キラシャの恋の物語

キラシャ

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第1章 未来社会

② モアの世界

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今も進化し続けているスマホは、

未来で“モア”へと進化して、

ドームで暮らす人々の生活を支えている。


もっとスマホを便利に使いたいという

希望を表す名前だ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

おしゃれや便利さを追求する未来人。


大人になると、”モア”を指輪・メガネ・アクセサリーや、

自分の指に埋め込んで使う人もいる。


"モア"から必要な情報が、脳に送られ

目の前の空間に現れた文字や、映像を確認し

指の操作で処理をする。


子供達は”モア”を手首や腕にはめて、

声や息の加減で、操作するのが一般的だ。


幼い子供や、障害のある子供にも、

モアを使えるように、工夫がしてある。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


モアは、子供には無償で支給されるので、お金はかからない。

しかし、モアで買い物した代金は、自分で支払わなくてはならない。


今でも、人のアカウントを盗んで、なりすまして買い物をしている人がいる。

未来でも、そういった犯罪はなくならないようだ。


未来のスクールでは、犯罪をしないための教育が必要とされている。


また未来では、人が別の所へ行きたい時に

このモアの操作で、瞬間移動もできる。


転送用のリモコンという、とても便利な道具だ。

●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇

いろんなモノの移動も、モアで操作できる。

ただ、モアで認識できない堅い置物にぶつかって、

人がケガをしたり、モノが破損したり、被害も多発した。


緊急の場合を除いて、モアだけで転送することは禁止され、

ボックスという転送装置と、そのリモコンとしてモアを利用した移動が認められた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

人の転送用は、エレベータのようなペアのボックスを使う。


ボックスの右手が送り側。中に入って、モアで行き先を指定すると、

数秒後には希望の地点のボックス左手、受け側のボックスにたどり着く。


同じボックスに、同時に転送しようとする人が何人いても

ボス・コンピュータからの指示で、重ならないように待ち時間があり

順序良く転送が行われるのだ。


転送が苦手な人のために、広場ではエレベーターやエスカレーターもあるが

急いでいる時は、ボックスの方がウンと早い。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


未来では、大勢の人が転送のルールを守って、秩序正しく暮らすよう求めている。

もちろん、人だけでなく、モノの転送にも、きちんとルールが定めてある。


製造されたモノは、製造場所・責任者・移動経路・所有者などがコード形式で表示され

ボス・コンピュータにも、暗号化されたコードが圧縮して記録される。


モノの現在の位置も、モアのGPS探索アプリで確認できる。

各部屋には、モノの転送用のボックスがあり、ネットで購入したモノをボックスに送ってもらえる。


食べ物などはテーブルの上に置いた専用のボックスに、大きなものは物置くらいのボックスに送ってもらう。

毎日毎日、人々はモアからのモーニングコールで目覚め、仕事のスケジュールを確認する。


モアは、手際よく1日の予定を報告してくれるし、都合で予定を変えようとすると、

こうした方が良いとアドバイスしてくれる。


 ▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△

 ところが、そんなに親切に指導されると、かえってうっとうしいと思うのが人間というものだ。


 あまりうるさいと、モアに向かって「だまれ!」と言って、シャットダウンしてしまうこともある。


 大事なアドバイスを聞き逃して、後で後悔することも多いが・・・


 未来の若者は人間関係に、とても敏感だ。


 恋愛に関しても、知り合った相手と仲良くなってから、

 結婚を決心するのも早いが、別れるのも早い。


 結婚の届けを2人で管理局に出したら、2人っきりの部屋で

 落ち着いた生活ができるかというと、どうもそうではないようだ。


 ▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△


 衛生にうるさいドームでは、部屋にキッチンがない。


 食事をした後は、クリーニングを行うのがルールだし、それがイヤなら外で食べるしかない。


 部屋で仕事をする人を除けば、寝る時だけ帰って来ることも多い。


 部屋のクリーニングも、ロボットかヘルパーに任せるのが未来の常識。


 お互いに相手のことを気づかう、愛情あるコミュニケーションが取りにくいのかもしれない。


 仕事で疲れた2人が顔を合わせても、相手のいやなところばかり目につく。


 部屋の中ではつまらないことでケンカを繰り返し、結局別れてひとり部屋へ引っ越す人が多い。


 ▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△▼△ ▼△ ▼△ ▼△ ▼△


 それがイイことか、ワルイことかは、私にはわからないが、未来の人は合理的だ。


 結婚した相手とは、会いたい時に会って、食べたい時に一緒に食事をして


 デートしたい時に、一緒に過ごせば良いのだ!


 愛を語りたい時は、ムードあふれるホテルで2人っきりに・・・

 ♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥ ♡ ♥

 ただし、ドームの中のどこにいても、今日の食事の予定は、


 どこでどんな食事をするか、モアからの質問に答える義務がある。


 この小さな島のドームでも、何万という人口を抱えている。



 余計な人数分の食事の準備をするのも無駄だし


 残飯を捨てるのも経費がかかるし、何よりモッタイナイ。


 サプリやドリンクで済ませるときは、食事をキャンセル。


 部屋で食べたいときは、レストランから食事を転送してもらえばいい!


 希望する場所を利用する時は、決められた時間までに予約しておけば問題はない。


 こういった場合も、モアは欠かせない。


 ●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇


 未来の携帯、モア。


 テレビ電話・ネット・マネー・カード・カメラだけでなく


 目の前に3Dホログラムを映し、道先案内や


 転送ボックスのリモコン、あらゆる機能を持つ優れものだ。


 さらには、ルールのアドバイザーであり、仕事や生活のパートナーでもある。


 ●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇●◎〇


 ドームの大集団の生活を支える、便利なモア。


 未来のドームに住む人々は、それがなくなったら、何もできないほど、モアに依存していた。
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