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犬宮探偵事務所と本領
「終わりは見えているぞ」
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口を押えられ、声を出す事が出来ず動けない心優。
隣に立っている黒田は安心したような優しい笑みを浮かべ、現れた彼を見た。
「元気そう…………ではないみたいだが、ひとまず無事を確認できて良かったぞ、賢」
二人の後ろに立っていたのは、最古を抱えている犬宮。
心優は犬宮と久しぶりに出会ったのもあり、思わず名前を呼ぼうとしてしまったところを止められた。
「確かに元気ではない。その理由も話すけど、今はここから離れよう」
犬宮が心優から手を離し、後ろを振り向き歩き出す。
黒田と心優も顔を見合せた後、足音に気を付けながら犬宮から離れないようについて行った。
・
・
・
・
・
・
・
事務所から離れた先の喫茶店に立ち寄り、四人は奥の方で飲み物片手に話し合い始めた。
「心優も黒田も無事みたいで良かった」
「それはお互い様だ。お前らが無事で安心したぞ。もう、襲われているかと思った」
可愛いラテアートを楽しみながら黒田が問いかけ、ブラックコーヒーを一口飲み犬宮が小さく頷いた。
「一応、襲われる手前で全てを回避してたから、被害はない。運が良かっただけなんだけどさ」
「にしては、なんか……」
犬宮を見て、黒田は首を傾げている。
なぜ見られているのかわからない犬宮は眉を顰めつつ、「なに?」と問いかけた。
「いや、目元が赤いなぁと思って……。泣いた?」
「……………………」
「え、本当に泣いたの?」
「黙れ」
今の反応で、犬宮が少し前に泣いていたことは黒田も心優もわかった。
問いかけた黒田は、まさか本当に泣いていたとはとポカンと口をあんぐり。
手に持っていたカップを下ろし、体を乗り出し犬宮の目元に指先を添えた。
「…………今まで泣いたことなんて、お前の姉さんが死んでしまった時だけだったのに」
「俺も驚いた。翔のおかげで色々吹っ切れたのかもしれない」
黒田の手を払い、隣に座る最古を見る。
頭を撫でてあげると、最古はいつものニコニコ顔で犬宮を見上げた。
その笑顔に、犬宮もまた笑顔になる。
微笑み合う二人を見て、黒田もつられるように微笑んだ。
そんな温かい空間に一つ、この場にそぐわない空気を醸し出している人がいる。
黒田は顔を引き攣らせながら横に座っている心優を見た。
「――――心優ちゃん、興奮しているのはわかるけど、せめて鼻血は拭いて興奮の声を出すのはやめようか。抑えようとしているのはわかるけど、手の隙間から洩れているよ」
心優は今までの三人のやり取りを見ていて、頭の中がBL状態。
今までは黒田と犬宮の妄想を爆発させていたが、今は最古も真ん中に入っていた。
「最古君を子供にして、犬宮さんと黒田さんが夫婦。素敵な家族の出来上がりじゃなぁぁぁああい」
「さすがにそれはきついかなぁ~」
冷静に突っ込みつつ、黒田はラテアートが崩れてしまったカフェオレを飲んだ。
「一旦、合流できたことは良かったが、今後の動きは決まっているのか?」
心優のことはもう放っておこうと、黒田が犬宮に問いかけた。すると、最古から手を離し真剣な表情に切り替わる。
「まず、二人の話を聞きたい。状況は悪化しているの?」
「悪化――――してはいるが、終わりは見えているぞ」
「どういう事?」
「これ、覚えているだろ?」
二人の会話に、心優は気を引き締め頬をパンパンと叩き話に集中した。
そんな心優の隣では、黒田が刀を取り出しテーブルに乗せる。
「これって、もしかして呪異?」
「正解」
「会いに行ったの?」
「そうそう、お願いしたらすぐに了承してくれたぞ」
「黒田だからこそできる荒業だね」
「賢とも話したがっていたぞ。すべてが終わった時、酒に付き合ってやれ」
「……………………俺は珈琲でいい」
酒の話を出した瞬間、何故か犬宮は肩を落とし目を逸らす。
そんな彼を見て黒田はくすくすと笑った。
二人の様子に心優はまたしても頭の中にBLが浮上するが、すぐにかぶりをふりかき消した。
「それで、どうするんですか? 早くしないと、私達の場所、ばれるんじゃ……」
心優が言うと、二人は目を丸くした。
「ま、まさか。BLを妄想している心優ちゃんが……」
「そんなこと言うなんてね。熱が出る予兆かもしれない、早く事件解決するため頑張ろうか」
「そうだね」
二人はここから真面目に話し合い始め、心優は口をあんぐり。
すぐに理解し、顔を赤くした。
「……………………ど、どういう意味ですかあぁぁぁぁああああ!!」
隣に立っている黒田は安心したような優しい笑みを浮かべ、現れた彼を見た。
「元気そう…………ではないみたいだが、ひとまず無事を確認できて良かったぞ、賢」
二人の後ろに立っていたのは、最古を抱えている犬宮。
心優は犬宮と久しぶりに出会ったのもあり、思わず名前を呼ぼうとしてしまったところを止められた。
「確かに元気ではない。その理由も話すけど、今はここから離れよう」
犬宮が心優から手を離し、後ろを振り向き歩き出す。
黒田と心優も顔を見合せた後、足音に気を付けながら犬宮から離れないようについて行った。
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事務所から離れた先の喫茶店に立ち寄り、四人は奥の方で飲み物片手に話し合い始めた。
「心優も黒田も無事みたいで良かった」
「それはお互い様だ。お前らが無事で安心したぞ。もう、襲われているかと思った」
可愛いラテアートを楽しみながら黒田が問いかけ、ブラックコーヒーを一口飲み犬宮が小さく頷いた。
「一応、襲われる手前で全てを回避してたから、被害はない。運が良かっただけなんだけどさ」
「にしては、なんか……」
犬宮を見て、黒田は首を傾げている。
なぜ見られているのかわからない犬宮は眉を顰めつつ、「なに?」と問いかけた。
「いや、目元が赤いなぁと思って……。泣いた?」
「……………………」
「え、本当に泣いたの?」
「黙れ」
今の反応で、犬宮が少し前に泣いていたことは黒田も心優もわかった。
問いかけた黒田は、まさか本当に泣いていたとはとポカンと口をあんぐり。
手に持っていたカップを下ろし、体を乗り出し犬宮の目元に指先を添えた。
「…………今まで泣いたことなんて、お前の姉さんが死んでしまった時だけだったのに」
「俺も驚いた。翔のおかげで色々吹っ切れたのかもしれない」
黒田の手を払い、隣に座る最古を見る。
頭を撫でてあげると、最古はいつものニコニコ顔で犬宮を見上げた。
その笑顔に、犬宮もまた笑顔になる。
微笑み合う二人を見て、黒田もつられるように微笑んだ。
そんな温かい空間に一つ、この場にそぐわない空気を醸し出している人がいる。
黒田は顔を引き攣らせながら横に座っている心優を見た。
「――――心優ちゃん、興奮しているのはわかるけど、せめて鼻血は拭いて興奮の声を出すのはやめようか。抑えようとしているのはわかるけど、手の隙間から洩れているよ」
心優は今までの三人のやり取りを見ていて、頭の中がBL状態。
今までは黒田と犬宮の妄想を爆発させていたが、今は最古も真ん中に入っていた。
「最古君を子供にして、犬宮さんと黒田さんが夫婦。素敵な家族の出来上がりじゃなぁぁぁああい」
「さすがにそれはきついかなぁ~」
冷静に突っ込みつつ、黒田はラテアートが崩れてしまったカフェオレを飲んだ。
「一旦、合流できたことは良かったが、今後の動きは決まっているのか?」
心優のことはもう放っておこうと、黒田が犬宮に問いかけた。すると、最古から手を離し真剣な表情に切り替わる。
「まず、二人の話を聞きたい。状況は悪化しているの?」
「悪化――――してはいるが、終わりは見えているぞ」
「どういう事?」
「これ、覚えているだろ?」
二人の会話に、心優は気を引き締め頬をパンパンと叩き話に集中した。
そんな心優の隣では、黒田が刀を取り出しテーブルに乗せる。
「これって、もしかして呪異?」
「正解」
「会いに行ったの?」
「そうそう、お願いしたらすぐに了承してくれたぞ」
「黒田だからこそできる荒業だね」
「賢とも話したがっていたぞ。すべてが終わった時、酒に付き合ってやれ」
「……………………俺は珈琲でいい」
酒の話を出した瞬間、何故か犬宮は肩を落とし目を逸らす。
そんな彼を見て黒田はくすくすと笑った。
二人の様子に心優はまたしても頭の中にBLが浮上するが、すぐにかぶりをふりかき消した。
「それで、どうするんですか? 早くしないと、私達の場所、ばれるんじゃ……」
心優が言うと、二人は目を丸くした。
「ま、まさか。BLを妄想している心優ちゃんが……」
「そんなこと言うなんてね。熱が出る予兆かもしれない、早く事件解決するため頑張ろうか」
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