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犬宮探偵事務所の復讐
「――――ありがとう」
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犬宮が正気に戻り、待機していた魁と呪異へと指示を出した。
まず、呪異の力で紅城神社事態に呪いをかけ、ここ一帯に怪異が集まりやすく。
魁はまだ人間の血肉が足りないと暴れ出しそうになったが、犬宮の血を分け大人しくさせた。
このまま野放しにするのは危険と判断した犬宮は、魁を紅城神社に待機させるため、呪いをかけたこの一帯を仕切るように指示を出した。
だが、魁の知能は底辺、仕切るなど不可能。
黒田がそれを指摘するが、言われるまでもなく犬宮は知っていた。
なら、なぜ犬宮が魁に怪異を仕切るようにお願いしたのか。
【怪異の世界では、実力主義の世界】
強い奴に逆らうモノは少なく、逆らったら魁が食い殺せばいいと説明。
それでも黒田は納得できず、犬宮に抗議。
次に放たれた言葉により、黒田は頭を抱え納得するしかなかった。
その言葉が――……
『黒田が魁の管理すればいいじゃん』
当たり前だろうというように言われてしまい、もう、これでいいやと黒田は諦め、これからの生活スタイルを改めようと心に誓った。
そんな事もありつつも作業は夜に終わり、解放されたのは星空が広がる夜中。
どこに行ったと思われていた龍と竜は、動き出した氷柱女房に驚き、逃げ出していた。
それを素直に言って信三にげんこつされ、真矢家へと帰って行った。
犬宮達も帰ろうとしたが、呪異が寂しそうに黒田と犬宮を見ていたため帰るに帰れず森の中に残る事にする。
心優は帰ってもいいと伝えたが、暗闇を一人で帰るのを断固拒否したため、犬宮と黒田、心優と呪異、最古は崖近くまで移動して夜空を楽しむことにした。
呪異の手にはおちょこと酒瓶。
黒田もおちょこを貰い酒をたしなみ、犬宮にも渡そうとした。
「…………」
「今回だけだって。ほれ」
「…………はぁ」
しぶしぶ受け取り、酒を注がれる。
そんな犬宮の隣に、心優が座った。
「あの、犬宮さん」
「なに」
「大丈夫ですか?」
心優が不安そうに瞳を揺らし、お酒を受け取ってしまったとげんなりしている犬宮を見上げた。
「…………大丈夫、とは言いにくいかな」
心優から目を逸らし、犬宮はおちょこの中で揺れている、お酒に映る自分の顔を見下ろした。
「俺は、本当に苦しかった。何でこんな目に合わなければならなのって、なんで俺がこんな辛い思いをしなければならないって。自分の人生を恨んだし、周りの人達全員死ねばいいって、思っていた」
今にも泣き出しそうな声。
心優も悲し気に目を伏せ、顔を俯かせた。
「黒田がいなかったら、俺は本当にここにはいなかった。狗神に負けて、大暴れして殺されていた。でも、それでも良かったのかもしれないとも思っていた」
犬宮の震える声に何も言えない心優。
何か伝えたいのに、口を開く事が出来ない。
「それなのに、いざ復讐出来るようになった時、俺は負けてしまった。怖くなってしまった」
膝を右腕で抱え、おちょこを隣に置く。
顔を隠してしまった犬宮になんと声をかければいいかわからない心優は、悩んだ末眉を吊り上げ名前を呼んだ。
「犬宮さん!」
「っ、え、なに?」
思っていたより大きな声を出してしまった心優だが、それより今すぐ言葉を伝えないとという気持ちが強く、言葉を続けた。
「それは、探偵社として活動している時に、色んなことを知っていったからじゃないでしょうか!」
大きな声で名前を呼ばれ目を丸くしている犬宮は、心優の言葉に首を傾げた。
同時に反対側に人の気配を感じ振り向く。
そこには、最古が彼の手を握り笑みを浮かべている姿。
「翔?」
「いいこ、いいこ。いたいのいたいのとんでいけー」
ニコニコ笑顔を犬宮に向け、最古は彼の手を撫でる。
なんだろうと見ていると、また心優が犬宮の腕を掴み顔を寄せた。
「犬宮さんは優しいから仕方がないんですよ!!」
「え、優しい?」
「そう。優しいから、躊躇しちゃうし、優しいから悩むんだと思います」
真っすぐ見つめられ、犬宮は何も言えない。
心優の茶色の瞳から目を離せず、困惑している自身の顔が映る瞳を見続けた。
「優しい人が苦労する。優しいから悲しい気持ちになるし、考えすぎてしまう。優しいから、辛い思いをしてしまうんです。でも――――」
一拍おき、心優は口を開いた。
「優しい人には人が集まるんです。人が集まるという事は、助けてもらえるんです。一人にならないんです。泣いても、涙を拭てくれる人がいるんです。だから、自分を責めないで、逆にほめてください。今の犬宮さんのように悩める人なんて、絶対にいないんですから!」
満面な笑みを浮かべ、白い歯を見せ笑いかける心優。
そんな彼女の笑みを見つめていると、黒田と呪異も近づき笑みを浮かべた。
白い歯でニコッと笑い、最古もニコニコ笑いかける。
笑顔に囲まれ、犬宮の口元も自然と笑う。
そんな彼の頬に、一粒も雫が流れ落ちた。
「――――ありがとう」
まず、呪異の力で紅城神社事態に呪いをかけ、ここ一帯に怪異が集まりやすく。
魁はまだ人間の血肉が足りないと暴れ出しそうになったが、犬宮の血を分け大人しくさせた。
このまま野放しにするのは危険と判断した犬宮は、魁を紅城神社に待機させるため、呪いをかけたこの一帯を仕切るように指示を出した。
だが、魁の知能は底辺、仕切るなど不可能。
黒田がそれを指摘するが、言われるまでもなく犬宮は知っていた。
なら、なぜ犬宮が魁に怪異を仕切るようにお願いしたのか。
【怪異の世界では、実力主義の世界】
強い奴に逆らうモノは少なく、逆らったら魁が食い殺せばいいと説明。
それでも黒田は納得できず、犬宮に抗議。
次に放たれた言葉により、黒田は頭を抱え納得するしかなかった。
その言葉が――……
『黒田が魁の管理すればいいじゃん』
当たり前だろうというように言われてしまい、もう、これでいいやと黒田は諦め、これからの生活スタイルを改めようと心に誓った。
そんな事もありつつも作業は夜に終わり、解放されたのは星空が広がる夜中。
どこに行ったと思われていた龍と竜は、動き出した氷柱女房に驚き、逃げ出していた。
それを素直に言って信三にげんこつされ、真矢家へと帰って行った。
犬宮達も帰ろうとしたが、呪異が寂しそうに黒田と犬宮を見ていたため帰るに帰れず森の中に残る事にする。
心優は帰ってもいいと伝えたが、暗闇を一人で帰るのを断固拒否したため、犬宮と黒田、心優と呪異、最古は崖近くまで移動して夜空を楽しむことにした。
呪異の手にはおちょこと酒瓶。
黒田もおちょこを貰い酒をたしなみ、犬宮にも渡そうとした。
「…………」
「今回だけだって。ほれ」
「…………はぁ」
しぶしぶ受け取り、酒を注がれる。
そんな犬宮の隣に、心優が座った。
「あの、犬宮さん」
「なに」
「大丈夫ですか?」
心優が不安そうに瞳を揺らし、お酒を受け取ってしまったとげんなりしている犬宮を見上げた。
「…………大丈夫、とは言いにくいかな」
心優から目を逸らし、犬宮はおちょこの中で揺れている、お酒に映る自分の顔を見下ろした。
「俺は、本当に苦しかった。何でこんな目に合わなければならなのって、なんで俺がこんな辛い思いをしなければならないって。自分の人生を恨んだし、周りの人達全員死ねばいいって、思っていた」
今にも泣き出しそうな声。
心優も悲し気に目を伏せ、顔を俯かせた。
「黒田がいなかったら、俺は本当にここにはいなかった。狗神に負けて、大暴れして殺されていた。でも、それでも良かったのかもしれないとも思っていた」
犬宮の震える声に何も言えない心優。
何か伝えたいのに、口を開く事が出来ない。
「それなのに、いざ復讐出来るようになった時、俺は負けてしまった。怖くなってしまった」
膝を右腕で抱え、おちょこを隣に置く。
顔を隠してしまった犬宮になんと声をかければいいかわからない心優は、悩んだ末眉を吊り上げ名前を呼んだ。
「犬宮さん!」
「っ、え、なに?」
思っていたより大きな声を出してしまった心優だが、それより今すぐ言葉を伝えないとという気持ちが強く、言葉を続けた。
「それは、探偵社として活動している時に、色んなことを知っていったからじゃないでしょうか!」
大きな声で名前を呼ばれ目を丸くしている犬宮は、心優の言葉に首を傾げた。
同時に反対側に人の気配を感じ振り向く。
そこには、最古が彼の手を握り笑みを浮かべている姿。
「翔?」
「いいこ、いいこ。いたいのいたいのとんでいけー」
ニコニコ笑顔を犬宮に向け、最古は彼の手を撫でる。
なんだろうと見ていると、また心優が犬宮の腕を掴み顔を寄せた。
「犬宮さんは優しいから仕方がないんですよ!!」
「え、優しい?」
「そう。優しいから、躊躇しちゃうし、優しいから悩むんだと思います」
真っすぐ見つめられ、犬宮は何も言えない。
心優の茶色の瞳から目を離せず、困惑している自身の顔が映る瞳を見続けた。
「優しい人が苦労する。優しいから悲しい気持ちになるし、考えすぎてしまう。優しいから、辛い思いをしてしまうんです。でも――――」
一拍おき、心優は口を開いた。
「優しい人には人が集まるんです。人が集まるという事は、助けてもらえるんです。一人にならないんです。泣いても、涙を拭てくれる人がいるんです。だから、自分を責めないで、逆にほめてください。今の犬宮さんのように悩める人なんて、絶対にいないんですから!」
満面な笑みを浮かべ、白い歯を見せ笑いかける心優。
そんな彼女の笑みを見つめていると、黒田と呪異も近づき笑みを浮かべた。
白い歯でニコッと笑い、最古もニコニコ笑いかける。
笑顔に囲まれ、犬宮の口元も自然と笑う。
そんな彼の頬に、一粒も雫が流れ落ちた。
「――――ありがとう」
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