」
良いですね。ラブラブですね。あ、キスしそうだ。止めないと。
「エドワード様、それ以上は夜に取っておいた方が良いのでは?」
「ぶっ、フェルナー嬢、何を……」
「私、恋愛関係は壊滅的ですけれど、そういった知識はございますの」
しれっと言うと、第2王子は吹き出すし、エドワード様は決まり悪げにされるし、ミリアディス様は真っ赤になってしまった。
「フェルナー嬢も言うねぇ」
「恋の駆け引き的な物は苦手ですが、直接的な言葉には慣れておりますので」
主に前世で、ですけどね。特に整形外科系の入院患者は、若い人が多かった事もあってナンパだとかセクハラ系は多かった。若いといっても40歳代以下ですけど。看護師の若いは70歳代まで拡大されます。たぶん……。
時間が来て、神官の後に付いて行く。聖堂の入口でミリアディス様のウェディングドレスの裾を整えて、中から見えない脇部屋に入る。私と第2王子はここからが本番だ。
出来るだけ目立たないように、聖堂内に入り、ミリアディス様とエドワード様の夫婦の誓いの後に、ラペルピンとペンダントを2人に届ける。
夫婦の宣誓が成されたら、光の演出の出番だ。
「エドワード・パトリス・スタヴィリス、汝はミリアディス・ハイレントを妻とし、幸福なる時も困難な時も健やかなる時も病める時も、富める時も 貧しい時も共に支えあい、互いを慈しみその命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「ミリアディス・ハイレント、汝はエドワード・パトリス・スタヴィリスを夫とし、幸福なる時も困難な時も健やかなる時も病める時も、富める時も 貧しい時も共に支えあい、互いを慈しみその命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「それでは誓いの品の交換を」
ラペルピンとペンダントをアクセサリートレイに乗せて、お2人の元に運ぶ。助祭様に手渡したらいったん下がって、秘密の通路から聖壇脇に待機する。
エドワード様とミリアディス様が、互いのアクセサリーを交換したら、誓いのキスの為に、エドワード様がミリアディス様のベールを上げる。ざっと見た感じシワや乱れもないから、この時は出なかった。
「天父神シュターディル様と地母神マーテル様の御名において、ここに1組の夫婦が成立した事を宣言します」
ここで光の演出。司祭様の「ここに1組の」の時点で、聖堂の天井付近に光球で包んだ花を用意して、自然に落下させる。フワフワと落下した花に最初に気付いたのは誰だったのか。
「え?何あれ」
「わぁー、綺麗」
「スゴい。天父神様と地母神が祝福なさっているみたい」
フワリフワリと舞い落ちる花を掴もうとする人も当然いたけれど、魔法で出した花だ。触れる前に消えてしまう。
消えないのはミリアディス様の周りに降らせた物のみ。
みんなの意識が光球の花に集中している間にミリアディス様にブーケを持たせて、ドレスの裾とベールを整える。
「凄いわ。ありがとう、キャスリーン様」
「ご要望にお応え出来たようで、光栄です」
いったん聖堂から出たミリアディス様とエドワード様は、聖堂前で祝福している民衆に手を振った後、左右に別れた。さっき私と第2王子が入った小部屋から通路を使ってそれぞれの着替えの為の控え室に入る。今から陛下より賜った公爵位の発表があるのだ。
ちなみに第2王子は公爵位を賜っていない。王太子のスペアという関係上、まだ王室を離れる事が出来ないのだ。王太子殿下が即位して、初めて王室を離れ、公爵位を賜る事になっている。嘘か真か、すでに賜る公爵位も公爵領も決まっているらしい。
ミリアディス様が着替えをしている間に、私も着替えた。ここからはフェルナー家の者として、エドワード様とミリアディス様の公爵位の叙爵を見守る。
「お疲れさまだったね」
「第2王子殿下こそ、お疲れさまでございました」
「これから叙爵式か」
「そうですわね。第2王子殿下もお決まりになっておられるとお聞きいたしましたけれど?」
「さぁ?どうだろうね」
答えるわけがないよね。一応機密扱いだ。
「サフィア妃殿下はお元気ですか?」
「また遊びに来てやってよ。最近はご夫人方も気さくに来てくれているけど、フェルナー嬢に会いたいって言っているんだよ」
「王城までは、少し気が引けますわね」
第2王子とサフィア妃は、今は王城の第2王子宮で暮らしている。
私は幸福の乙女としてのお役目があって、一足先に教会に向かう。教会に着くと着替えをしてミリアディス様の所に行く。
ミリアディス様のウェディングドレスは、白いドレスに白い糸で刺繍が入った物だ。少し前までは金糸銀糸で刺繍された贅沢な物が主流だった。色も白だけじゃなく赤や黒、青、緑。金糸や銀糸で刺繍された贅沢なドレスが、上流階級になればなるほど用いられた。
白いドレスが流行りだしたのはここ数年らしい。色にもいろんな意味が込められていて、赤は情熱や熱愛、青は忠誠や忠実、緑は生命や希望、黒色だけは少し意味が違っていて、喪の色でもあり贅沢さの象徴だったらしい。黒は1回じゃ染められないし、ムラが出やすいからという理由だと聞いた。
今の流行は白色だけれど、パッと見は清楚で質素だ。でもレースや長いトレーンを使っていて、質素ではない。刺繍も入っていたり華やかながらも清楚という2点を両立させるのが、デザイナーの腕の見せ所なんだって。
私のドレスはミリアディス様のドレスと似ているけれど、刺繍も無くて差し色が入っている。ミリアディス様はオフショルダーラップだけれど私のドレスの袖はビショップスリーブ。今は春だからロンググローブじゃなくてミディアムグローブ。そして必ず必要な背中の真ん中辺りまでの長さのケープ。ミリアディス様はベールを付けているから、そのお世話も私の仕事だ。ベールのシワがないように整えたり、ベールアップの時の介添えだったり。
幸福の乙女は子供がする事も多いけれど、その場合はベールアップの介添えは行わない。届かない事が多いからだそうだ。10歳以下の子供に幸福の乙女を頼むのだから、そうなるのは分かりきっていると思うんだけど。酷い例になると他国で3歳の女児に幸福の乙女をさせたら子供が言う事を聞いてくれなくて、お式がメチャクチャになって損害賠償しろと裁判沙汰になったとか。
そりゃあそうなると思う。だって3歳児だよ?幸福の乙女ってリングガールのように渡して終わりじゃないのよ?お世話される年齢の子に「可愛いから」ってお世話する立場を任せるってどうなの?
話がずれた。
成婚式前にこれらの事をこんこんと説明されて、というか愚痴られたというか。一応リハーサルとして動きの確認をして、光の演出のタイミングも確認した。後は、本番を迎えるだけ。
その前にミリアディス様の所に、ご挨拶に伺わないと。
「ミリアディス様、キャスリーンでございます」
「キャスリーン様?どうぞお入りになって」
応えに応じて入室すると、ウェディングドレスを身に纏って輝くような笑顔のミリアディス様が、迎えてくれた。
「ミリアディス様、素敵ですわ」
「ありがとう。キャスリーン様もよくお似合いですわよ」
「エドワード様は、もうお越しになられましたの?」
「もうそろそろでしょうかしら?あ、ほら」
タイミングよく扉がノックされて、第2王子殿下の声が聞こえた。第2王子殿下は、エドワード様の介添え役らしい。
今日は両陛下と王太子ご夫妻は列席されていないけれど、第2王子殿下はご出席されている。サフィア妃殿下は欠席されているけれど、これは仕方がないよね?
「ミリア、綺麗だ」
「エドワード様もいつも以上に素敵です」
良いですね。ラブラブですね。あ、キスしそうだ。止めないと。
「エドワード様、それ以上は夜に取っておいた方が良いのでは?」
「ぶっ、フェルナー嬢、何を……」
「私、恋愛関係は壊滅的ですけれど、そういった知識はございますの」
しれっと言うと、第2王子は吹き出すし、エドワード様は決まり悪げにされるし、ミリアディス様は真っ赤になってしまった。
「フェルナー嬢も言うねぇ」
「恋の駆け引き的な物は苦手ですが、直接的な言葉には慣れておりますので」
主に前世で、ですけどね。特に整形外科系の入院患者は、若い人が多かった事もあってナンパだとかセクハラ系は多かった。若いといっても40歳代以下ですけど。看護師の若いは70歳代まで拡大されます。たぶん……。
時間が来て、神官の後に付いて行く。聖堂の入口でミリアディス様のウェディングドレスの裾を整えて、中から見えない脇部屋に入る。私と第2王子はここからが本番だ。
出来るだけ目立たないように、聖堂内に入り、ミリアディス様とエドワード様の夫婦の誓いの後に、ラペルピンとペンダントを2人に届ける。
夫婦の宣誓が成されたら、光の演出の出番だ。
「エドワード・パトリス・スタヴィリス、汝はミリアディス・ハイレントを妻とし、幸福なる時も困難な時も健やかなる時も病める時も、富める時も 貧しい時も共に支えあい、互いを慈しみその命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「ミリアディス・ハイレント、汝はエドワード・パトリス・スタヴィリスを夫とし、幸福なる時も困難な時も健やかなる時も病める時も、富める時も 貧しい時も共に支えあい、互いを慈しみその命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「それでは誓いの品の交換を」
ラペルピンとペンダントをアクセサリートレイに乗せて、お2人の元に運ぶ。助祭様に手渡したらいったん下がって、秘密の通路から聖壇脇に待機する。
エドワード様とミリアディス様が、互いのアクセサリーを交換したら、誓いのキスの為に、エドワード様がミリアディス様のベールを上げる。ざっと見た感じシワや乱れもないから、この時は出なかった。
「天父神シュターディル様と地母神マーテル様の御名において、ここに1組の夫婦が成立した事を宣言します」
ここで光の演出。司祭様の「ここに1組の」の時点で、聖堂の天井付近に光球で包んだ花を用意して、自然に落下させる。フワフワと落下した花に最初に気付いたのは誰だったのか。
「え?何あれ」
「わぁー、綺麗」
「スゴい。天父神様と地母神が祝福なさっているみたい」
フワリフワリと舞い落ちる花を掴もうとする人も当然いたけれど、魔法で出した花だ。触れる前に消えてしまう。
消えないのはミリアディス様の周りに降らせた物のみ。
みんなの意識が光球の花に集中している間にミリアディス様にブーケを持たせて、ドレスの裾とベールを整える。
「凄いわ。ありがとう、キャスリーン様」
「ご要望にお応え出来たようで、光栄です」
いったん聖堂から出たミリアディス様とエドワード様は、聖堂前で祝福している民衆に手を振った後、左右に別れた。さっき私と第2王子が入った小部屋から通路を使ってそれぞれの着替えの為の控え室に入る。今から陛下より賜った公爵位の発表があるのだ。
ちなみに第2王子は公爵位を賜っていない。王太子のスペアという関係上、まだ王室を離れる事が出来ないのだ。王太子殿下が即位して、初めて王室を離れ、公爵位を賜る事になっている。嘘か真か、すでに賜る公爵位も公爵領も決まっているらしい。
ミリアディス様が着替えをしている間に、私も着替えた。ここからはフェルナー家の者として、エドワード様とミリアディス様の公爵位の叙爵を見守る。
「お疲れさまだったね」
「第2王子殿下こそ、お疲れさまでございました」
「これから叙爵式か」
「そうですわね。第2王子殿下もお決まりになっておられるとお聞きいたしましたけれど?」
「さぁ?どうだろうね」
答えるわけがないよね。一応機密扱いだ。
「サフィア妃殿下はお元気ですか?」
「また遊びに来てやってよ。最近はご夫人方も気さくに来てくれているけど、フェルナー嬢に会いたいって言っているんだよ」
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