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待つ戦い
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倉野が目を覚ましたのはその戦いから三日後のことである。自分が眠っているのか起きているのかわからない状態で目を覚まし、ゆっくりと意識がはっきりしていった。
しっかりと認識できたのは泣いているリオネとレイチェルの表情である。
二人して悲しみの涙ではなく、安堵からくる涙を流し、倉野の目覚めを喜んでいた。
「あの・・・・・・すみません。僕は一体どれくらい・・・・・・」
状況を把握しようと問いかける倉野だったがリオネとレイチェルは安堵の感情と涙でうまく答えられない。どうすればいいのかと慌てながら倉野が二人を宥めていると、ちょうどよくノエルが部屋に入ってきた。
「二人の泣き声が聞こえてきたから死んじゃったか目を覚ましたかのどちらかと思ってきてみたけど目を覚ましたのね」
「そんな不吉な二択でよく扉を開けましたね。おはようございます、ノエルさん」
苦笑しながら倉野がそう返すとノエルはベッドの近くにあった椅子に座り、優しく微笑む。
「三日よ・・・・・・あの戦いから三日」
「三日って、僕はそんなに寝てたんですね。それで、あの後ネメ」
「待ちなさいよ、クラノ。今アンタがすべきことはそんな話じゃないでしょ」
自分が眠っていた間の話を聞こうとする倉野にノエルはそう言い放った。そんなノエルの右手はリオネとレイチェルを指し示している。
倉野はなるほどと頷き、一度頭の中からネメシスとの戦いについてを消し去った。その上で涙が止まらないリオネとレイチェルに微笑みかける。
「そうですね、ちょっと気持ちが焦ってしまっていました。リオネさん、レイチェルさん、ご心配をおかけしてすみません。この通り僕は全然元気ですよ。だからもう泣かないでください・・・・・・ね?」
するとリオネが倉野に近づきゆっくりと強く抱きしめた。
「三日も眠っていて何言ってるんですか。ノエルから話は聞きましたよ。とんでもなく無理していたって」
「それは・・・・・・そうかもしれません。どうしても負けるわけにはいかなかったんです。リオネさんやレイチェルさんのいるこの国を守りたかったから」
倉野の言葉を聞いたリオネは再び大粒の涙を流し始める。倉野がそういう男だとわかっていたのだ。いつだって倉野は無茶する。けれどそれは自分の野心のためではない、自分の欲望のためではない。誰かを守るためだ。それがわかっているからこそ、心配は大きくなる。助けに行けないことに心を痛めるのだ。
その分、涙は多く流れる。
リオネが大粒の涙を流すと同時にレイチェルも倉野に抱きついた。
「クラノ様・・・・・・クラノ様っ・・・・・・よかった、無事で・・・・・・本当に・・・・・ううっ」
「レイチェルさん、いつも待たせてばかりですね。でも僕はそれが嬉しいんです。異世界からきた僕にも帰る場所があるって思えるから。だから安心して戦えるんです」
「う・・・・・・そうですよ。いつだって私は待ってます。ううん、私だけじゃない、リオネさんもずっと待ってました」
そう答えるレイチェルを眺めながらノエルが微笑む。
「自分のことだけ言えばいいのに、リオネの気持ちまで話すなんてお嬢様はどこまでも人がいいんだから。まぁでも、だからこそリオネとの関係も良好でいられるってことよね。ほらクラノ、抱きしめてあげなさいよ。二人が泣き止んだら話の続きをしましょう」
しっかりと認識できたのは泣いているリオネとレイチェルの表情である。
二人して悲しみの涙ではなく、安堵からくる涙を流し、倉野の目覚めを喜んでいた。
「あの・・・・・・すみません。僕は一体どれくらい・・・・・・」
状況を把握しようと問いかける倉野だったがリオネとレイチェルは安堵の感情と涙でうまく答えられない。どうすればいいのかと慌てながら倉野が二人を宥めていると、ちょうどよくノエルが部屋に入ってきた。
「二人の泣き声が聞こえてきたから死んじゃったか目を覚ましたかのどちらかと思ってきてみたけど目を覚ましたのね」
「そんな不吉な二択でよく扉を開けましたね。おはようございます、ノエルさん」
苦笑しながら倉野がそう返すとノエルはベッドの近くにあった椅子に座り、優しく微笑む。
「三日よ・・・・・・あの戦いから三日」
「三日って、僕はそんなに寝てたんですね。それで、あの後ネメ」
「待ちなさいよ、クラノ。今アンタがすべきことはそんな話じゃないでしょ」
自分が眠っていた間の話を聞こうとする倉野にノエルはそう言い放った。そんなノエルの右手はリオネとレイチェルを指し示している。
倉野はなるほどと頷き、一度頭の中からネメシスとの戦いについてを消し去った。その上で涙が止まらないリオネとレイチェルに微笑みかける。
「そうですね、ちょっと気持ちが焦ってしまっていました。リオネさん、レイチェルさん、ご心配をおかけしてすみません。この通り僕は全然元気ですよ。だからもう泣かないでください・・・・・・ね?」
するとリオネが倉野に近づきゆっくりと強く抱きしめた。
「三日も眠っていて何言ってるんですか。ノエルから話は聞きましたよ。とんでもなく無理していたって」
「それは・・・・・・そうかもしれません。どうしても負けるわけにはいかなかったんです。リオネさんやレイチェルさんのいるこの国を守りたかったから」
倉野の言葉を聞いたリオネは再び大粒の涙を流し始める。倉野がそういう男だとわかっていたのだ。いつだって倉野は無茶する。けれどそれは自分の野心のためではない、自分の欲望のためではない。誰かを守るためだ。それがわかっているからこそ、心配は大きくなる。助けに行けないことに心を痛めるのだ。
その分、涙は多く流れる。
リオネが大粒の涙を流すと同時にレイチェルも倉野に抱きついた。
「クラノ様・・・・・・クラノ様っ・・・・・・よかった、無事で・・・・・・本当に・・・・・ううっ」
「レイチェルさん、いつも待たせてばかりですね。でも僕はそれが嬉しいんです。異世界からきた僕にも帰る場所があるって思えるから。だから安心して戦えるんです」
「う・・・・・・そうですよ。いつだって私は待ってます。ううん、私だけじゃない、リオネさんもずっと待ってました」
そう答えるレイチェルを眺めながらノエルが微笑む。
「自分のことだけ言えばいいのに、リオネの気持ちまで話すなんてお嬢様はどこまでも人がいいんだから。まぁでも、だからこそリオネとの関係も良好でいられるってことよね。ほらクラノ、抱きしめてあげなさいよ。二人が泣き止んだら話の続きをしましょう」
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