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犬宮賢とヤクザ
「気にしなくて大丈夫ですよ」
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屋敷に通された四人は、部屋で待っているように言われてしまい、待機。
「あの、犬宮さん」
「なに」
「飛縁魔の方は大丈夫なんですか?」
「そっちも早く対処した方がいいと思うけど、その前にこっちを片付けないといけないから」
こっちを片付けないといけない……?
父さんに何が出来るんだろう。
怪異に対しての訓練とかはしてないんだけど。
頭を悩ませるが、犬宮と黒田は焦った様子を見せないため、心優はここで一人焦っていても仕方がないと流れに身を任せる事にした。
「あ、翔。勝手に壺とかに触らないで」
あ、最古君が時間を持て余して、畳の部屋を駆けまわったり、壺を触ろうとしている。
犬宮さんが注意すると、すぐに笑顔で戻ってきた。
犬宮の膝に座ろうとよじ登る最古の脇下に手を伸ばし、ちょこんと自身の膝に座らせる。
頭を撫でてあげている犬宮の姿は、正に父親。
隣に座っている心優は真顔で凝視、目に焼き付けようと瞬きすらしない。
「…………うるさい」
「一言もしゃべってないのに!?」
どんよりと心優が肩を落とし項垂れていると、襖がゆっくりと開かれた。
そこには、心優に蹴られてしまった際に痛めた腰と、首の痛みを我慢している信三の姿。
「いてて…………」と、痛みが走っている首を摩っていた。
「いやはや、待たせたな」
「いえ、突然押し掛けたのはこちらなので」
「そう固くなるな、賢ちゃんよ。翔君もほれ、おじいちゃんだぞぉ~」
子供大好きな心優の父親。
信三は最古と仲良くなりたく、犬宮と共に来た時はいつも笑顔で声をかけていた。
だが――――…………
「…………」
――――プイッ
「あぁぁ、翔君。なぜ、なぜワシでは駄目なんだ…………」
最古が伸ばされた手を無視し、犬宮に抱き着いてしまい信三は撃沈。
心優と同じようにどんよりと肩を落とし、項垂れてしまった。
情けない姿を堂々と晒している信三を見て、黒田は怪訝そうな顔を浮かべ隣に座る犬宮に耳打ちする。
『な、なぁ。この人が今回の重要人物なのか? 心優ちゃんには悪いけど、正直頼りにならないんだが?』
『初めて黒田に出会った時、俺も同じ気持ちだったよ。本当にこの人が俺の暴走を止めた陰陽師なのかって』
『…………今は関係ないだろうが』
『最初の印象がどうであれ、力はあるという事を現した、いい例だったと思うんだけど』
回りに聞こえないような声量で話していると、黒田は顔を引きつらせ苦笑いを浮かべた。
複雑というような顔を浮かべ「そうですか」と、ため息と共に話を終らせる。
「あの、少々時間がないため、早速ですが本題に入ってもよろしいでしょうか」
「あ、すまない。子供を見たのは久しぶりでな、テンションが上がってしまった」
早く本題に入りたい犬宮の問いかけに、信三は照れたように頭を掻き、姿勢を正す。深呼吸をし、先ほどまで浮かべていたヘラヘラとしていた笑みを消した。
――――ゾクッ
信三の瞳がキラリと光り、油断していた黒田は背筋が凍るような感覚が体に伝う。
一粒の汗が額から流れ落ち、膝に乗っている拳はカタカタと震えていた。
隣に座っている犬宮は慣れているのと、警戒していたため表情に変化はない。
心優は自身の父親という事もあり、全く気にしていない。
この中で体を震わせているのは黒田と、犬宮に頭を撫でてもらっている最古のみ。
最古がさっき、伸ばされた手を掴まなかった理由を今理解した黒田は、一人で納得。
体が微かに震えながらも、犬宮と信三の会話に耳を傾けた。
「では、話を聞こうか」
「ありがとうございます」
頭を下げ、犬宮は本題を話し出す。
「現在、我々はある浮気調査を行っていたのですが、真矢家以外のヤクザが絡んでいることが発覚したため、話を通させていただきました」
「なんだと? どの家かはわかっているのか?」
「はい。絡んでいるのは桜花家のお嬢、桜花雫だと判明しております」
「なに? 桜花家、だと?」
片眉を上げ、怪訝そうに顔を歪めた信三は、顎に手を当て考え込む。
「やはり、ご存じでしたか」
「あぁ、知ってはいる。だが、なぜ今動き出したかはわからん」
腕を組み、「まいった」と難しい顔を浮かべている。
「────あの、待ってください。"なぜ今動き出した"という言葉が引っかかるのですが。そこを詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?」
信三の言葉に、犬宮は手を上げ尋ねた。
「うむっ。一度、桜花家とは命を懸けた抗争があったんだ」
――――え、抗争? 桜花家と? そんな話、一切聞いたことなんてなかったのに。
話の切り出しに一番驚いたのは犬宮ではなく、心優だった。
目を見開き、瞳を震わせている。
動揺している心優を横目で見つつも、犬宮は何も言わずに信三の話に耳を傾けた。
「その時勝ったのは、我々真矢家だったんだが……」
腕を組み、過去を思い出すように信三は唸りながら語り出す。
真矢家の過去と桜花家の関係性を──……
・
・
・
・
・
・
ワシは、桜花家の頭とは仲は良かったと思っておった。
よく、街について話したり、組織について相談しておった。
だから、抗争などしなくても良い。そう、ワシは思っていた。
だが、相手はそう思っていなかったらしい。
何故か突如、桜花家から抗争を持ちかけられたのだ。
最初は理由を聞いたが、何故か曖昧にしか答えてくれず、上手く逃げられてしまったのだ。
もう、後戻りができないところまで進んでしまい、こちらとしては被害を少しでも押え抗争に挑むよう尽力を尽くした。
結果的には、ワシら真矢家の勝ち。
だが、被害は大きく広がってしまい、お互いの組員が半分以上もいなくなってしまった。
その時に、もうお互いに手を出さない。お互いに関与しない。
このように話をつけ早数年、今も平和に暮らしていたのだ。
・
・
・
・
・
・
「……──このようなことがあり、今はお互い何もしていない。だが、数年経って、なぜ今動きだしたのか……」
悲しげに視線を下げ、拳を強く握り震わせる。
心優は今の話を初めて聞いたため、動揺してしまい何も言えない。
だが、今の話を聞いて、心優は雫と路地裏で殺り合った時の会話をふと、思い出した。
――――もしかして、父さん達が行った抗争で真矢家に負けたから、逆恨みで今回のようなことを考えた……とか?
「なるほど。それは少し、今回の件に関係ありそうですね」
「うむ……。これは、ワシら真矢家も大きく動かないといけない案件かもしれねぇな」
冷たい瞳、刺さるような視線。
これは、雫と殺りあった時に浮かべた心優の表情とよく似ている。
さすが親子、そう思わざるを得ない空気を放っており、黒田と最古は、今すぐにでもここから逃げたいと思い始めていた。
「では、人間側は真矢家に全面的にお願いする形で宜しいでしょうか?」
「うむ、わかった。人間――というか、桜花家については真矢家が引き受けよう」
「お願いします」
「そちらさんは、言い方的に厄介な件を抱えているらしいな。そっちはワシには無理だから、賢ちゃんに任せよう」
「はい、よろしくお願いします」
「うむ」
犬宮が頭を下げ言うと、満足そうに信三が鼻を鳴らす。
犬宮もここで話は終わりと思い、ここから去ろうと考えてた。
だが、最後に一つだけ言いたいことがあり、気まずそうに顔を上げ信三を見る。
「最後に一つだけ……」
「ん? なんだ?」
「これは毎回言っているのですが、その『賢ちゃん』と俺を呼ぶのをやめていただきたいのですが……」
「なぜだ? 賢ちゃんにぴったりな、良い呼び方ではないか」
豪快に笑う信三に犬宮はもう諦め、項垂れた。
「そうですか…………」と言い残し、犬宮は立ちあがり屋敷の外へと歩き出す。
心優と黒田、最古も置いて行かれないように歩き、真矢家を後にした。
「あの、犬宮さん」
「なに」
「飛縁魔の方は大丈夫なんですか?」
「そっちも早く対処した方がいいと思うけど、その前にこっちを片付けないといけないから」
こっちを片付けないといけない……?
父さんに何が出来るんだろう。
怪異に対しての訓練とかはしてないんだけど。
頭を悩ませるが、犬宮と黒田は焦った様子を見せないため、心優はここで一人焦っていても仕方がないと流れに身を任せる事にした。
「あ、翔。勝手に壺とかに触らないで」
あ、最古君が時間を持て余して、畳の部屋を駆けまわったり、壺を触ろうとしている。
犬宮さんが注意すると、すぐに笑顔で戻ってきた。
犬宮の膝に座ろうとよじ登る最古の脇下に手を伸ばし、ちょこんと自身の膝に座らせる。
頭を撫でてあげている犬宮の姿は、正に父親。
隣に座っている心優は真顔で凝視、目に焼き付けようと瞬きすらしない。
「…………うるさい」
「一言もしゃべってないのに!?」
どんよりと心優が肩を落とし項垂れていると、襖がゆっくりと開かれた。
そこには、心優に蹴られてしまった際に痛めた腰と、首の痛みを我慢している信三の姿。
「いてて…………」と、痛みが走っている首を摩っていた。
「いやはや、待たせたな」
「いえ、突然押し掛けたのはこちらなので」
「そう固くなるな、賢ちゃんよ。翔君もほれ、おじいちゃんだぞぉ~」
子供大好きな心優の父親。
信三は最古と仲良くなりたく、犬宮と共に来た時はいつも笑顔で声をかけていた。
だが――――…………
「…………」
――――プイッ
「あぁぁ、翔君。なぜ、なぜワシでは駄目なんだ…………」
最古が伸ばされた手を無視し、犬宮に抱き着いてしまい信三は撃沈。
心優と同じようにどんよりと肩を落とし、項垂れてしまった。
情けない姿を堂々と晒している信三を見て、黒田は怪訝そうな顔を浮かべ隣に座る犬宮に耳打ちする。
『な、なぁ。この人が今回の重要人物なのか? 心優ちゃんには悪いけど、正直頼りにならないんだが?』
『初めて黒田に出会った時、俺も同じ気持ちだったよ。本当にこの人が俺の暴走を止めた陰陽師なのかって』
『…………今は関係ないだろうが』
『最初の印象がどうであれ、力はあるという事を現した、いい例だったと思うんだけど』
回りに聞こえないような声量で話していると、黒田は顔を引きつらせ苦笑いを浮かべた。
複雑というような顔を浮かべ「そうですか」と、ため息と共に話を終らせる。
「あの、少々時間がないため、早速ですが本題に入ってもよろしいでしょうか」
「あ、すまない。子供を見たのは久しぶりでな、テンションが上がってしまった」
早く本題に入りたい犬宮の問いかけに、信三は照れたように頭を掻き、姿勢を正す。深呼吸をし、先ほどまで浮かべていたヘラヘラとしていた笑みを消した。
――――ゾクッ
信三の瞳がキラリと光り、油断していた黒田は背筋が凍るような感覚が体に伝う。
一粒の汗が額から流れ落ち、膝に乗っている拳はカタカタと震えていた。
隣に座っている犬宮は慣れているのと、警戒していたため表情に変化はない。
心優は自身の父親という事もあり、全く気にしていない。
この中で体を震わせているのは黒田と、犬宮に頭を撫でてもらっている最古のみ。
最古がさっき、伸ばされた手を掴まなかった理由を今理解した黒田は、一人で納得。
体が微かに震えながらも、犬宮と信三の会話に耳を傾けた。
「では、話を聞こうか」
「ありがとうございます」
頭を下げ、犬宮は本題を話し出す。
「現在、我々はある浮気調査を行っていたのですが、真矢家以外のヤクザが絡んでいることが発覚したため、話を通させていただきました」
「なんだと? どの家かはわかっているのか?」
「はい。絡んでいるのは桜花家のお嬢、桜花雫だと判明しております」
「なに? 桜花家、だと?」
片眉を上げ、怪訝そうに顔を歪めた信三は、顎に手を当て考え込む。
「やはり、ご存じでしたか」
「あぁ、知ってはいる。だが、なぜ今動き出したかはわからん」
腕を組み、「まいった」と難しい顔を浮かべている。
「────あの、待ってください。"なぜ今動き出した"という言葉が引っかかるのですが。そこを詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?」
信三の言葉に、犬宮は手を上げ尋ねた。
「うむっ。一度、桜花家とは命を懸けた抗争があったんだ」
――――え、抗争? 桜花家と? そんな話、一切聞いたことなんてなかったのに。
話の切り出しに一番驚いたのは犬宮ではなく、心優だった。
目を見開き、瞳を震わせている。
動揺している心優を横目で見つつも、犬宮は何も言わずに信三の話に耳を傾けた。
「その時勝ったのは、我々真矢家だったんだが……」
腕を組み、過去を思い出すように信三は唸りながら語り出す。
真矢家の過去と桜花家の関係性を──……
・
・
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ワシは、桜花家の頭とは仲は良かったと思っておった。
よく、街について話したり、組織について相談しておった。
だから、抗争などしなくても良い。そう、ワシは思っていた。
だが、相手はそう思っていなかったらしい。
何故か突如、桜花家から抗争を持ちかけられたのだ。
最初は理由を聞いたが、何故か曖昧にしか答えてくれず、上手く逃げられてしまったのだ。
もう、後戻りができないところまで進んでしまい、こちらとしては被害を少しでも押え抗争に挑むよう尽力を尽くした。
結果的には、ワシら真矢家の勝ち。
だが、被害は大きく広がってしまい、お互いの組員が半分以上もいなくなってしまった。
その時に、もうお互いに手を出さない。お互いに関与しない。
このように話をつけ早数年、今も平和に暮らしていたのだ。
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「……──このようなことがあり、今はお互い何もしていない。だが、数年経って、なぜ今動きだしたのか……」
悲しげに視線を下げ、拳を強く握り震わせる。
心優は今の話を初めて聞いたため、動揺してしまい何も言えない。
だが、今の話を聞いて、心優は雫と路地裏で殺り合った時の会話をふと、思い出した。
――――もしかして、父さん達が行った抗争で真矢家に負けたから、逆恨みで今回のようなことを考えた……とか?
「なるほど。それは少し、今回の件に関係ありそうですね」
「うむ……。これは、ワシら真矢家も大きく動かないといけない案件かもしれねぇな」
冷たい瞳、刺さるような視線。
これは、雫と殺りあった時に浮かべた心優の表情とよく似ている。
さすが親子、そう思わざるを得ない空気を放っており、黒田と最古は、今すぐにでもここから逃げたいと思い始めていた。
「では、人間側は真矢家に全面的にお願いする形で宜しいでしょうか?」
「うむ、わかった。人間――というか、桜花家については真矢家が引き受けよう」
「お願いします」
「そちらさんは、言い方的に厄介な件を抱えているらしいな。そっちはワシには無理だから、賢ちゃんに任せよう」
「はい、よろしくお願いします」
「うむ」
犬宮が頭を下げ言うと、満足そうに信三が鼻を鳴らす。
犬宮もここで話は終わりと思い、ここから去ろうと考えてた。
だが、最後に一つだけ言いたいことがあり、気まずそうに顔を上げ信三を見る。
「最後に一つだけ……」
「ん? なんだ?」
「これは毎回言っているのですが、その『賢ちゃん』と俺を呼ぶのをやめていただきたいのですが……」
「なぜだ? 賢ちゃんにぴったりな、良い呼び方ではないか」
豪快に笑う信三に犬宮はもう諦め、項垂れた。
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