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戦いの終わりに向けて
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ノエルの確認をとったレオポルトはその場にしゃがみ地面に右手を置いた。このままでは先ほどまでブレッドの攻撃を引き付けていたレオポルトが無防備になってしまう。
そのためにノエルに命を預けると言っていたのだった。
レオポルトから託されたノエルは何度か魔法で電撃を放ち、ブレッドの片手を引きつける。一度引きつけた後は攻撃を回避し、適度に反撃することでレオポルトに攻撃させない。逆言えばノエルが少しでもミスをすると無防備なレオポルトにブレッドの一撃が入ってしまうということだ。
そんな無防備な状態でレオポルトが何をしているのか。これまでこちらの世界で様々な経験をしてきた倉野にはわかる。
魔法というものは魔法式が存在し、そこに魔力を流すことで様々な現象を起こすものだ。その魔法の規模が大きくなれば状況によって魔法式の展開が必要になる。
今、レオポルトは倉野に依頼された魔法を発動するために魔法式を展開していた。
「もう少しだ、耐えてくれよクラノ、ノエル・マスタング」
意識を魔法式展開に集中させながらレオポルトがそう声をかける。
倉野とノエルもまたブレッドの攻撃に集中しながら頷いた。
「はい!」
「どうぞごゆっくり!」
そう答えた倉野たちだったが、それほど余裕があるとは言えない。自分たちの攻撃は全て無効化され、相手の攻撃は一撃が致命傷になる。そんな状況では体力も精神も消耗が激しい。
そんな中、お互いを支えているのはお互いの存在だった。一緒に戦っているからこそ、仲間がいるからこそ、守りたいものがあるからこそ、どんな状況になっても折れることはない。
「ほら、こんなか弱い女一人倒せなくてエスエ帝国を破壊することができるのかしら?」
煽るようにブレッドに言葉を放つノエル。そんな言葉が効くとも思ってはいないが少しでもブレッドの操縦をしているジルトールという者の感情を揺さぶれる可能性があるならばと発言していた。
しかし、ブレッドから言葉は返ってこない。ただ目の前の害虫を駆除するかのように両手を暴れさせている。
「このっ・・・・・・」
ノエルが再びブレッドを煽ろうとした瞬間、待ちわびた報告が聞こえた。
「準備完了だ! いくぞクラノ!」
魔法の準備が整ったというレオポルトの報告である。
レオポルトの言葉を聞いた倉野は強く頷いた。
「はい! お願いします」
「舌を噛まぬよう衝撃に備えろ、クラノ。いくぞ、ストーン・アップリフト!」
強く唱えるレオポルト。すると地面に置いていた右手が黄色い光を放ち始めた。それと同時に倉野の足元が揺れる。
「え? アップリフトって隆起・・・・・・」
倉野は魔法の意味を理解し、自分の想像していた足場との違いに驚いた。石の階段でも作り出してくれるのかと思っていた倉野。だがレオポルトの放った魔法は階段ではなかった。
例えるのならば高速エレベーター。倉野を周辺の地面が一気に盛り上がり、天空へと伸びる植物のようにブレッドの頭まで向かっていく。
「うわああああああ!」
予想外の足場と勢いに驚きの声を漏らさずにはいられなかった倉野。
だが、階段よりもこちらの方が明らかに早い。我に返った倉野は視線をブレッドの頭に固定し、そこから先の行動に備える。
頭まで行けば乗り込む場所があるはずだ。そして操縦者であるジルトールを引きずり出せば、ブレッドは止まる。
この戦いの終わりまでもう少しだ、と倉野は心を昂らせていた。
そのためにノエルに命を預けると言っていたのだった。
レオポルトから託されたノエルは何度か魔法で電撃を放ち、ブレッドの片手を引きつける。一度引きつけた後は攻撃を回避し、適度に反撃することでレオポルトに攻撃させない。逆言えばノエルが少しでもミスをすると無防備なレオポルトにブレッドの一撃が入ってしまうということだ。
そんな無防備な状態でレオポルトが何をしているのか。これまでこちらの世界で様々な経験をしてきた倉野にはわかる。
魔法というものは魔法式が存在し、そこに魔力を流すことで様々な現象を起こすものだ。その魔法の規模が大きくなれば状況によって魔法式の展開が必要になる。
今、レオポルトは倉野に依頼された魔法を発動するために魔法式を展開していた。
「もう少しだ、耐えてくれよクラノ、ノエル・マスタング」
意識を魔法式展開に集中させながらレオポルトがそう声をかける。
倉野とノエルもまたブレッドの攻撃に集中しながら頷いた。
「はい!」
「どうぞごゆっくり!」
そう答えた倉野たちだったが、それほど余裕があるとは言えない。自分たちの攻撃は全て無効化され、相手の攻撃は一撃が致命傷になる。そんな状況では体力も精神も消耗が激しい。
そんな中、お互いを支えているのはお互いの存在だった。一緒に戦っているからこそ、仲間がいるからこそ、守りたいものがあるからこそ、どんな状況になっても折れることはない。
「ほら、こんなか弱い女一人倒せなくてエスエ帝国を破壊することができるのかしら?」
煽るようにブレッドに言葉を放つノエル。そんな言葉が効くとも思ってはいないが少しでもブレッドの操縦をしているジルトールという者の感情を揺さぶれる可能性があるならばと発言していた。
しかし、ブレッドから言葉は返ってこない。ただ目の前の害虫を駆除するかのように両手を暴れさせている。
「このっ・・・・・・」
ノエルが再びブレッドを煽ろうとした瞬間、待ちわびた報告が聞こえた。
「準備完了だ! いくぞクラノ!」
魔法の準備が整ったというレオポルトの報告である。
レオポルトの言葉を聞いた倉野は強く頷いた。
「はい! お願いします」
「舌を噛まぬよう衝撃に備えろ、クラノ。いくぞ、ストーン・アップリフト!」
強く唱えるレオポルト。すると地面に置いていた右手が黄色い光を放ち始めた。それと同時に倉野の足元が揺れる。
「え? アップリフトって隆起・・・・・・」
倉野は魔法の意味を理解し、自分の想像していた足場との違いに驚いた。石の階段でも作り出してくれるのかと思っていた倉野。だがレオポルトの放った魔法は階段ではなかった。
例えるのならば高速エレベーター。倉野を周辺の地面が一気に盛り上がり、天空へと伸びる植物のようにブレッドの頭まで向かっていく。
「うわああああああ!」
予想外の足場と勢いに驚きの声を漏らさずにはいられなかった倉野。
だが、階段よりもこちらの方が明らかに早い。我に返った倉野は視線をブレッドの頭に固定し、そこから先の行動に備える。
頭まで行けば乗り込む場所があるはずだ。そして操縦者であるジルトールを引きずり出せば、ブレッドは止まる。
この戦いの終わりまでもう少しだ、と倉野は心を昂らせていた。
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