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二の矢
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もちろんレオポルトもノエルもこの作戦が成功さえすればと期待をのせている。
しかし、目の前の敵の大きさは想像を超えていた。
レオポルトの魔法によりブレッドの頭まで昇る作戦の綻びに気付いたのは倒れながら状況を見ていたエイターである。
「無駄だ・・・・・・」
エイターは消えそうなほどの声量でそう呟いた。
それと同時にブレッドの右手が倉野を上昇させている大地を掴む。
その瞬間に立ち上っていた大地は動きを止め、風に吹かれた砂の城のように崩れ始めた。
「なっ・・・・・・」
驚きの声を漏らす倉野と言葉を失うレオポルト。
「どうなってるのよ!」
ノエルが疑問を叫ぶと少し離れた場所でエイターが答える。
「貴様らは勘違いしている。ブレッドという兵器は自らに向けられた魔法を無効化するのではない。触れた全ての魔法を無効化する。たとえ大地にかけられた魔法だとしてもな。ブレッドの本質は防御ではなく破壊・・・・・・魔法そのものを破壊するのだ」
これまで倉野たちはブレッドの能力を防御に特化したものだと考えていた。物理攻撃も魔法攻撃も通用しないという絶対防御。しかし、その絶対防御すら破壊という本質の一部だという。
鋼鉄すら砕く倉野の一撃も周囲を全て凍らせるイスベルグの魔法もその全てを無効化するブレッドの能力の一部でしかない。
ようやく見出した活路を破壊されたレオポルトとノエルは額から冷や汗を流す。
「触れるだけで魔法そのものを破壊するとは」
「どうすればいいって言うのよ、こんなの」
思わず心の声を漏らした二人だったが、自分の声よりも大きな声が響いていることに気づいた。
「まだだ!」
足場を破壊され空中に投げ出されたはずの倉野がそう叫んでいる。その目は変わらずにブレッドの頭を捉えていた。
そんな倉野の姿にレオポルトは笑みを浮かべる。
「ふっ、そうだな。たかが一つの可能性が消えただけだ」
「しょうがないわね。最後まで付き合うわよ」
言いながら釣られるようにノエルも笑みを浮かべた。
二人の気持ちが届いたのか、倉野の目はさらに力強く輝きだす。そしてもう一人の仲間、いやもう一匹の仲間が倉野の背中を押した。
「ククク!」
鞄から顔を出したツクネが倉野にそう話しかける。即座に気持ちを察した倉野は強く頷き衝撃に備えた。
「ツクネ、頼んだよ」
「ククー!」
風を操る幻の魔物フェレッタであるツクネ。その魔法によって倉野の体が一気に舞い上がる。
上昇する倉野を見上げながらエイターは疑問を口にした。
「風魔法だと? ならば何故最初から風魔法を使わなかった・・・・・・いや、最初から発動していればブレッドは上から押さえつけるようにあの男を止めていたはずだ。大地を操る魔法で上昇していたからこそ、ブレッドは足場を破壊するために手を下げた」
そう、最初にレオポルトの魔法で上昇していたからこそ、ブレッドの両手は地面の近くにある。
状況を把握したエイターは感動すら覚えていた。
「これを予測して、風魔法を取っておいた・・・・・・というのか。触れるだけで魔法を破壊すると読んだ上で、上昇する大地を囮にしブレッドの両手を自分よりも下の位置に置かせるために」
しかし、目の前の敵の大きさは想像を超えていた。
レオポルトの魔法によりブレッドの頭まで昇る作戦の綻びに気付いたのは倒れながら状況を見ていたエイターである。
「無駄だ・・・・・・」
エイターは消えそうなほどの声量でそう呟いた。
それと同時にブレッドの右手が倉野を上昇させている大地を掴む。
その瞬間に立ち上っていた大地は動きを止め、風に吹かれた砂の城のように崩れ始めた。
「なっ・・・・・・」
驚きの声を漏らす倉野と言葉を失うレオポルト。
「どうなってるのよ!」
ノエルが疑問を叫ぶと少し離れた場所でエイターが答える。
「貴様らは勘違いしている。ブレッドという兵器は自らに向けられた魔法を無効化するのではない。触れた全ての魔法を無効化する。たとえ大地にかけられた魔法だとしてもな。ブレッドの本質は防御ではなく破壊・・・・・・魔法そのものを破壊するのだ」
これまで倉野たちはブレッドの能力を防御に特化したものだと考えていた。物理攻撃も魔法攻撃も通用しないという絶対防御。しかし、その絶対防御すら破壊という本質の一部だという。
鋼鉄すら砕く倉野の一撃も周囲を全て凍らせるイスベルグの魔法もその全てを無効化するブレッドの能力の一部でしかない。
ようやく見出した活路を破壊されたレオポルトとノエルは額から冷や汗を流す。
「触れるだけで魔法そのものを破壊するとは」
「どうすればいいって言うのよ、こんなの」
思わず心の声を漏らした二人だったが、自分の声よりも大きな声が響いていることに気づいた。
「まだだ!」
足場を破壊され空中に投げ出されたはずの倉野がそう叫んでいる。その目は変わらずにブレッドの頭を捉えていた。
そんな倉野の姿にレオポルトは笑みを浮かべる。
「ふっ、そうだな。たかが一つの可能性が消えただけだ」
「しょうがないわね。最後まで付き合うわよ」
言いながら釣られるようにノエルも笑みを浮かべた。
二人の気持ちが届いたのか、倉野の目はさらに力強く輝きだす。そしてもう一人の仲間、いやもう一匹の仲間が倉野の背中を押した。
「ククク!」
鞄から顔を出したツクネが倉野にそう話しかける。即座に気持ちを察した倉野は強く頷き衝撃に備えた。
「ツクネ、頼んだよ」
「ククー!」
風を操る幻の魔物フェレッタであるツクネ。その魔法によって倉野の体が一気に舞い上がる。
上昇する倉野を見上げながらエイターは疑問を口にした。
「風魔法だと? ならば何故最初から風魔法を使わなかった・・・・・・いや、最初から発動していればブレッドは上から押さえつけるようにあの男を止めていたはずだ。大地を操る魔法で上昇していたからこそ、ブレッドは足場を破壊するために手を下げた」
そう、最初にレオポルトの魔法で上昇していたからこそ、ブレッドの両手は地面の近くにある。
状況を把握したエイターは感動すら覚えていた。
「これを予測して、風魔法を取っておいた・・・・・・というのか。触れるだけで魔法を破壊すると読んだ上で、上昇する大地を囮にしブレッドの両手を自分よりも下の位置に置かせるために」
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