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妖裁級
お呼び出し
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大きな怨呪を浄化してから一ヶ月。今はもうすっかり元気で、任務にも行っているし訓練も行っている。
こんなに早く怪我がよくなるなんてすごい回復力だねぇと、医療の人に言われた。私も思う。
下半身なくなって一ヶ月って……。どんな回復力だよ。すごいなぁ、私。
回復した私は、同じく回復した彰一を相手に竹刀を向けていた。
そういえば、彰一も酷い怪我をしていたけど私と同じタイミングで任務許可が下りたんだよね。どんな回復力だよ。
まぁ、怪我が治ったなら別にいいけど。とりあえず、今は目の前に立っている彰一を倒す。訓練だだろうと手を抜かない、必ず勝つ。
「ってやぁ!!!」
ダンッ!!
床を蹴り、竹刀を大きく振りかぶり彰一へと走る。それを見て、彰一は自分の竹刀を前に横向きで出し、受け止める態勢に。
その動き、お見通し。
彰一の視界から外れるように姿勢を低くし、戸惑っている隙に竹刀の剣先を腹部に向けて突く。
「甘いな」
「っつ!!」
右足を蹴り上げられ、竹刀を持っている私の両手を強打。すぐさま蹴り上げた右足を軸に回し蹴り。
後ろに跳び、何とか回避できた。体勢を整えないと次の動きに反応が出来なっ――……
「っ、な」
どこに行った、あいつ!! 気配すら感じない!!
――――――ピタッ
「終わりだな。これでお前は首を取られ死んだ」
後から彰一の気配、声。首筋に当てられている竹刀。
負けた。
「~~~~~~もう一回!!」
悔しい!! ものすごく悔しい!!
「何度やっても同じだろ」
「そんなことないし!! 今までより長く戦闘を続ける事が出来てきたんだし、次ならいけるよ」
「忘れているのかもしれねぇが、僕は基本刀は使わない。訓練もそんなに力を込めていない。そんな僕に負けているんだぞ? みなまで言わなくてもわかるだろ?」
振り向きながらお願いしたら、にやけながらいむかつくことを言ってきやがった!! むっかつく!! あえて言わなくていいじゃない!! 本当に腹が立つなぁ!!
「まぁ、そんな事どうでもいいんだが」
「どうでもよくないんだけど……」
「それよりお前、なんで訓練するんだ?」
「それより……。まぁ、いいけど。そんなの、強くなるために決まってるでしょ。他になんの理由があるのよ」
「怨呪と戦うのはどうせ輪廻(仮)の方だろ? なら、お前が強くなる必要はないと思うけどな」
「その(仮)ってやめてくれる? 確かに、私自身は戦わないけどさ。強くなることに越したことはないと思うの。万が一、入れ替われなくなったとしても、私が戦えたら特に問題は無いわけだし」
考えていたことをそのまま伝えると、彰一は「ふーん」と興味なさげに相槌を打ちやがった。
おい、自分で聞いたんだろう。
「どうする、もう一回やるか?」
「もち。負けっぱなしで逃げるなんて許さっ──」
「今回ばかりは許してあげろ」
────えっ?
いきなりの低音ボイスに言葉が最後まで続かなかったよ。え、何このイケボ。甘いような、人をダメにする声。
えっと、これは多分訓練場の出入口から聞こえたな。あ、あの人……。
「えっと──見覚えはあるし、有名人なのは分かってる。分かっているよ、うん」
「お前の記憶力は鳥並だな。こんにちは、明神さん」
明神さん──って。
「えっ?! 妖裁級に所属している二刀流使い。明神梓忌様!?!?! 普段は刀を使い怨呪を切り刻むがその実力は怨呪百体を一瞬にして捌いてしまうほどでそれだけには留まらず絶対に弱点を外さない銃の使い手と言われているあの明神梓忌様!?!?!」
「よくそこまで息が続くな」
まさか、妖裁級の方が来るとは思わず、早口で知っていることを全て大きな声で言ってしまった。恥ずかしい!!
「様は要らない。……それにしても、前会った時とは別人のようだな」
「あっ、はい。今の私は戦闘中の私では無いので。あの、もう一人の私に会った事が?」
前回の戦闘については彰一から簡単に聞いていたけど……。特に、私の腕や体が真っ二つになるところとかを事細かに。
その際に、彰一には妖裁級の人が二人来たということを聞いた。けど、名前までは聞いていなかったな。
今の話出しからすると、明神さんが前回来てくれたっていう、妖裁級の一人なんだろうな。口ぶりからしてわかる。
────軍服かっこいいけど、もう元の軍服の形保ってないね。
「楽羅輪廻。お前を呼んでいるお方がいる。来てくれないか」
私をお呼びの人? 一体誰だろう。わざわざ妖裁級の人を連れてくるなんて──
ままままままさか、私のことを浄化しようと上の人達が!!!
確かに私は人間じゃないし、怨呪って言われてるけど。浄化はまだ早いと思うのですが!?
「私、殺されるんですか?」
身体を震わせながらそう問いかける私に、明神さんは表情一切変えないでじぃっ見てくる。否定の言葉はないのでしょうか。
彰一はお腹を抱えて笑ってる──って人を小馬鹿にするのも大概にしろよ。私は今、命を懸けて質問してんだから。
「何に脅えている。隊同士の戦闘や殺害は妖裁級の立会いの下でなければならない。今は殺せん安心して良い」
「今は!?!?」
「今は大丈夫だ」
明神さん、今"は"殺さないと口にしているけど──それって付いて行ったら殺すと口にしているものでは無いだろうか。
普通に怖いのだが。付いて行きたくない殺される。
「とりあえずお前に拒否権はない。あと、樹里も呼ばれているのだが──」
「────えっ」
お腹を抱えて笑っていた彰一だったが、今の明神さんの言葉で笑みが凍りつき固まった。
「その顔おもしろ」
笑ったまま固まっている彰一の表情は笑えた。ププッ。
こんなに早く怪我がよくなるなんてすごい回復力だねぇと、医療の人に言われた。私も思う。
下半身なくなって一ヶ月って……。どんな回復力だよ。すごいなぁ、私。
回復した私は、同じく回復した彰一を相手に竹刀を向けていた。
そういえば、彰一も酷い怪我をしていたけど私と同じタイミングで任務許可が下りたんだよね。どんな回復力だよ。
まぁ、怪我が治ったなら別にいいけど。とりあえず、今は目の前に立っている彰一を倒す。訓練だだろうと手を抜かない、必ず勝つ。
「ってやぁ!!!」
ダンッ!!
床を蹴り、竹刀を大きく振りかぶり彰一へと走る。それを見て、彰一は自分の竹刀を前に横向きで出し、受け止める態勢に。
その動き、お見通し。
彰一の視界から外れるように姿勢を低くし、戸惑っている隙に竹刀の剣先を腹部に向けて突く。
「甘いな」
「っつ!!」
右足を蹴り上げられ、竹刀を持っている私の両手を強打。すぐさま蹴り上げた右足を軸に回し蹴り。
後ろに跳び、何とか回避できた。体勢を整えないと次の動きに反応が出来なっ――……
「っ、な」
どこに行った、あいつ!! 気配すら感じない!!
――――――ピタッ
「終わりだな。これでお前は首を取られ死んだ」
後から彰一の気配、声。首筋に当てられている竹刀。
負けた。
「~~~~~~もう一回!!」
悔しい!! ものすごく悔しい!!
「何度やっても同じだろ」
「そんなことないし!! 今までより長く戦闘を続ける事が出来てきたんだし、次ならいけるよ」
「忘れているのかもしれねぇが、僕は基本刀は使わない。訓練もそんなに力を込めていない。そんな僕に負けているんだぞ? みなまで言わなくてもわかるだろ?」
振り向きながらお願いしたら、にやけながらいむかつくことを言ってきやがった!! むっかつく!! あえて言わなくていいじゃない!! 本当に腹が立つなぁ!!
「まぁ、そんな事どうでもいいんだが」
「どうでもよくないんだけど……」
「それよりお前、なんで訓練するんだ?」
「それより……。まぁ、いいけど。そんなの、強くなるために決まってるでしょ。他になんの理由があるのよ」
「怨呪と戦うのはどうせ輪廻(仮)の方だろ? なら、お前が強くなる必要はないと思うけどな」
「その(仮)ってやめてくれる? 確かに、私自身は戦わないけどさ。強くなることに越したことはないと思うの。万が一、入れ替われなくなったとしても、私が戦えたら特に問題は無いわけだし」
考えていたことをそのまま伝えると、彰一は「ふーん」と興味なさげに相槌を打ちやがった。
おい、自分で聞いたんだろう。
「どうする、もう一回やるか?」
「もち。負けっぱなしで逃げるなんて許さっ──」
「今回ばかりは許してあげろ」
────えっ?
いきなりの低音ボイスに言葉が最後まで続かなかったよ。え、何このイケボ。甘いような、人をダメにする声。
えっと、これは多分訓練場の出入口から聞こえたな。あ、あの人……。
「えっと──見覚えはあるし、有名人なのは分かってる。分かっているよ、うん」
「お前の記憶力は鳥並だな。こんにちは、明神さん」
明神さん──って。
「えっ?! 妖裁級に所属している二刀流使い。明神梓忌様!?!?! 普段は刀を使い怨呪を切り刻むがその実力は怨呪百体を一瞬にして捌いてしまうほどでそれだけには留まらず絶対に弱点を外さない銃の使い手と言われているあの明神梓忌様!?!?!」
「よくそこまで息が続くな」
まさか、妖裁級の方が来るとは思わず、早口で知っていることを全て大きな声で言ってしまった。恥ずかしい!!
「様は要らない。……それにしても、前会った時とは別人のようだな」
「あっ、はい。今の私は戦闘中の私では無いので。あの、もう一人の私に会った事が?」
前回の戦闘については彰一から簡単に聞いていたけど……。特に、私の腕や体が真っ二つになるところとかを事細かに。
その際に、彰一には妖裁級の人が二人来たということを聞いた。けど、名前までは聞いていなかったな。
今の話出しからすると、明神さんが前回来てくれたっていう、妖裁級の一人なんだろうな。口ぶりからしてわかる。
────軍服かっこいいけど、もう元の軍服の形保ってないね。
「楽羅輪廻。お前を呼んでいるお方がいる。来てくれないか」
私をお呼びの人? 一体誰だろう。わざわざ妖裁級の人を連れてくるなんて──
ままままままさか、私のことを浄化しようと上の人達が!!!
確かに私は人間じゃないし、怨呪って言われてるけど。浄化はまだ早いと思うのですが!?
「私、殺されるんですか?」
身体を震わせながらそう問いかける私に、明神さんは表情一切変えないでじぃっ見てくる。否定の言葉はないのでしょうか。
彰一はお腹を抱えて笑ってる──って人を小馬鹿にするのも大概にしろよ。私は今、命を懸けて質問してんだから。
「何に脅えている。隊同士の戦闘や殺害は妖裁級の立会いの下でなければならない。今は殺せん安心して良い」
「今は!?!?」
「今は大丈夫だ」
明神さん、今"は"殺さないと口にしているけど──それって付いて行ったら殺すと口にしているものでは無いだろうか。
普通に怖いのだが。付いて行きたくない殺される。
「とりあえずお前に拒否権はない。あと、樹里も呼ばれているのだが──」
「────えっ」
お腹を抱えて笑っていた彰一だったが、今の明神さんの言葉で笑みが凍りつき固まった。
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