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質問責め
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冨岡に足りない部分を補いながらも、冨岡ならばどうするかを考え実行してくれるレボル。
その上、冒険者として活動できるほどの戦闘力に加え、こちらの世界で店を開けるくらいの料理スキルを持っている。
例えば、戦闘力で世界を救えるほどか、と聞かれればそうではない。彼の作る料理で世界に革命を起こせるか、と聞かれればそれほどではない。
何かに特化しているというよりも、様々な能力をバランスよく持っていると言っていいだろう。そんなレボルの最大の強みは考えることである。
そんな彼だからこそ、冨岡は安心して店を任せることができているのだ。
「いつもありがとうございます、レボルさん。俺も片付け手伝いますよ」
「おお、ありがたい。早く終わらせて夕食に致しましょう。学園工事の作業員たちが待っていますよ、腹を空かせてね」
一日の疲れなど全く見せずに、レボルは優しく微笑む。
そのまま後片付けを終えた冨岡たちは、自分たちの拠点である学園予定地に戻り、明日の仕込みと並行して自分たちの夕食と学園関係者に振る舞う食事を作り始める。
明日の仕込みはアメリア、自分たちの夕食を冨岡、工事関係者へ振る舞う食事はレボルが担当だ。
途中、ノルマンがやってきてリオとフィーネに勉強を教えてくれる。暇を持て余した彼にとって幼い子どもたちと触れ合う時間は楽しいのだろう、頬が緩みっぱなしだ。
科学や数学の詳しい話になれば、こちらの世界で学者をしていたノルマンよりも、日本で教育を受けた冨岡の方が教えられることは多いかもしれない。しかし、子どもたちに初歩的な問題を教えるのなら、教師の知識よりも技術の方が大切だ。他人に何かを教える技術を持っているノルマンの方が、子どもたちにとっていい教師になる。
「いつもありがとうございます、ノルマンさん」
冨岡が皿を並べながら礼を言うと、ノルマンは嬉しそうに口角を上げた。
「構わんわい。二人とも優秀な生徒でな、このまま教えていけば良い学者になるじゃろうて」
「学者になるかどうかは二人に任せますよ。俺は色んな可能性を示すだけですから」
「ふむ、様々な可能性をなぁ。それは良いことじゃ」
自分よりも遥かに年齢を重ねたノルマンに肯定されると、冨岡も嬉しくなる。自分のしていることが間違っていないのだ、と背中を押された気持ちになるのだ。
そんな話をしながらも料理を進め、夕食であるカレーを完成させた冨岡は、他の人が終わるのを待つ間に学園内を散策する。
ほとんど工事が終わっており、あとは内装の完成と片付けくらいなものだ。もうすぐ学園を始めることができるだろう。
完成間近の学園内を見ながらこれまでのことを振り返ろうとした冨岡の背中に、大声が飛んできた。
「トミオカさーん!」
「ん?」
冨岡が振り返ると、何度か顔を見た作業員が困った顔で走ってくる。
「助けてくださいよぉ」
「一体どうしたんですか?」
荒い吐息で助けを求める作業員に首を傾げる冨岡。様子を見るに、わざわざ冨岡を探してきたのだろう。
すると作業員は教室がある方向を指差した。
「なんか、変な男が色々聞いてくるんすよ。オイラたち作業員はそれほど詳しいことはわかんないじゃないですか。図面通りに作業するだけなんだから。そう言っているのに、質問が終わらなくって」
「質問? どういうことですか?」
「とりあえず来てください!」
その上、冒険者として活動できるほどの戦闘力に加え、こちらの世界で店を開けるくらいの料理スキルを持っている。
例えば、戦闘力で世界を救えるほどか、と聞かれればそうではない。彼の作る料理で世界に革命を起こせるか、と聞かれればそれほどではない。
何かに特化しているというよりも、様々な能力をバランスよく持っていると言っていいだろう。そんなレボルの最大の強みは考えることである。
そんな彼だからこそ、冨岡は安心して店を任せることができているのだ。
「いつもありがとうございます、レボルさん。俺も片付け手伝いますよ」
「おお、ありがたい。早く終わらせて夕食に致しましょう。学園工事の作業員たちが待っていますよ、腹を空かせてね」
一日の疲れなど全く見せずに、レボルは優しく微笑む。
そのまま後片付けを終えた冨岡たちは、自分たちの拠点である学園予定地に戻り、明日の仕込みと並行して自分たちの夕食と学園関係者に振る舞う食事を作り始める。
明日の仕込みはアメリア、自分たちの夕食を冨岡、工事関係者へ振る舞う食事はレボルが担当だ。
途中、ノルマンがやってきてリオとフィーネに勉強を教えてくれる。暇を持て余した彼にとって幼い子どもたちと触れ合う時間は楽しいのだろう、頬が緩みっぱなしだ。
科学や数学の詳しい話になれば、こちらの世界で学者をしていたノルマンよりも、日本で教育を受けた冨岡の方が教えられることは多いかもしれない。しかし、子どもたちに初歩的な問題を教えるのなら、教師の知識よりも技術の方が大切だ。他人に何かを教える技術を持っているノルマンの方が、子どもたちにとっていい教師になる。
「いつもありがとうございます、ノルマンさん」
冨岡が皿を並べながら礼を言うと、ノルマンは嬉しそうに口角を上げた。
「構わんわい。二人とも優秀な生徒でな、このまま教えていけば良い学者になるじゃろうて」
「学者になるかどうかは二人に任せますよ。俺は色んな可能性を示すだけですから」
「ふむ、様々な可能性をなぁ。それは良いことじゃ」
自分よりも遥かに年齢を重ねたノルマンに肯定されると、冨岡も嬉しくなる。自分のしていることが間違っていないのだ、と背中を押された気持ちになるのだ。
そんな話をしながらも料理を進め、夕食であるカレーを完成させた冨岡は、他の人が終わるのを待つ間に学園内を散策する。
ほとんど工事が終わっており、あとは内装の完成と片付けくらいなものだ。もうすぐ学園を始めることができるだろう。
完成間近の学園内を見ながらこれまでのことを振り返ろうとした冨岡の背中に、大声が飛んできた。
「トミオカさーん!」
「ん?」
冨岡が振り返ると、何度か顔を見た作業員が困った顔で走ってくる。
「助けてくださいよぉ」
「一体どうしたんですか?」
荒い吐息で助けを求める作業員に首を傾げる冨岡。様子を見るに、わざわざ冨岡を探してきたのだろう。
すると作業員は教室がある方向を指差した。
「なんか、変な男が色々聞いてくるんすよ。オイラたち作業員はそれほど詳しいことはわかんないじゃないですか。図面通りに作業するだけなんだから。そう言っているのに、質問が終わらなくって」
「質問? どういうことですか?」
「とりあえず来てください!」
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