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犬宮賢とヤクザ
「俺が全て払い落としてやるよ」
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ロボットのようにぎごちない動きをしながら近づいて来る岳弥。
いや、岳弥と呼んでもいいのかわからない。
それくらい異様で、不気味なものを今の彼から感じる。
「さ、さすがに、生きているなんてことは、ないですよね?」
「あるわけないでしょ。逆に、今の"あれ"を、君は人間と認識するの?」
認識、出来る訳がない。
あんな、人形のように、何かに操られているような"あれ"を。
人と、生き物と、認識出来る訳がない。
「あれは、どうやって動いているのですか」
「おそらく、あれも飛縁魔の力の一つだろうね」
人の死体を操るのが、飛縁魔の力?
そんなの、どうすればいいの……。
「黒田、どうすればいい」
「簡単だよ。あの死体を切り刻むか、ワイヤーを斬るか。どっちがいい?」
「選択肢一つでしょうよそれ!!! ワイヤーという物が存在するんですか!?」
何を聞いているんだ黒田さん!!
選択肢あるように見えて確実にないだろ!!
心優が思わず声を荒げてしまった事により、岳弥が反応。
呻き声をあげ、三人へ襲いかかった。
「キャァァァァァァ!!!」
「黒田!!!」
涙目で叫ぶ心優の前に立ち、犬宮が黒田に指示。
すぐ「よっしゃ」と動き出し、首に巻かれている包帯を取った。
首が胴体から離れ、駆け寄ってくる男の後ろに回る。
口には赤い糸が咥えられており、駆けだした岳弥に巻き付けた。
「――――よしっ! これで動きは封じたはずだぞ」
黒田の頭は岳弥の頭上で待機。
両腕を前に伸ばし、赤い糸を両手の指先で操り身動きを封じ込んだ。
岳弥は赤い糸に体を縛られ、動きたくとも動けない状態。
それでも動こうともがいているため肉が切れ、ギギギッと音を鳴らす。
「犬宮さん、あれ、動き出しませんか?」
「黒田が拘束しているから問題はないと思うけど、早く始末した方がいいんだろうね」
隣に立つ最古の頭を撫で、顔を覗き込んだ。
「翔、鎌を作ってもいい?」
犬宮からそんなことを言われ、最古は笑顔のまま頷く。
袖を捲り左腕を出したかと思うと、自分の右手の爪を添えた。
力を込めギギギッと引っ掻く。すると、左の腕から血がポタッと、流れ落ちる。
「────お前から放たれるは邪悪な女の匂い。俺が全て払い落としてやるよ」
刹那、犬宮の姿が変化。
赤い唇の隙間からは八重歯が見え隠れし、爪は鋭く尖る。
頭には半透明の犬の耳、臀部からは尾が現れゆらゆらと揺れていた。
その姿こそ、犬宮が憑き人と呼ばれる要因。
最古の血を利用し、体に潜む怪異、"狗神"を呼び起こした。
普段は、犬宮自身が狗神の力を半分以上押さえ込めているため、問題はない。
だが、今回のように。
狗神の力が必要で呼び起こす際は、狗神の力が犬宮の押さえつける力を上回る為、体だけでなく意識も狗神に乗っ取られてしまう。
そうならないために、最古の血が必要なのだ。
最古の血は、怪異を弱らせる成分が含まれいる奇血と呼ばれる物。
これは、最古翔が生まれ持つ力で、神に選ばれたと言われるほど希少だった。
昔、最古は奇血のせいで、様々な陰陽師にいいように利用され、血だけを抜かれる生活を送っていた。
"血"だけを見てくる周りの人達。
"血"から得るお金しか見ない両親。
最古の心はもう、壊れる直前。
そんな時、陰陽師の姿をしている黒田が、今にも崩れ落ちそうな最古の手を掴み、「ここに行くと、君を助けてくれる男性がいるよ」と伝えられ、逃げ出した。
公園に駆け出した最古は、誰もいないことに絶望。
やはり大人は皆、自分を利用する。
心がパリンと、音を立て壊れてしまった。
もう、どうでも良くなり、雨の中遊具で遊んでいると、パシャンと足音が聞こえ始める。
傘を指し立っていた男性──犬宮は、迷うことなく最古に手を伸ばした。
そんな最古は犬宮に恩があり、大好き。
犬宮の為なら何でもする気持ちで、今まで共に行動していた。
今回も、犬宮のために自身の腕をひっかき、血を流させる。
忌々しかった自身の血が、犬宮の助けになるのなら喜んで差し出してやると強い意思の元で。
流れ続ける血に、犬宮が右手を近づかせた。
血は犬宮の右手に集まり、赤く染まる。
準備は出来たと言うように右手で赤い円を描き始め、死神の鎌を作り出した。
浮き上がる鎌をガシッと掴むと、犬宮はコツン、コツン。
黒田によって拘束されている岳弥へ近付いて行く。
目の前まで移動すると、ピタッと足を止めた。
ゆっくりと鎌を頭の上まで掲げたかと思うと、岳弥の頭上を横一線に薙ぎ払う。
────ブチブチブチッ!!
横一線に払ったかと思うと、ワイヤーが切れる音が聞こえた。
同時に、岳弥の死体が崩れるように地面へと倒れ込む。
────グシャ
首と胴体が倒れた衝撃で離れ、そのまま動かなくなった岳弥の死体。
本当に、もう動かないか警戒を保ちつつ犬宮は、足でつんつんと確認。
頭だけを岳弥に近付かせ、黒田は様子を確認し安堵の息を漏らした。
「大丈夫そうだぞ、賢」
「そうだね。良かった……けど」
動かないことに安心するも、その場にしゃがみ背中に手を触れた。
黒田も首だけを近づかせ、犬宮の手元を見る。
「ふーん。やっぱり、賢が切ったワイヤーだけで操られていたみたいだな」
「そうみたいだね。────うん、予想通りの展開」
息を吐き、首をコキコキ鳴らす犬宮を、心優は最古の腕に包帯を巻きながら見る。
――――やっぱり、犬宮さんも黒田さんもすごいなぁ。
二人が手を組むと、あっという間に終わってしまう。
今回も、すぐに終わってしまった。
この調子なら、飛縁魔も簡単に倒す事が出来るんじゃ?
そんな事を思っていると、またしても奥の方から足音が聞こえ始めた。
黒田は慌てて首を胴体に戻し、犬宮は音が聞こえた方を見る。
「賢、どんな臭い」
「怪異」
「とうとう来たって事か」
二人の会話に、緊張が走る。
心優も、最古の腕を止血すると立ち上がり、犬宮に言われた通り守るように前に出た。
コツ、コツと近づく足音。
誰もが油断せず、音のする方向を見続けていると、一人の女性が闇の中から姿を現した。
いや、岳弥と呼んでもいいのかわからない。
それくらい異様で、不気味なものを今の彼から感じる。
「さ、さすがに、生きているなんてことは、ないですよね?」
「あるわけないでしょ。逆に、今の"あれ"を、君は人間と認識するの?」
認識、出来る訳がない。
あんな、人形のように、何かに操られているような"あれ"を。
人と、生き物と、認識出来る訳がない。
「あれは、どうやって動いているのですか」
「おそらく、あれも飛縁魔の力の一つだろうね」
人の死体を操るのが、飛縁魔の力?
そんなの、どうすればいいの……。
「黒田、どうすればいい」
「簡単だよ。あの死体を切り刻むか、ワイヤーを斬るか。どっちがいい?」
「選択肢一つでしょうよそれ!!! ワイヤーという物が存在するんですか!?」
何を聞いているんだ黒田さん!!
選択肢あるように見えて確実にないだろ!!
心優が思わず声を荒げてしまった事により、岳弥が反応。
呻き声をあげ、三人へ襲いかかった。
「キャァァァァァァ!!!」
「黒田!!!」
涙目で叫ぶ心優の前に立ち、犬宮が黒田に指示。
すぐ「よっしゃ」と動き出し、首に巻かれている包帯を取った。
首が胴体から離れ、駆け寄ってくる男の後ろに回る。
口には赤い糸が咥えられており、駆けだした岳弥に巻き付けた。
「――――よしっ! これで動きは封じたはずだぞ」
黒田の頭は岳弥の頭上で待機。
両腕を前に伸ばし、赤い糸を両手の指先で操り身動きを封じ込んだ。
岳弥は赤い糸に体を縛られ、動きたくとも動けない状態。
それでも動こうともがいているため肉が切れ、ギギギッと音を鳴らす。
「犬宮さん、あれ、動き出しませんか?」
「黒田が拘束しているから問題はないと思うけど、早く始末した方がいいんだろうね」
隣に立つ最古の頭を撫で、顔を覗き込んだ。
「翔、鎌を作ってもいい?」
犬宮からそんなことを言われ、最古は笑顔のまま頷く。
袖を捲り左腕を出したかと思うと、自分の右手の爪を添えた。
力を込めギギギッと引っ掻く。すると、左の腕から血がポタッと、流れ落ちる。
「────お前から放たれるは邪悪な女の匂い。俺が全て払い落としてやるよ」
刹那、犬宮の姿が変化。
赤い唇の隙間からは八重歯が見え隠れし、爪は鋭く尖る。
頭には半透明の犬の耳、臀部からは尾が現れゆらゆらと揺れていた。
その姿こそ、犬宮が憑き人と呼ばれる要因。
最古の血を利用し、体に潜む怪異、"狗神"を呼び起こした。
普段は、犬宮自身が狗神の力を半分以上押さえ込めているため、問題はない。
だが、今回のように。
狗神の力が必要で呼び起こす際は、狗神の力が犬宮の押さえつける力を上回る為、体だけでなく意識も狗神に乗っ取られてしまう。
そうならないために、最古の血が必要なのだ。
最古の血は、怪異を弱らせる成分が含まれいる奇血と呼ばれる物。
これは、最古翔が生まれ持つ力で、神に選ばれたと言われるほど希少だった。
昔、最古は奇血のせいで、様々な陰陽師にいいように利用され、血だけを抜かれる生活を送っていた。
"血"だけを見てくる周りの人達。
"血"から得るお金しか見ない両親。
最古の心はもう、壊れる直前。
そんな時、陰陽師の姿をしている黒田が、今にも崩れ落ちそうな最古の手を掴み、「ここに行くと、君を助けてくれる男性がいるよ」と伝えられ、逃げ出した。
公園に駆け出した最古は、誰もいないことに絶望。
やはり大人は皆、自分を利用する。
心がパリンと、音を立て壊れてしまった。
もう、どうでも良くなり、雨の中遊具で遊んでいると、パシャンと足音が聞こえ始める。
傘を指し立っていた男性──犬宮は、迷うことなく最古に手を伸ばした。
そんな最古は犬宮に恩があり、大好き。
犬宮の為なら何でもする気持ちで、今まで共に行動していた。
今回も、犬宮のために自身の腕をひっかき、血を流させる。
忌々しかった自身の血が、犬宮の助けになるのなら喜んで差し出してやると強い意思の元で。
流れ続ける血に、犬宮が右手を近づかせた。
血は犬宮の右手に集まり、赤く染まる。
準備は出来たと言うように右手で赤い円を描き始め、死神の鎌を作り出した。
浮き上がる鎌をガシッと掴むと、犬宮はコツン、コツン。
黒田によって拘束されている岳弥へ近付いて行く。
目の前まで移動すると、ピタッと足を止めた。
ゆっくりと鎌を頭の上まで掲げたかと思うと、岳弥の頭上を横一線に薙ぎ払う。
────ブチブチブチッ!!
横一線に払ったかと思うと、ワイヤーが切れる音が聞こえた。
同時に、岳弥の死体が崩れるように地面へと倒れ込む。
────グシャ
首と胴体が倒れた衝撃で離れ、そのまま動かなくなった岳弥の死体。
本当に、もう動かないか警戒を保ちつつ犬宮は、足でつんつんと確認。
頭だけを岳弥に近付かせ、黒田は様子を確認し安堵の息を漏らした。
「大丈夫そうだぞ、賢」
「そうだね。良かった……けど」
動かないことに安心するも、その場にしゃがみ背中に手を触れた。
黒田も首だけを近づかせ、犬宮の手元を見る。
「ふーん。やっぱり、賢が切ったワイヤーだけで操られていたみたいだな」
「そうみたいだね。────うん、予想通りの展開」
息を吐き、首をコキコキ鳴らす犬宮を、心優は最古の腕に包帯を巻きながら見る。
――――やっぱり、犬宮さんも黒田さんもすごいなぁ。
二人が手を組むと、あっという間に終わってしまう。
今回も、すぐに終わってしまった。
この調子なら、飛縁魔も簡単に倒す事が出来るんじゃ?
そんな事を思っていると、またしても奥の方から足音が聞こえ始めた。
黒田は慌てて首を胴体に戻し、犬宮は音が聞こえた方を見る。
「賢、どんな臭い」
「怪異」
「とうとう来たって事か」
二人の会話に、緊張が走る。
心優も、最古の腕を止血すると立ち上がり、犬宮に言われた通り守るように前に出た。
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