キラシャの恋の物語

キラシャ

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第3章 美しい転校生

⑥ オリン・ゲーム(2)

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広場のチェックポイントでは、メールと一緒に問題が送られてくる。

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たとえば・・・

「フリィ・エリアの初代大統領の名前は?」

「ユニバス・エリアで製作された、最大の宇宙ステーションの名前は?」

「クリエト・エリアで生産されている、輸出量の多い食料を3つあげよ」

「ユーピア・エリアで行われている雇用政策を何と言う?」

「エムフィ・エリアのドームで使う、一日の平均エネルギー量は?」

「ヒンディ・エリアで伝えられている宗教哲学は?」

「アフカ・エリアの多民族政策とは?」

「地球から火星までの距離は?」

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答えは選択式だから、正解と思う番号にタッチすればよいが、授業の成績にもつながる。

できれば慎重に答えたい。

ただし、チェックポイントには見張りもいるし、視線が問題からはずれると

モアが警告を出すから、教え合うこともできないし、制限時間もある。


3人は黙々と、モアの問題の答えを選んで、全部解き終えると、すぐに返信。

2か所の広場のチェックポイントを通過すると、次はロボットを追いかけることにした。

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キラシャのチームも、途中でまたマキのチームに出会い、競争してロボットを追いかけた。

でも、受信の結果は「残念でした(^_^;)、ハズレです!」

マキのチームは、早めにハズレに気づいて、近くのボックスへ飛び込んだようだ。

もう姿はない。

「やられたな・・・」

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ケンもすぐにモアで混雑情報を確認。

どうも下の階にいるロボットが怪しい。他のロボットの周りより、明らかに近づいてゆく人数が多いからだ。

3人は下の階へ移動して、ロボットを追った。マキのチームは見えない。

内心あせりながら、子供達に囲まれたロボットへ近づいた。

メールを受信したモアから「チェックポイント通過。おめでとう(*^_^*)、当たりです!」のコメント。

後は、ゴール前の広場の1ヶ所だけ。

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マキのチームが、まだゴールしてないことを願いながら、最上階の少しゴールから離れた場所を目指し、ボックスへ。

混雑で何秒か待たされたが、無事に転送された。

広場のチェックポイントにたどり着くと、もうゴールへと向かっているチームが見えた。

キラシャのチームも、受信した問題を秒殺で解き、返信すると、勢いよくゴール目指して走った。

トレーニング場の観覧席には、応援しているチームのゴールを待つ子供達でいっぱいだ。

前の方で、ダンが子分を引き連れて走っていた。

何チームかと競い合いながら、団子状態でゴールした。

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「何位だろう?」

モアで順位を確認すると、ゴールの瞬間が浮かび上がり、28位という表示が見えた。

「タイムは28位か・・・」キラシャは、がっかりした。

「・・・タイムだけでも、20位に入りたかったなぁ」

「惜しかったけどな。まぁ、そう簡単に20位には入れないよ」と、ケンは言い訳した。

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マイクの返事がなかったので、あわてて周りを見回すと、

ゴールのそばで倒れたまま、動こうとしないマイクがいた。


「だいじょうぶ? マイク・・・」キラシャは、マイクが生きているか心配で、のぞき込んだ。

マイクは、寝っ転がったままゼイゼイ言いながら叫んだ。


「キラシャ ヤクソクだヨ!

 パール イッショ イケルネ!」

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キラシャは、こんなにマイクが頑張ったんじゃ、認めてあげるしかないかと、

ケンと顔を見合わせて言った。


「いいよ!マイク。

 パールも一緒に連れて行けるよう、何とか説得してみるよ」


「ヤッター!!」

マイクは、大声で叫んだが、あわてて口を押さえた。


ゲームの補助員が、近くに待機していた看護員に、吐きそうになっているマイクを病院へ転送するよう伝えた。


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キラシャとラムは、看護員と共に姿を消したマイクへは、後でお見舞いに行くことにして、

18位で大会への出場権を得たダンに、「おめでとう!」と言って、仲間のゴールを待った。


数分後、マキがコニーとカシューに両脇を抱えられながら、ゴールへと入って来た。

「どうしたの?」と聞くと、「ちょっとね・・・」とマキが苦笑いした。


コニーとカシューは、口をそろえて不満を言った。

「マキ、早すぎ!」「私ら無視して、急ぎ過ぎ!」


コニーとカシューは、自分達のリズムを持っている。

マキのペースの速さについていけず、ついカッとなって、マキの手を2人でパッと離したらしい。


「マキってさぁ、ひとり決めなンだモン。もう少し、あたしらのペース考えろってば!」

「そうだよ。あたしら、別に大会に出たいわけじゃないンだ。

 休憩、短いしさ。早けりゃいいってモンじゃないよ!

 やっぱり、ペースってダイジだよ・・・でも、ごめんね、マキ!」

 
マキは傷ついたひざをのぞき込み、キラシャを振り返って苦笑いした。

キラシャも、マキを見て微笑んだ。


そういや、タケルがチームリーダーで、無茶苦茶引っ張った時は、2人でぶつくさ言ってたっけ。

「タケル!マジ早~。休憩しよ~!」って。


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そこへ、ヒロとニール、隣のクラスの賢そうな男の子、3人でゴールした。

ヒロは「もう少し、早くゴールできる予定だったンだけどな。


休憩所で異次元の話を始めたら、止まンなくなっちゃったよ」と言って、ニールと笑った。

サリーとエミリも男の子を引っ張って、戻って来た。2人とも浮かぬ顔だ。


背が高くてやさしい顔をした男の子が、バイバイと言って離れて行ってから、

キラシャに向かって、がっかりした表情を見せた。


「あの子とは、合いそうにないね」

「周りに振り回されてばっかりだモン」


サリーもエミリも、自分達を引っ張ってくれるパートナーの男の子を探していたのだ。

同い年の男の子は多いけど、なかなかタイプの子を見つけるのは難しい。


上級コースが始まるまで、最初のパートナー選びは、これからも続くようだ。


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中級レベルのオリン・ゲームが終わると、ドームの外でがんばっている上級レベルの選手達を映像で応援した。

トレーニング場には、巨大な3DホログラムでゲームをLIVEで映し出すコーナーもある。


みんな思い思いの場所ですわったり寝転んだり、友達とおしゃべりしたり、ドリンクを飲みながらの観戦だ。

キラシャの部屋の先輩ルディとパートナーのジャン、美男美女2人の映像が映し出されると、


ヒューと口笛が鳴り響き、うらやましそうな声援が飛んだ。

でも、やっぱり社会人の方が断然早い。スクールの生徒は、最上級生の8位が最高だった。


今回は、行方不明者もなく、負傷者が多少出ただけで、ゲームは無事に終わった。

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キラシャは鼻歌を歌いながら、海洋牧場の準備を楽しそうに始めた。

『タケルがいれば、最高なンだけどなぁ~』
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