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第3章 美しい転校生
③ キラシャのクラス仲間(1)
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オリンの試合が始まる前に、キラシャと海洋牧場へ一緒に行く予定の、
学習ルームの仲間のことを紹介しておこう。
パスボーチームでは、タケルの抜けた後、シューターとしてがんばっているケン。
ケンは血のつながった両親ではなく、保護者登録されていた人の中から選ばれたおじさんだ。
でも、おじさんと気が合わなくて、しょっちゅうグチをこぼしている。
ケンは両親ともあったことがないし、自分の名前も誰につけられたのかわからない。
親がわからない子は、上級生にイジられやすいので、キラシャがケンを励まそうと、おじいさんの所に誘った。
ケンは、キラシャと一緒に、おじいさんの話の世界に入り込み、話の続きを聞きに行くようになった。
最近では、キラシャもおじいさんの所へ行くのがおっくうになり、ケンがひとりで会いに行くこともあった。
キラシャのおじいさんは、休日に子供達を集めては、海の冒険話を子供達に聞かせてやっている。
その中でも、おじいさんの話す外海の世界に一番関心を持っていて、話の続きを催促するケン。
おじいさんの方も、ケンのことを誰よりかわいがってやっていた。
だから・・・ではないようだが、ケンはキラシャの方も気になるらしい。
タケルがいない今は、自分がキラシャのナイトにならなくちゃと、張り切っているようだ。
マイクも、複雑な生い立ちだ。
両親はマイクが生まれて、すぐに離婚している。
植物学者の父親と一緒に、戦争をしているエリアを避けながら、転校を繰り返していた。
食べ物に心配のないエリアばかり移住していたので、いつの間にか、
縦も横も大きく成長してしまったようだ。
少し甘えん坊のマイクだが、別れた母親はフリィ・エリア出身で、コズミック防衛軍のパイロット。
マイクも、将来はカッコいいパイロットを目指しているが、それでもおやつをポケットから取り出して、
口を動かすのが習慣になっている。
そのおやつは、いつも途切れることなく、マイクの母親から送られた。
タケルと口ゲンカを繰り返していたヒロは、宇宙考古学が趣味で、
将来を期待されるような技術者を目指している。
ヒロの頭の中には、地球より文明が進んだ星、フィラが存在しているらしい。
すべてが合理的なシステムのフィラでは、パスボー・ゲームみたいな
エネルギーの無駄使いで、非効率的なゲームはあり得ないと、
ヒロはタケルをからかっていた。
オリン・ゲームでも、ヒロは無駄なエネルギーを使って、
他のチームと早さを競争するよりも、エネルギーを使わず、
最も効率的な移動にこだわりを持っている。
男子のリーダーのダンは、父親もおじいさんも裁判官。
未来にも受け継がれた武道も習っている。スポーツは得意だが、ケンカも強い。
ケンカが過ぎて、子供裁判のお世話になることも多いが、
キチンと自分のケンカの理由を説明して、罰もまじめに受けているので、
先生方からの評判は良い。
クリエート・エリア生まれの、ちょっと独特な雰囲気を持つジョン。
やさしい男の子だから、かなりイジメを受けたらしく、本人の希望でこのエリアにやって来た。
彼はアニメの映画監督になるのが夢で、授業中も先生から注意を受けない限り、
アニメ作りに熱中するマイペースな男の子だ。
クリエート・エリアで、自分の作品を無断で盗作され、他の人の作品として
使われてしまったことがあるらしい。
ジヴァ・エリアには、子供の裁判があると聞いて、
自分や自分の作品を保護してもらえるかもと思って、やってきたようだ。
ただ、イジメに関しては、子供の裁判で訴えることができるが、
著作権などの問題は、ジヴァ・エリアでも、子供裁判で保護できるルールが十分ではない。
ジヴァ・エリアにも、自分でゲームやアニメ作品を作って、スクール卒業後の
カレッジへの進学や、その後の活動資金に充てたいと頑張っている子供達がいる。
だが、競争が激しくて、アイデアの盗み合いは日常茶飯事だ。
子供裁判でも、アイデアを盗まれた子から訴えがあると、著作権などの権利が認められたら、
アイデアを盗んだ子には罰を与え、報酬を返還するよう説得をしている。
さて、今日のオリン・ゲームで、ヒロから同じチームでやらないかと誘われたジョンだが、
今は次のアニメ作品の構想で頭がいっぱいらしく、ゲームは見学することに決めたらしい。
スポーツも勉強も得意で、キラシャよりボーイッシュな、リーダー的存在のマキ。
性格があっさりしているから、ケンカしても、タケルみたいにすぐ仲直りできるし、
キラシャとはいろんなスポーツで競い合えるライバルだ。
時には、タケルとマキの方が仲良くなって、キラシャは一人で置いてけぼりを食らうこともあり、
胸がキュンとなることもあったが、マキは他の女の子みたいに、タケルを独占しないタイプだ。
むしろ、タケルが強引にチームを引っ張りすぎていると感じたときには、
マキはキラシャと一緒にタケルへの抗議をして、やり方を変えようとしてくれた。
オリン・ゲームの中級レベルは3人1組で、男女の区別はない。
キラシャとタケルがコンビを組むと、タイムだけはいつも上位なので、
スポーツの指導者を目指すマキも、一緒のチームを組んでいた。
マキは、チェック地点の問題の正解率も高いので、個人成績ではトップクラスの常連だ。
チーム・リーダーのタケルがいなくなってからは、マキはキラシャとは組まず、
キラシャと同じ部屋のコニーとカシューと組んでいる。
彼女らはいとこ同士だ。
朝のトレーニングの時も、「今日はライバルだから、チーム記録も負けないよ!」とキラシャに声をかけて来た。
学習ルームの仲間のことを紹介しておこう。
パスボーチームでは、タケルの抜けた後、シューターとしてがんばっているケン。
ケンは血のつながった両親ではなく、保護者登録されていた人の中から選ばれたおじさんだ。
でも、おじさんと気が合わなくて、しょっちゅうグチをこぼしている。
ケンは両親ともあったことがないし、自分の名前も誰につけられたのかわからない。
親がわからない子は、上級生にイジられやすいので、キラシャがケンを励まそうと、おじいさんの所に誘った。
ケンは、キラシャと一緒に、おじいさんの話の世界に入り込み、話の続きを聞きに行くようになった。
最近では、キラシャもおじいさんの所へ行くのがおっくうになり、ケンがひとりで会いに行くこともあった。
キラシャのおじいさんは、休日に子供達を集めては、海の冒険話を子供達に聞かせてやっている。
その中でも、おじいさんの話す外海の世界に一番関心を持っていて、話の続きを催促するケン。
おじいさんの方も、ケンのことを誰よりかわいがってやっていた。
だから・・・ではないようだが、ケンはキラシャの方も気になるらしい。
タケルがいない今は、自分がキラシャのナイトにならなくちゃと、張り切っているようだ。
マイクも、複雑な生い立ちだ。
両親はマイクが生まれて、すぐに離婚している。
植物学者の父親と一緒に、戦争をしているエリアを避けながら、転校を繰り返していた。
食べ物に心配のないエリアばかり移住していたので、いつの間にか、
縦も横も大きく成長してしまったようだ。
少し甘えん坊のマイクだが、別れた母親はフリィ・エリア出身で、コズミック防衛軍のパイロット。
マイクも、将来はカッコいいパイロットを目指しているが、それでもおやつをポケットから取り出して、
口を動かすのが習慣になっている。
そのおやつは、いつも途切れることなく、マイクの母親から送られた。
タケルと口ゲンカを繰り返していたヒロは、宇宙考古学が趣味で、
将来を期待されるような技術者を目指している。
ヒロの頭の中には、地球より文明が進んだ星、フィラが存在しているらしい。
すべてが合理的なシステムのフィラでは、パスボー・ゲームみたいな
エネルギーの無駄使いで、非効率的なゲームはあり得ないと、
ヒロはタケルをからかっていた。
オリン・ゲームでも、ヒロは無駄なエネルギーを使って、
他のチームと早さを競争するよりも、エネルギーを使わず、
最も効率的な移動にこだわりを持っている。
男子のリーダーのダンは、父親もおじいさんも裁判官。
未来にも受け継がれた武道も習っている。スポーツは得意だが、ケンカも強い。
ケンカが過ぎて、子供裁判のお世話になることも多いが、
キチンと自分のケンカの理由を説明して、罰もまじめに受けているので、
先生方からの評判は良い。
クリエート・エリア生まれの、ちょっと独特な雰囲気を持つジョン。
やさしい男の子だから、かなりイジメを受けたらしく、本人の希望でこのエリアにやって来た。
彼はアニメの映画監督になるのが夢で、授業中も先生から注意を受けない限り、
アニメ作りに熱中するマイペースな男の子だ。
クリエート・エリアで、自分の作品を無断で盗作され、他の人の作品として
使われてしまったことがあるらしい。
ジヴァ・エリアには、子供の裁判があると聞いて、
自分や自分の作品を保護してもらえるかもと思って、やってきたようだ。
ただ、イジメに関しては、子供の裁判で訴えることができるが、
著作権などの問題は、ジヴァ・エリアでも、子供裁判で保護できるルールが十分ではない。
ジヴァ・エリアにも、自分でゲームやアニメ作品を作って、スクール卒業後の
カレッジへの進学や、その後の活動資金に充てたいと頑張っている子供達がいる。
だが、競争が激しくて、アイデアの盗み合いは日常茶飯事だ。
子供裁判でも、アイデアを盗まれた子から訴えがあると、著作権などの権利が認められたら、
アイデアを盗んだ子には罰を与え、報酬を返還するよう説得をしている。
さて、今日のオリン・ゲームで、ヒロから同じチームでやらないかと誘われたジョンだが、
今は次のアニメ作品の構想で頭がいっぱいらしく、ゲームは見学することに決めたらしい。
スポーツも勉強も得意で、キラシャよりボーイッシュな、リーダー的存在のマキ。
性格があっさりしているから、ケンカしても、タケルみたいにすぐ仲直りできるし、
キラシャとはいろんなスポーツで競い合えるライバルだ。
時には、タケルとマキの方が仲良くなって、キラシャは一人で置いてけぼりを食らうこともあり、
胸がキュンとなることもあったが、マキは他の女の子みたいに、タケルを独占しないタイプだ。
むしろ、タケルが強引にチームを引っ張りすぎていると感じたときには、
マキはキラシャと一緒にタケルへの抗議をして、やり方を変えようとしてくれた。
オリン・ゲームの中級レベルは3人1組で、男女の区別はない。
キラシャとタケルがコンビを組むと、タイムだけはいつも上位なので、
スポーツの指導者を目指すマキも、一緒のチームを組んでいた。
マキは、チェック地点の問題の正解率も高いので、個人成績ではトップクラスの常連だ。
チーム・リーダーのタケルがいなくなってからは、マキはキラシャとは組まず、
キラシャと同じ部屋のコニーとカシューと組んでいる。
彼女らはいとこ同士だ。
朝のトレーニングの時も、「今日はライバルだから、チーム記録も負けないよ!」とキラシャに声をかけて来た。
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