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第3章 美しい転校生
② ビジュ イイじゃん!
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お昼の休憩時間。
大勢の参加者とゲームのスタート地点へ向かうキラシャ。
同じチームで張り切っているマイクから、メールが入った。
キラシャと同じクラスで、別のエリアを転々としていた転校生のマイク。
タケルがいなくなる半年くらい前にやって来て、ようやくここの生活に慣れたようだ。
マイクは、男の子とすぐに仲良くなって、言葉もなんとか話すようになったが、
突然妙な言葉を使って、周りを驚かすことがある。
この日も、ランチのサラダに入っていたくだものを見て、「ケダモノ!」と叫んでいた。
それが耳に入ったのか、転校生のパールもクスッと笑っていたようだ。
キラシャはそんなマイクから送られてくるメールにも、悩まされていた。
「マイク、あたしにわかる言葉で、送ってきなよ!」
大きな声でどなると、マイクは「ムリ! ナンデモ イイジャン!」と澄ました顔。
転校生がきれいな言葉を使っていたのに、マイクはマイク語でメールを始めた。
[キラシャ アノ ギャル
ビジュ イイじゃん!
ウミ イッショ イク?]
[びじゅ・・・いいじゃん?
って・・・パールのこと?]
[イエー
キラシャ ドウ?]
[マイク・・・
カノジョ ヤケドなんだ
ウミ ムリ!]
[デモ オレ
パールト イッショ イイジャン!]
キラシャは、モアで見るマイクから目を離し、近くにいるマイクに話しかけた。
「・・・マイク。
海洋牧場でイルカと遊ぶより、きれいな女の子と一緒に船の中で見学する気?
マイクってさ、コズミック防衛軍のパイロットになるのが夢じゃなかったの?
女の子とイチャついて、空の英雄になれると思ってンの?」
マイクは、キラシャの早口に面食らったのか、ケンの方に助けを求めた。
キラシャは、タイミング良く来たケンに怒鳴り始めた。
「ケン、ナンなの?
あたしの誕生日に付き合って海洋牧場に行くより、
きれいな子と遊びたいンだったら、正直に言えばイイじゃない!」
すると、ケンは不思議そうな顔をして、こう言った。
「何のこと・・・?
オレは、仲間を増やして行こうよって言っただけだよ!」
マイクは顔を赤らめながら言った。
「パール マダ トモダチ イナイネ。
ナカマ シヨウ!」
キラシャは頭を抱えた。
「・・・アノネ、マイク・・・」
海洋牧場では、みんなでイルカと泳ぐのを楽しみにしていたキラシャ。
でも・・・。
転校生を自分達の仲間に入れておくことは、これからの友達づきあいを考えると大事なことだ。
ケンは、キラシャに聞こえないように、マイクにささやいた。
「マイク。海洋牧場のことはオレにまかせて、次の予定を立てろよ・・・」
マイクは、軽くうなずいた。
ケンは、キラシャに対して言い訳を始めた。
「マイクは、女の子を誘うのがヘタなンだ。
今日来た転校生に遊びに行こうなンて、気が早いよ。
だいたい、サリーとエミリが許すわけがない。
マイクはあいつらのアイドルなンだ。
オレがなンとかするから、今度の休日は海洋牧場に決定だよ!」
サリーもエミリもキラシャの遊び仲間。
マイクが転校して来てから、マイクの妙な言葉に笑いコケながら、この2人が正しい発音を教えた。
このエリアには珍しく、マイクはイケメンだが、プーさんのように太っている。
おかげで、転校して来てから、女の子には妙にかわいがられていた。
『フン。どうせケンが知恵出したンでしょ・・・?
それくらい、長い付き合いだからわかってるよ。
ケンだって、女の子に話しかけても、すぐ調子に乗ってイヤがられるじゃない。
まったく・・・』
きれいな転校生を目の前にしたとたん、ケンやマイクまでが、女の子への競争心に燃えてしまったようだ。
キラシャは、男の子の心変わりの早さにあきれてしまった。
でも・・・
タケルがいなくなってから、ケンは前と変わらずキラシャの良い友達でいてくれた。
他の子は、平気でイジメに加わってたのに・・・。
オリン・ゲームだって、ケンとマイクが同じチームに入れてくれたから、
キラシャもこうやって、やる気を取り戻せたのだ。
ここは、敬愛なるケンとマイクを立てることにした。
「それじゃあ。いい?
今日のオリン・ゲームで、タイムが30位・・・以内に入ったら・・・
海洋牧場に誘ってみる。
それがダメでも、次はどっか一緒に行こうって誘ってみるから、がンばってね」
マイクとケンは喜んで、OKの合図をした。
「あ、それと、次の予定はどこでもいいケド、サリーとエミリはイッショでいい?」
キラシャがたずねると、マイクはエーッと顔をしかめながら、力なくうなずいた。
大勢の参加者とゲームのスタート地点へ向かうキラシャ。
同じチームで張り切っているマイクから、メールが入った。
キラシャと同じクラスで、別のエリアを転々としていた転校生のマイク。
タケルがいなくなる半年くらい前にやって来て、ようやくここの生活に慣れたようだ。
マイクは、男の子とすぐに仲良くなって、言葉もなんとか話すようになったが、
突然妙な言葉を使って、周りを驚かすことがある。
この日も、ランチのサラダに入っていたくだものを見て、「ケダモノ!」と叫んでいた。
それが耳に入ったのか、転校生のパールもクスッと笑っていたようだ。
キラシャはそんなマイクから送られてくるメールにも、悩まされていた。
「マイク、あたしにわかる言葉で、送ってきなよ!」
大きな声でどなると、マイクは「ムリ! ナンデモ イイジャン!」と澄ました顔。
転校生がきれいな言葉を使っていたのに、マイクはマイク語でメールを始めた。
[キラシャ アノ ギャル
ビジュ イイじゃん!
ウミ イッショ イク?]
[びじゅ・・・いいじゃん?
って・・・パールのこと?]
[イエー
キラシャ ドウ?]
[マイク・・・
カノジョ ヤケドなんだ
ウミ ムリ!]
[デモ オレ
パールト イッショ イイジャン!]
キラシャは、モアで見るマイクから目を離し、近くにいるマイクに話しかけた。
「・・・マイク。
海洋牧場でイルカと遊ぶより、きれいな女の子と一緒に船の中で見学する気?
マイクってさ、コズミック防衛軍のパイロットになるのが夢じゃなかったの?
女の子とイチャついて、空の英雄になれると思ってンの?」
マイクは、キラシャの早口に面食らったのか、ケンの方に助けを求めた。
キラシャは、タイミング良く来たケンに怒鳴り始めた。
「ケン、ナンなの?
あたしの誕生日に付き合って海洋牧場に行くより、
きれいな子と遊びたいンだったら、正直に言えばイイじゃない!」
すると、ケンは不思議そうな顔をして、こう言った。
「何のこと・・・?
オレは、仲間を増やして行こうよって言っただけだよ!」
マイクは顔を赤らめながら言った。
「パール マダ トモダチ イナイネ。
ナカマ シヨウ!」
キラシャは頭を抱えた。
「・・・アノネ、マイク・・・」
海洋牧場では、みんなでイルカと泳ぐのを楽しみにしていたキラシャ。
でも・・・。
転校生を自分達の仲間に入れておくことは、これからの友達づきあいを考えると大事なことだ。
ケンは、キラシャに聞こえないように、マイクにささやいた。
「マイク。海洋牧場のことはオレにまかせて、次の予定を立てろよ・・・」
マイクは、軽くうなずいた。
ケンは、キラシャに対して言い訳を始めた。
「マイクは、女の子を誘うのがヘタなンだ。
今日来た転校生に遊びに行こうなンて、気が早いよ。
だいたい、サリーとエミリが許すわけがない。
マイクはあいつらのアイドルなンだ。
オレがなンとかするから、今度の休日は海洋牧場に決定だよ!」
サリーもエミリもキラシャの遊び仲間。
マイクが転校して来てから、マイクの妙な言葉に笑いコケながら、この2人が正しい発音を教えた。
このエリアには珍しく、マイクはイケメンだが、プーさんのように太っている。
おかげで、転校して来てから、女の子には妙にかわいがられていた。
『フン。どうせケンが知恵出したンでしょ・・・?
それくらい、長い付き合いだからわかってるよ。
ケンだって、女の子に話しかけても、すぐ調子に乗ってイヤがられるじゃない。
まったく・・・』
きれいな転校生を目の前にしたとたん、ケンやマイクまでが、女の子への競争心に燃えてしまったようだ。
キラシャは、男の子の心変わりの早さにあきれてしまった。
でも・・・
タケルがいなくなってから、ケンは前と変わらずキラシャの良い友達でいてくれた。
他の子は、平気でイジメに加わってたのに・・・。
オリン・ゲームだって、ケンとマイクが同じチームに入れてくれたから、
キラシャもこうやって、やる気を取り戻せたのだ。
ここは、敬愛なるケンとマイクを立てることにした。
「それじゃあ。いい?
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それがダメでも、次はどっか一緒に行こうって誘ってみるから、がンばってね」
マイクとケンは喜んで、OKの合図をした。
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