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黒き城
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倉野たちを乗せたフォンガ車は壁に向かって進み、その手前で停止した。
橋の手前で既に入国手続きを済ませているとはいえ、ここでも入国確認があるのだろう。
サウザンドが車から顔を出し、簡単な話を終えると驚くほど簡単に壁の内側に通された。
まるで大きな高架下だと勘違いしてしまうほどの門をくぐり抜けると、一気に街が広がる。ほとんどの家が石や煉瓦で出来ており、木製だと潮風によって塩害を受けるのだろうと推測できた。
大小様々な家や店、施設が規則的に並んでいる先には、壁の外からも確認できた城が見える。白の外壁は全てが黒色に塗られており、視界に映る巨大な黒は異質に感じられた。
どうやら街は城を囲むように広がっているらしい。
街に入ってすぐサウザンドはフォンガ車を停止させ、全員に声をかけた。
「申し訳ありません、ここからは歩くことになります。元々、あった街の中心に城を建てたもので、フォンガ車が通れるような道がないのですよ」
異議を申し立てる者などいるはずもなく、即座にフォンガ車から降りる。
城を中心とした街づくりをすれば、大通りを作っておけただろう。しかし、元々人が住んでいた街を王都とし、城を建てたのならばこういった不都合も仕方がない。
車を降りてすぐ、倉野が城を見上げながらつぶやいた。
「真っ黒な城って、なんか違和感がありますよね」
するとレインがこう答える。
「ああ、城は権力の象徴だからね。本来ならもっと色を使って豪華絢爛に見せるものさ。あえて黒くしているのにも理由があるのだろうね」
二人の会話を聞いていたサウザンドは観光案内でもしているような雰囲気で口を開いた。
「ええ、やはりこの辺りは潮風による塩害が多いですからね。城の外壁に特殊な液体を塗り付け、潮風の被害を受けぬように加工しているそうです。また、夜になるとほとんど見えなくなる、闇に溶けるというのも都合がいいのですよ」
闇に溶けると都合がいい理由は倉野にもわかる。
外敵が王城を狙う場合、昼間ならば相手の動きもわかりやすい。しかし、夜であればバレンドット側から敵の動きは確認できないだろう。そんな状況で王城だけ目立っていれば、圧倒的に不利になる。
王城が夜と同化していれば、相手からも王城を確認できず、条件は同じだ。
国境沿い、それも海岸沿いに王城を建てているのだからそれくらいの対策は当然だろう。
城の話をしながら少しずつ、歩いていくとサウザンドは大きな建物の前で足を止めた。
橋の手前で既に入国手続きを済ませているとはいえ、ここでも入国確認があるのだろう。
サウザンドが車から顔を出し、簡単な話を終えると驚くほど簡単に壁の内側に通された。
まるで大きな高架下だと勘違いしてしまうほどの門をくぐり抜けると、一気に街が広がる。ほとんどの家が石や煉瓦で出来ており、木製だと潮風によって塩害を受けるのだろうと推測できた。
大小様々な家や店、施設が規則的に並んでいる先には、壁の外からも確認できた城が見える。白の外壁は全てが黒色に塗られており、視界に映る巨大な黒は異質に感じられた。
どうやら街は城を囲むように広がっているらしい。
街に入ってすぐサウザンドはフォンガ車を停止させ、全員に声をかけた。
「申し訳ありません、ここからは歩くことになります。元々、あった街の中心に城を建てたもので、フォンガ車が通れるような道がないのですよ」
異議を申し立てる者などいるはずもなく、即座にフォンガ車から降りる。
城を中心とした街づくりをすれば、大通りを作っておけただろう。しかし、元々人が住んでいた街を王都とし、城を建てたのならばこういった不都合も仕方がない。
車を降りてすぐ、倉野が城を見上げながらつぶやいた。
「真っ黒な城って、なんか違和感がありますよね」
するとレインがこう答える。
「ああ、城は権力の象徴だからね。本来ならもっと色を使って豪華絢爛に見せるものさ。あえて黒くしているのにも理由があるのだろうね」
二人の会話を聞いていたサウザンドは観光案内でもしているような雰囲気で口を開いた。
「ええ、やはりこの辺りは潮風による塩害が多いですからね。城の外壁に特殊な液体を塗り付け、潮風の被害を受けぬように加工しているそうです。また、夜になるとほとんど見えなくなる、闇に溶けるというのも都合がいいのですよ」
闇に溶けると都合がいい理由は倉野にもわかる。
外敵が王城を狙う場合、昼間ならば相手の動きもわかりやすい。しかし、夜であればバレンドット側から敵の動きは確認できないだろう。そんな状況で王城だけ目立っていれば、圧倒的に不利になる。
王城が夜と同化していれば、相手からも王城を確認できず、条件は同じだ。
国境沿い、それも海岸沿いに王城を建てているのだからそれくらいの対策は当然だろう。
城の話をしながら少しずつ、歩いていくとサウザンドは大きな建物の前で足を止めた。
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