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犬宮賢とヤクザ
「これを使うんだよ」
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闇から姿を現したド派手な女性は、四人を見るなり突如、妖しい笑みを浮かべ、右手を前に出した。
な、なんだろう。
心優が不思議に思っていると、いち早く異変に気付いた犬宮が今までにないほどの声量で心優達に叫んだ。
「――――――――っ、頭を下げろ!!!」
「えっ!?」
同時に、複数のワイヤーが飛び出し心優達に襲い掛かる。
すぐに黒田と犬宮はしゃがみ、心優も反射で最古の頭を抱え地面に倒れるように頭を下げた。
「あらあらぁ~、残念。これで一人でも捕らえる事が出来たら、人質がゲットできたのになぁ~」
闇から姿を露わしたのは、ゆるふわ金髪をツインテールにしている女性――否、怪異である飛縁魔。
露出度が高い服を着ており、男性を誘惑する気満々の格好をしていた。
「まさか、貴方達が私より先に動くとは思っていなかったわ」
赤い唇を横へ引き延ばし、捕らえるために繰り出したワイヤーを切った。
「それはこっちも同じだなぁ~。まさか、そんな悠々とこちらに来るとは思っていなかった。まさか、前回で俺達に惚れちまったのかい? 罪深い男で申し訳ないねぇ~」
黒田が犬宮の隣に移動し、わざとらしく相手を挑発する。
強気な表情を浮かべている黒田を横目に、犬宮は鎌を握り直し後ろへと下がった。
「あ、あの、黒田さん、大丈夫なんですか?」
「少なからず、この場で一番強いのは黒田だから、問題はないと思うよ。俺は狗神の力を使い過ぎたり、強い力を使おうとすると、翔の血でも抑えきれなくなってしまう。そうなれば自我を失い、だれかれ構わず襲ってしまう化け物になってしまうんだよね」
「え、そんな…………」
「それに、怪異相手だと、君のご自慢である格闘術も通じない」
黒田と女性、飛縁魔とにらみ合う。
一触即発は空気に、もう心優は一歩も動けない。
「今、ここで黒田がやられれば詰み。もう、この場で飛縁魔に敵う人はいない」
「な、なにか手伝う方法とか…………」
「いや、その必要はないと思うよ。だって、黒田が負ける訳ないし」
最初は険しい顔を浮かべていた犬宮だったが、何故か勝ち誇ったような表情に切り替わっており、黒田を見ていた。
「負けるわけ、ない? でも、確か、一回負けているんですよね?」
「地雷を踏まれたり、周りの人を人質に使われたりで、黒田は本領発揮できなかったんだよ、その時。でも、今は人質に出来る人はいないし、呼ぶ事も出来ない。もう、黒田には勝てないよ」
腕を組み、さも自分が凄いというように鼻を鳴らしている犬宮に、心優は徐々に思考がいつものBL脳へと変化。
「犬×黒が濃厚か…………」
「余裕そうだね。黒田がどんなに強くても、必ずこっちに被害がないとは言い切れないのだから、油断しないでね。俺じゃ君を守れないし、翔を任せたい」
言いながらも、犬宮は鎌を構え心優を守るように前に出る。
目を細め、黒田へ「任せた」と、小さくエールを送った。
誰にも聞こえないような犬宮のエールを受け取った黒田は、白い八重歯を見せ、赤い瞳を細め強気に笑う。
「――なぁ、俺達二人は怪異だ。怪異同士で殺りあったところで正直意味はない。人間相手だった場合は、血肉などを手に入れる事が出来るんだがなぁ~」
「私からしたら、貴方さえ居なくなれば後ろの人間を食らう事が出来るから、意味あるのだけれどねぇ」
「だが、それは平等じゃねぇ。だからよぉ、少しでもこの場を盛り上げ楽しめるように、これを使わないか?」
言いながら黒田が懐から出したのは、透明な小瓶の中で揺らめいている水。
覗き込むと、奥の景色が見通せるほど透き通っており、綺麗。
「それは?」
「これは、ある陰陽師の陰陽寮に保管されている聖水。だが、油断するなよ? これは、ただの聖水ではない」
勝ち誇ったように言い切った黒田に対し、飛縁魔は苦い顔を浮かべた。
「どういう意味よ」
「これには、陰陽寮に住む巫女の正の力が数十年もかけて込められた水。俺達怪異には結構効く、危険な水だ」
――――え、陰陽寮に住む巫女が数十年も正の力を込めた水?
そんな水、どうやって手に入れたの?
説明を聞いても理解できない心優は、説明を求めるように犬宮を見上げた。
だが、視線を感じているはずの犬宮は無視、二人を見続ける。
「それを使って、何をする気なのかしら」
「追加でこれを使うんだ。運試しだよ、楽しそうだろ?」
黒田がそんなことを言って取り出したのは、回転式拳銃、リボルバーだった。
な、なんだろう。
心優が不思議に思っていると、いち早く異変に気付いた犬宮が今までにないほどの声量で心優達に叫んだ。
「――――――――っ、頭を下げろ!!!」
「えっ!?」
同時に、複数のワイヤーが飛び出し心優達に襲い掛かる。
すぐに黒田と犬宮はしゃがみ、心優も反射で最古の頭を抱え地面に倒れるように頭を下げた。
「あらあらぁ~、残念。これで一人でも捕らえる事が出来たら、人質がゲットできたのになぁ~」
闇から姿を露わしたのは、ゆるふわ金髪をツインテールにしている女性――否、怪異である飛縁魔。
露出度が高い服を着ており、男性を誘惑する気満々の格好をしていた。
「まさか、貴方達が私より先に動くとは思っていなかったわ」
赤い唇を横へ引き延ばし、捕らえるために繰り出したワイヤーを切った。
「それはこっちも同じだなぁ~。まさか、そんな悠々とこちらに来るとは思っていなかった。まさか、前回で俺達に惚れちまったのかい? 罪深い男で申し訳ないねぇ~」
黒田が犬宮の隣に移動し、わざとらしく相手を挑発する。
強気な表情を浮かべている黒田を横目に、犬宮は鎌を握り直し後ろへと下がった。
「あ、あの、黒田さん、大丈夫なんですか?」
「少なからず、この場で一番強いのは黒田だから、問題はないと思うよ。俺は狗神の力を使い過ぎたり、強い力を使おうとすると、翔の血でも抑えきれなくなってしまう。そうなれば自我を失い、だれかれ構わず襲ってしまう化け物になってしまうんだよね」
「え、そんな…………」
「それに、怪異相手だと、君のご自慢である格闘術も通じない」
黒田と女性、飛縁魔とにらみ合う。
一触即発は空気に、もう心優は一歩も動けない。
「今、ここで黒田がやられれば詰み。もう、この場で飛縁魔に敵う人はいない」
「な、なにか手伝う方法とか…………」
「いや、その必要はないと思うよ。だって、黒田が負ける訳ないし」
最初は険しい顔を浮かべていた犬宮だったが、何故か勝ち誇ったような表情に切り替わっており、黒田を見ていた。
「負けるわけ、ない? でも、確か、一回負けているんですよね?」
「地雷を踏まれたり、周りの人を人質に使われたりで、黒田は本領発揮できなかったんだよ、その時。でも、今は人質に出来る人はいないし、呼ぶ事も出来ない。もう、黒田には勝てないよ」
腕を組み、さも自分が凄いというように鼻を鳴らしている犬宮に、心優は徐々に思考がいつものBL脳へと変化。
「犬×黒が濃厚か…………」
「余裕そうだね。黒田がどんなに強くても、必ずこっちに被害がないとは言い切れないのだから、油断しないでね。俺じゃ君を守れないし、翔を任せたい」
言いながらも、犬宮は鎌を構え心優を守るように前に出る。
目を細め、黒田へ「任せた」と、小さくエールを送った。
誰にも聞こえないような犬宮のエールを受け取った黒田は、白い八重歯を見せ、赤い瞳を細め強気に笑う。
「――なぁ、俺達二人は怪異だ。怪異同士で殺りあったところで正直意味はない。人間相手だった場合は、血肉などを手に入れる事が出来るんだがなぁ~」
「私からしたら、貴方さえ居なくなれば後ろの人間を食らう事が出来るから、意味あるのだけれどねぇ」
「だが、それは平等じゃねぇ。だからよぉ、少しでもこの場を盛り上げ楽しめるように、これを使わないか?」
言いながら黒田が懐から出したのは、透明な小瓶の中で揺らめいている水。
覗き込むと、奥の景色が見通せるほど透き通っており、綺麗。
「それは?」
「これは、ある陰陽師の陰陽寮に保管されている聖水。だが、油断するなよ? これは、ただの聖水ではない」
勝ち誇ったように言い切った黒田に対し、飛縁魔は苦い顔を浮かべた。
「どういう意味よ」
「これには、陰陽寮に住む巫女の正の力が数十年もかけて込められた水。俺達怪異には結構効く、危険な水だ」
――――え、陰陽寮に住む巫女が数十年も正の力を込めた水?
そんな水、どうやって手に入れたの?
説明を聞いても理解できない心優は、説明を求めるように犬宮を見上げた。
だが、視線を感じているはずの犬宮は無視、二人を見続ける。
「それを使って、何をする気なのかしら」
「追加でこれを使うんだ。運試しだよ、楽しそうだろ?」
黒田がそんなことを言って取り出したのは、回転式拳銃、リボルバーだった。
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